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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.57 ブング・ジャムの2021年ベストバイ文具はコレだ!(その2)
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。
今回は、ブング・ジャムのみなさんに2021年のベストバイ文具を紹介してもらいました。
第2回目は、きだてさんのベストバイ文具「ビズラック スライドボード付きノートPCスタンド」(コクヨ)です。
(写真右からきだてさん、他故さん、高畑編集長)*2021年11月9日撮影
*鼎談は2021年12月5日にリモートで行われました。
コレのおかげで仕事がラクになりました!
「BIZRACK(ビズラック) スライドボード付きノートPCスタンド」(コクヨ)
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――次はきだてさんですね。
【きだて】コクヨの「ビズラック」シリーズの「スライドボード付きノートPCスタンド」です。ベストバイというか、買ってよかった、買って一番助けられた文房具は何かなと考えたら、「カイコーンPRO」とこれだったという。
【高畑】高さを上げて腰痛に効くやつはいつだったっけ?
【きだて】あれも今年だよ。カウネットの「パタスタ」ね。
【他故】6月17日発売だね。
――「月刊ブング・ジャム」で紹介してましたよね(記事はこちら)。
【きだて】そういや、あのときも「カイコーンPRO」とどっちかで悩んだっけか。
【高畑】毎回、僅差で負けている「カイコーンPRO」が気の毒に感じるんだけど(笑)。
【きだて】逆に、それだけ「カイコーンPRO」が好きってことでもあるんだけど。とはいえ、今年の俺はとにかく腰痛との闘いの日々でさ。後半はとにかくこのPCスタンドに助けられたなと。
【高畑】腰痛と闘う(笑)。
【きだて】で、腰痛をかばうことで背中全体までヒドいことになって。わりと喫茶店で原稿を書くことが多いんだけど、喫茶店の低いテーブルにノートPCを置いて仕事するのって、とにかく腰と背中に悪い。
【他故】うん。
【きだて】低いテーブルでノートPCを使うと、肩甲骨がギュッと持ち上がって、肩がすぼまった状態でキーを打たないといけなくなる。これがまず背中につらい。あと、視点を下げようとして首も曲がるし、猫背になるので腰にも負担がでかい。
【高畑】なるほど。
【きだて】なので、今までにもノートPCスタンドの良さげなものはずっと探してはいたのね。ただ、PCスタンド単機能ではつまんないなというのもあり。どうせ選ぶんだったら、記事化しやすいものの方がいいじゃない。ライターの貧乏性ですけども。
【他故】機能がちょっと変わったやつとかね。
【きだて】そういうのもあって色々と探した結果、コクヨの展示会でこれを見つけて。取り寄せて使ってみたら、これが非常に良かった。
【他故】なるほど。
【きだて】実際に使ってみると、肩甲骨まわりはすごく楽になるし、猫背解消にも効く。
【高畑】なるほどね。
【きだて】で、さらにノートPCスタンドの下からスライドボードを出すと、キーボードが机になるという機能があるでしょ。
【他故】はい、そうだね。
【きだて】去年、今年と新製品の発表会はオンラインが多かったんですよ。
【高畑】オンライン多かったね。
【きだて】まさに喫茶店で原稿を書く合間にそういうオンライン発表会を見る機会もかなりあったんだけど、喫茶店のテーブルって、ノートPCを出したらもうあとはメモ帳とか広げるスペースはないのね。
【他故】そうだね。机ちっちゃいよね。
【きだて】かといって、じゃあキーボード入力でメモとりながら発表会を見るのは、集中力を殺がれるじゃない。
【高畑】それって、「PCでメモを取ればいい」ってツッコミが入ったりするけど、それは違うからね。キーボードカチャカチャするというのもあるんだけど、画面がみんなの顔で埋め尽くされるわけじゃん。相手の顔とか共有されている資料が画面いっぱい表示されているのに、そこに別ウィンドウをかぶせて文字を打つというのは、実際的にやりづらいよね。
【きだて】やりづらい。エディターのウィンドウを細長く出してとか工夫はしてたんだけど、結局のところ手書きメモの簡便さには絶対に勝てない。
【高畑】それはあるよね。
【きだて】だから、結局はヒザの上にノート置いて書く、みたいなひどい状況だったんだよ。ところが、この「ビズラック」のノートPCスタンドを導入すると、それがきれいに解決しちゃった。
【高畑】なるほどね。
【きだて】キーボードの上でメモを取れるの、すっごいいいよ。姿勢もラクだし。
――キーボードの上に置いても反応しないんですか?
【きだて】スライドボードの端っこに、小さいゴムのパッドみたいなのが付けられるので、これを付けるとほぼほぼ反応しなくなります。
【他故】ああ、浮くんだ。
【高畑】僕は随分前から、「キーボードルーフ」っていって、キーボードの上に乗っける板を持ってるんですよ。
【きだて】君は、本当に何とかキャンセラーが好きだな(笑)。
【高畑】そうなんだよ。僕はスタンドは持ってないんだけど、新幹線なんかで移動するときに、PCはPCで開いているんだけど、別にメモをとったりとかするので。それで、バード電子というところが作っている「キーボードルーフ」というのを使っているんだけどね。最近のリモート会議でいうと、高さが必要じゃん。カメラの高さの問題があるじゃん。
【きだて】うん。
【高畑】きだてさんも前に言ってたじゃない。「カメラの高さを上げないと、鼻の穴しか見えない」って。
【きだて】そう。鼻おっぴろげてずっと映り続けるのはつらいじゃない。
【他故】ああ、嫌だね。
【きだて】だから、PCスタンドでカメラ位置が持ち上がるのも、大きなポイントだよね。ただこの製品、机になるのはいいけど、PCスタンドそもそもの機能がややチープなのが惜しいな。
【高畑】ああ、本当?
【きだて】15°と25°に角度を変えられるんだけど、15°モードにするとキータイプするときに結構左右に揺れるの。剛性がないというか。
【高畑】ああそう。
【きだて】25°までいくと全体が固まってカチッと留まってくれるから、今はひとまず25°限定で使ってるんだけどね。税込4,950円で安くはないんだけど、もうちょっと上がってもいいから剛性の高いバージョン出してくれないかな、とは思った。
【他故】どうなんだろう。重くなっちゃったりするんじゃない?
【きだて】重さは、ノートPCと一緒に持ち運ぶんなら、まあまあ気にならないくらい。
【他故】そんなもんか。
【きだて】軽々ではないけども、400gちょいかな。
【高畑】まあ、持って行けなくはないよというとこだね。
【きだて】なので、持って行けるので、それこそノートPCとずっと一緒みたいなセット持ちができるので、それでいいかなという感じだね。
【高畑】じゃあ、リアルに仕事で助けてもらった感のあるアイテムだね。
【きだて】そうそう。とりあえず、これのお陰で猫背は大分ましになりました。
【他故】効いてるね(笑)。
【きだて】だって、体をギュッと縮めてキーボード打ってたから。
――角度が上がるだけで全然違うんですね。
【きだて】キーボードに角度がつくと、ひじが下に降りるんですよ。なので、肩甲骨が楽になる。
【他故】はいはい、そういうことね。
【きだて】ひじを下げて打てるというのはすごく楽。なので、自然といい姿勢になって。最近、整骨院で「足を組むな」というのと、「骨盤を立てて座れ」というのを言われてるんだけど、その姿勢もこのノートPCスタンドを使うとやりやすい。
――コクヨはオフィス家具で、角度を上げられるワークデスクを販売してますよね。角度をあげてPC作業をすることで、肩から腰への負担が減ると言ってましたから。
【きだて】試してみると、こんなに差が出るのかと思うくらい出ます。
【高畑】うむ。
【きだて】なので、ベストバイというか、「ベスト助けられたで賞」というか。
【高畑】少なくとも、個人的にはベストバイだよね。
【きだて】ノートPCスタンドとしては、まだまだ満足がいってないので、「ベストはちょっとまだなんだけど」という微妙さも残りつつなんだけど。
――25°だと角度がつき過ぎなんですか?
【きだて】うーん、そこまでじゃないんだけど、俺はどっちかというと15°で打ちたい。
【他故】そこは改良を求むところだね。
【きだて】Web会議のときは25°でいいんだ。それぐらい上げないと。もちろん机の高さにもよるんだけど。俺がいつも行っているルノアールだと、画角的には25°でちょうどいい。
【高畑】ボードの出し入れの使い勝手はどうなの?
【きだて】使い始めはちょっと硬かったけど、しばらく使ってるとスルッと出るようになるので、その辺は全然快適。
【高畑】あと、ボードの上での書き心地はどう?
【きだて】違和感というほどのものはないよ。硬さ的には、カッターマットの上で文字を書く感じに近いかな。
【高畑】なるほどね。それは悪くないんじゃないの。
【きだて】ボードにはそこそこの剛性があるので、なんの不安もなく書けます。
【他故】ふむ。
【きだて】そこが良いだけに、ノートPCスタンドとしてのチープさが逆に気になっちゃうのが惜しい。
【他故】まあ、そういうのは言い続ければ改良されるんじゃないのかね。
【きだて】売れて改良されてほしいね。
【他故】そこはプッシュしていかないと。
【きだて】売れてほしいので、今はあっちこっちでおすすめしてます。
【他故】ははは(笑)。
――今、こういう商品は需要がありますからね。
【きだて】この1年で、Web会議での仕様が固まってきたというか。去年は流されるままになんとなくZoomとかTeamsをやってたんだけど、今年1年でみんな大分Web会議のノウハウをつかんだような気がするのね。
【他故】分かるよ。
【きだて】環境光だけじゃなくてビデオライトを併用している人もわりと見かけるようになりましたし。Web会議してて、あの人が一人だけ何か映りがいいな?みたいな(笑)。
【他故】ははは、上級者が(笑)。
【高畑】かくいう我々の打ち合わせだって変わったものね。
【きだて】そうね。で、たとえコロナが終わったとしても、このWeb会議という風習はこのまま廃れないでしょ。
【高畑】もう戻れないでしょう。もちろん、集まるのもあると思うけど、一定数はこれで充分という会議もあるものね。だから、増えるよね。地方の人でも参加できるしね。多分、今後増えていくからこそ、この製品はまだブラッシュアップするところがあるんじゃないの。
【きだて】あると思うよ。
【高畑】それこそ持ち運びもそうだし、きだてさんの言う安定性もそうだし、いろんな面でまだまだ工夫できそうなきがするけどね。
【きだて】それこそ、この1年で仕様が固まってきて、Web会議に対する不満とか、「こういうものがあったら便利なのに」とか、そうい意見が徐々にメーカーの方に貯まってきていると思うんだ。なので、来年はWeb会議が面白くなるツールがあれこれ出てくると予測しています。
*次回は他故さんのベストバイ文具「ジュースアップ3/ジュースアップ4」を紹介します。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2020年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。
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