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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.36 春の新生活にオススメの文房具教えマス!(その2)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんに、春の新生活でおすすめの文房具を紹介してもらいました。

第2回目は他故さんが紹介した「WORKERS’BOX WIDE」です。

写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん

*第1回目はこちら

部屋がスッキリ! 見た目もカッコいい! ビジュアル系収納ボックス

他故1.jpgWORKERS’BOX WIDE」(ハイモジモジ)


――では、他故さんお願いします。

【他故】僕も、実際に一人暮らしを始めたあとに、一番困ったことは何かというと、とりあえず整理が下手なんですよ。

【高畑】ふむ。

【他故】書類関係を後で何とかしようと思って、クリアホルダーに入れて、それを棚にズバズバ入れちゃうという悪いクセがあるんですけど、これがかなりグッチャグチャなんです。

【きだて】はいはい。

【他故】後で見ようとか、これは取っておこうとか、後でスキャンするから取っておくとかやってても、中身をあまり見なくて、ただしまっちゃうことが結構あるんですわ。

――はあ。

【他故】ただ、そこにあるものは、多分ここ10年ぐらいでは何らかの可能性で見返す必要があるかもしれないというぼんやりとした思いで溜まっていったものなので、一気に「えいやっ」といって捨てるわけにはいかない。

【きだて】一人暮らしを始めると、今まで得たこともないような書類を管理しないといけなくなるんだよね。

【高畑】ある。電気とかガスとかさ。

【他故】重要なやつもあるし、そうじゃなくて、自分の趣味の範囲ではあるんだけども、何か捨てたくないものもあって、すごく紙が増えてしまう。

【きだて】そうなんだよね。そのケアって、結構性格が出るというか。

【高畑】出るね。

【他故】僕もすごく大雑把で、「ここにある」という状態にするしかないのね。「この棚に絶対にあるはずだ」と、「この棚からは絶対に捨てない」みたいな。

【きだて】ザックリ、最低限の分類だ。

【他故】そういう棚が3つくらいあるんですよ。徐々に減らしていかないといけないんだけど、その棚が4つ目になりそうなヤバイ状態で(笑)。

【きだて】わはは(笑)。

【他故】若い頃の自分に教えてやりたい。細かく整理するのは無理でも、大雑把に整理する道具は、今ならあるぞと。

【きだて】なるほどね。

【他故】今回、「WORKERS'BOX」にワイドが出たので。スリム幅のやつは、正直そこまで活用できてないんですよ。プロジェクト云々でとか細かいことをする人じゃないので。元々そういうのが苦手くさかったんですが。ワイドを買ってみて、まず何が良かったかというと、クリアファイルの単位でまずガバガバ入れちゃう。

――はい。

【他故】とにかく入れちゃう。「このジャンル」といってまず入れちゃって、並べちゃうんですよ。

【高畑】うん。

【他故】4、5個一気に買ってね。まあ、きれい。

【きだて】そもそも他故さんは、山根式袋ファイルの信奉者なわけじゃない。

【高畑】僕もやってた。

【他故】山根式袋ファイルの場合は、インデックスが見えていて、それがじょじょに増えていくというかたちが、ベストだったわけだけど。インデックスが見える・見えないという以前に、中身を整理することすらできないファイルがいくつかあって、それに関しては、クリアホルダーなんで中がチラッと見える。例えば、これは息子関係とか、これは自分の文房具関係とか、そのぐらいの大きさにはなっているので、それをここに一気にガッと入れちゃう。

【高畑】それで、「息子関係ボックス」とかみたいな感じなの?

【他故】だから、大雑把な分け方をして、まず入れちゃう。それで、スッキリさせておいて、結果的に「ここにある」と分かっていて、それで「これは何ボックスだったかな」といって初めて見られる。

【高畑】ふむ。

【他故】ぐちゃぐちゃではなくなる、というかたちにしたいというのがあって。それについて、僕は今ものすごく助かっているんです。

【きだて】ワイドになったことで、「とりあえず入れておこう」という楽な入れ方ができるようになったのね。こんだけの容量になったから。

【他故】前のやつだと、「このプロジェクトにはこれ」という決め打ちっぽいカッコよさはあったんだけど、ちょっとそこまでではないというか(苦笑)。

【高畑】薄いのでやると、結果的に薄いのがすごい数になるから、入りきらなくなるよね。分類が細かくなるから。

【きだて】例えば、「息子1」「息子2」「息子3」みたいな増え方をしちゃうわけじゃない。

【他故】結果的にね。

【高畑】その中でも、「息子のナントカ関係」っていうタイトルを付けちゃうと、それ以外入らなくなるから、案外場所はとるよね。

【他故】もっと大雑把なのが欲しかった。でも、できれば中身の整理は後回しにしたいというときに、非常に良いものが出たなと(笑)。

【きだて】ひとまず目をそらす、という整理メソッドだ。

【他故】それで、これが並んでいるとカッコいいんだ、これが(笑)。

【高畑】っぽく見えるよね。

【きだて】分かる。

【他故】お客さんが来たときにも、友だちを呼んだときにも恥ずかしくない部屋が作れるよ、というのも含めて、一人暮らしを始める人にはこういうものもあるよということで。

【高畑】「バンカーズボックス」だともっと入るけど、あれだと入り過ぎちゃうのかな?

