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【特別企画】「第9回OKB48 選抜総選挙」大感想戦 その1

本サイト編集長の高畑正幸文具王がスポンサーとなって開催している、お気に入りのボールペンを選ぶ「第9回OKB48 選抜総選挙」は、メーカーの枠を超えて選抜された48 本のボールペンの中から、“ お気に入りのボールペン” を選んで投票する画期的選挙型エンタティンメント。実際にボールペンの試し書きをして投票する「握手会」を各地で開催したほか、公式サイトでのweb投票も受け付けた。投票期間は2019年10月1日~12月31日。その集計結果は、2020年1月29日放送のTBSラジオ「アフター6ジャンクション」の番組内で発表され、既報の通り「ジェットストリーム スタンダード」の9連覇という結果となった。

そして、その結果発表イベント「第9回 OKB48選抜総選挙 大感想戦! @ GOOD DESIGN MARUNOUCHI」が2020年2月1日(土)18:00〜20:00に、東京・丸の内のGOOD DESIGN MARUNOUCHIで開催され、OKB48総合プロデューサー・古川耕氏とブング・ジャム(高畑正幸、きだてたく、他故壁氏)の3氏が、今回の結果を存分に語り尽くす「感想戦」を行っている(関連記事)。

本サイトでは、その「感想戦」の模様をノーカットで3回にわたりお伝えします。
第1回目では、1位~48位の順位発表での4人のコメントを紹介します。

4人.jpg(左から)他故さん、高畑文具王、古川さん、きだてさん

感想戦スタート! まずは48位から31位まで

31-48.jpg【古川】今回も「ジェットストリーム スタンダード」が見事9連覇を果たしました。

【きだて】ひとまず結果だけを見れば「あー、なるほどね」と納得いく感じに収まったようには思うんですよ。

【古川】じゃあ、下位からおさらいをしていきましょうか。48位から31位までのブロックです。ここに関して、我々の思うようなところとか、注目のポイントを言っていきましょうか。

(一同)う~ん。

【文具王】どういう「う~ん」なんだ(苦笑)。

【きだて】いや、僕はコクヨの「エラベルノ」が好きで、特に「エアリーゲル」は軽くて書きやすい、良いインクだと思うんですよ。ソツの無いというか。

【古川】全然悪いペンじゃないですよね。

【他故】悪いところを感じないですよ。

【きだて】でも、どうしても伸びないなと。

【古川】ここまで伸び悩むのは何でだと思います?

【他故】まずは、知名度的なことがまだありますよね。

【文具王】そうですね。知名度的にまだ知られていない部分もあるのかなと思いますね。

【きだて】あとは、組み合わせて買わないといけないという、ハードルの高さですね。軸とリフィルが別売なんですよ。軸とリフィルをそれぞれ組み合わせて、自分でボールペンを1本組み上げるというシステムなので、なかなかその辺がパッと手に取りにくいというか。

【古川】例えば、「ハイテックC」コレトだと、組み合わせるときにワクワク感があるじゃないですか。これに関しては、そういうトキめきがちょっと薄いですね。

【文具王】グリップの握り心地に関して、内省的なペンですよね。

【古川】ストイックなペンという。

【文具王】非常にストイックなペンかなと思いますね。

【きだて】これ、グリップの太さも選べるんですけど、それによって書き味もけっこう変わってくるんですよね。そういう意味では果たして握手会向きかどうか、というのもあるよね。

【古川】握手会では一応3種類用意していあるんですけどね。

【きだて】あれ、すいません。置いてあったっけ?

【文具王】「エラベルノ」に関しては、グリップが3つあるので、それぞれのグリップに同じリフィルが入っています。

【古川】「新登場でどこまで行くんだろう」と数年前に言ってから、結果、ずっと伸び悩んでいる。

【文具王】そうですね。「エラベルノ」のシルキー油性に関しては、26位、44位、48位で、年々下がっているんですよ。ゲルの方は、21位、37位、46位なので。

【きだて】着実に下がってますね(笑)。

【文具王】これに関しては、コクヨが今「KOKUYO ME(コクヨミー)」という新しい文具シリーズを出しているんですが、その中にあらかじめ組合せが決まっている、選べないタイプの「エラベルノ」が入っていて、こっちはボディの色が結構おしゃれになっている。やっぱりね、色を変えるだけで大分印象が変わってくる。

【きだて】そうでしょうね。

【古川】今まで、見た目が地味という問題がありましたからね。

【文具王】そこは、透明と白のカラーリングがちょっとね、というところもあったりするので、そういう意味では、もう1回注目されてもいいかなと思います。

【古川】はい。

【文具王】このブロックに関しては、往年の名作が揃っていたりするんですよ。「BOXY」とか「ハイブリッド」とか、水性だと「ユニボールアイ」なんかも良いんですけど。

【他故】やはり、思い出票だけでは上の順位に上がれないというのは、間違いない。

【文具王】あと、特殊形が下がってきてしまうのも仕方ない。「エアプレス」とか「マルチボール」とか、そういう特殊なものは、どうしてもコレじゃないといけない人もいるんですけど、どうしても票が割れるというのがあるので、上に上がりにくいなというのがあります。

【きだて】「スーパーグリップG」なんかも値段の割に優秀なんですけどね。自分で買って使う意識の薄くなりがちな握手会では、値段が考慮されないというのはありそうかな。

【古川】安くて良いペンというのは、握手会でなかなか票を稼ぎづらいので。

【他故】そうなんですよ。

【古川】皆さん、47位のペンに関してはどう見てますか?

【きだて】「ユニボールR:E」ですよね。

【古川】新製品ですよ。まあ、クリップが変わっただけですけどね。

【文具王】一応、クリップが変わる前のものも前回までは出ているのですが、48位、48位、47位で。フリクションがこれまで順位が下がってきていたのもそうなんですけど、書き心地というところでいくと、このペンに関しては、インクがブラックではなく“オフブラック”なんですよね。実はOKB48は、“ブラック”というインク名で出ているもので統一しているんですけど、これに関してはオフブラックといっていて、若干控えめな表現になっているですけど。

【きだて】要は色味が薄いんですよ。

【文具王】そこがちょっと弱点かなという気はしますね。

【古川】ただ、ずーっと新製品は出続けているですよね。

【他故】そのラインアップはすごいですよね。

【きだて】やる気はすごい。

【文具王】消せるというところで、パイロット一強になっているところで、そこに挑戦し続けているところと、色味はちょっと、とは言いつつも少しずつ性能を更新しているところもあり、海外ではちゃんと市場があったりするんですよ。

【古川】そうなんですよね。

【文具王】uniって海外のブランドとしてすごく強いので、海外ではそれなりに売れてるんですが、日本の市場の中では、ユーザーがシビア過ぎる問題というのがあって(笑)。だって、今のフリクションですら「インクが薄くて使い物にならん」と言う人がいるくらいなんですよ。と考えたときに、日本のユーザーのリテラシーというか、選択眼が厳しすぎるところはちょとあるので。

【きだて】(観客に)人ごとのように聞いているけど、君らのことだぞ!

(会場爆笑)

【文具王】それと、「ボールサインノック」ですが。

【きだて】うーん、「ボールサインノック」すごく好きなんですけど。

【文具王】デザイン的には、かなり野心的なところがあって、中のリフィルの表面にも印刷しているところも含めて、ものすごい気を遣ってデザインされている、非常に面白いペンなんですけど、やっぱり特殊に映るんですかね。

【きだて】もったいないなぁ。0.4㎜なんて、近い価格帯のゲルの中でもかなり優秀だよ。

【他故】書き味もすごくいいしね。

【きだて】Web投票で伸びる感じではないのかな。難しいですね、この辺。

【古川】「フォルティアem.」も、新人なのにこの位置に甘んじてしまたとのは、ちょっとかわいそうな気がしますね。

【文具王】手帳との持ち運びを考えたときに、めちゃくちゃスリムなので、これも割と狙って作っている系なんですけど、フォルティアに関しては、もうちょっと上の順位にコーンタイプがあるので。

特殊系ボールペンが顔を出す、30位から21位まで

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【古川】では、ひとつ上のカテゴリーを見てみましょう。30位から21位まで。先ほど言っていた30位の「フォルティアCONE」は、「フォルティアem.」の姉妹品と言っていいんですかね。

【文具王】さっき言っていた、特殊系ですね。「マルチボール」とか「エアプレス」とか、「特殊系だから」ということでさっき片づけたんですが、ここに関してはその特殊系が強すぎて上にきているんですね。

【きだて】結構、特殊系が固まりましたね。

【文具王】「ライトライト」の27位とか。特殊過ぎるボールペンとしては、順位が高い。あと「筆ボール」が、毎回思うんですけど、握手会やったときの異常な人気。

【きだて】初めて書いてみたときの驚きが強いですからね、これ。

【文具王】ここはやはり、「知らなかった」というジャンルでもあるんですよね。

【きだて】まだ触ったことがないという人は、帰る前に一度試していただければ、我々の言っていることが分かると思います。

【文具王】「筆ボール」に関しては、Web投票だと30位なんですよ。だけど、握手会だと19位ということで、かなり高いんですよ。20位以内に入っているんですよね。

【きだて】あとは、「ボールPentel」とか、書き味の特殊なものですね。

【文具王】「ボールPentel」は、水性ボールペンの元祖みたいなものですからね。それが何故? とは思うんですが。

【古川】個人的には、「Vコーン」なんてもっと上にいってもいいと思うんですけどね。

【文具王】そうなんですよ。

【他故】「Vコーン」は、見た目が地味なこともあって、昔から使っている人は好きかもしれないですが、新しく触れる人が少ないのかもしれないですね。

【きだて】それはあるかも。

【文具王】やっぱり、デザインが昭和のデザインなので(編集部注:Vコーンの発売年は1990年=平成2年=)、今となっては前の世代のデザインなんだよな。そこがね、更新されてもいいような気がしますね。

【古川】何周か回って、めちゃくちゃ好きなデザインとかあるんですけどね。

【文具王】そこでいくと、「ハイテックC」なんかそうですよね。「ハイテックCじゃないとダメ」という人もいるんですけど、最近のペンとしてはどうかな? というところはありますね。

【他故】性能的に言うと、1990年代の製品なので、ちょっと見劣りするかなという感じはしてしまうので。

【文具王】そうなんですよ、未だに「ファントムⅡ好き」みたいな話ですから。

【他故】フフフ(笑)。

【きだて】例えが面倒くさい(苦笑)。F-4ファントムⅡって開発から60年経ってまだ現役の戦闘機の話ですね。

【古川】OKB始めて9年ですが、「ハイテックC」がちょっとずつ順位を下げていく様を僕ら見続けている感じがして。

【文具王】僕ら思い入れがあるから、「ううっ」て思うんですが、それはしょうがないなと思っちゃうくらい、新人のいいやつが出てきているんですよね。新しいものが登場してきているんで、それはしょうがないかなと思いますね。

【きだて】「ハイテックC」でも、カスタマイズペンの「ハイテックCコレト」の方は、シナジーチップ(編集部注:「ジュースアップ」や「フリクションポイントノック04」に採用している極細用高機能チップ)搭載で書き味のいいものがでてきたりして、バージョンアップされているんですけどね。

【古川】役割を終えて、座を譲りつつあるのかなという風に見えたりして。

【きだて】まだワンアンドオンリーの製品なので、いなくなるには早いという、難しい立ち位置ですよね。

【古川】25位にオートの「ホライゾンゲル」というボールペンがあるんですけど、実際に手に取った人はどれぐらいいるんでしょうかというぐらい、都内でなかなか売ってないんです。

【文具王】気軽に会えなくなっているじゃないですか(笑)。

【他故】オートの製品って、本当に申し訳ないんですけど、都内でほぼ手に入らないんですよ。

【文具王】別にひいきをするわけではないんですけど、オートの製品って、どうしても入れておきたいというところがあるんですよ。何故かというと、オートの製品はあまりにも知名度がないので、Web投票の順位が低いんですよ。なんですけど、握手会をするとものすごく躍進するペンが多いんですよ。これは、もっと触ってもらって、オートの認知度が上がってもよさそうだと思うんですけど、店頭の什器が地味なんだよね(笑)。

