1. 連載企画
  2. 文房具百年
  3. 【連載】文房具百年 #54「イベント参加のお知らせと報告(ブングテン30・文具マーケット)」

【連載】文房具百年 #54「イベント参加のお知らせと報告(ブングテン30・文具マーケット)」

たいみち

イベント復活のきざし

 3年間にわたって生活をすっかり変えられたコロナが、いよいよ5月からインフルエンザなどと同等の5類に変更になる。先行してマスクの着用も個人の判断になるなど、コロナ禍前の生活に戻りつつある。文房具関係のイベントも新しく開催されるものや、お休みやオンライン開催だったイベントが復活してきている。
 今回は、4月に開催のイベントに出展するのでそのお知らせと、前回の最後で出店のお知らせをした「文具マーケット」のご報告をさせていただく。
 みなさんも、この春は文房具のイベントに足を運んでみてはいかがだろうか。

文房具イベント「ブングテン」

 2010年から東京・豊島区の雑司ヶ谷で開催されていた「ブングテン」というイベントがある。2020年9月には、10周年&第30回を開催する予定だったが、コロナで3年間開催が止まってしまった。私は第1回から参加しており、この「文房具百年」の連載を始めてからは、連載で紹介した内容と連動した展示を行っていた。
 このイベントが帰ってくる。3年越しの第30回目の開催だ。この記念すべきブングテン30で展示するものは実はかなり前から決めていた。
 卓上タイプの鉛筆削り。
 ブングテンでハンディタイプ小さな鉛筆削りは展示したことがあるが、卓上タイプの展示はこれまでなかった。この連載でも2回ほど紹介させていただいたユニークな鉛筆削りを展示しようと思う。※1

202303taimichi1.jpg

 この写真は、2020年4月に掲載した「手洗い動画と100年前の鉛筆削り器」の時のものだ。前列中央の黄色い「Chicago」のロゴの鉛筆削り以外は、一見鉛筆削りであるかがわからない変わった形をしている。1900年前後のまだ鉛筆削りの形が定まっていなかった頃の試行錯誤のたまものだ。

 この写真に写っているもののほかにも、この連載で紹介した鉛筆削りを展示予定だ。

202303taimichi2.jpg*Jupiter Pencil Pointer(Jupiter1)、特許登録1897年



202303taimichi3.jpg

*Peerless Whitter Style B、特許登録1910年



202303taimichi4.jpg

*Handy Pencil Sharpener、特許登録1905年




202303taimichi5.jpg

*Webster Pencil Sharpener1897-1910年頃



 また、連載で紹介したことはないが、割と最近入手した鉛筆削りもある。

202303taimichi6.jpg

*Monkwell Pencil Sharpener、1939年、ハンガリー



202303taimichi7.jpg

*Pencil Sharpener(Mayo & Co.)、1900-1910頃



 鉛筆削りの歴史を表現できる程のラインナップではないが、現在日本で見ることができるこの時代の鉛筆削りのコレクションとしては、かなりいい線行っていると思っている。大きさや質感などは、写真や動画ではなかなか伝わりにくいものなので、直接見てもらいたいと思うのだ。

 東京開催、且つ1日のみのイベントなので、ご覧いただける方は限られてしまうと思うが、都合が合えば是非お越しください。

■概要
イベント名:ブングテン30
開催日時: 2023年4月16日(日)11:00~16:00
イベント内容:文房具に関する展示、ワークショップ、コミュニケーションなど
場所:雑司ヶ谷公園 丘の上テラス
    東京都豊島区雑司が谷2丁目12-1
交通:東京メトロ 副都心線「雑司ヶ谷」、都営さくらトラム(都電荒川線)「鬼子母神前」からから徒歩8分
詳細:http://bunguten.jugem.jp/?eid=150

第2回文具マーケット

 前回のこの連載の最後でお知らせした「第2回文具マーケット」に予定通り出展した。※2文房具の販売がメインのイベントで、他にワークショップや展示、文房具を使ったゲームなどの出展もあった。
 私は古文房具を販売。まとめ買いや何度も購入してしまったもの、以前は集めていたが、コレクションの範囲を見直して手放すことに決めたものなどを譲ることにした。

