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【特別企画】「第9回OKB48 選抜総選挙」大感想戦 その2

本サイト編集長の高畑正幸文具王がスポンサーとなって開催している、お気に入りのボールペンを選ぶ「第9回OKB48 選抜総選挙」は、メーカーの枠を超えて選抜された48 本のボールペンの中から、“ お気に入りのボールペン” を選んで投票する画期的選挙型エンタティンメント。実際にボールペンの試し書きをして投票する「握手会」を各地で開催したほか、公式サイトでのweb投票も受け付けた。投票期間は2019年10月1日~12月31日。その集計結果は、2020年1月29日放送のTBSラジオ「アフター6ジャンクション」の番組内で発表され、既報の通り「ジェットストリーム スタンダード」の9連覇という結果となった。

そして、その結果発表イベント「第9回 OKB48選抜総選挙 大感想戦! @ GOOD DESIGN MARUNOUCHI」が2020年2月1日(土)18:00〜20:00に、東京・丸の内のGOOD DESIGN MARUNOUCHIで開催され、OKB48総合プロデューサー・古川耕氏とブング・ジャム(高畑正幸、きだてたく、他故壁氏)の3氏が、今回の結果を存分に語り尽くす「感想戦」を行っている(関連記事)。

本サイトでは、その「感想戦」の模様をノーカットで3回にわたりお伝えします。
第2回目では注目の「ブレン」を徹底解剖。 そしてOKB48に投票した方のコメントも紹介します。

第1回目はこちら

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(左から)他故さん、高畑文具王、古川さん、きだてさん

第9回OKBの主役、「ブレン」について改めて語る


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注目のブレン


【古川】そういう意味で、その変化をもたらしてくれたのが「ブレン」なわけですね。

【文具王】そういうことですね。初めて油性で票が割れたということなんです。

【古川】というわけで、今回主役に近い存在感を放ったのが、惜しくも2位になったんですけども、ゼブラの「ブレン」。

【きだて】そうなんですよ。ラジオの結果発表を聞いていて、結構寒イボが立ちましたよ。

【他故】寒イボ(笑)。

【きだて】だってさ、Web投票は2票差だよ。

【古川】Web票は、「ジェットストリーム」は1,224票で、それに対して「ブレン」は1,222票と2票差。こんなに追いつめたのは過去にないんですよ。

【きだて】ところが、握手会の票を見ると、倍以上の差が付くという。

【古川】というわけで、今回の分析ポイントの一つは「ブレンの2位をどう見るか」なんですよ。この投票のバランス。

【文具王】そうですね。

【古川】ストレートに見たら、Webでの知名度はある。インターネットで文房具の話をしている人とか、ボールペンの情報を知っている人は、「ああ、いいよね」ということで、十分に浸透している。ところが、握手会というのは、文房具ファンが集まる場所もあれば、店頭とか割と流動的な場所もあるので、実際に書いてみたら「そこまでいいとは思わなかった」という人もいたかもしれない。ということで、握手会票が思ったほど伸びなかったと見ることもできますよね。

【きだて】やっぱりね、1年目ということで、Web投票ではご祝儀票というと言い方が悪いですけど、「ああ、ブレンは聞いたことある」みたいなので入れる投票があるわけじゃないですか。だから、来年以降はWeb票が減ってしまう可能性を考えると、ジャイアントキリングの機会は今回しかなかったかもしれない。

【古川】中間発表のときだと思うんですけど、「今回ブレンがジェットを倒せなかったら、もうこの先倒せないんじゃないか」という話は出ていたんですけど。それとも、一般の店頭での知名度がまだそこまでなくて、もうちょっと時間がかかるかもしれない。

【文具王】ありがちな話なんですけど、僕ら文房具が好きじゃないですか。ここにいらっしゃるみなさんもそうだと思うんですけど。しかも、ここ東京・丸の内に集まってきているみなさんなので、比較的東京にアクセスしやすいところに居る人たちじゃないですか。ここにいる人たちが見ている世界は、東京の中のごくごく一部の、感度の高い位置だと思うんですよ。なんですけども、日本中どこでもそうかというと、そうでもなかったりするじゃないですか。

【他故】うん。

【文具王】なので、「ブレン」が知られているといったときに、どこを見て知られているのかは大きいと思うんですね。割と言われているのは、これは都市型の商品なんですよ。きちんとしたディスプレーをちゃんと置いてくれる、品揃えのいい大きな店で選んでもらうことが多いんだけど、じゃあそれが日本中どこでも買えるかとなったときに、まだまだ知られていないところがあるみたいですね。

【他故】まだ置いていない店もあるんですよね。小さい文具店だと商品が置けなかったりして、その後定番化したとしても、そういう店では扱ってなかったりするので。

【きだて】最初、やたらと大きい什器を置くのを要求されたんですよね。お店側が。

【古川】ああ、そうなんですか。

【文具王】これもデザイナーズ文具の一つなので、ブランドイメージにこだわって、そこはしっかりしていたと思うんですよ。すごい大きな什器でかっこいいんですけど、それってデザインに対してリテラシーの高い人でないと、「私の買うものが置かれている」感が弱いというか。そういうのがちょっとあるんですよね。そうじゃなくて、普通は文具屋さんに行くと、いっぱいいろんなメーカーの商品がごちゃごちゃっと入っているところにガッと入っていたりするじゃないですか。そういうところになってからの勝負というのはあるんじゃないですか。

