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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.87 ブング・ジャムの2024年上半期ベストバイ文具 その1

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、2024年上半期のベストバイ文具をブング・ジャムのみなさんに紹介していただきました。

第1回目は、他故さんのベストバイ文具「フィラーレディレクション 蛍光」です。

(写真左から他故さん、きだてさん、高畑編集長)*2023年11月11日撮影
*鼎談は2024年5月27日にリモートで行われました。

重厚感ある高級タイプの蛍光ペン

フィラーレディレクション1.jpg「フィラーレ ディレクション 蛍光」(ゼブラ)*関連記事

――今回は、皆さんの上半期ベストバイ文具を発表してもらいます。まずは、他故さんお願いします。

【他故】私事ながら、去年の12月からちょっと目を患いまして、細かいものが読めないとか、細かい字が書けないみたいな症状が半年近くあったんですね。おかげさまで一番ひどかった状態を脱して、薬を飲み続ければ全然問題なしというところまで来たんですよ。

【一同】よかった!

【他故】その6カ月の間で、結局一番頼りになったのが、この「フイラーレディレクション」だったんですね。でっかい字でないと読めないっていう状態になっちゃったので。

【きだて】字を書く用として使ったの?

【他故】ちょうど12月から2月ぐらいまで、会社の中のデータベースを1回引っ張り出して、別のデータベースに入れるっていう作業をやっていたのね。それがちょっと特殊で、PDFにしたものを読み込むっていう作業だったんですよ。データtoデータじゃなくて、データをPDFにしたものを業者に用意してもらって、そのPDFを我々が目で見てチェックして、間違いを直して、それを読み込ませるっていう作業。

【きだて】面倒くさいな(笑)。

【他故】そのためには、1回プリントアウトして読まないと分かんなくて。これがまた困ったことに、全然想像できないと思うんだけど、A3の紙で出るんですよ。A3の紙に結構小っちゃい字で出る。それが間違ってるかどうかを一枚一枚チェックするっていうのを3万枚ぐらいやったんですね。

【きだて】ちょっと予想外のケタが出たな。

【他故】4人で手分けして3万枚ぐらいやるっていう。違ってないやつが多いから、見てどんどん外しちゃうのはいいんだけど、見つかったら直さなきゃいけない。その時にほぼ目が見えないので、いろんな工夫をしながらチェックをしていく時でも、自分が書く字が読めないんですよ。普通のペンで書いたら。

【高畑】うん。

【他故】その時に「フィラーレディレクション」を使ってた。今回、蛍光ペンが出たけど、この蛍光と、以前からあるマーカータイプ(下写真)に赤のリフィルを入れてるんだけども、赤で直して、チェックしたところを蛍光ピンクで引くみたいなことを延々やってたんです。
フィラーレディレクション4.jpg

【他故】何が良いって、太い字でインクがダクダクと出て、サクサクと書けて。あと、作業してるときに、重みのあるペンが欲しかったんだなって。

【きだて】なるほど、その点で「クリックブライト」じゃなくて、「フィラーレディレクション」が良かったんだ。

【他故】そう。「クリックブライト」だと軸も細いし軽いから、狙ったところに上手く引けなかったんだよ。

【高畑】文字を書くときも、「ぺんてるサインペン」とかじゃなくて、「フィラーレディレクション」が良かったんだ。

【他故】その方が良かった。何でだろうね? 安定させたい気持ちが強かったのかな。とにかく、この重さで、この太さで書くことですごく助かって。さらに言えば、蛍光ペンが出てくれたことで、チェックする作業が飛躍的に良くなったんですよ。おかげさまで、今は目が良くなって、筆記具は何でも使えるようになったので、本気でメインではなくなったけど、今でも手元にあってちゃんと使ってる。非常に助けられたペンとして、新しく出た蛍光ペンタイプが良かったという話です。

【高畑】蛍光ペンの幅が細いのは気にならないの?

【他故】この細さで全然良くて。このピンクって、僕に言わせると思ったよりも強いピンクで。これが通常の太さだったら、あの時の目だと下の文字が読めなかった。

【高畑】キツ過ぎるってこと?

【他故】そう、キツ過ぎる。字が隠れがちに見えてしまった。アンダーライン的に引けるので、この細さですごい良かった。プリントアウトされてきた紙そのものの字がめっちゃ小さくて、このペンの先っぽで一文字分なんですよ。

【高畑】ちょうどよかったんだ。

【きだて】このチップで1文字分だと、だいたい文庫本の文字サイズぐらいだよね。それA3で出力されるのはきついな。

フィラーレディレクション2.jpg
【他故】別にギッシリじゃないからね。

【きだて】そうじゃないの?

