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【新連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #1「持ちやすいレターオープナー」
[毎月25日更新]
2012年の夏頃から、手の力が目に見えて弱くなっているな、という自覚がありました。
私は「先天性ミオパチー」という筋力が低下していく病気だと診断されていて、背骨が曲がる「脊柱側弯症」でもあります。側弯症については2012年初夏に2度目の手術をしましたが、その後うまく歩けなくなり、現在は外出時に簡易型電動車いすを使用しています。
手の力が弱くなると、これまで何気なく普通に使えていた物が少し不便に感じたりします。力が弱くなって初めて感じる不便さは、普通に使えていた時には想像もできなかったことです。
そういう「初めて感じる不便さ」について、私は「新しい視点」を手に入れたと感じています。障がいというのは人それぞれ程度が千差万別なので、あくまでも私の場合ということになりますが、力が弱くても使いやすいと感じた文具についてご紹介します。
私の使う物が、どなたかの「これ便利!」という感動につながることを祈って。
マックスの「コロコロケシコロwithレターオープナー」
レターオープナーという文具は、一度使い始めると便利で手放せないものです。
届いた封書をビリビリと手で破くのはあまり美しくはないですし、力が弱いと「封筒の端っこをつまんで破る」というのは意外に難しかったりします。そんなことが難しいなんて、ちょっと想像できなくないですか? 私もビックリしました。端をしっかりとつまむ、というのはそれなりの力を使うものなのです。
これまで私が使用してきたレターオープナーは、シールはがし兼用のナイフ型のものや、薄くて平たいミニカッターナイフのような形状のものでした。カッター式は手軽で良いのですが、つまむという行為が苦手になった今、薄くて小さいカッターを使うと少し手が震えたりして使いにくくなってしまったのです。
そんな時に出会ったのが、マックスの「コロコロケシコロwithレターオープナー」でした。
このレターオープナーには、届いたハガキや封書の宛名をローラー式スタンプで消す「コロコロケシコロ」が合体しているので、「厚み」があります。
厚みがあれば、つまむ力は少なくて済みますし、握ることもできるので安定させられます。
そして素晴らしいところはもうひとつ、封筒にナイフをあてがう時に発揮されます。
ガイドが大きく開いているので、手が多少震えていても気にせず刃をスムーズに当てることができるのです。
厚みがあるので、何とこのレターオープナーは机の上で自立します。
「つまむ」のが苦手な私の場合、薄いレターオープナーを机の上や引き出しの中からつまみ上げることに比べたら、立ててあるこれをさっと手に取れることはかなりストレスフリーです。
つまり私にとってコロコロケシコロwithレターオープナーは、「手に取りやすく、持ちやすくて、切りやすい」、最強のレターオープナーなのです。
※「コロコロケシコロwithレターオープナー」は旧商品名で、現行商品は「コロレッタ」です。
プロフィール
波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて「車いすでみるなら」連載中。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」 http://nam-kid.hatenablog.com/
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