【きだて】要は、「ブレン」の什器にテプラで色々と貼っちゃえば良かったんですね。「値段の割にかっこいい!」とか(笑)。

デザインが身に纏う「モード」、そしてメッセージとは

【文具王】そう、今回2位に入った要因の一つですけど、デザイン的な部分で「これまでにないデザインを導入してきましたよ」という、このデザインをどう捉えるかというのと、「ジェットストリーム」と同じ150円という価格ながら、この仕上がり感で出してきたというのをどう捉えるかなんですけど。どう考えても、150円で出すにはちょいオーバースペック気味なんですよ。

【古川】それは、文具王の目から見てもそうですか?

【文具王】そうです。僕すぐバラすんで。半分に切ったりしてるので。

(会場爆笑)

【古川】バラすってものすごい物騒な言い方ですね(笑)。要は分解するわけですね。

【きだて】新規パーツが多すぎるんですよ。

【古川】新規パーツというと?

【きだて】つまりはブレない「ブレンシステム」のために作られた、他のペンには無いパーツってことなんですが。

【文具王】まず、他のものに比べてパーツ数が多い。あと、組み立ての手順が他のものより面倒くさい手順になっていたりとかしてるんですね。ノック部がカチャカチャしないように、バネが1個余計に入っているでしょ。それと、後ろにいろんなパーツが入って重くなっちゃったから、軽くならないようにペン先に真鍮の重りが入っているわけですよ。前にも後ろにもいろんなものを入れて、さらにリフィルも今までのものよりブレにくい剛性の高いものを入れて、かつ軸が太いんですよ。そんなことをやっているものだから、他のボールペンに比べてコストがかかっていると思うんですよ。

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筆記時の振動を制御するため、(a) ノックして書く時に中芯の先端をホールドする部品を搭載しペン先のブレを防ぐ(b) 金属製のオモリをグリップ内部に入れ重心を下げる事で筆記のブレを防ぐ(c) ペン内部の各パーツの隙間をなくしペン内部のブレを防ぐという3つのポイントを持つ新機構「ブレンシステム」。

【きだて】俺はメーカーというか作る側との関わりは何もない素人ですけど、そこから見ても「150円は無理だ」と思った。

【他故】ねえ。最初見たとき、これは300円だと思ったけど、150円って書いてあるから「おやおや」って(笑)。

【きだて】完全に、ゼブラが「ジェットストリーム」をつぶそうと思って出してきたものなんですよ。

【古川】対「ジェットストリーム」決戦兵器だという。

【きだて】同じ価格帯で、「ジェットストリームよりかっこいいでしょ」っていう。だって、佐藤オオキ代だってタダじゃないでしょ。

【古川】そこは説明してもらっていいですか?

【きだて】ブレンのデザインって、佐藤オオキさんという世界的な工業デザイナーがやられてるんですね。同時期にはコクヨの「GLOO」シリーズもやってます。要は、そういう著名デザイナーがかっこいい文房具を作ったら、その分のデザインコストはかかります。什器も作ってもらったら、それもお金かかります、と。

【古川】什器というのは、商品が置かれる台のことですね。

【きだて】お店に設置するディスプレー台のことです。ねぇ、タダじゃねえべ(笑)。

【文具王】そうですね。文房具のデザインは、多くは社内でデザインされるんですね。それ以外だと、社外の工業デザイン事務所に頼んだりするんですけど、商品の単価が安いので、なかなか有名デザイナーに頼むのはコスト面で難しかったりするんですけど。佐藤さんがめちゃくちゃ有名な人なので。だから、これまでにないかたちにはなっているんですよ。明らかに。ノックのかたちとかパーツの継ぎ目のかたちも違うし。普通ボールペンって、ノックの部分とボディの部分をつなぐパーツが細くなっているんですが、そこの継ぎ目が見えないようになっているんですね。

【古川】僕は、じわじわと「ジェットストリーム」を少しずつ弱らせていく毒のようなものになるんじゃないか、と思っているものがあるんです。具体的に言うと、例えば、「ブレン」とか「ジュースアップ」とか「シグノRT1」なんかは、明らかにデザインのモードとして通底するところがありますよね? 

【きだて】はい、同一ラインですよね。

【古川】それで、「ジェットストリーム」は登場から13年経つボールペンなんですけど、「これは1世代前のものですよ」というのが段々顕在化していっているように思うんです。

今まで「ジェットストリーム」の外見に何とも思ってなかったような人たちが、「最近、新しいボールペンにイケてるようなデザインが増えてきたな」「あれ? ジェットストリームのデザインって実は古いのかも……?」みたいな。

【きだて】発売された瞬間から古いなとは思いましたけどね(笑)。

【文具王】でもね、「ジェットストリーム」が出た当時は、これは攻めたデザインだったんですよ。円筒に対してシンメトリックじゃないというか、ななめに切れているわけですよね。普通は、軸に対して垂直に切るんですけど、「ジェットストリーム」はななめに切るのをあえてやってきているので、当時としてはかなり攻めていたんですよ。それが2000年代のトレンドだったんですけど、それでも説明っぽい部品であったり、ロゴマークだったりがあるので。今だったらロゴは比較的隠すとか、凹凸だけで表現するとかとうなっていて、あとはできるだけフラットで、表面をぬぺーっとした感じにしていくじゃないですか。基本的にそれが2010年代のデザインの流れかなとは思うので、そこは世代差がありますよね。

