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- 車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち
- 【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #60「いま、ふたたびのテプラ。」

【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #60「いま、ふたたびのテプラ。」
東京に住んでいた頃、テレビを見ていたら「いま、ふたたびの奈良へ。」というキャッチコピーが流れてきました。JR東海の「うまし うるわし 奈良」キャンペーンCMです(2006~16年放送、キャンペーンは22年まで)。
感動しました。
「そうだ 京都、行こう。」だけじゃないんだ、我らが奈良もこんな風にキャンペーンされてるんだ…!
(ちなみに現在は「いざいざ奈良」キャンペーン開催中。おいでませ奈良へ!)
多くの方が、かつて学生だった頃に修学旅行で奈良・京都へおいでになってるんですよね。一度は訪ねた奈良、あの頃はまだピンと来てなかったかもしれない寺社仏閣も、大人になった今なら、また違う魅力を感じられるかも。
「いま、ふたたびの奈良へ。」という言葉に、そんな思いを感じ取って、とても嬉しくなったのです。
今回ご紹介するのは、テプラ。
かつて事務員だった頃、勤め先で頻繁に使用していました。きれいに印刷されたラベルで揃うファイルの背表紙、インデックスの見出し。複数の部署で共有するテプラは、使いたいときに他の課で使用されていることも多く、「つぎ使います!」なんて予約したりして。
事務仕事から離れた今、長らくご無沙汰していたテプラ。家で使えるようなデザインや機能のものが発売されているのは知っていたものの、使う頻度とお値段とを見比べて、私には過ぎたものだわ…と思っていたのですが。
なんと、1万円を切るお値段のテプラが登場したのです。
私とテプラとの再会に加え、「今の私がテプラを使うなら欠かせない」と思えた頼もしい味方も併せてご紹介します。
キングジム「テプラ」PRO SR-R2500P
キングジム「テプラ」PRO SR-R2500P。謳い文句は「スマホとつながる お手軽テプラ」
キングジムの「『テプラ』PRO SR-R2500P」は、スマートフォンのアプリを利用して使うテプラ。家の中に馴染む色とデザインです。使えるテープ幅は4~18mmと限定されていますが、これまでのラインナップと比較して圧倒的に安価なのが魅力です。
テプラPROテープカートリッジが使える。テープ交換のフタは簡単に開閉できる
本体上部のスイッチを押すと電源が入り、Bluetoothのランプが点灯する
「テプラ」PRO用のアプリ2種が使えます。様々なデザインが内蔵された「Hallo」と、シンプルで直感的に使える「TEPRA LINK2」。Bluetoothで接続します。使い始めたばかりの私は、まだどちらの機能も充分に使いこなせてはいませんが、今回はシンプルに私の名前を印刷しました。
ここで使っているのは透明マット(6mm、印字は黒)のテープ。イベントで私物の文具を使ってもらうのに「名前を貼っておいた方が判りやすいかも」と思いついたのがきっかけで購入しました。
母がデイサービスに持参する魔法瓶にも、母の名前を印字して貼り付けています。なかなかに良い感じです。
さて、ここからが今の私には難関。
そうです、「剥離紙がはがしにくい問題」です。
特にこの細い6mm幅が、なかなかうまくはがせない…!
ここで登場するのが、キングジムの「ハーフカッター」。
キングジム「ハーフカッター」
剥離紙を残して、テープだけをカットしてくれます。
はがすときは、カットした外側をめくるだけ。
すばらしい…!
マスキングテープタイプのテープ(写真は12mm幅)もカットできます。
デザインによっては、余白が少ないものもあるので、ちょっと調整は必要かもしれません。
でもこれは本当にありがたいですね。
少しでも剥離紙がめくりにくいと感じる方は、買うべきだと思います。ストレスが激減しますし、時間も短縮されますよ。
さて、このテプラは電池式です。
本体の底面にあるフタを開けるのに、かなり力が要ります。
もし開けるのが難しい場合は、どなたかに頼みましょう。
単3形電池が6本必要です。私は充電式のものを使っています。
電池がなくなってくると、ランプが赤く点灯します。
家の中で、ファイルの見出しを書いたり、キッチンで調味料を入れた瓶などに付箋紙やマスキングテープで内容を記載したりと、これまでは手書きでしていました。
指が震えたり、力が入りにくかったりして、手書きがちょっと難しいことが増えてきた今、それをテプラできれいに整えられるのは本当に嬉しいことです。
アプリでの操作も、使い慣れたスマートフォンですし、すぐに手元で印字できるのがとても便利ですよね。
かつては職場での事務仕事におけるラベリング等で重宝したテプラ。
これからは、手の力が弱くなった私の「手書きの代用」としても様々なシーンで活用できそうで、ワクワクしています。
こうして再会できたことに、そしてハーフカッターという頼もしい味方がいてくれることに、心から感謝を。
プロフィール
波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を2022年10月25日に小学館から発刊
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