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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.34 新春スペシャル ブング・ジャムの2020年文具大予測!? その1

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は「新春スペシャル」として3日連続で、ブング・ジャムのみなさんに「2020年の文具はこうなる!」という予測を語ってもらいました。

第1回目は高畑編集長です。

写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん

色物文具

文具王.jpg

(一同)あけましておめでとうございます。

――新年最初の「月刊ブング・ジャム」は、毎年恒例となりましたが、「2020年の文具はどうなる?」をテーマにお話を伺いたいと思います。個人的な抱負でもいいですよ。まずは、高畑編集長お願いします。

【高畑】今年は「色物文具」って書いたんですけど、きだてさんの言う“イロモノ文具”ではなくて、カラー文具です。2019年も色でスタートしてるんですけど、2020年にかけて色を巡っていろんなものが段々変わってきているかなという感じがして。

――はい。

【高畑】2019年の最初は何だったかというと、カラーペンがどんどん出てきたというのがある。それは、スタディプランナーやバレットジャーナルが出てきたことで、そこにカラーサインペンを使うからなんだけど、そのサインペンの色味に関しても、ゼブラの「マイルドライナー」が牽引していたこともあって、ちょっとマイルドな色がね。今までの基本12色とは違う色を出してきてたじゃない。

【他故】はいはい。

【高畑】そういうのが、筆記具のインクの色として出ていた部分から、段々と製品そのものの色に波及してきている。2019年に出ていた商品で、特に後半に目立っていたのが、いろんな商品の限定色が出ていたということ。

【きだて】そうだね。特徴的なカラーの製品がけっこう出てたね。

【高畑】出ていた限定色は、青緑と紫が多いのさ。今までの虹の7色みたいな話ではなくて、色としては中間色で、アンニュイな色が出てきたりとか。

【きだて】2019年の秋冬カラーは、ベイクドカラーみたいな、要はちょっと濁ったような色味で。

【高畑】濁ったようなシックな色だよね。そういうので、色が変わってきているというのが一つあって、各社色を推してきている商品が出てきている。例えば、「ブレン」の限定色もそうだし、「レトリコ」もそうだし、本体の色ではそういうのが出てきていて、戦略的に扱うようになってきている。

【きだて】戦略的っていうと、例えば?

【高畑】それはね、KOKUYO ME(コクヨミー)みたいなもの。今までのカラー文具というのは、何かしらの色の流行があったわけですよ。一番分かりやすい例でいうと、iMacが流行ったときのスケルトンカラーみたいに、メーカーが違えどみんな同じ色で揃えられるんだけど、今の各メーカーの色はバラバラなんだよね。「KOKUYO ME」も、今までだったら絶対出していないようなキツい色も多いんだけど、何でそうなっているかというと、多分その色で全部揃えるという発想ではないんだよね。

【きだて】単色で揃えるというわけではなくて。

【高畑】要は、他のものとコーディネートする。文具の中でコーディネートするのはもちろんだけど、コクヨが言っているのは、それを越えてファッションなんかと合わせてコーディネートしていくという考え方で色を打ち出してきている。そのために、文具はどんな色であるべきかというのを考えてきているので、文具単体でみると結構きつい色なんだけど、環境の中に置いてみると、上手く調和することを考えている。

【きだて】インスタ映えとかで、ファンシーな色とかポップな色のものが出てたけど、ライフスタイルを切りとる意味でのインスタ映えでは、これが映えるということだね。

【高畑】そうだね。かつてのカラー文具よりも、高度なことを要求されているというか、違う色でありながら、トーンを揃えたりして、上手く調和をとるみたいなことが必要になってきている。

【きだて】色の調和をとるのって、すごい知識が要って、普通は素人だったらできないんだよね。

【他故】難しいよね。

【高畑】やり慣れていないと、「これで正しいのかな?」ってなるからね。自信が持てるようにならないと、なかなかそれはできない。

【きだて】昔、雑誌の表3広告かなんかで、カラーコーディネート検定の広告が載ってたじゃん。

【他故】うん、あったね。

【きだて】あんなのは初歩の初歩で、ちゃんとやろうとすると、すごく難しい。

【高畑】普段僕らも、黒とかグレーのモノトーンの服ならば、それなりに着れてしまうんだけど、ちょっとカラーの服で、上下違う色をコーディネートするとなると、結構難易度が高い。