【他故】データベースから引っこ抜くときに、PDFをA3の大きさっていうふうに決めちゃったのよ。だから、文字の量と関係なくA3で出てきたのね。まあ、いろんな諸事情があって、そういう作業を2カ月近く延々とやって。その時の相棒だったということもあって、今回はすごくこれが良かったなっていう。

【きだて】今、手元にちょうど「クリックブライト」があったので使ってみたんだけど、確かにこのピンクは結構キツめだね。

【他故】強いんだよ。なのでこれが通常の太さで引かれていたら、ちょっと弱かった目では逆に読めなかったかもなと思って。

【きだて】それはそうかも。

――手元に同じものがありますけど、結構濃いですね。

【他故】字を書いたりするんだったら、このぐらいはっきり見えた方がいいんですよ。だけど、アンダーラインではちょっと強過ぎたので、この太さで良かったなっていうところです。それで、そんなに簡単にインクなくならないなっていうのが、さすがモイストキープイングだなと。

フィラーレディレクション5.jpg空気中の水分を吸収しキャップがなくても乾かないゼブラ独自のモイストキープインクを採用

【きだて】ああ。

【他故】こっちの赤の方も、もう3年目に入るんだけども、まだまだ現役で使えるので、全然乾かない。

【きだて】俺の「クリックブライト」もだいぶ保ってるな。長持ちだよねこれ。

【他故】長持ちするよね。思った以上に最後まできっちり使えるなっていう。

【きだて】メーカー保証は、50週ぐらいの話だったはずなんだけど。

【他故】結構頑張るよね。

【高畑】ドライアップの問題よりも、インクがなくなるかと思うんだけど、そうでもないってことだよね?

【他故】そう。毎日バリバリ字を書いてるわけじゃないけど、それでもやっぱり頻繁に使ってる方のペンになる。だけど、まだ保っているなっていう。

【きだて】言われてみれば、俺そこそここのブルーブラックで字を書いているんだけど、保っているな、確かに。結構無くならないぞ。

【他故】結構保つよね。キワモノみたいなイメージになっちゃってて、使う人が限定されているような気がしないでもないんだけど、使えば使うほど好きになっていく筆記具だなっていう風に思ってて。

【きだて】「フィラーレディレクション」自体は、言うてもイロモノ枠じゃないの。用途がそもそも特化型だし、バランスもかなり特殊だし。

【高畑】確かにね。

【きだて】正直に言うと、蛍光マーカーのバランスとしては本当にどうよ?というぐらいに線が引きづらかったんだわ。だから、他故さんがそんなにガツガツ使っているっていうのを聞いて、すごい意外だったんだけど。

【他故】まあ、手に合ったとしか言いようがないね。

【きだて】重みを求めていたとか、そういうことであれば納得なんだけど。

【他故】おそらく、重みは必要だったんだと思うよ。これに関しては、安定感みたいなイメージがすごくあるので。

【きだて】特に、視界が制限されていると、ちょっと触覚も変わってくるじゃん。そういうのもあったのかね。

【他故】そうかもしれない。それが手馴染みになって、こうやって目が治った今でも、これは良いペンだなって思ってレギュラーで使っているっていう状態なんだよね。

【きだて】なるほど、状況に合ったんだな。

【高畑】蛍光ペンって、大体ノック式かキャップ式じゃん。そのツイスト式っていうのはどうなの?

【他故】あんまり気にならない。急いで蛍光ペンで引こうっていうシチュエーションはあんまり考えられないので、ノックのように急がなくてもいいっていうのが一つと、別にキャップでもいいのよ、全然。今回これを選んだ理由っていうのは、やっぱ本体の重さだったのかもしれないよね。これがキャップ式だとしても使ったかもしれない。

【高畑】その意味では、それ以外であんまりないよね。

【きだて】だいたい「高級蛍光ペン」というのが、ジャンルとしても初でしょ。

【高畑】他にないよね。

【きだて】ないよ。

【他故】万年筆の本体にハイライターを入れるみたいな、そういうけったいなやつが過去になかったわけじゃないけど。でも、専用のボディってないよね。

【きだて】だいぶ特殊だな。

【高畑】元々の「フィラーレディレクション」だって、サインペンで高級タイプってほとんどないじゃん。

【他故】ないね。

【高畑】だから、やっぱり異色は異色というか。まあ、他に代替がきかないものではあるっていうか。独特の使用感はあるから、ハマるとそれがやっぱり他のとは全然違う良さがあるっていうところなのかな。

【きだて】最初の「フィラーディレクション」は、ディレクション作業するときに、太めのサインペンで指示を出すみたいなお題目があったわけじゃない。

【他故】まあ、そうだね。

【きだて】じゃあ、蛍光ペンは何なの?っていうね(笑)。

【他故】「蛍光ペンは何なの?」って言われると、蛍光ペンはこういう太くて重たくて、何かを指示するようなものに入れなくてもいいよね。

【高畑】だから、できるから作っちゃった系であるのは間違いない。

【きだて】そういうにおいを感じるじゃない。

【高畑】ほら、「クリックカートができました。蛍光ペン作るのは、半分にしたらできるよっていうのでやりました」という、「クリッカート」以降は全部できるからやっちゃった感がすごいあるじゃん。

【きだて】「流れで出ました」みたいな感じなのかね。

【高畑】それのために、胴体をイチから作ったわけじゃないじゃん。

【きだて】まあね。同じだもんね。

【他故】かたちは同じだからね。

【高畑】道具立てとしては、同じものが流用できるというか、その一つではあるからね。「クリッカート」と「クリックブライト」が同じだったからできた話ではあるじゃん、基本的に。

【他故】中身としてね。これに関しては、ちょっと僕自身が今、残念ってことではないんだけども、蛍光ペンのタイプってピンクと黄色があるんだけど、ボディの色は同じで、ほんのちょっとだけ色が付いているのね。

【高畑】ねえ。

【きだて】そうなんだっけ?

【他故】これね。軸の裏にほんの少しピンクとか黄色が付いていて、これが付いているから、中のリフィルを黄色にして使おうって気になれなくなっちゃう。「もう1本買えってか?」みたいな(苦笑)。

フィラーレディレクション3.jpg
【高畑】そこは、どっちも考え方としてはあるじゃん。「分かりにくいから、ピンクと黄色のボディ出せよ」とか「クリップとかに色がついてるバージョン出せよ」っていう意見もあるし。逆に言うと、「中身変えられないよな」っていう話もあるじゃん。

【他故】これ、ボディがピンク色でも買ったと思うのよ。俺はね。

【きだて】とはいえ、ピンクと黄色で高級感出るかというと。

【他故】それはまた別の話で。

【高畑】それだったら、もういっそのこと両方とも一緒でもいいじゃん、みたいな。わざわざ印つけなくてもいいじゃんっていう。

【他故】そうそう。

――2色使う人いるんですかね。ピンクと黄色の両方を持っていて、使い分けしているとか。

【他故】ゼロじゃないですよ。それは絶対ありますよ。でも、これを2本買おうかどうかっていうのはまた別の話だと思うんですよね。

【高畑】だから、俺が2本持っていたら、やっぱりボディの色を変えるんじゃないかな。蛍光じゃないタイプの「フィラーレディレクション」を買って、中身入れ替えるとかにしちゃうけどね。

【きだて】やっぱり、それがベターなんじゃない。

【高畑】どこを狙っているんだ分かんない系のものが出てきて、でも他故さんみたいな人がハマるっていうところが…。ゼブラってさ、この間の「ノックペンシル M-1700」もそうだったじゃん。「どこ狙っているんだよ」っていう感じだけど、持ってみると案外良いみたいな。そこら辺が何かね、不思議なところがちょっとあるな。

【きだて】どこまで狙ったのか分かんない感がゼブラっぽいな。

【他故】本当にそう思う。これを買って、こういう風に2本持って使う未来って、正直去年までは全く想像してなかったからね。サインペンの方は、まあ買って使うと思ったけど、蛍光ペンが出たから喜んで買うなんて思ってもみなかったし(笑)。

【高畑】しかも、それは蛍光ペン用にリフィルが全然違うでしょ。「クリックブライト」と違うよね?

【他故】うん、金属軸。

【高畑】それが何でダメなのか分かんないけど、ゼブラは「絶対ダメ」って言っていて別芯にしてるじゃない。

【他故】ああ、そうだね。

【きだて】でも、軸径が一緒だし、できるっちゃできるじゃない。なにか明かされてないパラメータとかあるのかね。

【高畑】使えるし、乾かないから問題なさそうだし、何がダメかはよく分かんないけど、ダメだって言って別に作っている。そのためにさ、わざわざリフィルも作り変えて、ボディも一応塗装が違うじゃない。そしたら、それなりのロットで出ているわけじゃないですか。なので、他故さんみたいにハマる人っていうのがそこそこ必要なわけじゃないですか。