202303taimichi8.jpg

*文具マーケット出展内容紹介画像



 実用性がほぼない古い文房具を買ってくれる方がどれだけいるのかわからないが、立ち寄ってくださった方が、「なんだこれ?」「こんなの買う人いるの?」と思うような癖のあるものを並べて、面白がってもらえればいいかなと思った。久しぶりの対面イベントを、自分が楽しかったと思えるものを並べようと思ったのだ。

 そして用意したものの一部はこんな感じだ。

 ペリカンのマークがエンボスされている画鋲の4個セット。これはペリカンのマークがヒナ2羽時代のものだが、ヒナ4羽時代のものも用意した。

202303taimichi9.jpg



 羽ペンを作る道具で作ったガチョウとカラスのリアル羽ペン。一般的にはガチョウの羽が多いが、カラスの羽ペンは硬さがあっているのか製図用によく使われたらしい。

202303taimichi10.jpg



 大正時代のホッチキスのムカデ型の針。ホッチキスは持って行かず、針だけ持って行ってみたが、針を探している人は(少なくとも当日は)いなかったようで、残ってしまった。次回はホッチキスとセットで出してみよう。

202303taimichi11.jpg



 そのほか、ガリ版用の原紙で地図の絵柄ものや、石板と石筆のセット、タイピスト用のファイル、古い鉛筆や消しゴムなどなど。

 セッティング完了時の写真を1枚だけ撮ってあったが、こんな感じだ。
 そうそう、かなり前に古文房具の展示をした際の図録(写真右下に写っている)を出してみたら、意外とすぐ売れてしまった。ありがたい。次回も持っていこう。

202303taimichi12.jpg



 写真中央あたりに写っている女性の人形のようなものは、セルロイド製の女性の形の繰り出し式シャープペンシルで、日本からアメリカへの輸出品だ。実は彼女は服を着ていないのだが、文具マーケットで販売するものの規定に「R18や公序良俗に反するものは不可」とあったので、その規定に引っかかってはいけないと、急遽服を着せてみた。こんな細かい苦労?工夫?に個人的にはちょっとした達成感を感じる。

 そしてこれらの古文房具は、大変多くの方に手に取っていただき、予想をはるかに超える数の古文房具が私の元から旅立っていった。中には、買っていただく際に補足説明を伝えようと思っていたものもあったが、大体が気づいたら無くなっていた。(一応そういうものは、簡単に説明をつけておいたので、セーフであろう。)
 それに、今まで自分が存じ上げなかった「古文房具を好きな方」が何名も来てくださって、新たな仲間ができたようでうれしかった。とにかくいろいろなことに感謝である。

 第3回文具マーケットは、秋に開催されるようなので、面白いものを自宅コレクションから掘り出して、また参加したいと思う。

202303taimichi13.jpg

*屋号は「消しゴム屋たいみち」。10年以上前に物販のイベントに出たことがあり、その時につけた屋号とその時に作った消しゴムハンコを引っ張り出してきた。



202303taimichi14.jpg

*当日机に敷くものやサービス袋などは実際の文房具店で使われていたものを用意した。なかなか使う機会がないので、こういうことをするのも楽しい。(三菱鉛筆の風呂敷は使うところがなく、使用しなかった。)



※1「文房具百年」過去の卓上鉛筆削りの記事
 #24「手洗い動画と100年前の鉛筆削り器」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/taimichi/011478/
#36「卓上タイプ鉛筆削り第2弾」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/taimichi/013781/

※2 文具マーケット(第2回)概要 
http://www.small-light.com/bungu/
開催日/2023年2月25日(土) 10時30分~16時(入場受付は15時30分まで)
入場料/500円(ブース紹介パンフレット付/小学生以下無料)
会場/五反田TOCビル(東京卸売りセンター)ホールH
出店名:消しゴム屋たいみち

プロフィール

たいみち
古文房具コレクター。明治から昭和の廃番・輸入製品を中心に、鉛筆・消しゴム・ホッチキス・画鋲・クレヨンなど、幅広い種類の文房具を蒐集。
展示、イベントでコレクションを公開するほか、テレビ・ラジオ・各種メディア出演を通して古文房具の魅力を伝えている。
著書「古き良きアンティーク文房具の世界」誠文堂新光社
『古き良きアンティーク文房具の世界』をAmazonでチェック

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう