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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #65「TAG文具まつりに参加しました!」

波子

先月に引き続き、今回もイベント参加のご報告です。
今回は何と、プロジェクターを使用して本格的なトークライブもさせていただきました!
また、イベントでは書籍『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』の販売に加え、掲載文具の一部を販売するという楽しさもありました。
充実した3日間について、みっちりご報告します!

TAG文具まつり

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「TAG文具まつり」は、2023年10月13日(金)から15日(日)まで、京都市勧業会館みやこめっせにて開催された、入場無料の文具展示即売会です。
2019年まで、一般入場者として4回ほど参加していました。メーカーさんに直接お話を伺いながら新商品などが買えるのがとても楽しいですし、愛用している文具のことをメーカーさんに「これが好きなんです!」と直にお伝えしたり、魅力を語り合うのもまた嬉しくて、大好きなイベントなんです。

文具王や、「文具のとびら」でマンガ「お楽しみは文房具」を連載なさっている藤村阿智さんのトークライブも毎回楽しみで、開催期間の2日続けて京都へ出向く私に父が「続けて行くなら泊まったらええねん」と言ってくれて「なるほど来年はそうしよう!」と思ったのが2019年のこと。翌年からはコロナ禍で中止が続いたため、実現できていませんでした。
今回、初めて販売側で参加させていただくにあたり、満を持して宿泊で臨みました。

4年振りのTAG文具まつりは、初の3日間開催。メーカー40社がブースを並べ、イチ押しの文具を販売していました。また、ワークショップやライブペインティング、トークライブもあり、まさにお祭りといった雰囲気。
初日は金曜日で平日だったのですが、13時の開場から多くの来場がありました!

その初日、開場間もない13時30分から、トークライブ「弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち」をいたしました。事前に原稿を台本風に仕立て、何度も家で読み上げて練習したトークを、いつも聴く側だったイベントステージから、お客様に向かって話すときがいよいよやってきたのです!

202310namiko3.jpg編集担当さんとトークライブ。写真の左手にスクリーンがあり、プロジェクターでスライドを表示しながら話した(撮影:藤村阿智さん)


用意していただいていたトーク用のマイクでは私の声量不足で声が通りにくく、会場全体に声が届くマイクに交換してもらったところスタンドが合わず(手で持ち続ける筋力がないためマイクスタンド必須でした)、養生テープで固定する力業で事なきを得てスタートしたトークライブ。
私にとっては初めての「壇上での講演」でもありました。緊張しましたが、書籍の編集担当さんと2人でトークを何とか楽しめたと思っています。

開場直後ということもあり、会場奥のイベントステージまでおいでくださるお客様は多くはないだろう…と思っていましたが、思った以上にお席にお座りいただけて嬉しかったです。お一人おひとりのお顔に目線を向けるようにしながら話しました。また、土日にトークライブを予定されていた藤村阿智さんが私のトークに間に合うようおいでくださって、本当に心強かったです!

202310namiko4.jpg(撮影:藤村阿智さん)


私の紹介に始まり、「頼もしい文具とは何か」という話では「はさみが使いにくく感じるようになった意外さ」について語り、書籍に掲載した文具を12点ご紹介し、最後に書籍自体のご紹介をして、時間ぴったり55分。1時間の持ち時間にきれいにまとめられてホッとしました…。
途中、手元でメモをしながらお聴きくださった方もいらして、「前回までは私もそうしてメモしながら阿智さんや文具王のトークを聴いていたんだわ」と感無量でありました。
お聴きくださった皆さん、本当にありがとうございました。

車椅子で壇上にあがるために、スロープを2段階にご用意くださっていました。うち1つは宙を渡る橋のような状態で、渡るのにスリルがあったのですが、しっかり安全に準備していただけてありがたかったです。
iPadからの出力も初体験でしたが無事にこなせたので、次にまた同じような機会をいただけたときには、より一層うまく話せるよう頑張ります。
(うっかりしていて、録画や録音という記録を取っていなかったことに後から気づきました。残念です)

会場奥、イベントステージすぐ隣の文具店TAGさんのブース内に、「頼もしい文具たち」のスペースを頂戴し、3日間に渡って書籍と掲載文具の一部を販売しました。

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TAGさんにご用意いただいた文具に加え、会場においでのメーカーさんも文具をお持ちくださり、書籍でご紹介している文具の一部をその場でお買い上げいただけたんです。私も全力でオススメできて、本当に楽しかったです!