【他故】まあ、そうだね。

【高畑】もちろん、技術的にできることは「クリックブライト」ができた時点で分かっているんだろうけど。と言ったってさ、市場性としたら結構思い切った商品だなとは思う。「これ作るんだ」みたいな感じはした。

【他故】蛍光ペンを最も使うであろう学生は買わないよね。

【高畑】買わないんじゃない。

【きだて】2,000円の蛍光ペンを買う学生、実家が相当に太いしかないだろ(笑)。

【高畑】「クリックブライト」は確かに線細いけど、ノック式でいっぱいペンケースに入るし、アリだなっていう気はすごいするのね。でも、今回「フィラーレディレクション」にそれを入れたところになってくるとさ。正直、俺も「フィラーレディレクション」持ってるけど、蛍光ペンタイプは買うかって言われると、二の足を踏んで買わなかった。

【他故】ぶっちゃけ、なくても過ごせるじゃんっていうのはあると思う。

【きだて】正直、俺も「買わんでええやろ」という判断でした(笑)。

【高畑】でも、他故さんがそんなに激賞しているところを見ると、1 回はやってみたくなるよね。一応シミュレーションとしては、今持っている「フィラーレディレクション」に「クリックブライト」の黄色とかピンクとかを入れたら、一応できるからね。ちょっとやってみたくなりました。

【他故】そう、シミュレーションはできるからね。

――ゼブラに聞いたら、売れているって言ってましたよ。

【高畑】売れているんだ。誰なんだろうね? やっぱり、高級感がある道具を持ちたいのかな。蛍光ペンって、他のはみんなプラ軸の使い切りのちゃちなものが並んでいるわけじゃないですか。あれが嫌なのかな?

【きだて】とはいえだよ、蛍光のインクってチープじゃん。

【高畑】蛍光ペン自体が?

【きだて】色合いが。出力された成果物がチープなのに、外側だけが高級って、しっくりこないんだよ。

【他故】あーそういうことね。でも、そんなこと言ったらさ、ボールペンだってシャーペンだって、中のリフィルの性能は150円だろうと2,000円だろうと変わらないじゃん。

【きだて】それは分かるんだけど、蛍光ペンは違うっていう気がする。

【他故】俺もほら、「ペンケースから出ているクリップは全部銀がいい」って言って、結局高級筆記具で固めちゃうペンケースを持っていたりするわけで。こういうことしたがる人はいるんじゃないか。

【高畑】それも何か分かる。蛍光ペンの今までのデザインが嫌だっていうのは分かる。

【他故】銀クリップが並ぶ中に1本だけ「クリックブライト」が入っているのは嫌じゃん。

【きだて】まあ、そうだね。

【高畑】「ピグマ」のメタルジャケットとか作ったりしていたじゃん。あと、「ぺんてるサインペン」用の伊東屋のジャケットとか。だから、安っぽいプラ軸の使い切りのペンを持つのは嫌だっていう人がいそうな気がしなくもないな。それは分かる気がちょっとする。

【他故】うん。

【高畑】とはいえ、チェックで黄色い蛍光ペンを使うっていうこと自体は避けられない場合ってのはあるじゃない。そこら辺は、「だったら蛍光ペンも使わないよ」っていうきだてさんの気持ちも分かるので。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】それで行くとさ、ペリカンの万年筆に蛍光インク入れるみたいな、だいぶ偏った感じになるじゃん。

【きだて】でもそれは、分かった上でのお遊びじゃん。やりようとして。

【高畑】まあね。

【きだて】実用とはまた違う次元の話だから、ちょっと別なんだけど。俺も全否定するわけじゃないんだけど、何か心のどこかでしっくりこなさを感じ続けている。

【他故】欲しい人が買うっていうことしか言いようがなくって。いらない人にはお勧めできないんですよ(笑)。

【高畑】分かる分かる。

【他故】例えば、今使ってるペンがあって、「これいいよ」っておすすめするペンと、「いや別に、これは僕も便利で使っているだけなんで」っていうスンとした感じがあって、これはどっちかというとスンとした感じのペンなので(笑)。

【高畑】その感じでいくと、中間が欲しいっていうか。前のピグマみたいに重くはない、太くはないけど、メタル軸とかの蛍光ペンが欲しいなっていう気持ちはした。それもあるなっていう気がしたよ。蛍光ペンって、どれをとっても安っぽいじゃんというのはすごいあって、ここはやっぱり、メタル軸のリフィル式の蛍光ペンがあってもいいなという気もちょっとするんだけど。インクの色とかも、いわゆる蛍光ペンじゃなくて、「マイルドライナー」が好きなんだけど。ちょっとだけ気が利いた色にしてあるインクが入っていて、メタル軸にしてあるとカッコいいなという気がしなくもないので。確かに、しっかりした蛍光ペンがないなとは思う。