【古川】世代観が際立つようなものが、ひょっとしたらこの先出てくるかもなとは思います。

【文具王】すでに新しいペンが色々と発売されていますし、今年の新しいものがすでに発表されているんですけど、展示会に行くと明らかにその流れは感じます。なので、これから発表されていくペンというのが、どんどんそうなっていく。それは、ユーザーがそういうデザインを許容するのが最近になってからだと思うんですよ。ロゴマークがほとんど見えないとか入ってないというのを、ユーザーが「それでもいい」と言うようになったのは、つい最近のことなんですね。

【古川】三菱鉛筆もそこは自覚的だろうなと思うのは、「ジェットストリーム エッジ」が──これは去年2019年12月に出たんですが──まさにそのデザインのモードが変わっているように見えるんです。今後三菱鉛筆が発売すると発表しているラインアップが、明らかにデザインのモードが切り替わっていると僕は思っています。

【きだて】2月に発売される「ユニボールワン」ですね。これも、今までの三菱のラインからすると、新しいなという雰囲気ですしね。

【文具王】その中でも、「ブレン」に関していうと、ただ新しいモードに切り替えましただけではダメで、「ジェットストリーム」に肉薄するためには、やはり初速が必要だし、注目されないといけないところがあって、クリップからボディにななめにつながっていて、中から色が見えているというあのかたちになっている。新しいものが出てきたときって、ちゃんとかたちで表現しないといけない。プリウスとかって、ハイブリッドカーが初めて出てきたときに、普通のクルマではあり得ないデザインだったんですよ。あれ変なかたちだなと思ったんだけど、ああやって新しいジャンルのクルマだと言わないと、エンジンが違っても分からないじゃないですか。

【古川】そういうようなメッセージを発しているということですね。

【文具王】そういうことだと思うんですよ。それは割と諸刃の剣で、メッセージが強すぎるが故に、「普通のものではないから、私には関係ないわ」と言って、一般に定着しないモードもあるし、上手くいけばそこが新しい普通になる。プリウスの後ろが切れているあのデザインは、今の電気自動車のデザインとしては割と普通のデザインになっちゃったじゃないですか。それになれるかどうか問題というのがあって、「ブレン」がそこまで行き着いたら、「ジェットストリーム」にとって大きな脅威だと思うんですよ。

【古川】だから、「ブレン」に関しては来年どうなるかというのが本当に楽しみだし、今後の大きな意味でいうと、ボールペン界の将来や未来に関わってくるんじゃないか。

【きだて】まあ、まだ2月になったばかりで、次のOKB48まで8カ月くらいあるので、その間に何が出てくるか分からんわけですよ。

【文具王】そう。ライバルが出てくる可能性もあるし。

「ブレン」推しのコメント紹介

【文具王】あと、ここまで言い忘れていた、ブレないという機能についてはどうですか? これも今までになかった機能なので。

【きだて】古川さんが、割と最初から“ブレン懐疑派”という立場で。

【古川】じゃあここで、投票した人が、どういう理由で「ブレン」に投票したかを見てもらいましょう。予定していた流れとは違うのですが、意見を見ながら話していくのが流れ的にはいいかなと思いますので。

【他故】全然大丈夫ですよ。

【古川】「投稿コメント紹介ショー・Web投稿編」ということで、みなさんWebで投票いただいて、その時に推薦理由も書いてもらっているんですが、まあこれが勉強になるし、このペンのどこに人気があるのか分かったりするので、それを私の方で抜粋したので、見てもらいたいと思います。

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【古川】まずは1位になった「ジェットストリーム」からいきましょうか。「ジェットストリーム」は、僕の見た中ではこういう意見が多かったというのをいくつか抜粋しているので、その中の3つを紹介します。コメント読み上げは他故さん、お願いします!(以下、コメントはすべて他故壁氏さんの読み上げ)

「総合力」(男性・55歳、東京都)
「王道ですが、私にとって『港』なペン。新製品に浮気しても最後に帰る所」(女性・53歳、東京都)

【きだて】マドロスみたいな人ですね(笑)。

「書き味が滑らかであることが安定していて絶対的に信頼できるから」(女性・34歳、宮城県 *警察官の方)

【古川】これ、注目は職業ですね。警察官の方ですから。信頼できるということの重みが全然違う。

(会場爆笑)

【他故】重いですね(笑)。

【きだて】スピード違反したら、「ジェットストリーム」で違反切符書かされるんですかね。

【古川】こういうように、「王道」とか「総合力」とか「バランス」とか、コメントとしては、何と言っていいかな、目が泳いで流れていくような、つまんないコメントが多いんですよ。

(会場爆笑)

