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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #22「大容量のトレー型ペンケース」

波子

手の力が弱くなると、意外と使いにくさを感じるのがペンケース。
以前にも、この連載の割と初めの方で、トレー型のペンケースが使いやすいとご紹介しました。

#4「トレー型ペンケース」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/007736/

要は、ポーチ型ペンケースの奥の方まで指を突っ込んでペンを取り出したり、立つペンケースからペンを引き抜いたりするのに、思った以上に力を使うんですよね。
だから、トレー型だと使いたいペンがスッと取り出せるという訳です。

そんな私にとって、最強の味方といえるペンケースに、出会ってしまいました。

レイメイ藤井「クラムペンケース」



レイメイ藤井の「クラムペンケース」は、ファスナーを使わないポリエステル製ペンケース。ふたを開けると、その名の通り二枚貝がパカリと口を開いたような形になります。


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ペンだけでなく、多少大きなものやふくらみのあるものも収納できる



ファスナーを開閉すること自体がそれなりに摘まむ力を必要としますので、こんな風にガバッとふたを起こすだけで中身がすべて露わになるのはとても嬉しいことです。
しかも、とてつもなく大容量!

201912namiko6.jpgなんとこの量を収納できる



ファスナー式だと、少しでも中身が多いとまず閉められません。開けているときに中に収まる量と、ちゃんと口が閉められる内容量とがイコールではないのです。
でも、クラムペンケースは、開けているときに放り込んだ量をそのままパクリと収納してくれます。この頼もしさたるや、思わず限界を見極めるべくガンガン放り込んでしまうほどですが、驚くほどにキャパがでかいので途中から笑ってしまいました。
「えっ、まだ入る?」「これでも閉じるの?」とびっくりします。かなり楽しいですよ。

ここしばらく、初めてお会いする方との席で、この連載で紹介したものや普段使っている文具を披露する機会が何度かありました。
ペンだけではなく、カッターナイフやテープなど、今まで使っていたトレー型ペンケースには納めにくい大きさのものも、クラムペンケースは難なく収納してくれます。小さめのものはメッシュのポケットに入れておけば、埋もれてしまうこともありません。

ただひとつだけ、最初に難点だと思ったのが、マグネットホックの外しにくさ。
クラムペンケースの膨大な収納力は、とても強力なマグネットによって支えられています。そりゃそうですよね、カバンの中や持ち運んでいるときにパカッと開いてしまったら大変です。
なので、本当にしっかりガッチリくっついているんです。
私の力では、マグネットホック周りや下部のベロを摘まんで引っ張り開けることはできませんでした。

でも、何度か開閉しているうちに、すぐに解決策が見つかりました。
ベロの、ふたに縫いつけてある部分とマグネットホックの間に指を1本差し入れて引っ張れば、(多少の力は要りますが)圧倒的に楽に外れたのです。


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強力なマグネットホックは、ベロの中央に指を差し入れて引っ張ると開けやすい



ふたの縁にはしっかりした枠が入っていて、型くずれを防ぐとともにふたの開閉を安定させています。これを開けるのもちょっと力が要りますが、慣れればさほど気になりません。あと、たくさん収納してふたの枠が完全には重なり切らないくらいの方が、開けるのが楽です。

開けきったときにちゃんと90度の開口を保ってくれるのも嬉しいです。指をピッと伸ばして狭い奥まで差し入れるのが苦手な私にとっては、これだけきちんと開ききってくれるのは助かります。
また、取り出しやすいのにはもうひとつ理由があって、容器側面のフチが奥に向かって下がって浅くなっているんですね。開けたとき、深みがあるふた側(メッシュポケットの下部)へ中身が流れることで、本来の容器よりも広いトレーが展開されるんです。

201912namiko7.jpg容器の奥が浅く、ふたの奥が深くなっているため、開けたときにふたの深み分がトレーとしてプラスされる




ふたを閉めるときは、強力なマグネットホックがすぐにパチッとはまってくれるので、私は単に立てていたふたを下ろすだけ。つまり、閉じただけで閉まります。少々枠が重なり切らない程度の膨らみも、ガッチリ閉じきってくれますよ。
ファスナーを使わないのってこんなに楽なんだな、と実感しました。

201912namiko8.jpgふたを閉じるとき「ちょっと溢れそうかな?」と思っても、


201912namiko9.jpgふたを押さえて枠がこの程度重なれば、マグネットホックが強い力で閉めてくれる


201912namiko10.jpgこの通り。完全に枠が重なり切らなくても、マグネットホックさえきっちりハマっていれば開いてしまうことはなかった


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枠がしっかりしているため型崩れせず、たくさん詰め込んでいるのにスッキリ見える


カラー展開は、私が購入したピンクのほか、ネイビー、ブルー、バイオレット、イエローの5色。
2018年10月のニュースリリース時には「メイク用品などを入れて化粧ポーチとしても便利」と提案されていて、なるほどと思いました。私はきっと近い将来、色違いでもうひとつ買ってしまうでしょう。


取り出しやすくて、適当に放り込んでもそのままふたを閉められる。
外出先で作業するのにも、必要な文具をぜんぶひとつにまとめて持ち出せる。
クラムペンケースは、今の私にとってめちゃくちゃ頼もしい、最強のペンケースです。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」 http://nam-kid.hatenablog.com/

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