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【コレ買いました!】書き心地の違いを体感できる「コクヨの紙シリーズ」

文具のとびら編集部

コクヨは、同社歴代の紙製品に使われている中紙のみを製本せずにパッケージにした「コクヨの紙シリーズ」を2022年5月20日から6月9日までの期間で数量限定発売。“「書き心地」の違いで紙を選んで使用する”という新しい体験を提案している。

近年、“インク沼”ブームで、万年筆やガラスペンなど使う人が増えたことから、紙の書き心地にも目を向ける人が増えている。そんな背景からか、同社は紙とペンの相性に注目した「PERPANEP(ペルパネプ)」というシリーズを2021年4月から展開するなど、紙の書き心地にフォーカスした取り組みを行っている。今回の限定商品もそうした取り組みの一環といえるだろう。

ラインアップは、「キャンパスノート原紙」「スマートキャンパス原紙」「キャンパスルーズリーフ(しっかり書ける)原紙」「和文タイプ用紙」「便箋用和紙」「書翰箋原紙」「コクヨ複写簿原紙」「コクヨ帳簿原紙」「測量野帳(耐水)原紙」の9種類。コクヨ直営店「THE CAMPUS SHOP」と銀座伊東屋本店の2店舗限定で販売しているが、先日THE CAMPUS SHOPを訪れる機会があったので、そのときにいくつか購入してきた。

品川駅港南口から徒歩3分の場所にあるTHE CAMPUS SHOPは、定番アイテムから最新アイテムまでコクヨの文具をセレクトして販売しているほか、ショップ限定商品も用意。コーヒースタンドも併設し、イスやテーブルがいくつも設置されているので、そこでお茶を飲んで一休みしたり、ノートPCを持ち込んで仕事することができる。また、コクヨ文具を自由に試用できるコーナーも設けている。

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「コクヨの紙シリーズ」は、全アイテムを並べるとともに、その場で試し書きができるようになっていた(下写真)。試し書き用の筆記具は、ボールペンや万年筆など数種類用意されていたので、それぞれの紙とペンとの相性も確認できるのである。筆者がショップを訪れたとき(2022年5月25日)は、帳簿原紙と測量野帳原紙はすでに売り切れとなっていたが、試し書きはできたので、色々なペンで書き心地を試してみた。帳簿原紙は「インクの裏抜けは絶対に許さない」という強固な意志を感じさせるような厚手の紙で、万年筆を使って思う存分書いてみたいと思わせる紙だ。そして、測量野帳はつるつると滑りよく、書き心地は上々。売り切れとなるほど人気なのもよく分かる。

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*期間限定のため時期によって陳列テーマが変わる可能性もあります


全ての紙を試し書きして、その中から個人的に面白いと感じた「和文タイプ用紙」「便箋用和紙」「コクヨ複写簿原紙」の3つを選んで購入した。この3種類の紙を、いろんな筆記具で試し書きをしてみたいと思うが、ここではとりあえず万年筆での試筆の様子をお伝えしたいと思う。ちなみに、使用した万年筆は、細字の方がパイロットのノック式万年筆「キャップレスデシモ」(写真右)で、太字の方がセーラー万年筆の「プロフィット ふでDEまんねん(14金・長刀研ぎタイプ)」(同左)。ふでDEまんねんは、ペン先がしゃちほこのように反り返っていて、筆で書いたような文字が書けるという変わり種万年筆。筆者の使っているものは、ペンを寝かせると太い線が書け、立てると細い線が書けるという“長刀研ぎ”にもなっているという二重に珍しいペン先になっている。

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まずは「コクヨ複写簿原紙」から。複写簿の最上段に使用されるマットな質感の上質紙で、領収書に使われているから会社や役所に勤めているような人なら一度は使ったことがあるだろう。触ってみると、しっとりとした質感があり、ペンの滑りがよく、書いていてとても気持ちがいい。

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万年筆で書くと、インクの溜まった箇所ににじみが見られる。元々、万年筆での筆記を想定していないだろうから仕方ないが、滑るような書き心地の良さは捨てがたいものがある。この紙におけるベストな筆記具はやはり油性ボールペンになるだろう。特に、「ジェットストリーム」のような低粘度油性ボールペンで書いてみると、滑らかさが2倍になったような感じがして、快適な筆記感が得られる。

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続いて「和文タイプ用紙」。和文タイプは日本語用のタイプライターのこと。今のパソコンのキーボードは、キーの配列が欧米と共通だが、アナログなタイプライターの時代はそういうわけにはいかず、漢字やひらがななどがずらりと並んだ日本語用のタイプライターが使われていたのだ。その専用紙がこの紙になるのだが、向こうが透けてみえるとても薄い紙だ。表面はつるつるしているが、裏面はザラッとしている。和文タイプなんて過去のものだろうと思っていたが、まだまだ使用している人はいるようで、この用紙も未だ販売されているというから驚く。

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万年筆だと結構にじむかなと思ったが、案外にじまないなというのが第一印象。水性サインペンでもにじみは見られなかったのに、油性マーカー(マッキー)だとものすごくにじむのが不思議だ。色々と試してみて面白いと思ったのが筆ペンで、すーっと線を引くと、描線がサーッと若干横に広がっていく様子が味わい深い。ただし、薄い紙だからか、書いていると机にインクが写ってしまうことがあったので、下に何か敷いてから書く方がいいと思う。

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そして「便箋用和紙」は、クラシックな簾目が特徴のレイド紙を使用した、見るからに上質な便箋用紙。今回購入した3つの紙の中では、ビジュアル的にとても特徴的な紙だ。

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とてもしっかりした紙なので、万年筆で書いてもにじみや裏抜けは一切なかったのはさすがだ。和紙だと万年筆のペン先が引っかかる場合があるが、この紙ではそういう心配はない。簾目が入っているからか、万年筆やボールペンなどの硬いペン先だと独特な筆記感があり、クセになりそうだ。

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どれも特徴的な紙ばかりで、この記事を書くためにひたすら試し書きをしたわけだが、とても至福の時間であった。2022年6月9日までの販売なので、もう残りわずかだが、興味のある方は上記販売店まで足を運んで試していただきたい(数に限りのある商品なので、売り切れの場合はご容赦ください)。

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