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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.36 春の新生活にオススメの文房具教えマス!(その3)
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんに、春の新生活でおすすめの文房具を紹介してもらいました。
第3回目は高畑編集長が紹介した「サラサグランド」です。
(写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん)
*第1回目はこちら
*第2回目はこちら
社会人デビューにぴったりのボールペン
「サラサグランド」(ゼブラ)
――では、最後に高畑編集長お願いします。
【高畑】僕は、普通に筆記具なんですけど、ゼブラの「サラサグランド」。新色がこの間出たのね。ヴィンテージカラーのモデルが出て、ヴィンテージカラー全部の軸が出たんですけど。要は新社会人で、学生のときに「サラサクリップ」を使っている人が異常に多いわけですよ。かなり多い。それで、シャープペン文化からボールペン文化に、社会人になった途端に変わるわけですよ。
【きだて・他故】うん。
【高畑】じゃあ、それまでに使っていたボールペンはないかといったら、実はあるんだけど、「スタイルフィット」みたいなカスタマイズペンを使っているか、サラサのどっちかというのが結構多い。それは「OKB48」なんかをやっていてすごく思うんだけど、若い人のゲルインクボールペンの使っている量というのはすごく多い。
【他故】はい。
【高畑】その人たちが社会人になったときに、「良いボールペン持ちましょう」というのは確かにあるんだけど、いきなり何万円もするボールペンというわけでもないし、その必要もないかなと僕は思っていて。そこで、今まで使い慣れてたサラサを、グランドに買い換えるのは、俺はアリかなと思う。
【きだて】社会人になってから5、6年もすれば、それこそ開き直って普通の「サラサクリップ」でもいいかなとなるんだけど、社会人1年目の気合の入ったときって、意外とこういうの気になるんだよね。
【他故】分かるよ。
【高畑】段々とだらけてくるのは分かるんだけど。いや、俺らもそうだからね。
【きだて】そのうち、「100円サラサで問題ないわ」って気付くんだけど。
【高畑】いや、最初の気持ちは大事じゃないですか。ちゃんとしたいというのもあるけど、使い慣れていない高級ボールペンを急に買っても、それが板に付かないというのがあるじゃないですか。
【他故】まあね。
【高畑】その中で、これまで使ってきたサラサをちょっとだけアップグレードするんだけど。まあ、値段的には10倍もするんだけどね。
【きだて】サラサの10倍ね(笑)。ぜんぜん安いわ。
【高畑】造りとかは全然良くなっているんだけど。それでも1,000円だし、かといって安っぽいかというとそんなことは全然なくて、特に今回出たヴィンテージカラーのは、外観もすごいきれいになった。
【きだて】そうなんだよね。色も穏やかでカッコいいんだよね。
【他故】めちゃめちゃきれいだよね。
【高畑】新社会人がグッチやエルメスを使う必要はないので。今まで使っていたサラサが、そのままシフトできるというのは重要かなと思っている。
【きだて】見た目もサラサのデザインを踏襲して、かつ金属軸なんだよね。
【高畑】そこ大事。
【きだて】だから、違和感が少ない。
【高畑】それまでシャープペンとゲルペンを使ってた人が、例えば急に「ジェットストリーム」になった場合。それまで油性ボールペンを使ってた人ならば、「お~軽くて書きやすい」となるんだけど、きだてさんが前から言っているやつですよ、「急に低粘度油性に振ったときに上手に文字書けない派」の人たちがいっぱいいると思うんですよ。
【きだて】そうそうそう。
【高畑】だから、サラサとかゲルを使ってた人は、そのままゲルでシフトした方がいいんじゃないのかなと思うんだよね。
【きだて】ただ、今まで水性やゲルでいい感じのものが少なかったという問題はあるじゃん。
【他故】意外となかったんだよね。
【高畑】各社一応あるんだけど、その中でノック式でわりかしちゃんとしてて、割とリーズナブルなもの。2,000クラスになると出てくるんだけど、いいボールペンになるとすぐ回転式になるんだよ。
【他故】あ~、ノックじゃなくなっちゃうんだよね。
【高畑】あれ、結局使いづらいんだよ。最初は、思い立ったらすぐにメモが取れるのが大事なので。もちろん、多色も必要なのかもしれないけど、単色ボールペンのまあまあちゃんとしてて、使い勝手もよくてと色々と条件を絞ったときに、これは1,000円で買えるんだから、これはアリかなと。
【きだて】今は、自分の愛用していたゲルペンのハイグレードバージョンというのがさ、サラサもあるし、「エナージェル」もあるわけじゃない。
【他故】そのままスライドできるっていいよね。
【高畑】でも、「エナージェル」は回転式になるじゃない。
【きだて】ああ、そうか。
【高畑】ちょっと使いづらいと思うと、やっぱねサラサは偉い。だって、クリップだってちゃんと可動式だしさ。
【他故】そうそう。
【高畑】ここら辺がちゃんとサラサっぽいのがいいよ。これは手帳に合わせて色を選んでいいし。あと、今回ヴィンテージカラーをおすすめしたいのは、もちろん黒ペンありなんだけど、せっかくだから春から気分を上げて、ちょっとヴィンテージカラーでブルーブラックとか、ブルーグレーとか、ボルドーいってみるとか。
【きだて】学生さんで、ノートを取るときにボールペン派の人って、まあ黒が一番見やすいわけだけどさ、こういうブルーブラックとかダーク系の色は大人な感じがしていいよね。
【高畑】カッコいいじゃん。俺だって普通にそう思う。そこら辺のオシャレも楽しんでほしいし、提出書類は黒じゃなきゃダメという人もいるけど、自分の手帳に書く分にはいいんじゃないか。かと言って、中高生のときに使っていたようなペンのピンクで書くかというと、そこはやっぱり違うと思うんですけど。
【他故】落ち着きのある感じがいいよ。
【高畑】ここら辺がいい線だと思うんですけど。
【きだて】俺は、前の「サラサグランド」にヴィンテージカラーを入れてたから。
【高畑】わざわざ入れて使ってたよね。
【きだて】なんだけど、今回ヴィンテージカラー軸が出たのはすごく嬉しいんだ。
【高畑】ほら、見たまんまの色が出るからさ。
【他故】それが一番だよね。
――これは、ボディーはみんなマット調になってるんですか?
【高畑】そう。これもまた良いと思うんですよ。他の「サラサグランド」にもいろんなカラーがあって、そっちを選んでヴィンテージのリフィルを入れることもできるので、そこは選んでもいいと思うんだけど、今回の落ち着いた感じは、大人っぽさもあるし、何より安っぽく見えない。
【きだて】これは1,000円には見えないよ。まあ、3,000円か5,000円かなくらいに言ってもらえる見た目じゃない。
【高畑】わざわざ相手は値段のことは言わないにしても、安っぽいペンで安っぽくやっているという感じはないので。あとは、しっかりした表紙の手帳とかを持ってくれると、いい感じかなと思うんですよ。
【他故】これだと、スーツの胸ポケットに入れてても恥ずかしくないしね。
【きだて】そうだね。
【他故】男性でも全然問題ない。男女関わりなく両方使えるってすごいね。
【高畑】前のは割と女性を意識した明るいカラーで、男性が持つと割と明るくて目立ってたんだけど、今回のは男女関係なく持てると思うんですよ。
【他故】男女どちらでも持てるよ。いいよね。
――金具が金色ですね。
【高畑】この金色もあんまり下品にならないところで、この金色は良いと思うんだけど。
――ヴィンテージカラーに合ってますよね。
【きだて】穏やかな色で、あまり下品にならないから上手いよね。
【他故】よくできてるな。
【高畑】これは、1,000円ペンにしてはすごい全部のパフォーマンスが高いというか、書き心地はサラサだから安心感があってめっちゃ書き心地は良いし、ボディはきれいだし、ノック式で便利だし。1,000円ボールペンのカテゴリーの中では、めちゃくちゃコストパフォーマンスが高い。
【きだて】それは思うね。
【高畑】前のモデルの軸もすごくキレイなんだけど、今回の新色を見てしまうと、すごくいいなと思う。
――「サラサグランド」を持っている人は世の中にいっぱいいると思いますけど、これを見たらこっちを買いたくなるでしょうね。
【高畑】買いたくなる。
――持っていても、買い足しするでしょうね。
【高畑】もちろん、本人もそうですけど、新社会人になるという人に対して、1,000円という価格帯なのでちょっとしたプレゼントとしても。もちろん気合い入っているプレゼントは別としても、1,000円とは思えないいい感じなので、これと小さい手帳やノートを組み合わせてギフトにするというのも全然ありなんですよ。
【きだて】だと思うね。ただね、今はもらったものすぐにググっちゃうから、値段はすぐにバレちゃうけど(笑)。
【他故】いいんだよ、値段以上の価値があるんだから。
――お値段以上だから(笑)。
【高畑】もらって困らないもの。
【きだて】そう、確かに、もらって困らないよ。
【他故】これだったら、社会人とも言わずとも、高校の入学祝いでも、ちょっと背伸びした感じでいいんじゃないかな。
――ああ、いいでしょうね。
【きだて】実際に、知人のお子さんの高校の入学祝いで贈りました。
【高畑】そのぐらいがいいかも。
【他故】ちょうどいい感じだよ。
【高畑】大学や社会人になってプレゼントで1,000円だと、もうちょっと頑張ろうかなと思うんだけど、中学や高校だとそういうのはアリかな。
【きだて】知り合いの子どもにあげるのに、あまり高いものをドーンというのも、何か相手の親に申し訳ないなというのがあるので。
【他故】それはそれでちょっとね。
【きだて】だから、気軽なプレゼントとして全然使えるので便利。
【高畑】まあ、本人が使っても全然いいので、ぜひ使ってみて下さい。
――これは一人で何本も買っていくでしょうね。
【高畑】ハマると買っていくと思いますよ。まあ、いいペンなので。
――ギフトにもおすすめということで、ありがとうございました。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。
弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。最新刊の『ブング・ジャムの文具放談6』も発売。
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