【古川】……という強さですよ、これは。

【きだて】それがスタンダードということですね。

【古川】この空気のような、水のようなところに、みんながまさに惹かれているんだというのが、逆説的に証明されている。本当にこんなのばっかり。

【他故】こんなのばっかり(笑)。

【古川】千何百通も見ているんですけど、こういうのばかりです。

【きだて】恐らく、こういう人たちは浮気しない人たちじゃないですか。

【古川】こういうファンを掴んでいる「ジェットストリーム」は、そりゃ強いやと思いますよ。

【他故】だって、「絶対最後に帰ってくる」って言っちゃってるんだもの(笑)。

【古川】それに対して、コメントが面白いのは「ブレン」なんですよ。追う立場ほど、応援する側に熱が入る。特に、ブレないという機能がどう受け止められていたか、コメントをいくつか抜粋しました。

「長年ペン先のぶれに悩まされて来たのであまりに画期的でゼブラさんには感謝しかないです」(女性・30歳、新潟県)
「とにかくブレない。こんなボールペンを待っていた」(男性・30歳、東京都)
「新発売した当初は購入までにはいかなかったのですが文房具屋さんに寄るたびに試し書きをしているうちにはまってしまい、購入に至りました。今では筆箱のいつメンです!」(女性・27歳、福岡県)

【古川】いつものメンバーということですね。で、他にもこんなのがあります。

「デザインとコンセプトが好き。また、見た目がユニセックスなところも時代にマッチしていると思う。あと、安い」(男性・25歳、東京都)
「nendoの作品がこの値段で買えることに感動しました!」(男性・32歳、東京都)

【古川】「nendoの作品」と言っているところがヤバイですね。

【きだて】nendoというのが、さっきから言っている佐藤オオキさんのデザイン事務所ですね。

【他故】「nendoの作品」ときましたか(笑)。

【古川】で、次のが一番キテるコメントですね。全体の傾向とは別に、「ああキテんな」という。すごいまとまってるんですよ。

「部品どうしの隙間をなくしたことによる静かなノック音とソフトな押し心地に惹かれて買いました。ノック部分は広い楕円形で、何度ノックしても痛くなることはありません。そのノック音と同じく書き心地は滑らかで、0.5も0.7もどこまでもストレスなく筆記することができます。ガリガリもしていないし、スルスル滑りすぎてもいない、ちょうど良いインクです。ノック部分から直接降りてきたフックまでの曲線がとてもスタイリッシュで、隙間から見える白などの色により重すぎず、シンプルすぎずのとても美しい最善の形のように感じます。横に刻まれたbLenの文字もとてもかわいいですね、期間限定のものを合わせるとカラーバリエーションが多く使用する度に幸せを感じられるのも魅力の1つだと思います。秋限定色の中での私のお気に入りはサルファイエローで、秋風の吹く寒い日でも明るく暖かい気持ちになります」(女性・16歳、愛知県)

(会場拍手)

【他故】これはすごい、16歳ですか!

【古川】ゼブラはこのコメントを買い取った方がいい(笑)。

【きだて】文房具ライターとして、脅威を感じる(笑)。

【文具王】そうだよね。

【きだて】若い人間でここまで書けるやつがいるか。やばい!

【古川】「秋風の吹く寒い日でも明るく暖かい気持ちになります」と。

【きだて】いや、オレここまで書けないわ(笑)。ちょっと、この子は文房具ライターを目指した方がいい。

【古川】かたや、「サスペンションがどう」とか、「分解してどう」とか(笑)。

【きだて】そんなんじゃない。「サルファイエローで、秋風の吹く寒い日でも明るく暖かい気持ちになります」という。それだよ!

【古川】すごくまとまってますよね。

【他故】ちゃんと言いたいことがはっきり言えていて、それぞれがよく分かるという。

【きだて】あとね、文章のテンポがいいので、装飾が多くても読んでて目が滑らない。

【他故】そうそう、すごいたくさん字が書いてあるから読めないかと思ったけど、そうでもない。

【古川】結局言いたいのは、「ブレン」に関してはデザインの面も本当にウケているし、ブレないという機能の面に関しても、本当にウケているんですよ。「ずっと悩まされていた」とか「待っていた」とか、「これを知った以上戻れない」という人が本当にいっぱいいました。はっきり言って、僕はそこに関しては懐疑的でした。

【きだて】割と最初から言ってましたよね。

【古川】ボールペンがブレることにストレスを感じている人なんてどこにいるんでしょうかというぐらい、僕自身が感じていなかった。これに関しては、コメントをずっと見ていて、考えを改めざるを得なかったですね。

【きだて】こんなにいたというのは事実ですからね。

【文具王】「ジェットストリーム」との方向性の違いというか、「ジェットストリーム」はすでに広く人口に膾炙しているわけですよ。色々と広がったところで、敵がいないところ、嫌われないところじゃないですか。「キャンパスノート」みたいなところで、嫌われないが故に、他のものより票が集まりやすい。それ以外の票が集まってしまう。例えば、「コレというものがなければジェットストリーム」みたいな感じ、割といろんな票を拾い集めてしまう傾向がある。それに対して「ブレン」は、明らかに「ブレン」の良いところを推して、積み上げていっている票なんですね。

【古川】積極的に「ブレン」を推しているんですね。

【文具王】そう、そこが違う。「ブレン」に関しては、いくつかのアプローチがあったのが面白いですね。デザインが良かったというのと、ブレないという機能が良かったというのと、あと値段が安かったというのもあるし、いろんな方向で評価が積み上がっているというのが、突然出てきて、広がるまでの時間がないなかで、ここまで上っていったというのは、ポジティブなとっつきポイントがいっぱいあったのがよかった。

【古川】僕はちょっと、実力を過小評価していたのかなと反省しました。

【きだて】俺は最初に使ったとき、すぐにはこのブレない良さって気付きにくいけど、10分ぐらい書き続けると、明らかに違いが分かってくるな…と思ったんですよ。

【古川】僕がコメントの3つ目をピックアップしたのは、「だんだんハマっていく」という感じが分かるなと思って。

【きだて】そんな感じだと思いますね。

【他故】最初は買わなかったというのはあれですけど、試し書きをしているうちに自分の中で「これは間違いない」というところまで行ったということですよね。

【きだて】しかも、文房具屋さんに寄るたびに試し書きをしているというのがね、毎回「ブレンどうかな」と思って試し書きしちゃうんでしょうね。早く買っちゃえばいいじゃん、150円なんだから(笑)。

【他故】でも、この人いきなり買ったら、ここまで感動したのかな?

【きだて】あ~、それはあるかもしれないね。だから、これはこれでいい話。

【古川】僕は、常に使うペン立てと、ちょっと使わないペン立てに分けているんですが、やっぱりね、常に使うところに「ブレン」があるんですよ。今でも、書いてみて「おや?」って思う感じがちょっとずつ起こっているんですよ。「ブレン」は実力を伴っているのが分かったので、今回の2位がフロックで、次は4位くらいに落ちるかもしれないけど、大きく崩れることはないのかなとちょっと思いましたけど。

【きだて】問題は、次に握手会でどれだけ伸ばせるかじゃないですか。

【古川】そうですね。良さが遅効性で伝わってくるということを考えるとね。

【きだて】だからね、握手会をガッツリ時間とってやってくれると、「ブレン」は伸ばせるんですよ。

【他故】だって、48本書こうと思うと、時間的にマル・チョンくらいで終わっちゃうのもあるでしょ。

【きだて】それだと、「ブレン」の良さが伝わりにくいんだ。俺はすごく悔しい。

【他故】そう、「フリクション」でも、ノックするところが分からないから書かないみたいなのがあるから(笑)。

わたしたちが「推す」理由 〜 投票コメント紹介「サラサ」編

【古川】という感じで、コメントを見ていくと、みんなどこが好きなのかがよく分かったり分かったり、あとは単に珍妙なだけのコメントもあるので。

【文具王】ありますね(笑)。

【古川】しばらくちょっと見ていきましょうか。3位の「サラサクリップ」ですが、どういう人たちに支持されているかを見てみましょう。

「小学生から使っていて馴染んでいるしインクの発色も良くカラバリも豊富だから」(女性・16歳、北海道)

「0.3の書き心地が好きすぎる。発色がいい。書いているときにボールが回ってガタガタいっているのが手に伝わってくる」(女性・17歳、熊本県)

【古川】逆ブレンですね(笑)。

「志望理由書やエントリーシートの手書きにはこのSARASAクリップは最高の書き味なのです!!小論文講師として特にこの10年程、ずっっっと生徒さんに推奨してきました!!」(女性・58歳、大阪府)

【他故】この方は先生なんですね。

【古川】上二つは16歳、17歳、そして58歳の人は10代の人にすすめている。そして、16歳の人は小学生から使っているということで、10代の女性が圧倒的に多いです。もっと言うと、上の「小学生から使っていて」とある通り、ある特定の世代ではないんです。いまだに若い子は「サラサ」からスタートしている。ずっと再生産され続けているわけですね。常に「サラサは若い子が使うもの」というのがずっと続いている。

【きだて】これは結構驚異的な話ですね。

【古川】「サラサ」は基盤が崩れないんですよ。

【文具王】「ジェットストリーム」なんかの油性の後ろで、「サラサ」がずっと新しい人たちを、まず最初にボールペンに触れるところで囲い込むわけですよね。

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10代の女性から圧倒的に支持の高い「サラサクリップ」


【他故】最初から「サラサクリップ」という。

【文具王】まず、卵から出てきたヒヨコに刷り込むみたいなところから。

【きだて】そうやってサラサからゲルでボールペン人生をスタートした人が後から油性に転ぶかというと、それはちょっと可能性として薄い気もするし。となると、ゲル層がどんどん世代を押し上げていって。

【古川】地質学のように。

【文具王】残念ながら、僕ら前の世代の層は段々と押し出されていくわけじゃないですか。

【他故】油性層が滅んでいく(笑)。

【きだて】もしかしたらどこかに、いわゆる地層のK-T境界線みたいに絶滅を示すラインみたいなのが見えるのかもしれませんよ。油性とゲルの地層の境目みたいなのが。

【文具王】どっちの世代も同じ時代に生きているので、それ自体がはっきり切れているわけではないけど。

【きだて】そう、我々はまだ生きている(笑)。

【文具王】僕らもまだまだ、隕石衝突で絶滅みたいな話ではないんですけど。OKBでは、9年にわたって3,000件ずつくらいのデータがずっと蓄積されているわけですよ。

【きだて】超絶の定点観測だな。

【文具王】これ、もうちょっと分析すると、面白い結果が出てくるんじゃないかという気がしなくもないです。

【古川】さっきの「サラサ」の話で、「サラサドライをちゃんと狙っている人はいるんですよ」と言ったと思いますが、これもコメントをまとめています。典型的なものを二つピックアップしてみましたので、見てもらいましょう。

