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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.39 ブング・ジャムおすすめのテレワークに便利な文房具(その3)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、テレワークにおすすめの文房具を紹介してもらいました。

第3回目はきだてさんおすすめのオルファの開梱用カッター「カイコーン」です。

写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん *2019年12月撮影

*今回の鼎談は5月25日にリモートで行いました。

様々な開梱シーンに便利!


カイコーン」(オルファ) あらゆる業界の作業場において発生する開梱作業をより安全なものにする開梱用カッター。刃が全体に露出しておらず、手や指に触れにくいので、ケガをする心配が少ない。替刃交換を必要としない使い切りタイプなので、交換時に起こりやすいケガの心配もない。また、硬度をあげることによって一般的な刃(炭素鋼)に劣らない切れ味を実現したステンレス刃は、錆びにくく、水洗いも可能。

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――最後はきだてさんですね。

【きだて】やっぱり、加速度的に通販を使う比率が増えているわけですよ。買い物に行けないから。

【他故】ああ、そうね(笑)。

【きだて】ただでさえ、通販の荷物が届かなかったという日がほぼほぼなかった状態から、確実に毎日2個以上の何かが届くという。

【他故】毎日2個以上(笑)。

【きだて】もう、そういう状況になっちゃってるわけですよ。

【高畑】ふむ。

【きだて】最近は中国からも通販で荷物が届く状況に戻って来たので、いろいろと買うものも増えてきたりね。で、そういう機会だからオープナーの類をあれこれ徹底的に試してるんだけど、結局のところ「カイコーン」がいいかな、という結論です。

【他故】はいはい。

【きだて】ダンボールの開梱だけなら、ミドリのダンボールカッターがいまだに秀逸なんですよ。ただ、流通コストの削減もあってか、ダンボールじゃなくて硬めのマチ付き封筒だったりもあるわけさ。

【高畑】タイベックの封筒とかあるよね。

【きだて】最近はヨドバシカメラなんかだと、例えばペンを1本買うと、それを厚紙にはさんで、それをフィルムでシュリンクしてという。

【他故】あ~あるある!

【きだて】あれも切り口はあるんだけども、その切り口から上手く開けられないこともあって、結構ねイラッとくるんですよ。

【他故】ほう。

【きだて】あとはレターパックみたいなのもあるしで、ダンボールをうまく開けられるだけじゃ追いつかないぞ、という現状なんだよね。

【高畑】お~。

【きだて】そういう多様な荷物スタイルにいちばん確実に対応できるのって、「カイコーン」じゃないかなと思うんだ。

【高畑】うん。

【きだて】それこそ、レターパックのフチの部分をテープでガッチガチに留めてあっても、角っこをこれでスパッと切り落として、またそこに引っかけを入れて、スルッと切るとか。

【他故】おお、なるほど。

【きだて】さっきのヨドバシカメラのフィルムシュリンクの厚紙も、端っこをこれで刺して、このまま引き切れば簡単に開くし。

【他故】うん。

【きだて】あとは、海外からの荷物によくある、ラップでグルグルとミイラみたいになっているやつも、スパーッと切れる。

【他故】はいはい。

【きだて】結局のところ、オールマイティーだなということに気が付きました。

【他故】なるほど。

【きだて】ただ唯一、普通にダンボールを開梱するためのとがった先端部分。ここがプラ製だから、そんなに気持ち良く梱包テープに刺さらないんだよね。あれは良くない。「カイコーン」ってかなり安いから、仕方ないかもなんだけど。

【他故】そうね。

【きだて】だから、いっそ1本1,000円以上したっていいから、この先端を金属化するとか、セラミック刃にするとか、そういう「カイコーンPRO」をオルファが出してくれないかなと思って。

【高畑】「カイコーン」って使い捨てじゃない。その刃の部分がさ。「カイコーンPRO」になると、その刃も交換式になるのかな?

【きだて】うーん、できればそのほうがいいけど。

【高畑】今のところ、「カイコーン」の使い捨ての刃はどうなんですか? 切れなくなってたりしない?