【他故】入り過ぎちゃうし、結局それを積んでおくと、下になったものを取り出すのがすごく嫌になるだろうから。

【高畑】立てておくというのが大事ということか。

【他故】そう。この状態で立てておくというのが、僕の整理法ではベストみたいで。


【高畑】それで、必要な箱を抜いて取れるから。

【他故】そう。この状態で抜いて取れるから。中身については、バラバラだったとしても、この4つの箱のうちのどれかに入っているという安心感があってほしい。

【きだて】はい。

【他故】引っ張り出せばすぐに見られるし、結構丈夫だし。

【きだて】一人暮らしを始めたときは、書類の在処を絶対に明確にしておかないといけないし。

【他故】そうそう。

【きだて】家を借りるための賃貸契約書とか。雑な人だと、いざ引っ越ししようというときに、契約書がなくて慌てるとかあるんだから。俺ですけど。

【他故】あるある(笑)。

【きだて】あとは、家を借りたときに付いている家電、エアコンとかガス台とか、あの辺のマニュアルとかも意外と要るよ。

【他故】あ~そうそう。

【きだて】それを、きちんとひとまとめにしておくことは、すごく大事。

【高畑】今だと、光回線のどこだっけかなとか。アップデートするときに、契約を切り替えると安くなったりするじゃん。そういうときに、「どういう契約ですか」とか訊かれたときに、すぐに思い出せないじゃん。

【きだて】インフラの契約って、分からなくなるんだよね。

【高畑】最低でも、電話と電気、ガス、水道、家の契約書なんかは全部入れておく。あとは年金手帳とかも、こういうのに入れておいた方がいいよ。

【他故】とりあえず、紙で持っているものは、一通りここに入っているという状態にしておいた方がいいね。

【きだて】そうだね。一枚の紙ペラならともかく、家の中でこのサイズの箱を紛失することはまずないだろうしね。大事なもの入れボックスは作っておくべきだよ。

【他故】そうだね。それはすごくよく分かる。

――それで、その背表紙のところにタイトルを書いておくんですね。

【他故】書いて整理したい人はそれでもいいですし、今のところ僕はこれを4個しか持っていないので、そこまではやらないですけど、増えてくればそうすればいいと思います。直接書くのが嫌だったら、さっきの養生テープでもいいですけど。

【高畑】あとは、全面のりふせんとかを貼っておくとかね。養生テープだとはがれちゃうかもしれないので。

――上手いタイトルを付けないと、せっかく本棚に入れているのに、台無しになっちゃう(笑)。

【高畑】そうなんだよね、カッコよくするのは難しいんだよ。

【他故】難しいですよね。しょうがないから、ワープロで打った文字を貼っておくという、30年ぐらい前のやり方をもう一回やるとか。

【きだて】テープインデックスみたいなやつを(笑)。

【高畑】だから、あえて「ダイモ」みたいなので貼ったりするわけじゃん。

【きだて】小洒落やがって(笑)。

【他故】ダイモの字じゃ、よく見えないからな。

【きだて】インレタ貼れば。

【他故】インレタいいね(笑)。

【高畑】インレタ久しくこすってないね。

【他故】そういう趣味的なことも含めて、ちょっとカッコよくしたいなというのも、こういうので簡単にできるので。

【高畑】「タイトルが決まらないときは、あとではがせるテープで貼るといいよ」と公式ホームページに書いてあるよ。3Mの「あとではがせるテープ」で貼っておいて、そこに油性マーカーでとりあえず書いておけば、後でそっとはがせるよと書いてあるので。ああ、なるほどね。

【他故】そうそう。

【高畑】側面にも日付と中身が書けるようになっているから、ものによってはそこに書いてもいいかもしれない。

【他故】決め打ちで、これは○○ボックスと書いちゃっていいと思う。さっき言っていたような、「命の次に大事なものボックス」みたいに。

【高畑】これ1個いくらだっけ?