レジペーパーが感熱紙なんですが、その感熱紙にかすれなく書いていただけてさらにすぐに乾くのでクレジットのサインをいただくのに最適なのです。キャッシュレス推進のいまの時勢にあった書き味と機能です!」(女性・39歳、長崎県 販売員)

「左利きなので、速乾インクは手が汚れなくて重宝しているから」(女性・34歳、千葉県)

【古川】つまり、ドライインクは乾きが早い。

【文具王】左利きの人は、書いていくときに自分の手が追いかけてしまうので、こすれやすいので。

【古川】ということで、左利きなので「サラサドライ」を愛用しているという人は、結構いらっしゃいました。

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速乾性の高いインクを使用した「サラサドライ」


【きだて】あとは、感熱紙とか普通のペンでは書きにくい紙にも、インクの浸透性が異常に良いので大体書けちゃうという。

【古川】実は、販売員で「お客様にサインしてもらうために」という人が何人かいらっしゃったので。狙って買われているんですね。

【文具王】校正なんかをするときに、カラーのコピー用紙で出てきたやつは、表面に油っぽい層がある。

【きだて】カラーレーザープリンターで出てきたやつね。

【文具王】それが書きづらかったりするときに、案外しっかりと書くことができるので、用途で分けているんだなというのは分かりますね。こういうのを考えて、「サインいただけますか」といって「サラサドライ」を出してくると、なんか嬉しいじゃないですか。

【きだて】出されると「キミ、分かってるね」っていう気持ちになる。

【文具王】タクシーの運転手が、後ろに「はい」って渡すときに、あれ書きにくい姿勢じゃないですか。ああいうときに「パワータンク」を出してくると、「分かってる」っていう感じがするわけですよ。

【きだて】それがホスピタリティですよ。

投票コメント紹介 〜 珍妙編

【古川】じゃあ、あとはいろんな投票コメント見ていきましょうか。こういう理由で推されているんだというのもあれば、珍妙なのもあります。

【きだて】珍妙なのが見たいね(笑)。

【古川】これはどうでしょう。

第7位 ユニボールシグノ「丸付けの時、スラスラ丸付けできて気持ちいいから。このペンのお陰で頑張れる」(男性・13歳、大阪府)

【きだて】「シグノ」を丸つけに使う!

【古川】ラジオの放送では“丸つけ勢”という言葉が出てきましたけど、丸をつけるときの書き味でペンを選ぶ人が少なからずいらっしゃいまして、それを“丸つけ勢”と私が勝手に呼んでいるんですけど。

【文具王】“丸つけ勢”で強かったのは、「ユニボールエアー」もそうでしたよね。

【きだて】「ユニボールエアー」は分かるんだ。

【文具王】でも、「シグノ」なんですね。

【他故】「シグノ」も幅が太いやつだとスラスラ書けるっちゃ書けるから。

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ユニボール シグノ

【古川】じゃあ、次いきます。これは珍妙寄りだったかな。

第11位 セルサス「デザインに惹かれ購入。これ以外のボールペンを購入したことがなく今までは貰い物などを使用」(男性・30歳、福島県)

【他故】この人買ったことがないんですか。

【きだて】でもね、日本人の結構な割合はコレだと思いますよ。会社支給か、貰い物のノベルティか。だから、“ボールペンを自腹で買ったことない勢”って、まだ世の中に結構いると思いますよ。

【文具王】そこまでは譲ろう。それで、1本だけ買ったのがコレという。

【きだて】何だろうね、すごいコーナーを突き過ぎてて。

【文具王】でも、「デザインに惹かれて購入」だからね。「セルサス」のかたちを見て、これが欲しいと思ったという。他のボールペンは、わざわざ買うほどでもなかったのに。値段の割に高級感もあり、きれいなペンではあるんですけどね。

【きだて】このコメント、オートの人に送ってあげた方がいいよ(笑)。

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セルサス

【古川】次は、変わった理由で投稿した人がいます。

第13位 ユニボールシグノ307「インク設計に携わったから。ボールペンの中で一番書きやすいと思う」(男性・31歳、埼玉県)

【他故】中の人!

【きだて】三菱鉛筆の人か。

【文具王】三菱鉛筆じゃなくて、もしかしたらセルロースナノファイバー側(編集部注:ユニボールシグノ307のゲルインクにはセルロースナノファイバーが配合されている)の人かもしれないですけど。

【きだて】セルロースナノファイバー側っていう日本語があるんだね(笑)。

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ニボール シグノ 307


【古川】あと、オート「筆ボール」に関して投票してくれた人。みんなの気持ちを代弁してくれたコメントがあるので、ぜひ紹介したいと思います。

第23位 筆ボール「とにかくびっくりする」(女性・33歳、奈良県)

(会場爆笑)

【文具王】確かに(笑)。

【きだて】分かる、これな(笑)。

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筆ボール


【古川】「分かる〜!」と思って、すぐにコピペしましたけど。あと、メーカーの人が見たら悲しむんじゃないかというコメントがあったんですが、ご紹介します。

第35位G-FREE07「正直スプリングは稼働させていないがインクが抜群に書きやすい」(女性・35歳、東京都)