【他故】それは難しいよ。

【きだて】俺は柄物とか派手な色のシャツを好んで着がちだから、実はこう見えて、毎日わりと鏡の前で考えてますよ。

【他故】そうだよね。「この柄とこの柄はどう?」とか思うよね。

【高畑】それが、普通の人に急に「やれ」と言われてもできないので、じゃあコクヨはどうしているかというと、「うちの商品は、この中から選んでくれたら、どの色を選んでも大体うまくまとまりますよ」という提案なんだよ。しかも、今流行のこういうライフスタイルの中だったら、その中に入れても浮きませんよという提案だと思うので。要は、コーディネートのことはよく分からないけれども、この中から好きなものを選ぶと外すことはないよという、組み合わせまで提案している。

【他故】うん。

【高畑】それはある意味、コクヨがお客さんに対して提案していることでもあるんだけど、これはお店に対しても同じであって、お店は入荷した各メーカーの商品を上手く組み合わせて売り場を作っているんだけど、昔だったら赤ならば赤の棚、青ならば青の棚を作ってあげると、勝手にそれっぽい棚ができたんだよ。でも今は、お店の人もセンスがないと、上手く並べてコーディネートして見せるというのは結構難しい。

――それ、文具店の人がこの間同じことを言ってましたよ。「難しい」って。

【高畑】各メーカーのものをお店がコーディネートするというのは、そのお店のコーディネート力が高くないといけないので、それが難しいとなったときに、多分コクヨは「うちの商品を棚ごとバーンと入れてくれたら、全部やれるよ」と。「うちはノートもペンも全部あるから、棚ごと入れてくれたら、そこは悩まなくて済むよ。うちは、ちゃんとしたカラーコーディネーターを使ってやってる」というのを、多分入れてきていると思うんだよ。ただ、一つだけ残念なのは、コクヨが全てにおいて万能ではないので。例えば筆記具が、芯の太いシャープペンだったりするわけじゃないですか。0.5㎜のシャープペンを持っていないとか、そういうところに弱さがあるかなとは思うけど、でも総合メーカーだからできる提案なんだなとは思った。

【他故】そうだね。

【高畑】それと、色のコーディネートで提案が増えてきた。商品を組み合わせるのが「KOKUYO ME」なんだけど、同じ商品で組み合わせるということで出てきたのが、スリーエムの「ポスト・イット」の新製品で21色あるカラーシステムの「強粘着マルチカラー」と、三菱鉛筆のEMOTT(エモット)の5色パック。

――はい。

【高畑】「ポスト・イット」の方は21色もあるすごい付箋を出したんだけど、それをどうやって選ぶかというと、21色バラバラに積んである中から、上手にコーディネートして買って下さいというのはほぼ絶望的なので、まずオフィスをどうしたいかというのを、「落ち着いた雰囲気にしたい」とか「活発な議論が出るような雰囲気にしたい」とかいろんなテーマに合わせて、付箋の組み合わせを変えましたよとなっている。それは、その付箋のパックを買ってくれば、そのパックにある色同士だったらケンカせずに済むし、上手くコーディネートされているように見える。

――なるほど。

【高畑】三菱鉛筆の40色ある「エモット」にしても、5個ずつセットになっているけど、それがいい感じのセットになっているので、5色だけを選んだときにちゃんと色の区別ができつつも、コーディネートできているので、これでノートを書くとそれっぽく見えますよ、というのがすごく分かりやすい提案になっている。

【きだて】うん、それは三菱鉛筆の人もそれは言ってたね。

【高畑】結局、ユーザーや店頭にないコーディネート力をメーカーが提案していく、という筋に変わりつつある。最初は、「色がかわいくなりましたよ」というペンから始まっているんだけど、そこから本体に波及して、本体の色の組み合わせが上手くできないというところを、メーカーが提案してくるようになってきた。この流れは、2020年にももうちょっと広がると思うんですよ。

【他故】そうだろうね。

【高畑】そこら辺をどう上手く売るかというのが、割と今後の戦略では重要かなと思う。

【きだて】コクヨやスリーエムのコーディネートって、ユーザーとしても「あ、この組み合わせを買えば大丈夫なんだ」的な安心感があるでしょ。一度ラクな方に流れたら、あとはもうメーカーのお任せセットに流されるままだよな。

【高畑】お店にしても、それで華やかな売り場ができるんだったら、棚1本任せようかしらとなるよね。

【他故】それはそうなるよね。

【高畑】そこは結構重要なことだと思うんですよ。なので、そこら辺は面白いかなと思います。

【他故】う~む。

【高畑】もう一つ、全然違う色の話でいくと、インク沼ね。

【きだて】インク沼のイベントもすごい人気なわけじゃない。

【高畑】そう。それでインクがどんどん増えてきたというのがあって、自分で色を作るところまで来たし。個々のインク色だと、口紅の色だけで8色とか、ジーンズの色だけで8色とか、そういう作り方をしてくるようになったので、割と行き着くところまで行っている。まあ、極論すればインクの色なんていくらでも作れちゃうので、後はストーリーを持たせないといけない、というところまで来ているし、どんな色でも好きなようにインク作れますよ、となったときに、どうやってユーザーに色を提案していくのかむずかしい局面にきている。

【他故】そうだね。

【高畑】そこら辺も含めて、色が今年のトレンドでもあるんだけど、結構悩ましい問題として、ずっと出てくるんじゃないかな。

【他故】うん。

【高畑】そういうことから、「色物文具」って書いたんだけど、きだてさんが集めているのとはまた違うイロブンということで。

――他故さんは、文具の色とか気にする方ですか?

【他故】色ですか? 自分の好きな色に偏っちゃうのが面白くなくて、普段と違った色のものを買ってみたりとか。割と雑なんですよね、買い方が。黒いものばかり買っていると、すぐになくして分からなくなっちゃうので、それで違う色のものを買ってみたりとか。

【きだて】まあ、ボールペンも基本、黒インクの軸色は黒なので、何か混じっちゃうんだよね。

【他故】細身のペンケースに、黒とか茶のペンを入れておくと、無くしちゃうんだよね。

【きだて】分かる。

【他故】「あれ、どっかへ行っちゃった」みたいな。まあ、結構落っこちていたりするんですけど。カバンの中でも見つけにくいので。

――紛れちゃうんですね。

【高畑】あるのに気が付かなかったりするよね。

【他故】そういうこともあるので、なるべく色のあるものにしようと思っているんですけど、どうしても紺とか黒とかを買っちゃうのも事実なので。

【きだて】情けない話なんだけどさ。俺、今は文房具の色を選ぶ段階で「どれが写真撮りやすいかな」って視点になっちゃう。

【高畑】それはあるよね。

【他故】商売道具だからね。

【きだて】商品写真を撮るときはだいたい白バックだから、白系じゃない方がいいかなとか。切り抜くの面倒だから、後からハイライトいじって白を飛ばしやすいのはどれかなとか、そういういじましいことばかり考えちゃって。

――薄い色は敬遠しがちなんですね。

【きだて】そうそう。文房具に関しては、カラーリングを純粋に楽しめなくなって久しいな。個人的にはオレンジ色が好きで、何か小物を買うときはオレンジ色があるかどうかをまず確認するんだけどね。文房具は…そういうの、やらなくなったなぁ。

【高畑】オレンジ色は写真映えもするんじゃないの?

【きだて】なんだけど、同系列の文具を紹介していくときに、オレンジ色ばっかりだとダメなわけよ。このペンケースはオレンジ色にしたから、こっちは黒っぽいやつとか。

【高畑】それこそコーディネートなんじゃない?

【きだて】う~ん、コーディネートといえるんだろうか。

【高畑】でも、写真映えするというのは、そのコーディネートが下手くそだと、それはそれでかっこ悪いんじゃない?

