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- 車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち
- 【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #46 「ワンタッチでパンチ穴を補強!」

【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #46 「ワンタッチでパンチ穴を補強!」
先日、部屋の片づけをしていて、無造作にクリアホルダーに放り込んでいた検査結果のプリントなどをきちんとファイリングしようと思い立ちました。
2穴パンチで穴を空けて綴じようとすると、少し古いものもあるため、すぐに破けそう。
そういえば補強するためのシールがあったな、と事務員時代を思い出したのですが、今の私はあの小さいシールを扱えるかしら…と不安になりつつ文具売り場に行くと。
ありました。私にぴったりの文具が。
コクヨ「ワンパッチスタンプ」
コクヨの「ワンパッチスタンプ」は、スタンプのようにポンと押すだけでパンチ穴補強シールが貼れます。なんと2008年から発売されていました。その当時はまだ事務員をしていた頃ですが、補強シールを使う頻度はさほど高くなかったので、あまりアンテナを張っていなかったのかも知れません。
白いハンドルは適度な太さ。剥離紙のない積層シールがスタンプする度に1枚ずつ貼られる
あのドーナツ型の補強シールを剥離紙からめくり取って、パンチ穴にきっちり合わせて貼るのは、かなりの器用さとそれなりの力が必要です。
でも、ワンパッチスタンプなら、シールを貼がす手間も、つまんだ指を穴に合わせてジリジリ動かす手間も、指先から離れる瞬間に位置がずれて「あああっ!」となることもありません。
使い方はとても簡単。
フタをぱかりと開けて、紙の下へ差し込みます。
中央の突起がガイドになっているので、パンチ穴からちょうど見える位置に来たところで、本体を垂直に立て、ハンドルを押します。
力を抜くとハンドルはバネの力で戻るので、そのまま紙から引き抜けば、もうこれで補強シールは貼られています。
剥離紙を使わない積層シールなので、ゴミが出ないのも良いですね。
テープのり「ドットライナー」シリーズのドットタイプのりを採用しているため、シール同士はきれいにはがれ、紙へはしっかり貼りつくのです。
私の指ではこんなにきれいに貼れない。透明のシールにのりのドットが見える
欲を申せば、ガイドになっている突起部分の色がフタの色とは違っていたら良いなと思いました。パンチ穴に合わせるのに上から覗いていると、突起だけで判断するよりも、異なる色が現れた方が明らかにココだと判りやすいかなと思ったのです。
もちろん、ちゃんと注意して見ていればいい話なんですけどね。
標準パンチ穴用(穴径6mm)透明シール200片入り。本体カラーは他にグリーンとピンクがあり、シールは詰め替えができます。
詰め替えるためには、本体を垂直にしてから、ハンドル下のボタンを押します。
すると軸が抜けるので、詰め替え用シールを通し入れて戻します。(撮影ではフタをしたままボタンを押しましたが、フタを空けておくとストンと落ちます)
使い方や詰め替え方法はパッケージ裏に記載してあります。
ワンパッチスタンプは、コクヨのユニバーサルデザイン製品のひとつ。
私が嬉しかったのは、文具そのものの使いやすさももちろんなのですが、このパッケージです。
裏側に切り取り線があって、ペリリとめくると、裏の台紙を上へスライドして外せるのです。
プラスチックのパッケージを開封するには、指先に力とコントロールが必要です。
台紙の裏側にかぎ爪のように回り込んだプラスチックを指先で剥がしとることが年々難しくなってきた私にとって、このスライドして外せるパッケージはとても助かります。
(切り取り線から紙をめくるとき、つまむ力が必要です)
誰もが使いやすい、ユニバーサルデザイン。
手の力が弱くなった今、その恩恵を身にしみて感じます。
「私にも使いやすい」と感じるのって、とても嬉しいことなんですよ。
プロフィール
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
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