【きだて】でも、「ホライゾンゲル」のポテンシャルって20位以上でも全然おかしくないんだけどな。

【文具王】オートのニードルチップが好きな人って結構いるんですよ。

【きだて】そう、そう。

【文具王】オートのニードルチップのゲルって、他にはない独特な良さがあるので。

【古川】そのニードルチップのガワだけずっと替え続けているんですよね。

【文具王】「ホライゾンゲル」って、海外だとめちゃくちゃ強いブランドなんですよ。ドイツやフランスで、おしゃれペンとして雑貨屋に置かれているんですよ。案外海外で人気があるんですよ。

実力派が揃った20位〜11位

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【古川】じゃあ、続いて上位陣ですね。この辺りは強いです。

【きだて】まあ、納得という感じがしますね。

【文具王】日本のボールペンの20位ですよ。世界で最もうるさい人たちが選んだランキングなので。

【きだて】面白いのは、ベスト20なら納得なんだけど、ベスト10に入っていると「んっ」て首ひねるという微妙な立ち位置のものが。つまりは順当なんですけど。

【古川】ああ、でも「セルサス」とかラミー「サファリ」なんかは、久々に順位が落ちたんじゃないですか。

【文具王】そうなんですよ。「セルサス」も握手会で順位の高いペンで、使ってみると「こんなペンがあったんだ」と思われる方が非常に多い。

【きだて】そうですね。これも知られてない系で。

【文具王】全体的な傾向なんですが、OKB48をやっていると、水性ボールペンに関しては握手会の順位が高い傾向にあります。「セルサス」は、Web投票が33位なんですが、握手会4位ですよ。

【きだて】おおっ、強い!

【文具王】そして、ラミー「サファリ」に関しては、Web投票22位、握手会で6位。

【古川】これも強いですね。

【文具王】それと、そのちょっと下にあるトンボ鉛筆の「ZOOM505」は、「セルサス」と似たテイストのペンですね。重さがあって水性でというペンなんですけど、これもWeb投票が26位で、握手会が11位なんですよ。

(一同)ふ~ん。

【文具王】今は油性とゲルが新しいペンとして普及してきているので、水性を使っている人があんまりいないかもしれないですが、重さのある水性ペンを使ってみると、滑り方が全然違うんですね。11位から19位の間までに、水性が4本入っているんですよ。

【古川】16位の「ユニボール エア」も水性ですね。

【文具王】「ユニボール エア」も独特で、書く角度とか筆圧によって、筆記線の太さが変わるわけですね。

【きだて】ボール径が0.4㎜とかじゃないんですよね。0.5~0.7㎜みたいな表記になってる。

【文具王】幅表記になってるわけですね。

【古川】日本だったら「トメ・ハネ・ハライ」だし、海外だったらカリグラフィーみたいに使えますけどね。

【きだて】今となっては特殊になりつつある水性ボールペンに触れる機会として、やはりOKBはいいすっね。

【古川】このブロックに水性が4本入っているというのは、握手会に強いのはここまで行けるし、逆に言うとこれ以上上に行くんだったら、Web投票も稼げないとダメということですね。

【文具王】そういうことですね。今回はWeb投票の比率が高いんですよね。

【古川】じゃあ、Web投票と握手会の内訳というのがあるので、先にそっちを見ましょうか。

表.jpg【文具王】今回は、握手会とWeb投票だと1:2ぐらいでWeb投票が多いんでしたっけ?

