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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.58新春スペシャル ブング・ジャムの2022年文具大予測!?(その3)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は「新春スペシャル」として3日連続で、ブング・ジャムのみなさんに「2022年の文具はこうなる!」という予測を語ってもらいました。

第2回目はきだてさんの2022年予測です。

写真右からきだてさん、他故さん、高畑編集長*2021年11月9日撮影
*鼎談は2021年12月5日にリモートで行われました。

ニューノーマルに慣れた僕らの欲求

きだてさん.jpg

――最後はきだてさんですね。

【きだて】えーとね、今年は「ニューノーマルに慣れた僕らの欲求」というのが、文房具のテーマになってくるんじゃないのかなと。

【高畑】う~む。

【きだて】前回のベストバイのときにも言っていた話だけどね。去年まではWeb会議で右往左往するだけだったんだけど、そろそろ文句を言えるぐらいまでになってきたんですよ。みんなちゃんと手慣れてきて。

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きだてさんが2021年ベストバイにあげた「BIZRACK(ビズラック) スライドボード付きノートPCスタンド」(コクヨ)


【他故】ああ。

【きだて】それこそ、「サーバー遅いよね」とか、「このマイクじゃダメだよね」とか、このニューノーマルの状況に対して不平不満が言えるぐらいまでにみんなが適応してきたと。順番としては、適応したら、その後に出てくるのが不平不満なんですよ。

【他故】うん。

【きだて】ただ右往左往している状況だと、不平不満を言うこともできないんですよ。それが馴染んでしまえば、愚痴や文句も言えるようになる。すると、そういうのをメーカーが汲み上げていくでしょ。実際、去年のうちにメーカーさんはかなり研究したんじゃないですか。それこそ、メーカーの人たちだって在宅ワークを結構していたわけで。

【他故】うん、そうだね。

【きだて】色々とネタは貯まってると思うので、今年1年はそれをブワッと解決していくターンが来るだろうというのが、僕の予想。

【高畑】ふむ。

【きだて】筆記具一つ取っても、オフィスで使いたいものと、家で使いたいものは違ったりするかもしれないし。あとノートもそうだよね。例えば、キーボードの手前に置ける細長いノートがいくつも出てきたり。自宅の狭いワークスペースに適合したものが色々と出てきたと。次は、家でも会社でも同じように使えるものとか、そういう方向に行くのかもしれないし。何だかんだで、みんなしぶとくニューノーマルに合わせていくんじゃないかと思ってるんだけどね。

【高畑】うん。

【きだて】具体的に何が出るかは分からないんだけど、前回のノートPCスタンドもそうだけど、Web会議がもっとやりやすくなるツールは出てくるだろうし。

【他故】そうだね。

【きだて】それは、DXとはまた違うアナログな対応策というか。

【他故】ああ~。

【高畑】明らかに「ビデオ会議はまだダメだろう」という感じはするんだよね。色々と足りない気はするんだよ。それはもちろん、デジタル側も足りないと思うけど、アナログな環境もそうだし、これで今までやっていた会議の代用が全部できたかというと、色々とできていないし、せっかくネットでつながるんだからもうちょっとできてもよさそうなのにとすごい思うので。何かまだあるよね。

【きだて】とはいっても、ビデオ会議のシステムは、まだ当分は完璧な状態にアップデートはできないでしょ。

【他故】まあね、そうだね。

【きだて】だとすると、何かアナログ的な、ある意味無理矢理な手法で便利にするものを考えたりとかしてくるんじゃないかと思うけどね。以前「ビデオ会議にはB6のホワイトボードがいいよ」と言ったけど、そういうビデオ会議特化型のものもいろいろ出てきそうだし。

【高畑】うん。

【きだて】ただ、フリーランスで在宅ワークを長らくやってきた俺なので、今みんなどこに不平不満を感じているのかがピンとこないんだよね。

【他故】ああ、在宅ワークに慣れてしまっているということもあってね。

【きだて】俺は、すでに慣れ切っちゃってるから。だから、新鮮な人たちにガッツリ聞きたいところではあるんだけどね。

【他故】そうだよね、聞きたいよね。それは分かるな。

【きだて】そいうのを聞いておくと、今年の予測がしやすいんだけど、他故さんは何か不平不満はなかったのかな?

【他故】不平不満ねえ。うちの場合は、テレワークの時期は終わってしまったので、もうやってない企業になるんだけど、やってた時期は、不平不満というよりも持って帰れる仕事と、持って帰れない仕事があることに気を取られてて、それって物で解決しないんだよね。

【きだて】そうだね。それはDXさんに何とかしてもらいなさいよという話だね

【他故】そう、DX側の悩みの方が大きかったよね。うちが余所と違うのは、文房具的な悩みは解決してしまうので(笑)。前に、「会社でホワイトボードを使ってたのに、家では使えないから不便ですよね」という話を聞いたんだけど、持ってない人の方が多いんだなという事に改めて気が付いたわけですよ。横にホワイトボードシートを貼っている人間はほぼいないという(笑)。