LIHIT LAB.の「速技ゼムクリップとめ機 クリラーク」は、お試しいただくと皆さん笑顔になられる文具のひとつ。今回は特にお子さんが多く、遠慮なく次々とお試しされることも。カートリッジでゼムクリップを補充するため、内心ハラハラしたのですが、あまりに楽しそうな様子にニコニコ見守るしかできませんでした(笑)ちなみに、3日間でカートリッジを2回補充しました。
【参照】#30「指先を使わずに留められるゼムクリップ」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/012207/

202310namiko6.jpg文具お試しコーナー

株式会社ハリマウスの「ハリマウス」も人気でした。「手でつままないので指紋がつかないんですよ」とお伝えすると皆さん「なるほど!」とキラキラされるんですよね。お試しのために用意していたノートには、ハリマウスで貼られたテープがたくさん残っています。
【参照】#2「片手で楽々使えるテープカッター」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/007522/

MAXの「コロレッタ」もかなり売れました。「この厚みが持ちやすくて、置いておけるので手に取りやすくて、さらに差し入れ口が大きく開いていて封筒を入れやすいんです!」とご説明すると毎回好反応で、推していてとても楽しいです。
【参照】#1「持ちやすいレターオープナー」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/007406/

202310namiko7.jpg文具販売コーナー

通りがかったお子さんが必ずお試しになるミドリの「ミニクリーナー」は3種ご用意いただいて、ブルーとクリアが特に人気なようでした。ちょこちょこと動くミニほうきの愛らしさに大人も皆さんメロメロになる訳ですが、「実はこれ片手で掃除ができる優れものなんですよ」とお伝えしたときの「なるほど!」も気持ちいいんですよね。
【参照】#13「片手で使える卓上クリーナー」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/009176/

個人的にとても嬉しかったのが、NTカッターの「チョコレートカッターL」を販売できたことでした。私がほぼずっとブースにいたため、お子さんの前でも刃をスライドさせる様子をお見せできましたし、「チョコレートの縁に親指を当てると滑らないのでスライドしやすいんです!」とご説明したときの皆さんの好反応が本当に楽しかったです。
10点ご用意いただいたうち8点売れたのを見て、思わずガッツポーズしていました。いくつかはお子さんがお買い上げくださったのも嬉しかったです。
【参照】#16「かわいくて持ちやすいカッターナイフ」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/009707/

コクヨの「ペンケース〈C2〉」とレイメイ藤井の「コハコペンケース」も販売しました。大きさの異なるトレー型ペンケースを並べて置けたことが嬉しくて、それぞれの特徴をお伝えすると、皆さん真剣にご自身に合うものを考えておられたのが印象的でした。
【参照】#4「トレー型ペンケース」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/007736/
【参照】#47「開けやすいトレー型ペンケース」https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/015332/

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コクヨの「ワンパッチスタンプ」も、お試しで注目度が高かったひとつです。お立ち寄りくださるお客様は手に荷物をお持ちなことが多いため、説明しながら私が卓上でセットして片手で押してもらいました。補強シールが貼られた紙をお見せすると「わぁ簡単!」と喜んでもらえるのが楽しかったです。
【参照】#46 「ワンタッチでパンチ穴を補強!」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/014998/

