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【コレ注目!】丸善 京都本店にずらりと並んだ『檸檬』の文房具

北澤孝之(Bun2編集長)

今からおよそ100年近く前、「えたいの知れない不吉な塊」を抱えた一人の青年が、京都の丸善にレモン型の爆弾を仕掛けた…。

というのが、梶井基次郎が1924年(大正13年)に発表した小説『檸檬』のざっくりとしたあらすじになる。もっとも、爆弾というのは本物ではなく、主人公の「私」がレモンを爆弾に見立てたという話なのだが。

それまでの重苦しい空気をレモンの爆弾が吹き飛ばして、一瞬にして周囲がぱあっと明るい雰囲気に包まれるという、最後の鮮やかな変化が実に印象的な小説だ。現行の新潮文庫版でわずか10ページに満たない小品だが、今日まで多くの文学青年に愛されている名作なのである。

この小説の舞台となった丸善は三条通麩屋町にあったそうだが、その後河原町通蛸薬師へ移転し、2005年に惜しまれつつ閉店した。閉店時には、本の上にレモンを置きに来るお客も多かったようだ。

そしてそれから10年後の2015年、再び京都の地にオープンしたのが、今回訪れた「丸善 京都本店」である。河原町通にある「京都BAL」のB1F・B2Fで売り場を展開しているが、文具はB1Fのエスカレーターを降りてすぐ目の前に売り場があり(上写真)、125坪でおよそ28,000アイテムの集積しているという。

当サイトでも以前お伝えしたように(こちらの記事を参照)、丸善は2019年1月に創業150周年を迎えたことから、150周年記念の限定商品を多数発売しており、「檸檬万年筆」をはじめ『檸檬』にちなんだ記念商品も多数ラインアップしている。もちろん、京都本店でもそれらの記念商品をずらりと品揃えしている。(150周年記念商品の詳細はこちらへ)

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売り場正面に150周年記念商品がずらり!


店3.jpg万年筆「檸檬LEMON」とレザーペンケース「ペンケース for 檸檬」、そしてオリジナルボトルインキ「アテナインキ『檸檬』」。


店5.jpgしおりの先端にあるレモンがかわいいブックカバー。黄色の水玉模様は『檸檬』に登場する旧京都店内を照らした電球のやさしい光をイメージしているという。

さらに、檸檬のハーブティーも販売。丸善全店で販売している商品だが、「当店が一番多く扱っているかもしれません」と、文具担当の上田美衣さん。

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また、毎年恒例となっている丸善と「かまわぬ」がコラボした手ぬぐいも販売中。夏の風物詩を描いた柄や鳥獣戯画をモチーフにしたユニークな柄など多彩に展開している。もちろん、レモン柄の手ぬぐいも用意しているが、かなりの人気で品薄のようだ。

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このほか、書籍売り場では各社の『檸檬』文庫本をずらりと展開。新潮文庫では、丸善150周年を記念して限定復刻カバーを限定販売している。

店6.jpg台の下にはレモンを入れるカゴを設置


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スタンプも用意している


今回、京都本店を訪れたことで、丸善は『檸檬』をとても大事にしているのだなというのを改めて実感できた。よくよく考えてみると、丸善は爆弾を仕掛けられた被害者?という立場になるわけだ。そう考えると、そんなことを微塵も感じさせない丸善の寛容な姿勢はとてもすがすがしいものに感じる。それにしても、「令和」に元号が改まった今日でも未だに『檸檬』で盛り上がっていることを、泉下の梶井基次郎が知ったならば驚くに違いない。

なお、2019年8月10日(土)~ 12日(月)の3日間限定で、同店の開店4周年を記念して「オリジナル檸檬(レモン)柄 今治タオル」プレゼントキャンペーンを展開。同店で税込3,000円以上買い物をすると、「オリジナル檸檬柄 今治タオル」プレゼントするという(詳細はこちら)。

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