【古川】そうです。

【文具王】握手会が1,022票なのに対して、Web投票が1,816票あるので、大体そんな感じです。だから、Web投票がかなり重要な感じです。

【きだて】こうやって見ると、「セルサス」の異常さは際立ちますね。

【古川】両極端なんですよね、Webと握手会の比率が(笑)。それと、後で話しますが、2位の「ブレン」に関して言うと、「おっと逆だぞ」という話があったりだとか。

【文具王】そうなんですよ。

【きだて】そこはちょっと言いたいこともあるので。

どれが1位でもおかしくない。トップ10の顔触れ

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【古川】じゃあ戻りますね。トップ10でございます。

【文具王】トップ10に関しては、どれ買っても間違いないやつしか入ってないですからね。

【古川】もう、それぞれの1位が集まっている感じですからね。

【文具王】そうですね。各ジャンルの1位がここにきている感じがしますよね。

【古川】ただ、意外だったのは、今年の争点の一つとなっていた「フリクションポイントノック04」が9位。フリクションとしては久々の一ケタ台ですね。

【他故】そうなんですよ。

【きだて】個人的には、逆にもうちょい上に来るかなと予想してたんですけども。トップ5に入るんじゃね?ぐらいに思ってた。

【他故】いや、それは上がたくさんいるから。そこまでは。

【きだて】上が詰まってんだよなぁ。

【他故】僕はむしろ、「ユニボール シグノ」がここまできているのにビックリですよ。

【きだて】あ~、そうそう。7位だね。

【古川】これは驚きでしたね。「シグノ」は何故か復活しましたね。

【他故】復活しました。

【古川】何故だろう?

【きだて】これまた個人的な好みで恐縮だけど、なんで俺イチ推しの「ユニボール シグノ RT1」より「ユニボール シグノ」の方が上なのか。釈然としない。

【文具王】「シグノ」で言えば、それこそ「ハイテックC」と同じ、昭和のデザインじゃないですか(編集部注:シグノの発売年は1994年=平成6年=)。

【古川】ひと昔前のデザインですよね。

【文具王】それがここに来ているというのは、もしかしたら、組織票を入れる政党か秘密結社みたいなのが存在する可能性がありますけども(笑)。でも、「シグノ」は第1回で4位なんですよ。

【他故】そうそう。

【文具王】4位→2位→2位→6位→7位→11位→7位→12位→7位なので、言っても元々高いんですよ。

【きだて】まあ、その辺フワフワ行っている感じですね。

【文具王】12位になったときに、「もうちょっと下がってくるのかな」と思っていたら、もう1回7位まで上がってきているので。

【他故】今回、上がすごく強かったのにもかかわらず、まだ7位にいるのは相当強いかなと思いますね。

【きだて】ポテンシャルありますね。

【古川】「ハイテックC」は踏みとどまれずにちょっと下がっていったけど、「シグノ」が踏みとどまったのは何故か? というのを考えると面白いですね。

【文具王】「ハイテックC」で言うと、同じパイロットで「ジュースアップ」が出てきたりとか、あるいは「シグノ RT1」が出てきたりとか、細さで勝負する新しいゲルインクペンがいっぱい出てきて乗り換えたりとか。

【きだて】「ジュースアップ」とか「フリクションポイントノック04」もそうですし、「シグノ RT1」もそうなんですけど、細字なんだけどカリカリし過ぎない。

【文具王】そう。それが出てきましたよね。

【きだて】ぶっちゃけ「ハイテックC」と比べると、ステージが一段上がった世代の細字ということで。昨年末には「ジェットストリーム エッジ」という0.28㎜の低粘度油性の次世代細字が出てきたし、これからさらに細字系が面白いんじゃねえかなという気もしていますね。

