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【コレ買いました!】"73色の風景"を包んだ異色のノート

北澤孝之(Bun2編集長)

先日、研恒社の方から、東京・渋谷の東急百貨店渋谷・本店にポップアップショップを出店したとご案内をいただいたのでお邪魔してきた(会期は当初2021年9月16日~20日とアナウンスされていたが、好評につきその後延長となっている/詳細はこちら)。

研恒社といえば、PageBaseブランドで展開しているスライド式リングレスノート「SlideNote」が思い浮かぶが、その他にkakuというブランドでステーショナリーを展開している。今回のポップアップショップでは、PageBaseブランドの商品に加え、kaku souvenirブランドの商品も訴求していた。

「kaku souvenir」は、“大切な人へのプレゼント”をコンセプトとしたこだわりの文房具ブランド。長年印刷業を営んできた同社ならではのこだわりから生まれた紙文具などをラインアップしている。例えば、92種類の用紙が一冊にまとまったメモ帳「書きごこちを92回楽しむメモ」(写真左)や、6種類の紙を段々に製本した一筆箋「mutsugami (むつがみ)」(同右)など、紙にこだわったアイテムで充実している。

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そして今回、筆者が購入したのが「73色の風景を包んだノート」(A5サイズ)。本文の罫線(方眼)が1枚、1枚異なる色で印刷されていて、その数が実に73色にものぼるという異色のノートだ。これだけ罫線の色が異なるノートは滅多にお目にかかれないだろう。ぜひ使ってみたいと思った。

1.jpg2.jpg『73色の風景を包んだノート』をAmazonでチェック
表紙色は、ベージュ系の「こうぞ」、赤茶系の「びわ」、そして黒い「すみ」の3色。本文紙の色は、「こうぞ」がクリーム色で「すみ」が白、「びわ」はその中間の色になっている。表紙色に反比例するかたちで、本文紙の色が濃くなっていくのである。このうち、最も人気のあるという、白い紙を使った「すみ」を購入した。クリーム色の紙は目に優しいし個人的にも好きなのだが、白い紙の方が罫線の色が映えるという理由で一番人気となっているようだ。価格は税込1,760円。ノートの価格としては高額になるが、上質な紙を使っているし、何よりも1冊のノートで73色もの罫線を印刷してコストもかかっているだろうから、それを考えると、良心的な価格といえるだろうか。

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自宅に戻って、早速ノートをパラパラとめくってみる。次から次へと罫線の色が変わって面白い。最後のページだけ黒い紙になっていて、ちょっと意表を突かれた。ページの右下には、その色の名前が載っているのだけど、文学作品を思わせるような一風変わった名前ばかりで、よくこんな名前が思い浮かぶものだと感心してしまう(ちなみに、写真左のピンク色の罫線の名前は「恋に落ちる回路」、右の黒い紙の名前は「原始の海」)。

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個人的に気に入った罫線の色をピックアップして、それに合うようなインクで筆記してみた。書いた文字はその色のタイトルである(罫線とインクが実際の色味とは異なって見えている可能性もあります、ご了承下さい)。

ノートをめくって最初に出てくるのがこの罫線。赤茶系の色味だろうか。「私が私である理由」という名前は、映画かTVドラマのタイトルみたいだ。インクはパーカー「クインク」のレッド(現在は廃番となっている模様)。

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「累日の睡蓮」は、ややライトながらブルーブラック系の色味になるだろうか。この色のインクがあったら欲しいなと思わせる色だ。パイロット・色彩雫の「月夜」で書いてみた。

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「寝返り5度目午前2時」はグレー系の色。グレー系の色はどれも好みだったが、これをセレクトしたのは色の名前が面白いと思ったから。寝付きが悪い深夜は、きっとこんな色をしているに違いない。インクはペリカンのブルーブラック。

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黄色い罫線もいくつかあったが、さすがに薄くてはっきり見えない。実用的なノートで罫線が見えないのは困るわけで、黄色を使うというのはかなり冒険だなとは思うが、そのことも含めて楽しもうというのがこのノートのコンセプトだろう。その中でも、この「僥倖のサフラン」は割とはっきりした色味だ。丸善の「檸檬」インクで書いてみた。

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一見シンプルなノートだし、紙も書き味のよいものを使っているので、もちろんビジネスシーンで使うことだってできる。でも、パラパラとノートをめくりながら、その日の気分で罫線の色を選んで、その色に合ったインクで気ままに何事か綴ってみる、というのがこのノートの正しい楽しみ方ではないだろうか。カラーペンが好きな人やインク沼に住んでいるような人におすすめしたいノートだ。

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