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【文具時評】消しゴムが密かなブーム!? 個性派アイテム続々新登場!

北澤孝之(Bun2編集長)

カラーペンやシャープペンのブーム、新機能のボールペンの登場など、常に華やかな話題を振りまく筆記具の影に隠れるように、消しゴムが密かなブームとなっている。気が付くとここ数年、個性的な消しゴムが相次いで発売されている。店頭での動きも悪くないようだ。

かつて、2000年代の初頭には、コクヨの「カドケシ」が発売されたことをきっかけに、文具メーカー各社から細かな箇所が消しやすい消しゴムが相次いで登場するという、いわゆる“カド戦争”と呼ばれるブームが存在した。その後、注目に値する新製品は出続けてはいたが、ここに来て“第2次ブーム”の様相を呈してきているのである。

その当時と比べて、今回のブームで出てきた消しゴムには共通の傾向がまず見当たらない。つまり、“カド戦争”といった一括りにできるものがないのだ。そんなところが今回のブームの面白いところで、消しゴムとしての使用感を向上させたもの、消しゴムに新たな付加価値を加えたもの、遊び心にあふれたものなど、まさに百花繚乱状態だ。

ここでは、直近2年以内に登場した個性的な消しゴム8点をピックアップしてみた。

「MONO TOUGH(モノタフ)」(トンボ鉛筆)

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トンボ鉛筆が2019年11月に発売した「モノタフ」は、同社比で約8倍強度を高めて、“折れ・裂け・欠け”といった消しゴムの不満点を解消するために開発された。

生地のしなりにくさと硬さを高める配合と加工法を新たに採用しているが、MONO消しゴムならではの消し心地や同等の消字能力を実現しているという。同時に、スリーブが食い込んでも生地を傷つけることを防止するため独自に考案した「ななめスリーブ」(特許出願中)を採用。強い消し圧にも外傷がつきにくい工夫をした。

また、ななめカットの効果を長持ちさせるためスリーブ尾部にミシン目を入れているのもポイント。消耗に応じてスリーブをカットして使用する。また、消しゴムが折れにくい理想的な持ち位置をスリーブのマークで知らせている。サイズは2種で、大サイズ(23×11×55㎜)は税抜100円、小サイズ(17×11×43ミリ)は同60円。

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「Arch(アーチ)」(サクラクレパス)


サクラクレパスの「アーチ」は、“ゴリラ筆圧でもよく消える!”とSNSで今話題となっているが、2014年に登場した“折れない消しゴム”のパイオニアだ。

ケースを曲線アーチ状にすることで、生地の食い込みを劇的に軽減した消しゴムで、プラスチック生地に特殊発砲体メラミンフォームを入れており、従来のプラスチック消しゴムよりも①よく消える②軽い力で消せる③消しクズがまとまる④コシがあって折れにくい⑤消しゴムが汚れにくいといった特徴がある。また、スリーブにグリップが付いているので、すべりにくく、軽い力で消すことができる。

バリエーションも多彩で、最近は“女子文具”な限定柄もコンスタントに発売している。最新の限定柄は、2020年3月に発売された写真の商品。まるで夢の中にいるような、乙女心をくすぐるファンシーな3つのデザインを用意している(記事はこちら)。税抜100円。

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「磁ケシ」(クツワ)

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2018年11月に発売されたクツワの「磁ケシ」は、消しクズが磁石にくっつくというユニークな消しゴム。鉄粉入りの消しゴムなので、消しクズがケースの底に内蔵されているネオジウム磁石にくっつき、消しクズを瞬時に集めることができる(磁石は簡単に取れない設計になっている)。ケースに付いた消しクズは、ケースのつまみを押し出すと落ちる仕組みなので、消しクズを触らずに片手で捨てられる。

鉄粉入りで、しかもケースに磁石も内蔵されていることもあり、税抜280円と消しゴムとしては高価だが、それでも市場で大きな人気を集めている。

同社では、大きな反響を受けて、第2弾として、“動物柄”と“おじさん柄”を2019年9月に発売(記事はこちら)。“動物柄”は全10柄をラインアップ。ケースの底にあるマグネットにくっついた消しクズを、動物たちが捨ててくれるかわいい仕様になっている。“おじさん柄”の「お磁ケシ」は、全5柄をラインアップ。消しクズがくっつくと髪の毛のように見えるユニークなデザインとなっている。価格は従来通り税抜280円。