【古川】半分褒めて、半分無視してますね。

【きだて】サスペンションというのは、「G-FREE」は筆圧調整用にサスペンションのようにバネが調整できるんですね。それを効かせてないという。「G-FREE」の良いところ8割が奪われている状態(笑)。

【古川】ギミックの部分はいらないという。

【きだて】セーラーが「無重力」と言い出しているくらいのスプリング部分なんですが。

【文具王】「G-FREE」も、握手会で使ってみたら、案外良かったという人が多いペンですからね。

【きだて】意外とファンが根強くいるボールペンですよ。

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G-FREE

【古川】「G-FREE」のホームページもぜひ見てください。

【文具王】これ、ノックパーツのところをクリクリッと回してあげると、それによって筆圧に対するバネの利き具合が変わって、クッション性が高くなったり、柔らかくなったりができるので、本当にね、未体験の書き心地なので。

【古川】次は、パイロットの「Vコーン」に対するコメントが、他のどれとも違う、切ない感じで。これを読み終わった後に、みなさんの心にどんなものが去来するかが楽しみですね。

第28位 Vコーン「絶対書ける安心感(文具王)とインクの濃さ。総選挙開始当初より老いました。ノートもメモも大きな物を。箱で買って色んな場所にばら撒いています。認識しやすいようにキャップと軸に3Mのマスキングテープ(黄色)を巻いています。歳をとると忘れるようになります。悲しい程に。いちいちメモをしなければなりません。直ぐに書けて、はっきりした文字。水性ですが大きな文字に適した書き味。ペンの発見、文字認識など、求めるものは「書く見る事態に対するストレス軽減」です」(男性・50歳、静岡県)

【古川】50歳にしてはちょっと、老成し過ぎていると思いませんか。85歳ぐらいの人みたいで。

【文具王】「(文具王)」ってなってる。

【古川】「絶対書ける安心感」とは、Vコーンについて文具王がよく言ってることなんですよね。それを踏まえている。

【きだて】パイロットさんも、この人に「Vコーン」を何本かあげた方がいいんじゃないかな(笑)。

【他故】マスキングテープも一緒にあげないと(笑)。

【文具王】だから、ないとストレスだから、いろんなところに置いておくべきなんだよ。会社の机の上のペン立てにも入れる、ポーチにも入れておく、クルマのダッシュボードにも入れておくみたいな感じで、お気に入りをいろんなところに置いておきましょうということなんですけど。

【きだて】俺は、文房具を問わず気に入ったツールは3つ買うことにしてるんですが、それは自宅の中に活動拠点が3つあるので、そこに1つずつ置いてるって話で。

【文具王】活動拠点って、どんだけ広いの、君んち。

【きだて】要は、パソコン仕事するところと、工作作業するところとリビング。主にそこで動くので。

【文具王】部屋数分は置くということね。

【きだて】まあ、そういうことだよな。

【他故】まあ、近いところはあるね。

【文具王】この中で「Vコーン」を選んでいるのが、ストレスの少なさなんだよね。ボディは軽い、筆圧はほぼゼロで書ける、で濃く・はっきり書ける。これは、そういう意味では本当に良いよね。

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Vコーン


【古川】さっきの「ブレン」について長々と書いた16歳の方のコメントと対極にあるような、渋みのあるコメントで。

【きだて】16歳がセンテンス分けずにザーッと書いているのに対して、息切れするような感じで(笑)。

【古川】一文、一文、心を込めてという感じがね。

【他故】真ん中あたりの「悲しい程に」というところが(笑)。

【文具王】でも、この人僕の書いたものを大分読んでくれているようで。

【きだて】古くからの読者ですね。

【古川】あと、メーカーの人が見たら悲しむかなというコメントがあったので、そちらを見てみましょう。

第47位 ユニボールR:Eオープンクリップ「想像以上に美しい字を書くことができます。また、インクの色もよいです」(男性・40歳、東京都)

【きだて】先ほど言っていたオフブラックですね。

【他故】思ったより良かったと言っているんですね。

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ユニボールR:Eオープンクリップ


【古川】多分、メーカーとしては「消せる」というところを一番売っていきたいと思っているはずなんですが、それは関係ないと…頑張ってほしいですね。

【他故】まだまだ頑張ってほしいですね。

投票コメント紹介 〜 手書きの投票用紙編

【古川】これまではWeb投票のコメントだったんですが、これからお見せするのは手書きのコメントです。僕がすごく好きなのは、躍動感のある字の書き方とか、文字を書くのを楽しんでらっしゃるなという。独特のハライとか、躍動感のある投稿がすごい好きで。

【文具王】「太字!!」「濃い!!」「良い!!!」みたいな(笑)。

【古川】毎年のように参加されているcloudさんという方がいるんですが、ボールペンにすごいお詳しいし、自分の意見をしっかり持っている方なんです。

1位 ブレン「黒(本体軸)はストレスを感じない。が白軸は胸ポケットに刺して(ママ)おくと、細かい埃ついたり汚れるので、白軸以外が好き。限定色軸全色コンプリート。黒軸予備も買い、プレゼントにもあげるくらいブレンが好き。
2位フリクションポイントノック04「シナジーチップがええ。インクも濃い。実はあまりフリクション(過去の)は使わなかった。間違えたら修正テープで消せばいいと思ってたし公式文書に使えないし場所を選ぶのかなと思っていたが、メモ用紙だったり、タスク(TODO)仮予定メモに使用したら使える場所もでき好んで使用している」(以下略)