【他故】そういうタイプの趣味性が出てきても、おかしくはないなと思うね。Tooが出している、金属軸のミリペンがあるじゃない。文具王がよく使っているやつ。

【高畑】「コピック マルチライナー」だ。

【他故】ああいうようなタイプで、中のインクを、例えば「マイルドライナーのもと」みたいなのから補充できるようなのがあっても全然いいよね。

【高畑】確かにね。この3人の「これは許せるけど、これは許せない」がだんだん違ってきている感じがあって。俺はさすがに、普段使う蛍光ペンでそれは重いなと思うんだよ。だから、多分普段使いで「フィラーレディレクション」の蛍光は使わねないなと思っていたんだけど、いやむしろもうちょっとシュッとした、細くてもうちょい軽いやつなら。あれ結構重いでしょ。30g近くあるんじゃなかったっけ? 20gは超えているよね?

【他故】20gは超えているんじゃない。

【高畑】それぐらいの重さがあったはずなので、だからちょっとそれは重いなと思っていたから。15gぐらいのちょっと軽いというか、しっかりはしているけど重くないみたいな感じの重さの蛍光ペンで、カートリッジ交換とかリフィル交換とかできればいい気もするなぁという感じがしましたね。まあ、この3人でも、これだけ意見が違うんだからね。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】その上で、さらにそれが売れているっていうのが不思議だなと思って。

【他故】やっぱり、私みたいな人がいるんですよ。

【高畑】それが、重さで売れているのか、見た目のカッコよさで売れているのか。カッコよさで売れているんだったら、もうちょっと軽いやつを出してもいいなって気もするし。

【きだて】パイがあるのであれば、もうちょっと工夫の仕様はあるわな。

【高畑】もっと広がってもいいよね。だって、今シャーペンが高級化したじゃない。 それで、ボールペンは前から高級ボールペンあるじゃないですか。それを考えたら、マーカーペンで高級な物が出てきても悪くはないよね。

【他故】悪くはないよ。

【きだて】そういう意味で、ゼブラが「フィラーレディレクション」じゃない、新たな高級な蛍光ペン出すのはアリかもしれない。やっぱり「マイルドライナー」が強いんですよ。高級さと「マイルドライナー」の色って、マッチングかなりあると思う。

【高畑】確かにね。場合によったら、「マイルドライナー」のカバーみたいなので、それこそ「ピグマ」みたいにすっぽりハマるぐらいな感じで、メタル軸にしてキャップだけ変えてあげるぐらいの感じでも全然アリな気もするし。

【きだて】「サラサグランド」に対する「マイルドライナーグランド」ブランドがあってもいいよね。

【他故】そうだね、全然アリだよね。

【高畑】ただただ、これがメタルになってくれたらそれでもいいなと。それで、「フィラーレディレクション」の蛍光のピンクとイエローの結構きつい感じあるじゃないですか。最近は、ちょっと柔らかい方が好きなので、そういう意味でいくと、そっちのリフィルもそういう色作ってよって気がするな。もうちょいくすんでいる感じとかさ、もうちょい弱い感じっていうのが出てくれてもいいのにね。

【きだて】これを普通に買える世代の人間にとっては、このインクはきついんだよ。もうちょっとお年寄り向けにしていただきたい。

【他故】もうちょっとお年寄りに優しい色にしてほしい。

【高畑】ちょっとチカチカするよね。

――モイストキープインクだから、「マイドライナー」的な色が出せないとか?

【高畑】そんなことないじゃん。「クリックブライト」はめっちゃ色あるじゃん。

――ああそうか。

【きだて】「クリックブライト」であれだけ色が出せるからいけるでしょうよ。

【高畑】どうしてもできないかっていうと、そういうこともないかなって気がするよね。

――じゃあ、色々出そうと思えば出せるんですね。

【他故】いけると思いますね。次はそれに期待ということで。

【高畑】そのうち、木軸蛍光ペンとか出るんでしょ?

【他故】ははは(笑)。

【きだて】木軸蛍光ペン職人が。

【高畑】出てくる可能性はあるけどね。まあ、でもいいんじゃないですかね。そういうバリエーションも考えると、可能性をちょっと感じたな。

【他故】関心のある方は触ってみてください。

【きだて】触れるところがないけどな。

――高級ペンですからね。

【きだて】とはいえ、2,000円ぐらいだからいいのかな。

【高畑】ギフトもアリだしね。

*次回は「マグネットレターカッター」です

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/

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