MAXの「サクリフラット」も人気でした。試したお子さんが「軽っ!」と驚いてくれて「でしょ!?」と嬉しくなりました。同行の数人で次々と試して「ほんまや!」とはしゃぐ姿が微笑ましかったのですが、後から来られた親御さんの「ホッチキス? うちにあるやん!」一声で終了となりました(笑)
お子さんたちはきっと私と同じくらいの握力で、おそらく、おうちのホッチキスは少しかたく感じるのでしょうね。だからこその「軽っ!」だったと思います。「このホッチキスは軽い力で使えるんですよ」と親御さんにお伝えしたかったのですが、この文具まつりで子ども達の希望する買い物をすべて叶えるのが難しいだろうことも想像できて、何も言えませんでした。
ところが、しばらくして、そのお子さんたちが戻ってきてくれました。そして、サクリフラットではなかったですが、別の文具をそれぞれ(お揃いの色違いで)ご購入くださったんです。何だか泣きそうになってしまいました。
【参照】#35「軽く握れるホッチキス」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/013139/



202310namiko9.jpg書籍販売コーナー


書籍の販売では、サイン入りのものをご用意して、ご希望の方にはお名前をその場で書かせていただきました。
また、お話しさせていただけた方にはチラシをお渡しして、この連載のURLをQRコードで載せていることをお伝えしました。
何人かの方から「文具のとびら、読んでます!」とお声掛けいただいたりもして、ありがたかったです。

3日間に渡り、小売りの喜びを存分に体験させていただけて、とても幸せでした。文具店TAGさんに心から感謝申し上げます。ありがとうございました!

レイメイ藤井「コハコネオペンケースM」

TAG文具まつりでは、私もいくつか買い物させていただきました。その中から今回はひとつご紹介します。
連載と書籍でご紹介した「コハコペンケース」がリニューアルして、進化を遂げていました!
レイメイ藤井さんの「コハコネオペンケースM」です。

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レイメイ藤井「コハコネオペンケースM」。9月末発売。カラーはブルーのほか、ブラック、ブラウン、ネイビー、バイオレット


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ガバッと開くトレー型。フタの厚みが奥行きに足され、中身が広がる作りになっている



大きな進化は、フタのマグネットが内蔵されていること。
コハコペンケースでは丸いマグネットがついていて、閉じるときにちゃんと合わせる必要がありました。

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レイメイ藤井「コハコペンケース」



実は私が連載時にご紹介したコハコペンケースは限定品で、マグネットが内蔵されたものでした。
書籍化するとき、その限定品は販売終了していたため通常品を撮影し直したのですが、丸いマグネットを合わせるのに時間がかかることに気づき、少し残念に思っていたんですね。
コハコネオペンケースMで内蔵型が復活し、とても嬉しいです!

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フタを閉めるだけで、自然にパタッとくっついてくれます。くっつく場所をねらい定める必要はありません。

中の仕切りがなくなって、すっきり大容量なトレー型であることを全面的に押し出しているのも好感が持てます。どんどん投げ込んでしまいたくなりますね。

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しかも、明らかにコハコペンケースよりたくさんペンが収納できます。レイメイ藤井から前に販売されていた「クラムペンケース」と同じくらい。これはかなり嬉しいです!(ただし、メッシュポケットにものを入れすぎるとフタが閉じなくなるので要注意です)
【参照】#22「大容量のトレー型ペンケース」| https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/010772/

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横から見ると、がっしりとした四角い枠になっているのが分かります。枠がしっかりしているおかげで、フタがぶれずに真っ直ぐ下ろせて、中央に内蔵されたマグネットへと自然に誘導されるのでしょう。

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そして、枠がしっかりしている効能として、さらなる大容量を実現できたのだと思います。トレーの形がきれいですものね。


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マグネットを当てる面は下へ向かってすぼむように斜めになっているので、フタに指を引っ掛けて開けやすいですよ。
また、かっちりした形は手でつかみやすいと感じました。これも嬉しいポイントです。

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これからは、大容量ペンケースとして、より進化したコハコネオペンケースを推していきます!

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左から「クラムペンケース」、「コハコペンケース」、「コハコネオペンケース」

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を2022年10月25日に小学館から発刊


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