【きだて】そうそう、もうこれはすでに3本目だね。

【他故】ほう。

【きだて】テストする用に大量のシュリンクフィルムを厚紙ごと切ったりとか、無茶な使い方をしてるせいか、刃が悪くなるのが早くて。

【高畑】ああ、そうなの。

【きだて】そういう硬めのものを切るのが多いのと、あとは粘着物がちょっと付いちゃうよね。

【他故】あ~そうね。

【きだて】水洗いできますといっても、こんな細い刃のすき間を水洗いしても、そんなにきれいに落ちるわけじゃなし。

【他故】うん。

【きだて】だから、切れ味が落ちたなと思ったら、安いものだからポイポイと交換してやってますよ。

――「カイコーン」の新色(下写真)が出ましたけど、10本入りで売っているんですよね。

カイコーン0.jpg

【きだて】やっぱり、ヘビーに使おうとすると、そのくらいは必要になってくるんだろうね。一般家庭ではないだろうけど。

――まあ、業務用ですけどね。

【高畑】そこが、「もったいない」となって、つい長く使ってしまうと切れなくなるから。僕がよく、「刃を折らないとダメだよ」と言っているけど、刃が交換できるカッターと違うので、予備を買っときましょうねということなんだよ。

【他故】そうだね。

【きだて】最初のうちはダンボールもフィルムもスパーッと引き切ってたのが、ふと気がつくと引っかかるようになったりして。だから、作業中に「ん?」て思ったらもう替え時!という感じで使った方がいいかな。

【他故】うん。

【きだて】まあ、裏表で刃を変えて使えるので、行けるっちゃ行けるんだけどね。

【高畑】ひげそりみたいな感じだよね。

【きだて】なんにせよ、刃物はダラダラと使ってちゃダメだよね。

【他故】そうだろうね。

【きだて】とはいえやっぱりツールとしては優秀だよ。ただ、何度も言うけど、このダンボールの合わせ目に差し込む先端だけが、やっぱりよろしくない。

【高畑】もうちょっと切れ味が欲しいという感じですかね。

【きだて】そう。というか、もうちょっと先端を薄くしてほしいの。このままだと、梱包テープを切り裂くという感じにはならないんだよね。ズブッと差し込むときに結構力が要るので、ここがもうちょっと切れ味よくしてくれたらいいなと。

【高畑】うん。

【きだて】まあ、安全性とか色々と考えてのことだとは思うんだけどね。

【高畑】刃は触れないように、上手く隠してあるよね。

【きだて】そうそう。金属刃はね。

【高畑】握っても、刃が触れることはないし。

【他故】そうそう。ここに指が入らないからね。

【きだて】あとね、意味の分からない表面のモールド。何か、妙に未来メカっぽいやつ。これは必要?っていう(笑)。

【高畑】それは、オルファの「Xシリーズ」のかたちなんでしょ?

【他故】そうだよ。これ、Xになってるんだよ。

【きだて】あっ、そういうことなのか。今まで気付いて無かったわ。

【高畑】あれの簡易版ということなんだよ。だから、PROにしたら、そこがラバーになるんだよ。そこが黄色と黒になるんだよ。

【他故】あははは、そうだね(笑)。

【きだて】そこが黒のゴム引きになるんだね。

【高畑】そうそう。より滑らなくなるんじゃない。

【他故】これは安いからゴムじゃないんだ。

【高畑】このかたちは、昔の「勇者ラインディーン」ぐらいに出てきた敵ロボだよね(笑)。

【きだて】(爆笑)分かりづらい。

【高畑】昔のロボットアニメに出てくるザコキャラみたいな。

【他故】わはは(笑)。

【きだて】何となく分かる(笑)。

【高畑】三葉虫とかそんな感じの、ちょっと生き物っぽい感じもするし。

【他故】プラナリアっぽい感じが (笑)。

【きだて】そうそう。何か目もあるしね。

【他故】目があるんだよね。ちょっとかわいい。

【きだて】あと、この尖ったツインテールみたいなパーツを緑色に塗ったら、初音ミクバージョン作れないかなとか、色々と考えてはいるんだよ。触る機会が多いだけに。

【他故】わはは(笑)。

【高畑】基本、家の中での置き場所は玄関なんですか? それとも各部屋?

【きだて】これは主にリビング。最近は玄関先で開梱作業することがなくなったね。

【他故】ほう。

【きだて】外部から持ち込まれた荷物を触ったら、まずいったん手を洗って、それから開梱するというのを習慣づけてるの。だから、玄関での即開けはしなくなった。

(一同)あ~。

【きだて】ということで、これは今のところリビング1本だけの運用かな。

【他故】ほ~。

――それは、何本かまとめて買ったんですか?