さらに2020年2月には、ペン型消しゴムの「ペン磁ケシ」も登場(税抜500円、替え消しゴムは2本入り税抜150円)。直径5㎜のスリムな消しゴムなので、細かいところも消しやすい。頭部にネオジム磁石を内蔵しているので、消しクズを集めることができ、ワンタッチで消しクズを捨てられる(特許出願済)。


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「ねむ消し」(ビバリー)


2018年10月に発売されたビバリーの「ねむ消し」は、書いた文字を消すという消しゴム本来の機能のほか、先端で手のツボ押しができるようになっているので、眠気までもばっちり消してくれる。徹夜で試験勉強をする学生などにぴったりの消しゴムだろう。

また、タテのミゾが手のひらを刺激するので、 本体を両手ですり合わせたり、握っているだけでリフレッシュできる。もちろん、本来の消しゴム機能で文字をしっかり消してくれる。リフレッシュできるミントの香り付き。税抜380円。

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「クリアレーダー」(シード)


透明でよく消える消しゴム”をキャッチコピーに、2019年9月に颯爽と登場したのがシードの「クリアレーダー」。シードの消しゴムといえば、“青いケースの消しゴム”で親しまれている「レーダー」ロングセラーの定番アイテムだが、その「レーダー」を無色透明にしたのがこの消しゴムなのである。スリーブ(ケース)も紙ではなく、透明感のあるPP製を採用した。

驚くほど高い透明度を誇っているが、その点はかなりこだわったようだ。その一方で、「レーダー」ならではの消し心地にも配慮して商品化。柔軟性のある素材で、グリップ力のある消し心地があり、折れにくい特殊生地を使用している。幅43×奥行き18×高さ12㎜の「クリアレーダー100」(税抜100円)と、幅55×奥行き21×高さ12㎜の「クリアレーダー150」(同150円)の2サイズをラインアップ。

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「エアイン 富士山消しゴム」(プラス)

プラスの「エアイン 富士山消しゴム」は、"いつもカドで消す感触"が好評のロングセラー消しゴム「エアイン」シリーズから発売した新発想の消しゴム。色の違う2層構造の樹脂で作られており、消していくと本体が山形になり富士山が姿を現す。2019年7月に数量限定で発売(関連記事)され好評を博したことから、通年で販売する定番品として2019年12月5日に発売された。税抜200円。

同消しゴムの最大の特徴は、2層構造の樹脂で「消す楽しみ」を提案していること。消しゴムの四隅が削れると本体が山形になり、雪化粧した富士山の山頂が現れる。左右対称になるように工夫しながら消すことで、姿を変える様子を楽しみながら、自分だけの富士山を作ることができる。消しゴムには、“間違えた箇所を消す”というネガティブなイメージがあるが、それを払拭するために開発されたものだという。

また2020年2月には、日本の春を感じさせるほんのりピンク色の限定カラー「エアイン 富士山消しゴム 〈限定〉 桜」も限定アイテムとして発売され、こちらにも大きな反響があったようだ。

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「ジャポニカ学習帳 消しゴム」(ショウワノート)

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「ジャポニカ学習帳 消しゴム」は、2020年に発売から50周年を迎えた「ジャポニカ学習帳」を、ショウワノートが様々な文具で展開する「ジャポニカ学習帳文具シリーズ」の消しゴム。

スリーブにジャポニカ学習帳の表紙をデザインしただけでなく、消しゴム本体に罫線を入れたのがポイント。さらに、スリーブの裏面には本物の学習帳と同じように学習百科が印刷されているなど、“ジャポニカ感”が満載。「さんすう」「こくご」「さくぶんちょう」「かんじれんしゅうちょう」「れんらくちょう」の5種類。税抜180円。

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「シークレットまとまるくん」(ヒノデワシ)


最後に、こちらの消しゴムもご紹介。ヒノデワシは、大人気消しゴム「まとまるくん」のシークレットシリーズ「シークレットまとまるくん」を展開しているが、その第17弾となる「シークレットまとまるくん はらぺこフレーバー17 焼きたてパン屋さん」を2020年4月に発売している。

いろいろな香りが付いた消しゴム「まとまるくん」が不透明のパッケージに入っているもので、何が出るかはお楽しみというシークレットシリーズになっている。今回の香りは“焼きたてパン屋さん”。パンの種類はピザトーストの香り、カレーパンの香り、チョココロネの香り、クリームパンの香り、レーズンパンの香りの5種類に加えシークレット1種類をラインアップしている。1個税抜100円、1箱同6,000円。

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