【きだて】コーディネートというよりは、エディションだよね。単なる編集作業の一部だよ。楽しむためのコーディネートとはほど遠い。

【他故】ああ、なるほどね。

【きだて】そこから解放されて、自分の持ち物は色を楽しみたいなという思いは、ずっとあるっちゃある。

【他故】たまにあるよね。「今日は白一色で揃えてみよう」と思って、自分の持っているものから白を選んでみたりとか。

【きだて】例えば、トンボ鉛筆のMONO製品買うときでも、この軸色は良いけど、結局は「トリコロールのMONOカラーの方が、写真だけ見せる場合に説得力あるしな」と思っちゃうし。

【他故】結局はMONOストライプを買っちゃうんだ。

【きだて】そりゃね、ペンケースを開いて、自分でコーディネートしたカラーのものが揃っていたら、気持ちいいと思うんだ。思うんだけど……結局のところ、ロードテスト中の、ブツ撮り前提で買ったものばかりが入ってるわけでさ。文房具好きとしては、ちょっとつまらないね。

【高畑】そこら辺の提案力になってくると、僕らはつい機能の話とかしてしまうじゃないですか。正直、こんな風になってきたというのは、機能の部分がある程度飽和状態になってきているということなんだよ。どれ買っても、機能的にはそんなに変わらないじゃんというぐらいに、使ってみて失敗するものはあんまりないよね。

【他故】うん。

【高畑】日本の有名メーカーが作っているものって、そんなに遜色があるわけじゃなくて、ということになってきたら、今注目されているものが、純粋に僕らのよく言う書き心地だったり、綴じ能力だったりという性能的なところとは違った部分。「そこは困ってないから、見た目がかっこいいからコレ」みたいなところってあるんじゃないかなと思うわけですよ。

【きだて】そこは間違いなくあるわな。

【他故】それはあるね。

【高畑】例えば、昨年は筆記具で「ブレン」が話題になったけど、あれも外観がもたらすパワーもそこそこ影響していると思うんだよ。色も結構そんな感じだったし。

【他故】デザインもカッコいいよね。

【高畑】限定色なんかは特にそうだし、そういうのを見ていくと、今の選ぶ基準は単に便利だけでは響かないというか、そうではなくて、その素敵な色感とか、組み合わせ感とか、みたいなところが結構重要になってきているんだよねという気がしていて、これはおじさん困ったぞという気はしているんだよね。

【他故】わはは(笑)。

【高畑】文房具を提案するにあたって、そこを上手にしないといけない時代になったので。

【きだて】カラーコーディネートとはまた別の話として、ピンクって今すごいよねという話があるじゃない。例えば、40色ぐらいラインアップがあるカラーペンだと、ピンクだけで5色とかさ、そういうのがあるじゃない。

【他故】ああ、あるね。

【きだて】一昔前って、ラインナップ中に女子向けでピンクを1個入れとけばいいでしょ、ぐらいだったじゃん。確かにピンク好きな女子は多いけど、でも「私の好きなピンクは、このピンクじゃない」って話も出るようになって。そうすると、ピンクだけでもコーラルピンクとかフューシャピンクとかが出てくるようになった。それは、すごくいいなと思って。

【高畑】「すごくいい」なんだ。

【きだて】だってさ、俺らが子どもの頃のランドセルだって、女子が赤で男子は黒、以上!だったのが、今や紫だの茶色だのと選べるわけじゃない。我慢せずに自分の好きな色を選んでいいって、すごく嬉しいでしょ。「女子はなんとなくピンクだろ」ではなくて、いろんなニュアンスの、例えば濃いめとか、暗めとか、白茶けたピンクとか、色々あるわけじゃない。

【高畑】でもそれが、ピンクだけ分解能が高くなっているのは何故なんだろう。

【きだて】だから、その辺はまだ「女子はピンクだろう」という前提はあるんだろうと思うんだ。

【高畑】全部で30色というのは変えられないとするじゃん。それをどう分けるかといったときに、ピンクだけ10色ありますとなるけど、ブルーはもっと細かくしなくていいのかとかさ、グリーンはこれでいいのかという話になるじゃない。