【きだて】これは、最初に3本買って、これがもうラストなので、追加で買わなきゃなと思っていたところですね。

――それで、買ったやつをまた「カイコーン」で開けるわけですね。

【きだて】そうそう。どうせ通販で頼むからね。

【高畑】ということだね。

【きだて】だから、通販の荷物を開ける「カイコーン」があるうちに買っておかなきゃいけないという(笑)。

【高畑】それ大事だよね。その「カイコーン」がダメになってから買ったら、それを開けるのに困るものね。

【きだて】そう、開ける「カイコーン」がないからね。

【他故】わはは(笑)。

【高畑】そういうことだね。

【きだて】他のオープナーも腐るほどあるけどな(笑)。

――そうですね(笑)。

【きだて】実は、「カイコーン」に行き着くとは思ってなかったのよ。

【他故】あ、そうなの?

【きだて】色々とできるなとは思っていたけど、割と特殊な形状のツールなので、自分にとって開ける動きを最適化するまでに時間がかかったのよ。

【高畑】なるほど。

【きだて】例えば、この角度で差し込むと、フィルムがサクサク切れるなとか、レターパックはこれで2段階開けすればいいなとか、そういうノウハウが貯まるまでにちょっと時間がかかった。

【他故】あ~、そうかそうか。

【高畑】ちょっと見慣れてない道具だものね。

【きだて】他にないタイプじゃない。

【高畑】そう。

【きだて】そうなんだけど、使ってノウハウがたまっていくと、「ああこれすごくいいわ」という。

【他故】うん。

【きだて】だからこれは、みんなまだ正当に評価できていないんじゃないかと思って。

【他故】正当に(笑)。

【きだて】だから、「ちょっと頑張って使ってみ。便利だから」というのは言いたい。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】俺だけなのかな?

【他故】この巣ごもり期間で、スキルを上げているかもしれないじゃない。

【きだて】ああ、そうね。

――他故さんも「カイコーン」を使ってるんですね?

【他故】僕も、通販で来たものを開けるのは、「カイコーン」がメーンですね。ほぼこれになりました。

【高畑】ほぉ~。

【他故】うちは、ビニールがグチャグチャというのは滅多に来なくて、大抵箱なので、これで開けちゃえばいいやということで、うちに来るダンボールは、全部「カイコーン」で開けてる。

【きだて】うん。

【他故】割とお気に入りで。1本しか持ってないんだけど、大分切れ味が落ちてきているので、今度は新色を買おうかなと思っていたけど、それに間に合わなそうなので、また新しく黄色を買おうかなと。

【きだて】まだ開ける「カイコーン」があるうちにね。

【他故】そう、開ける「カイコーン」があるうちに(笑)。

【高畑】まあ、こういうのは何枚あっても困りませんからね(笑)。

【きだて】薄いし、ジャマにならないんでね、10枚でも、20枚でも持っとけばいいんだよ。

【他故】そうそう。

【きだて】手を洗うというような習慣が落ち着いたら、うちも全部屋配備になると思います。

――開梱用のグッズとしては、これが到達点という感じですか?

【きだて】現状のベストはこれかな。ただ、満足できない部分はあるので、PROを出してほしいなと思う。

【高畑】「カイコーンPRO」で、本体は割としっかりしたやつなんだけど、刃の部分だけ危なくないカートリッジみたいなので、パチンとはめたらすぐ使えるみたいな感じがいいかもね。

【きだて】そうそう、そういう感じのがいいと思う。

【高畑】まあ、薄くて軽いのが良いところなんだろうけどね。使い捨てだからできる簡便さみたいなのもあって。

【他故】そうだよね。

【きだて】ただね、あまりにもチープに見え過ぎて損してるという面もあるんじゃないかな。ほんとに大分安っちいよ、この見た目。

【高畑】「実は、本当はできるやつなんだけど、見た目で侮ってはいないか?」というのがきだてさんの言い分なんだ。

【きだて】「侮っていないか」と「使い方にとまどっていないか」の2点。

【高畑】なるほどね。

【きだて】オルファは、よくこのかたちで出したなと思って。大分思い切ったかたちだと思うよ、これ。

【他故】ああ、そうだね。

【きだて】この使い方を啓蒙するところまではオルファもまだ至ってないので、なんかもったいないなと思って。

【高畑】そこは、我々ときだてさんが頑張って啓蒙活動を(笑)。

【他故】そうね。

【きだて】俺がやらねばと思ってる次第ですよ。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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