【他故】いくらだろう? 俺は早割で買ったので。799円か。

【高畑】他故さんは、そういうので早めに持っていることが多いよね。

【他故】でも、使ってみたいと思うものに限られるけどね。たまたかもしれないけど。これについては、スリムなのはカッコよかったけど、自分には合わなかったので、ワイドなのを待ってたというのが正直なところだから。

【高畑】願うのは、発売したからには、死んでも続けてほしいということね。

【きだて】終わるなっていう。

【高畑】こういうのをやるときは、1個や2個じゃなくて、他故さんのように4つまとめて買うとか、多少数があった方がいいよ。

【他故】そうね。

【高畑】あと大事なのは、家を借りた場合は予備のカギがあったりするわけですよ。そういう不定形なやつを入れて、とりあえず四角にできるというのが結構大事。

【他故】そうそう、分かる。立体物が入れられるというのがね。

【高畑】多少なら入るじゃん。あと、一人暮らし始めたときに買う棚は、事務用のものでいいんだよね。

【きだて】そう。

【高畑】あれ便利なんだよね。規格がしっかりしているから。これ、A4ファイルなんかと同じような感じでしょ。

【他故】そうね。ほぼ同じ。

【高畑】そういう棚に置けるとなると、定形サイズにしていくのは、結構ありだよね。

【きだて】さっき、文具王が予備のカギを入れるという話しをしたじゃない。そういう小物系をこういう箱に入れるときって、例え1個しかなくても、ジップロックみたいな袋に入れて収納しておくべきなのよ。

【高畑】お~、なるほど。

【きだて】こういう箱で物を出し入れしていると、カギみたいな小さいものは、コロンとどっかへ行っちゃったりすること、あるじゃない。とりあえず小さな袋でも入れておくと、意外と不注意による紛失って防げたりするんだよね。体積を上げて目立たせる的な話で。

【他故】ほぉ~。

【きだて】例えば、「WORKERS'BOX」だと、このフタの内側に袋を貼っておくとか。

【他故】貼っちゃうといいよね。

【高畑】マステで貼っておけばいいわけだからね。

【きだて】そういうやり方をしてでも、不定形のものは袋に入れる。

【高畑】「WORKERS'BOX」は、一応内側がクリップボードみたいになってるんだよね。

他故3.jpg
【他故】ここね。紙がはさめるよね。

【高畑】1枚紙がはさめるから、例えば入っているものリストをそこに貼っておくとか、そういうのもできるし。

【他故】そうね。細かいものをどんどん更新していくときに、はさんでいる紙を新しいものに替えていけばいいしね。細かくやりたい人は、そういうやり方でもいい。

【きだて】まあ、そういうのは、最初に思ってもできないものだから(笑)。

【他故】まあ、まあ(笑)。

【高畑】あと、小物がコロンと出ないように仕切りが付いているんだよね。

【他故】これね。

【きだて】その辺は気が利いてるよね。

【他故】これ、すごく利いていると思う。

【高畑】そういう「命の次に大事なものボックス」は、ちゃんとしておいた方がいい。

【他故】紙で取っておきたいもの、多少立体でも取っておきたいもののために、こういうものを何個か用意しておいて、さっきも言ったけど、並べておくとカッコいいから。

【高畑】僕はこれ使ってないけど、知り合いだと旅行に1回行くと1箱作るというのをやっていて、そういうのもありかな。海外旅行に行ったときのお土産を、これに入るだけにしてしまうとか。

【きだて】あ~、それは面白そうだ。

【高畑】このくらい厚みがあると、パンフレットなんかも入るんだけど、買ってきた小っちゃい小物なんかも入れておけば。そういうものが乱雑にね、家のあちこちに行くわけですよ。そういうのを1個にまとめましょうという。

【他故】もらったキーホルダーだね。そういうの置き場所がないんだよね、正直に言えば(笑)。

【高畑】定形化できて、立てておけるというのはいいね。

【きだて】大事なことですよ。

【他故】紙の質感もいいので。それで、古くなったら捨てられるというのもいいから。

【きだて】さっき、まとめていくつか買った方がいいという話をしたけど、一人暮らしを始めてお金がないんだったら、とりあえずこれ1個買っとくと、まあ助かるよという。

【他故】“超大事なもの箱”から始めよう。

【高畑】そこから始めて、あとは販売し続けてくれるように。

【きだて】そこは祈るのみなんだけど(笑)。

【他故】まあ、売れ続けてくれれば、売り続けてくれると思うんだけど。

【高畑】買い続けていけばね。

――まあ、似たようなものがありそうで、ないんですよね。

【高畑】そうですね。薄いやつはファイルボックスでないわけじゃないんだけど、このサイズ感は割といいかな。

【他故】まあね。

【高畑】あとは、他故さんが言ったように見た目だよね。それっぽくカッコよくなるというのは、外から人が来て見られるところ、SOHOみたいな小さなオフィスやってますよというところとか、お客さんが割と来ますよというところで、カッコ悪いのも何なので。

【他故】そうだね。

【高畑】そこは割とそれっぽくなる。

【他故】こういうのもあるということで、ぜひ使ってみて下さい。

次回は文具王がおすすめする「サラサグランド」です。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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