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【簡単グラレコ入門】①「グラフィックレコーディング」ってなんだろう?

文具のとびら編集部

ビジネスシーンでよく耳にする「グラフィックレコーディング」。言葉だけでなく簡単な絵をつかって描写することで、記憶や情報の整理に役立つと言われています。とはいえ、この通称”グラレコ“、興味があっても「どう役立てたらいいのかイマイチ分からない」「画力がないからできない」と感じている人も多いのでは?

そこで今回は、グラレコの描き手・通称”グラフィッカー“として、高校生の頃から活動している山下友梨子さんに、グラフィックレコーディングの初心者に向けた内容を3回に分けて教えてもらいます。

通称「グラレコ」とは


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グラレコとは、一般的に「会議や話し合いの内容を、文字やイラストを使って可視化する手法」といわれています。しかし議事録と何が違うのかなど、疑問に持たれる方もいるのではないでしょうか。今回は普段グラレコをするときの意識から「グラレコとは何か」を説明しようと思います。

「記録」ではなく「書き残す」

会議などでは議事録を取るなど、「記録」をすることが多いのではないでしょうか。「記録」とはその場で共有された事柄・情報をそのまま書き出すことで、その内容は客観的です。それに対して、私はグラフィッカーとして「書き残す」ことを意識しています。あくまで私のイメージですが、「書き残す」は情報などだけでなく雰囲気や参加者の表情などその場で起きたことも描くことです。そしてその内容はグラフィッカーが取捨選択するため主観的です。


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グラフィックレコーディングの例①

なぜ「記録」ではなく「書き残す」ことを意識するかというと、それは「記録」だけでは埋もれてしまう“声”があるからです。例えば「満場一致でした」という結果があったとして、「記録」の場合は「満場一致」と残すことになるでしょう。
例2.jpgグラフィックレコーディング例②

しかしその場で起きたことを「書き残す」グラレコは、その賛成を表明する時の表情を描きます。「大賛成!」というように笑顔で力強く発言する人もいれば、「うーん、まあまあ賛成かな…」というように困り顔で弱々しく発言する人いるかもしれません。この二者では同じ「賛成」でも、込められた想いがかなり変わってくることでしょう。この「満場一致で賛成」という「記録」されない “声”を、グラレコでは「書き残す」のです。

フィードバックまでがグラフィッカーの役割

さて、この記録されない“声”を書き残してどうするのかという疑問が出てくるのではないでしょうか。

グラレコの様子.jpg
グラフィッカーを務める山下さん

グラレコの持つ機能、すなわちグラフィッカーの役割は話し合いの内容を書き残して終わりではありません。むしろ一番大切な役割は、書いた後の「フィードバック」なのです。「こんなことが起きていましたね。」「私(グラフィッカー)にはこう聴こえました」と場にフィードバックするのです。そして場はそのフィードバックを聞き、振り返りをします。このフィードバックとそれによる振り返りが、次のアクションを決めます。
その場で起きていることを書き残しフィードバックすることで、振り返りや話し合いを促進しアクションにつなげるための手法、これがグラフィックレコーディングです。


●山下 友梨子さん●

都内の大学に通う学部3年生。高校時代に静岡県牧之原市の「地域リーダー育成プロジェクト」を通じて、高校生ファシリテーター・グラフィッカーとして活動。現在は大学でまちづくりを専攻しながら、ファシリテーション・グラフィックレコーディングを通じて数多くの議論の場で話し合いの手伝いを担っている。

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