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【文具時評】透明ボディが美しい筆記具に注目!
北澤孝之(Bun2編集長)
最近、透明ボディのお手頃万年筆が相次いで発売され、人気を博している。その背景には、空前ともいえるインクブームの影響がある。透明ボディなので入れたインクの色が楽しめるし、しかも「インクをたくさん持っているから、万年筆も複数本欲しい」という場合でも、安価なのでさして懐が痛まない。
そうした透明ボディをありがたがる傾向は、どうやら万年筆だけに限らないようで、ボールペンなど他の筆記具にも広がってきているように感じる。
そこで今回は、透明軸の筆記具にスポットを当てたいと思う。筆者が所有する、1,000円前後で購入できる透明ボディの筆記具の中から、あくまでも私感ではあるが、「美しい」と感じるものをピックアップしてご紹介しよう。
カクノ 透明軸(パイロットコーポレーション)

同社は、「カクノ」よりも高額なモデルで透明ボディの万年筆を販売しているが、それらと比べても「カクノ」の透明度は高いのではと感じるほどで、その姿はとても美しい。筆者は「カクノ」にインクを吸入するための「CON-70」という大容量のコンバーターを装着し、中にはパイロットコーポレーションのボトルインク「色彩雫(いろしずく)」の「紺碧」という美しい青色のインクを入れている。
ハイエース ネオ クリア カリグラフィー(セーラー万年筆)


セーラー万年筆のコンバーターは、透明ボディでの使用を想定しているのだろう、つまみの部分に色が付いていて、インクの色に合わせられるようになっている。「ハイエース ネオ クリア カリグラフィー」は、キャップが青色だったので、キャップの色に合わせてつまみが青いコンバーターを選んだが、インク色は違う色にした。ちなみにこのインクは、静岡・富士宮の文具店「文具の蔵Rihei」のオリジナルインク「宮洋墨(みやいんき)」の「富士宮やきそばオレンジ」である。
プレピー クリスタル(プラチナ万年筆)

その透明版が「プレピー クリスタル」(税抜400円)。従来の「プレピー」は、付属のカートリッジインクに合わせた色透明のボディになっていたが、完全無色の「プレピー クリスタル」は、自分の好みの色を調合できる万年筆インク「ミクサブルインク」を入れるのに最適なボディだといえるだろう。このインクも「ミクサブルインク」で調合したもので、以前インクを作る企画を行ったとき(こちらの記事を参照)に使ったインクの残りを混ぜたもの。「リーフグリーン」8に対して、「アクアブルー」が1、うすめ液が1という割合だ。
エナージェルインフリー(ぺんてる)

透明ボディの希少性やこれまでにないインク色というのが人気の要因にあげられるが、もう一つあげるとすれば、何のインクか一目で分かるようにリフィルのパイプに色が付いているので(インクだけでは、あそこまではっきりと色は出ないだろう)、透明ボディに入れるとよく映えるということになるだろう。数百円クラスのボールペンで、あそこまで外観を愛でることができるものは今まであったのかと思うぐらいだ。
その「エナージェルインフリー」が、晴れて定番化されたのは同年11月のこと。限定品のときとはロゴの位置が異なっているようだが、価格も変わらず税抜200円である。その当時は限定色のリフィルも同時に数本買い求めたのだが、定番化により今後も入手が可能になったのは実に目出度い。
サラサクリップ マーブルカラー(ゼブラ)

しかし、2018年11月発売されたサラサの新バージョンであるこの「サラサクリップ マーブルカラー」(税抜150円、写真は「トロピカルマンゴー」)はどうだろう? 複数のカラーインクが混じり合ったこのリフィルの様は、愛でるに値するものではなかろうか。
通常のサラサだと、ラバーグリップにも色が付いているのだが、「マーブルカラー」の場合は無色透明なグリップになっている。リフィルの色を引き立たせるために、あえてそうしているのに違いないと筆者は思っている。
もちろん、マーブルカラーの筆跡だってとてもきれいなので、書いてウットリ、見てウットリのボールペンなのである。
フリクションボールスリム038(パイロットコーポレーション)

前にも書いたが、フリクションのリフィルは、「エナージェル」と同様にリフィル自体に色が付いているので、透明ボディだと映えるのである。しかも、スリムなので余計にそう感じられるのだ。
前回記事にしたときは、「フォレストグリーン」のみを購入していたが、その後「ハニーイエロー」も追加購入した。黒・赤・青といった実用的な定番色よりは、こうした“透明ボディ映え”する色の方が相応しいように思う。
モノグラフ(トンボ鉛筆)

しかし、下の写真をご覧いただけると分かると思うが、「モノグラフ」の中でも一番人気があると思われる、白・黒・青のトリコロールの“MONOカラー”のモデルは、約60%いや70%は透明ボディなのである。正面はMONOカラーをまとっているが、その裏は丸見え。いわば、風呂に入るときに、タオルで前だけ隠している人みたいなものだろうか。

万年筆やボールペンと違って、シャープペンシルには芯しか入れられないけれど、スケルトンにすることで、中のシャープメカが見られるので、ギミック好きの男子には非常に喜ばれるだろう。中の色が透けて見えるので美しいのではなく、いわば“機能美”みたいなものだろうか。
番外編・アドバンス(三菱鉛筆)

その「アドバンス」に、内部機構が見える透明ボディ(写真右)が数量限定で発売されたのは、今からちょうど1年前の2018年3月のことで、発売して瞬く間に品切れとなってしまった。筆者は残念ながら入手し損なったので、今回は番外編として、当時の記事に掲載した写真と一緒にご紹介した。ぜひとも、また発売してほしいと強く願っている。
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