【古川】この方は毎年感心します。

【他故】かっちり書いてますね。

【きだて】この方は、後ろの方に5位以降の次点まで書いてくれてますからね。

【文具王】そうなんですよ。拾いきれないですけどね。迷った過程もここに書いてくれているのでいいですね。

【きだて】こういう方がOKBを見ててくれるんだと思うと、頼もしい。

【古川】本当に勉強になるんですよ。

【文具王】「セルサス」なんて、「c300系の互換性のあるリフィルが多数入るのがいい」って書いてありますよ(笑)。この人絶対、相当きている人ですよ。

【他故】c300とか書いちゃうとね。

【文具王】「個人的にはc-304が好き。他にuni Signo RT-1の0.28㎜も僕的に相性がいい」って書いてますね。かなり細かい話です。

【古川】かと思えば、こういう味わい深いのもあります。

1位 ユニボールシグノ307「履歴書をこれで書き続けて、無事に就職できました」(以下略)

【古川】この方は、2位までしか選んでないです。三つ目以降はもういいですと(笑)。

【文具王】思い入れがね。これのお陰で就職できたと。

【古川】こういう個人史が見えてくるのもいいですね。

【古川】そしてこれは…。

【文具王】おおっ!

1位 エナージェルインフリー「イチロー」
2位 ボールぺんてる「松井秀喜」
3位 アクロ300「篠塚和典」
4位 サファリローラーボール「中村紀洋」
5位 ライトライト「新庄剛志」

(会場爆笑)

【他故】すごいな。

【古川】お前の中ではつながっているかもしれないけどなっていう(苦笑)。

【文具王】これは、人に例えてるんですかね。

【古川】プロ野球選手に例えているんですね。これが正しいかどうかは、判断つきかねます。

【きだて】ただね、「ライトライト」が新庄というのは合っているような気がする(笑)。

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「ライトライト」は新庄剛志!?


(会場爆笑)

【古川】松井秀喜が「ボールPentel」かどうなのか。

【きだて】それはちょっと分からないね。

【古川】次のは、注目は年齢ですね。女性・71歳です。「ありがとうございます」という感じですね。確かに、語彙がいいんですね。「台湾映画でとても優しい女主人公が日記に使っていたのが、このラミーの黄色のボールペン。これを見ると優しい気持ちになれる」と書いてます。

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ラミーの黄色のボールペン「サファリ ローラーボール」

【きだて】ああ、いいですね。そういう選び方もありなんですよ。

【古川】ご高齢の方のは、本当に味わい深いコメントが多くて。

【文具王】あと、4、5歳の子が投票してくれたりもしますね。

【古川】これは11歳の子ですね。

【文具王】2位の「ジェットストリーム」のところに、「安くて、なめらか」と書いてありますよ。「家族でご愛よう中」とも書いてあります。1位の「ビクーニャEX」は、「2000円で、高がくですが、かきやすさは、1位だと思います」ですって(笑)。何かいいですよね。

【きだて】以前に“文房具小学生”として人気を博した山本健太郎くんも、実はこのOKBのコメントが一般誌デビューですからね。

【古川】そう、異様に詳しい子がいるなと思いましたからね。

【文具王】ああ、これいいですね!  6歳の子。「なめらかでかきやすい」(1位サファリローラーボール)。

【きだて】「とうめいできれい!」(3位エナージェルインフリー)。

【古川】「よるでんきなしでもできる」(5位ライトライト)と書いてありますよ。

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“とうめいできれい!”な「エナージェルインフリー」


【文具王】こういうコメントは、本当にそう思っているのが分かるので、ありがたいですよね。

【古川】子どもは思ったことをストレートに書いてくれるので。例えばこの10歳の子は、5位の「エラベルノ エアリーゲル」について、「軽くかけたのですが、もう少し持ちやすくしてほしいです」と書いてます。

【きだて】持ちやすいグリップを選んでください。悪くないんですよ!

【古川】4位に選んだ「筆ボール」に関しては、「太くていいのですが、にじむことがあったので残念です」と。

【きだて】それでも4位に入れているんですからね。

【古川】OHTOじゃなくてOTTOと書いてありますが(笑)、3位「セルサス」は、「こさはちょうどよかったのですが、重いのと、音がなりすぎです」と書いてあります。オートの人に伝えておきましょう。キャップが硬いんですよね。

【文具王】音が鳴りすぎか。

【古川】それで、1位と2位には不満がないですね。1位は「ユニボールエアー」で、キャッチーなペンが良いということですね。そして、2位に「スパーグリップGキャップ式」という渋いやつを選んでます。

【他故】渋いですね(笑)。

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スーパーグリップG キャップ式


【古川】「軽い」と書いてありますが、軽いのは他にもあるんじゃないかと思うんですけどね。

【文具王】本体が激軽だからじゃないですか。

【きだて】インクも、アクロほどじゃないですけど、低粘度寄りで割と書きやすいので。

第3回目は質疑応答編と第10回OKB48への展望を掲載します。

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