【古川】そうなったときに、「シグノ」が実はまだそれらと全然戦えるという。

【きだて】まだポテンシャルがある。

【他故】まだまだいける。

【きだて】年齢的には2世代前に数えられるぐらいなんですけども。

【文具王】コーン型の割とスタンダードなかたちなんですけど、細字の中でしっかり力を受け止めるタイプなんです。他と代替されないというところもあるんですね。

【きだて】ただ、握手会ならいいんだけど、日常でキャップ式使うのは嫌だなというような話もあるでしょ。

【文具王】でも、「シグノ」に関しては、Web投票が6位なんですよ。

【きだて】わぉ! マジか。

【文具王】それで、握手会が17位なんですよね。

【他故】今でも使い続けている人がいるということですね。

【きだて】そういうことか。

【文具王】熱狂的なファンが結構いるということなんですよね。それでいくと、「シグノ」ファンは変わってないけど、「ハイテックC」ファンは他のペンに乗り換えた。

【きだて】乗り換え先が「ジュースアップ」だった可能性がある。

【他故】まあ、それはあるでしょうね。

【きだて】何で、「RT1」に乗り換えてくれないんだよう(苦笑)。

【古川】「RT1」は、時代の狭間の鬼っ子みたいな感じで。

【きだて】俺にとっては、魂の1本ですからね。

【文具王】でも、「シグノ」から「RT1」に行くのかと思ったら、分けているという感じで。

【古川】「シグノ」は「シグノ」でそのまま生き残っているという。

【文具王】それでいくと、「シグノRT1」のブレないバージョンが「ユニボールシグノ」ですからね。

【きだて】キャップ式だからね。ブレないっちゃ、まあ、そうだけど(苦笑)。

【古川】書き味の硬さでいったら、これめちゃめちゃ硬いですから。

【文具王】そのリジットな感じ。この中では思いっきりストイックでリジットな細字ペンなんですよ。この上位10傑の中で考えると。

【他故】これがたまらないという人は、ここから離れられないんでしょうね。

【文具王】そういう意味で行くと、「シグノ」とぶつかる次世代ペンは、さっき言っていたジェットストリーム エッジあたりじゃないか。

【きだて】そうか、それはありそうですね。

【古川】ぶつかって再評価もひょっとしたらあるかも分からないですね。

【他故】ああ、そうかもしれませんね。

ホントに強い。パイロットのゲルインクボールペン「ジュースアップ」

【古川】そして、4位の「ジュースアップ」は、いよいよ本物だぞという感じですね。

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ジュース アップ

【他故】個人的にビックリしたのは、「エナージェル」を抜いたということですね。ゲルの戦いでいえば、ついに「サラサクリップ」に近づいた。相当すごいところまで来たぞと思いますね。

【文具王】「ジュースアップ」は第6回から登場したんですけど、その時は10位だったんですよ。それから6位→5位→4位と上がってきているんですよ。

【きだて】じわじわと上がってきているんですね。

【文具王】そうなんですよ。そして、驚くべきことに、Web投票は4位なんですけど、握手会は2位なんですよ。

【古川】すごいですよね。

【文具王】もしかして、握手会の会場を増やすことができれば、いろんな順位が変わる可能性がもある。

【古川】握手会とWeb投票の比率は、毎年わりと変動するんですよ。握手会の方がすごく多い年もあれば、Web投票の方が多い年もあって、今年に関してはWeb投票の方が多かったです。だから、この辺の件数によって違ってきたりするんですけど、「ジュースアップ」に関しては両方等しく上がってきているので、明らかに実力を伴ってきている。

【文具王】握手会の強さというのは、そのペンにあんまり興味がなかった人も、初めて使ってみて「これいい」と投票してくれたりするので。握手会で2位というのは、その実力を認めざるを得ないですね。

【きだて】「ジェットストリーム」「ブレン」と同様に、実際に書いたときに従来のものとの違いが確実に体感できるレベルなんですよね。今までのゲルとは違うぞ、とハッキリ分かるのが「ジュースアップ」の強みかな。

【文具王】ゲルにおける、書き味の違いを感じることができるペンですよね。

【きだて】という意味では、握手会2位というのは妥当といえば妥当だし、ここからどうなっていくのか。

【他故】Webでも4位ということは、知名度も上がっているということだし。

【きだて】良いペンとしての認知が広まっているわけですよね。

【古川】次世代のエース感がすごいあるなと。

【他故】そんな感じがしますね。

【きだて】ゲルは「サラサ」が持っていくかと思っていたら、「ジュースアップ」かぁ。

【古川】ポイント数も、「サラサ」と「ジュースアップ」ではそこまで離れていないんですよ。

【きだて】そうなんですよね。

【古川】ちなみに、ポイント数というのは、1位から5位で得点の比率を変えているんです。だから、純粋な票数ではなく、ポイントとして表記されています。

【文具王】「サラサ」というのは、6位にも入っているんですよ。「サラサドライ」というのが。だから、これ足したらすごいことになるんですが。また、この「サラサドライ」というのが、ドライ派というのがいるんですよね。これが面白いですよね。

【きだて】ドライ好きいるんですよね。

【他故】「サラサドライ」の人は、「サラサクリップ」か「サラサドライ」のどちらかを選んで投票しているということ?