【きだて】そうそう。だから、女子=ピンクという前提からはまだ完全に脱却できてないので、そこにばかりコストが集中しちゃうだけの話じゃないのかな。

【高畑】でも、ピンクの分解能の話はよく出るよね。男の人の考える色違いの分け方と、女子の分け方では、ピンクの分解能が全然違って、ピンクの色分けをちゃんとしているとよく言われるけど。

【きだて】そうね、「君らはRGB以外の色が見えているの?」ぐらいの分解能で見ていたりするよね。「網膜の錐体4つあるの?」みたいな。

--最近、青でも微妙な色合いのものが増えてきましたよ。ブルーグレーとか。

【高畑】それは、ピンクの分解能とはまた別の話として、ど直球の色を避ける傾向にあるよね。ちょっとずらすよね。

【他故】うん、そうだよね。

【高畑】彩度をちょっと下げて、色相をちょっとだけずらすみたいな。

【きだて】まあ、目新しさの演出とかもあるんだろうけど。

【高畑】それをあからさまな色にしてしまうと、組み合わせたときにナチュラルにいかないというのはあると思う。

【きだて】そうだね。

【高畑】でも、色の扱いについては、みんな戦略的に考えている。一つは組み合わせだけど、もう一つは色選びだし。あと、名前の付け方とか、由来の話とか、そういうところで物語性を持たせたりして、ちょっとそれっぽくしてあげるのも重要。インクなんかの世界は、ここまで色の種類が増えてしまうと、差別化が全くできなくなってきているので。

【他故】インクはもうそうだよね。

【きだて】そうなると、ストーリーの部分で売るしかなくなるので。名前が面白くて、それで興味を持たせるとか。

――とりあえず、日本古来の名前を付けてみたりとか。

【他故】あとビンがかわいいとかね。段々と違う方向に持ってきている。

【高畑】今、機能で差別化が苦しくなってきているときに、全くの新製品を開発するよりも、色を作るのってさ、言ったらなんだけど、決め方だけの問題で、どんな色でも本当は作れるじゃないですか。それって、新製品を作るより導入しやすいやり方じゃないですか。今まであるものを、色をコーディネートして上手く見せるというのは。

【他故】うん。

【高畑】それって、ある意味ではコスパの高いやり方なのかもしれないけど、それが実際に今は効いているというのがあって、あれこれやっているというのはあるんだろうと思う。これから先どうなるか、というのはあるけど、今の不透明な感じからすると、今年の少なくとも前半から半ばまでは、ずっと色の話をしているんじゃないのかなという気がする。

【他故】そうだろうね。

【高畑】ここしばらくは、大きなムーブメントができにくい状況にはなっているんだよね。その中で、色が今一番訴求しやすい。

【きだて】ローコストでできるから紙もの文具が流行った、という話を、去年とか一昨年にしてたじゃない。それと同じ話だよね。

【高畑】そうそう、そういうことだよ。

【きだて】それで、今年はローコストだから色の話をするという。こういう話をしていると、景気まだ全然ダメじゃんというのはあるんだけどね(笑)。

――実際のところ、「KOKUYO ME」は店頭の動きはどうなんですかね?

【きだて】どうなんだろうね。

――割と大きなコーナーを作って展開しているお店は多いですよね。

【他故】コクヨが用意した棚が元々大きいですからね。

――あれ、結構目立つんですよね。

【他故】書店系のお店でも、小さい什器が入るようになってきていて。

――そうそう、うちの近所の本屋にも置いてありますよ。

【高畑】どうなんでしょうね。これが上手くいくかどうかとか、今後更新されていくかどうかというのは、今年色がどこまで行けるかというところなんだけど。

【他故】そうなんだよね。

【高畑】でも、さっききだてさんが言っていた、紙もの文具にしても、作りやすいところでどんどん提案していけるというのが強みだったんだけど、色替えというのも各メーカーが持っている資産を再活用するということで、やりやすい方法ではあると思う。機能の部分で、いくつかトレンドはあると思うんだけど、やっぱり全体の大きな流れとしては、色をどうするかが、まだまだ大きな問題なのかなという気はするね。

【他故】ねえ。

【高畑】というわけで、今年は色なんじゃないのかということで。

――違う「色物文具」に注目ということですね。

【きだて】つまんない(笑)!

その2に続く

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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