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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.89 カラダやココロがCOOLになる文房具で厳しい残暑を乗り切ろう! その3
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、ブング・ジャムのみなさんにカラダやココロが涼しくなるような文房具を紹介していただきました。
第3回目は、他故さんイチ押しのアルミ製クリップボードです。
(写真左からきだてさん、高畑編集長、他故さん)*2024年8月17日撮影
*鼎談は2024年6月24日にリモートで行われました。
触るとひんやり気持ちいい!
――じゃあ最後は他故さんですね。
【他故】一時期やたらとクリップボードにはまっていた時期があって。いろんなものを買っている中で、金属のやつも写真で見るとかっこいいなと思ってとりあえず1個買ってみようかなと思っていたんですよ。
【高畑】はいはい。
【他故】最初に買ったのがこのダルトンのクリップボード。これ、フタがでかいんですよ。フタがでかくて、閉めておくとこうやって全身メタルになって、確かに冷たくて気持ちよくっていいんだけど、使う時に紙を挟んだまま書くとしたら中途半端な角度に開いた状態じゃないと使えない。
【きだて】あれ、フタを折り返せないんだ。
【他故】そう。
【高畑】それって、閉じた上に紙を挟んだりはできないの?
【他故】挟めないの。
【高畑】その上には挟めないんだ。
【他故】ここはもう、こういうアーマーなんだよ。
【高畑】それも角度ついた状態のノートパソコンぐらいしか開かないってことだよね?
【他故】どんなに頑張っても、この角度までしか開かないから、ちょっとね書きにくいんですよ(苦笑)。
【きだて】角度つけたまま立って書いていると、下手するとその反射光でやられることはないのかね?
【他故】外で使ったことはないなぁ。あとは、あんまり角度がくると、バーンて倒れちゃうし。これは買った時に「失敗したな」と思って。机の上に置いて使っていたんだけど、やっぱり邪魔くさくって。まあ、正直あんまり使ってない。
【きだて】重さはどうなの?
【他故】結構重いよ。だって、A4のアルミの無垢が2枚それなりに厚さのやつが付いているわけで、しかも上にものすごくでかいバネが付いていて、バネを覆うみたいなカバーも付いているのね。紙は中に挟むんだけど、フタの板を開くとほんのちょっと隙間があくのよ。
【高畑】その板をギュッってやって紙を挟むんだよね?
【他故】ここまで開いて、さらにガーって強く開くとここにようやく隙間があく。
【高畑】だから、フタがダブルクリップのハンドルの役目をしているって事だよね。
【他故】そう。
【きだて】ああ、そうか。
【他故】何かかっこいいんだけど、あまりにも使いにくくって。これはだから本当に「ああ、冷たいな」ぐらいしか使ってないよ(笑)。
【高畑】これアメリカ?
【他故】これはアメリカのダルトン。
【高畑】あ~アメリカっぽいね。
【他故】これでフタが付いていて中に物がしまえるタイプがダルトンにあって。そっちも欲しくなって同じような時期に買ったのよ。で手元に来たらA5判で小っちゃくて、A4じゃないじゃんていうのを買っちゃったんだけど。
【高畑】それあれじゃん。警察の人が切符切る時に使っているやつじゃん。
【他故】薄っぺらいお弁当箱みたいな感じ。こんな風に箱になってて。で、これもやっぱりフタが付いているのね。このフタは下に開くんですよ。
【高畑】これは、収納ボックスのフタだよね。
【他故】下に開いて、上部にクリップが付いていて、紙を入れるんだけど。さらに、この下に収納ケースがあるのね。
【きだて】そっち側に付いているんだ。
【他故】底に収納ケースがあって、それに中フタをして書く面が出てきて、書く面をカバーするのにフタが出てくるんだけど。これはこれで使えるかなと思ったんだけど、やっぱり書くときはフタが手前に開いちゃっているから、すごい手元にフタが来ていて、書きにくいんですよ。
【きだて】そうだね。
【高畑】それもフタの上に紙を出せないの?
【他故】中の紙をたくさん入れることによって浮かせられるから、上に出そうと思えば出せる。たくさん紙を挟んじゃうことによって、この外側のカバーよりも外に紙を出そうと思えば出せる。
【きだて】えっ?
【他故】分かるかな? 中の挟むところに分厚くなるまで紙を入れてあげることで、外フタの高さまで紙を収納すれば、上フタの上に紙が出せる。あんまり紙が少ないと、段差ができて、クリップにはさまった紙の端が浮いちゃうわけ。
【高畑】ああ、そういうことか。
【他故】ちょっと使い勝手が悪いんだけど、中に紙をたくさん入れると使えるよっていう。これも割と物入れとしては好きなんだけど、ちょっとクリップボードとしては使いにくいっていうのがあって。で最近ちょっとね、普通のやつがやっぱり欲しくなって、改めてもう一個買ったんですよ。
【きだて】それでなお買うのがすごいな(笑)。
【他故】ああいうギミックがあるからダメなんだろうと。1枚でクリップが付いていればいいじゃんっていうことで、「これでいいんだよ、当たり前だよ」っていうのを1個買ったのね。これ、「ペンコ」(ハイタイド)のメタルバインダーなんだけど。
【高畑】ペンコのはボードのやつがあるよね。
【他故】普通に木のボードのやつもあるんだけど、あれと同じシリーズでメタルのが出ている。
【きだて】クリップがでかいよ(笑)。
【他故】クリップがめちゃくちゃでかいんだけど、これはまあごく一般的な単なる板ペラなので普通に使う分にはいいし。今こうやって「Kiwami」を中に敷いているので、書き心地もいいし。普段膝の上で書くことが多いので、膝の上で書くとやっぱりひんやりして気持ちいいんです。
【きだて】その状態なら、放熱効果が高そうだもんね。
【他故】なので、前の2つのダルトンはもう忘れてもらって、これがいいです。
(一同爆笑)
【高畑】話のフリとしてはアリだけど。
【他故】ダルトン面白いんだけど、多分買っても使えないと思うよ(笑)。
【高畑】どうなんだろう。それってやっぱりアメリカの文化なのかな? アメリカだと、何かの仕事ではその形が多分いいんじゃないの。ほら、映画とかで見るとさ、ちょっと昔の白バイの警察官がそういうのを持っていたりするじゃん。
【他故】持っているよね。
【きだて】箱になっているタイプな。
【他故】このカバーというかフタがあるっていうのが、向こうでは何か重要なのかね? 何かを書くっていうよりは、紙を収納しといてみたいなイメージなんだろうか?