【文具王】5位まで選べるので、そこで順位を変えて選んだ可能性はあるんですけど、でも「サラサドライ」だけでこの順位に来ているので、どちらでもよくて「サラサクリップ」に入れていたら、この順位に来ることはないんですけど。Web投票で7位、握手会で8位なので、どちらも強いんですよ。

【他故】強い。めちゃめちゃ安定している(笑)。

【文具王】日本のボールペンユーザーの恐ろしいところは、「サラサクリップ」と「サラサドライ」を区別した上で、「サラサドライ」に投票するという、このリテラシーの高さですよ。

【古川】後で投票コメントをいくつか紹介するブロックを設けるんですが、「ドライが好きだ」という人は確実にいます。

【文具王】ゼブラ的には、「サラサクリップ」だけでもめちゃくちゃラインアップあるじゃないですか。それで「ドライ」まで作っちゃったから、“どこまで増やすか”問題というのがあるんですけど、「ドライ」にこんだけファンがいるとやめられないんですよね。

【きだて】実際、「サラサクリップ」と「サラサドライ」は書き味が全く違いますからね。

【文具王】そうそう、違うよね。

【古川】「サラサ」は安定して強いんだけども、「ジュースアップ」との戦いが、今後行われていくんだなとちょっと思いました。

【文具王】投票に行くときに、右利きか左利きかを訊いてみたいですね。

【古川】そうですね。それは、後ほど話しましょう。

【きだて】それにしても、ゲルの票が割れすぎて、ジェットに届かない感が強いですね、これ。

それでもやっぱり一強は続く。絶対王者「ジェットストリーム」

【文具王】1位が「ジェットストリーム スタンダード」で、8位にも「ジェットストリーム プライム 回転繰り出し式シングル」が入っていて、ジェットストリームというボールペンが二つ入っている。「ブレン」はエマルジョンインクですが、一応油性の仲間として考えると、これ以外は全部ゲルなんですよ。

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ジェットストリーム スタンダード(上)とジェットストリーム プライム 回転繰り出し式シングル(下)

【古川】そうなんですよね。エマルジョンインクは、油性のもうちょっと柔らかくなった感じで…。

【文具王】油性と水性とを混ぜたようなものなんですけど。

【きだて】テイストとしては油性寄りですよね。

【文具王】1位はいつも「ジェットストリーム」で、油性のすごいボールペンだと思っていたけど、気が付けば周りはすべてゲルに取り囲まれている状況なんですよ。

【きだて】結局は油性ユーザーが全員ジェットに流れ込んでいるからこその結果なわけで、どこかのメーカーがゲルにおけるジェットストリームみたいなのを作れたら、おそらく戦況はガラッと変わっちゃうわけですよね。当たり前の話だけど。

【文具王】その可能性はあるんですけど、逆に油性は個性が出しにくいから一極集中するんですね。油性はボディの違いは色々あるんですけども、書き心地とかインクの色とかの雰囲気の違いを出しづらいんですよね。それに比べると、ゲルインクのバリエーションの出せ具合がすごい。

【きだて】そうね。

【文具王】やはり、それぞれに違い過ぎる。3位から7位までのペンって、同じゲルとは言いつつも、全く違う個性を持っているじゃないですか。この個性を油性でも出せるようになったら面白いんですけど。

【古川】「ゲルでジェットストリーム的な一強が現れたら」という話は、確かにそうなんですけど、ゲルがここまで個性の違いがある状況が受け入れられている以上、ゲルが一強でこの先何か出てくる可能性はあんまりないんじゃないでしょうかね。

【きだて】考えにくいっちゃにくいですね。

【古川】ゲルは、この多様性みたいなものを保ったまま、ゲルとしての勢力を拡大していくという未来が待っている気がします。

【文具王】だから、油性に多様性が出せるかどうかなんですよね。なめらかなところでは、「ジェットストリーム」とか「アクロボール」とか各社あるじゃないですか。でもその違いは、その他のゲルに比べるとあまりに少ない。となったときに、みんなに一番支持されている「ジェットストリーム」だけが一番強いので。油性にもうちょっと何か面白い変化があってくれると、嬉しいっちゃ嬉しいですね。

第2回目は、注目の「ブレン」を徹底解剖! そして、OKB48に投票した方のコメントも紹介します。

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