【きだて】他故さんに聞いたのは間違いだったなということが分かってきたよ。勝手に解決する人だわ(笑)。

【他故】そう。解決する方法を知ってるので(笑)。

【きだて】そうな(笑)。

【他故】もっと一般の人に話を聞いた方がいいのではないか。

――ホワイトボードという話が出ましたけど、「2021年Bun2大賞」の1位がホワイトボードノートになったというのも、それに通じる話なんでしょうかね。

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「2021Bun2大賞」1位のホワイトボードノート「Write White」(学研ステイフル)はオンライン会議でも活躍


【他故】そうだと思いますよ。

【高畑】「在宅で」と言われたときに、多くの人は家に事務用の机とイスが無かったわけだよ。

【他故】今でも無いよ。

【高畑】今も食卓でやってますとか。それで、ダイニングのイスだと腰が痛くなっちゃうから、新しいイスを買おうと思ってますという人が割かし多いわけだよね。

【きだて】ねえ。

【高畑】「机を置く場所がないよ」とか「ワンルームで後ろはベッドだよ」みたいな人があ当たり前のようにいるわけじゃないの。そこからの話にはなるけど。でも、何とかなるところまでは揃えたはずなんだよ。きだてさんが言うように。

【他故】まあ、そうだね。

【高畑】「とにかく、会議に出ろ」というところまでは何とかしたけど、でも「もうちょっとマシにしたいよね」という欲求は、相当フラストレーションが溜まってる状態だよね。

【きだて】例えば、ホワイトボードなんかでも、恐らくノート型のホワイトボードでも、まだ完全な解決策ではないじゃない。例えば、ホワイトボードとWebカメラが一体化してて、別アカウントで入れる装置とかさ。そういうところまで行くかもしれないし。

【他故】うん。

【きだて】何かね、どうなるやら全然分からないんだけど、アナログで解決できることはまだありそうだな。

【他故】そうだね。

【きだて】俺もまだピンときてないので、話が弾まなくて申し訳ないんだけど。

【他故】いやいや、とんでもない。

【高畑】でも確かに、ニューノーマルがテーマになることは間違いなさそうだよね。事態は多少なりとも落ち着いてくると思うんだけど、大分色々と変わっちゃったものね。だって、オフィスも半分にしちゃった会社とかあるじゃん。

【他故】あるね。

【高畑】戻る場所がない会社とかあるわけで。

【きだて】ねえ。

【高畑】在宅でずっとやれということもあるから、そういうところは今後どうするよというと、自分で何とかするしかないからな。色々と足りないところを穴埋めする道具は必要だよね。

【きだて】恐らく、今後元に戻していく上での不平不満というのも出るじゃない。オフィス戻りたいけど半分しかないって文具王が言ってたけど、その辺でどんどん摩擦が増えていくはずなんだよね。そこをどこまで解決していくのやら、放っておいて進めていくのか分からないけどさ。

――そこは何とも言えない感じがしますね。

【きだて】コロナのお陰でいろんなものが変わっちゃったなというのが、今も実感できるので。

――そうですね。在宅ワークが今後も続くかどうかわ分からないですが、Web会議は今後もありそうじゃないですか。

【高畑】あるよね。

――そいうところの便利さに気付いたのってありません?

【他故】ありますよね。

【きだて】味をしめたから今後も続くと思うけど、まだ改良点はあるよね。

【高畑】そもそも、この鼎談が変わったものね。

――リモートでやってますからね。

【きだて】これに関しては、早く集合したいんですけど。

――この間は「ブング・ジャムの文具放談」で久しぶりに集合しましたけどね。

【他故】この間久しぶりに会いましたね。

【高畑】久しぶりに行く会社に持っていく道具が変わったりするものね。

【きだて】そういうときは、会社に文房具を置きっぱにできないとかあるじゃないですか。

【高畑】そうだろうね。

【他故】そもそもフリーアドレスになっていて、自分のものを置く場所は決められているということもあるかもしれないし。ロッカーに入れておけとなると、物は少なくせざるを得ないし、メインの筆記具を会社に置いておけないとなると、持ち歩くしかないし。変わってくよね。

【きだて】それこそ、仕事の資料的な紙類は、職場と家を何往復もしないといけなくなるはずで。そう考えると、紙の輸送が便利になるファイルだのカバンだのがもっと出てくるかもしれないし。

――いつも書類を持ち歩かないといけないので、カバンが重くてしょうがないですよ。

【他故】そうですよね。

【高畑】この間参加したイベントで、大学生が「ノートパソコンとタブレットとペンシル、多分Appleペンシルのことだと思うんだけど、それがあれば学校へ行けるじゃないですか」と話してたんだけど(苦笑)。

【きだて】え、マジで!?

【高畑】別の学生も「高校生の途中から筆記具を買ってなくて」と話していたんだけど、「手で書くって案外いいですね。ペンで書く良さを発見しました」ということを言っていて、「発見」なのかと(苦笑)。そういう時代になってくるのかと思うと、今後の在り方がね。

【きだて】まあね。

【高畑】まあ、何か出てきてほしいというのはあるよね。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2020年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。

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