【きだて】どうなのかね。
【他故】正直そこがピンとこないんだよ。
【高畑】そのクリップボードを持っていたおかげで、命を救われる人が出てきたりするかもしれないから。
【他故】ああ~、アメリカあるあるみたいな。
【きだて】二重になっていることで、防弾性能が高まるということなのかね?
【高畑】それもないよね。
【他故】底板と同じ厚みのが表面に付いているから、それなりに重いよ。
【きだて】結構厚く見えるな。
【他故】結構厚いよ。22口径なら何とかならないかな。
【高畑】フタが裏に回せないところが、ちょっと気になるよね。そこは何なんだろうね。
【他故】日本ではほぼ考えつかないような。本当に、大昔のノートパソコンというか、出たばっかりのノートワープロというか、そういう雰囲気だよね。VAIOの505とかあの辺のイメージ。
【高畑】そんな感じ。
【他故】ここに丸いバッテリーが付いていて(笑)。
【きだて】あったあった(笑)。
――ノートパソコン感が強いですよね。
【他故】かたちはめちゃめちゃかっこいいんだけど、バインダーとしてはちょっと使い道がなくて、確かに今こうやってベタベタ触って「冷たいな」って言っているだけという、謎の使い方になっていますけど。
――それは触っているとひんやりとしますか?
【他故】めちゃめちゃひんやりします。うちの中で、冷蔵庫の次に冷たいぐらいじゃないか。
【高畑】でも気をつけて、それ車のダッシュボードとかに置きっぱなしにしとくと、触ったら「熱っ」ってなるよね。
【他故】熱はくらっちゃうからね。
【高畑】室温だと全然いいんですけど、外に置きっぱなにしとくとびっくりするぐらい熱くなっているときもたまにあるんで。
【きだて】でも、放熱効果をアルミで出すのは確かにありだなぁ。
【高畑】確かにそうだよね。
【きだて】アルミ軸のペンにヒートシンクとかくっつけたら、手が涼しくならないかな?
【高畑】気温よりも手の温度の方が高ければ抜けてくけど、40度だったら逆に熱が逆流するんじゃない。
【きだて】そうだな。
【高畑】ペルチェだよ、ペルチェ。
【きだて】ペルチェが入ったクーラーペンを昔考えたんだけど。
【高畑】前にきだてさんこたつペンを作っていたじゃん。
【きだて】そうそう。あれの対抗馬でクーラーペンを考えたんだけどね。ペルチェの取り扱いがめちゃめちゃ面倒くさいのでやめたんですわ。
【高畑】ペルチェで取った熱を、今度は放熱する部分を作ってあげなきゃいけないから大変だね。
【きだて】ペルチェは裏表で放熱があるから、ペンみたいな手元の狭い面積で完結するものにはくっつけにくい。
【高畑】もし軸を外から握るなら内側から熱を抜かなきゃいけないから、構造的に結構難しいね。
【きだて】それならヒートシンクだけで何とかならないかなと思ったけど、そうだね気温がもう今 40度なんだもんね。あとは水冷か。
【他故】逃がせる熱も逃がせられないよね。
【きだて】熱逆流は嫌だな。
【高畑】だから、他故さんのは物理的に涼しいっていう。
【他故】明らかに「触ると冷たい文房具登場」っていう(笑)。
【高畑】接触冷感系はね、色々あるよね。ニトリの布団みたいな感じでさ、触ってひんやりという。そういえば、去年とか一昨年に、サンスター文具が接触冷感のひんやりペンケースを出していたよね。
【きだて】そんなのあったっけ?
【高畑】触るとちょっと涼しいペンケースを出していたはず。
【きだて】それ、俺は見逃してるなぁ。
【他故】憶えてないなぁ。
【きだて】ああ、この「アイスクール」ってシリーズか。
【高畑】そうそう。布団とかに使われる、触るとちょっと接触冷感があるっていうやつのペンケースだよ。
【きだて】あーこれ、ちょっと見逃していたな。どこかで買えないかな…?
【他故】本当だ。そんなのあるんだ。
【高畑】今は多分、もう廃番だと思うけど。小さいものだから、布団ほどの効果はないかもしれないけど、考え方としてはその方向だよね。触って熱を逃がすという。
【他故】なるほどね。
【高畑】本当に、ちょっと涼しくなるといいな。
【他故】ちょっときついよね。
【きだて】これね、7月ですからね。
【他故】まだ8月になってないんだもんな。
【高畑】マジでやばい。なので、ちょっとあの各メーカーさんからは、画期的な本当に涼しい何かが出てくれると嬉しいですね。
【他故】切望するね。
【きだて】今回は、そういうまとめ以外ないね。
【高畑】ちょっと、リアルの気温が高過ぎる問題の方がすごいので。そこら辺は文具もね、何か涼しいのが出るといいね。
プロフィール
高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/
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