1. 文房具ラボ
  2. 【コレ注目!】書き心地や色も楽しめる6種類の紙を使った一筆箋

【コレ注目!】書き心地や色も楽しめる6種類の紙を使った一筆箋

北澤孝之(Bun2編集長)

先日、研恒社のkaku souvenirブランドの「73色の風景を包んだノート」を紹介したところ、大きな反響となったようだ(記事はこちら)。kaku souvenirブランドには、もう一つ気になるアイテムがあるのでご紹介したいと思う。

紹介するのは、同ブランドの新製品の一筆箋「mutsugami (むつがみ)」。その名が示す通り、6種類の紙をアソートしたもので、ただ6種類の紙を使っているだけでなく、それぞれの紙の色が異なっているという、紙質だけでなく色味にもこだわっている一筆箋なのだ。しかも、それが段々に製本されているので、紙が選びやすいだけでなく、色のグラデーションを楽しむことができるというところが大きなポイント。職人が1冊、1冊手作業で製本しているそうで、手間をかけて作られたこだわりのアイテムなのだ。6種×6枚入りで税込660円。

3.jpg

『mutsugami』をAmazonでチェック


一筆箋は全部で4種類。「春眠」「薫風」「桐一葉」「霜柱」という、日本の四季をイメージしたラインアップとなっている。紙はどれも表紙は「さとがみ」、中紙は「しこくてんれい」「モフル」「こぎと」「まんだら」「オパール」「OKフールス」の6種類を使用しているが、各季節ごとに紙の色は異なっている。

2.jpg(左上から)「春眠」「薫風」、(右上から)「桐一葉」「霜柱」



では、6種類の紙の書き心地を、万年筆を使って較べてみたいと思う。この日使った万年筆は、セーラー万年筆の「長刀ふでDEまんねん」。ペン先は14金で、ピンっと反り返ったペン先のかたちが珍しい(10年以上前に購入したので、このタイプのモデルは現在発売されていないかもしれません)。細字から太字まで筆感覚で使用できるという異色の万年筆だ(ただし、筆者はちゃんと筆文字のように書けないので恐縮なのだが)。インクは同じくセーラー万年筆の「黒」を使用した。
5.jpg



写真右から「桐一葉」の①しこくてんれい②モフル③こぎと④まんだら⑤オパール⑥OKフールスに筆記したもの(乱筆なのはご容赦下さい)。一筆箋でありがちなフレーズを万年筆でしたためてみた。この一筆箋には、7㎜幅と10㎜幅の罫線が両面に印刷された下敷きも付いていて、きっちり丁寧にお便りを書きたい人にも対応しているが、筆まめじゃないという人でも、このように太字ペンで大きな文字で簡潔なメッセージを書いても様になるのが一筆箋の利点だと思っている。どれも万年筆で筆記しても裏抜けが見られなかった。

4.jpg①は羽のような繊維が見える上品な風合いの紙。手触りも上品な感じで、書き味も紙の上を滑るような感覚があった。
②は表面に毛布で柄をつけているそうで、触るとザラザラとした感触がある個性的な紙だ。このザラッとした手触りが、万年筆で筆記したときに何かひっかかるような気がしてちょっと気になった。多分、この紙で筆記して気持ちよく感じられる筆記具は鉛筆だろう。2Bとか柔らかめの芯で、しかも先が少し丸まった鉛筆で書くと、その心地よい筆記感が手に伝わってくるのが感じられるだろう。
③は木片のような特殊繊維を抄き込んだ和風の用紙ということで、②ほどではないが触ってみるとややザラッとした感触があるが、万年筆で書いてもひっかかりなど気になることは全くなかった。
④は今回の6種類の紙の中でも一際色鮮やかだ。和紙の風合いのある紙で、表面はツルツルとした手触りの良さが感じられる。万年筆で書いてみると、やや筆跡ににじみが見られるようだ(インクとの相性があるのかもしれないが)。にじみも手書きの味わいの一つとなので、好まれる人も多いと思うが、気になる人はサインペンなどを使うといいだろう。
⑤は大理石のような淡い模様がある、上品な美しさが感じられる紙で、万年筆で書いてみると、ペン先がまるで紙に吸い付くような、そんな不思議な感触があった。
⑥は高級筆記用紙の代名詞として知られるフールス紙で、万年筆との相性もバッチリだ。
*個人の感想です

これだけ紙質の異なる紙を一度に書き比べてみる機会はなかなかないので、貴重な体験となった。紙好きな人ならぜひ一度手に取って確かめていただきたいと思う。しかも、職人さんの丁寧な仕事から生まれた美しいカラーグラデーションも堪能できるので、眺めているだけでも楽しめるだろう。

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう