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【連載】『小粋な手紙箱』 #78・"道具"は手紙の世界への案内人

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

ごきげんよう。空や空気の中にかすかな秋の気配を感じるこの頃、いかがお過ごしですか?

先日、とある取材を受けたのですが、こんな質問がありました。
「手紙を書きたい気持ちがあっても、普段し慣れていない人はなかなか踏み出せません。どうすれば一歩踏み出して手紙を書く魅力を味わうことができるでしょうか。」
どんな小さなことでも、経験がないとそれを始めるのは勇気がいるものですよね。

そんな時には、道具の力を借りてみましょう。手紙には使う道具があります。便箋、葉書、一筆箋、メモ帳などの紙もの、万年筆、ボールペン、鉛筆などの筆記具、切手の数々など。「道具から入る」という言葉がありますが、何かを始める時にはとてもいいことです。良い道具を手にすれば、人は使いたくなるもの。道具は手紙の魅惑の世界の扉を開けて待っていてくれる案内人です。カッコばかりになったとしてもいいじゃないですか。そんなのは最初だけです。お好きなペンと紙、まずそれを用意しましょう。その上で、まずは身近な人や友人に宛てて何か書いてみましょう。

・ たとえば、かわいい絵柄のメモ用紙に家族へ伝えたいことを一言書く。LINEで受け取るのとは違った喜びや趣があることに気がつくでしょう。一番書きやすいのは、してもらって嬉しかったことのお礼。「〇〇してくれてありがとう。」これだけで良いのです。口で伝えても良いけれど、書いて渡したら、それは立派な手紙です。
・ 職場で書類を提出するときに付箋に「おつかれさまです」の一言を。手紙は気持ちを伝えるものですから、手書きすることで相手に気持ちが伝われば良いのです。

手紙を知らない人ほど、長い文章、手書き文字、小難しいマナーがあるというイメージを抱いています。本当にそうでしょうか。これは手紙に限ったことではありませんが、頭でっかちになる前にまずはやってみてほしいと思います。

慣れていない人が、初めから立派なものを書こうとすると大変ですし、そもそも立派である必要はないのです。最初は、好きなペンや見ているだけで嬉しくなるような紙を用意するところから。文章は一言でも良いので、相手の顔を思い浮かべて心を込めましょう。そして、だんだん慣れてきたら少しずつステップアップしていけば良いのです。大人も子供も小さなことから始めましょう。やってみたいというその気持ちを一番大事にしてください。手紙を書く、手紙をもらう、このかけがえのない経験をぜひ多くの人に味わっていただきたいです。

手紙トピック

以前、毎日お子さんのお弁当を作っているお母さんが投稿したSNSの記事に、お子さんが書いた手紙が載っていました。お子さんは「今日もおいしかったよ。」と書いた紙をお弁当箱に入れて戻してくれるのだそうです。えんぴつで書かれた文字はまだ幼いけれど、日によっては色鉛筆でカラフルにイラストを描いてあったりもして、書くことそのものを楽しんでいるのが伝わってきます。なんという親孝行なお子さんでしょう。こんな手紙がもらえるならお弁当作りの大変さなんて吹き飛んでしまいますね。

私も中学、高校に通っていた頃は、母が毎日お弁当を作ってくれました。大人になってお弁当を作ることの大変さを思い知りますが、その投稿のお子さんのように手紙を書いて喜ばせたかったなぁ。そもそもお弁当を作ってくれたことへの感謝をきちんと伝えていたかしら。相手は報われたくてしているわけではないとしても、報われたと思う喜びを感じてもらいたいですよね。些細なことでも感謝を伝えることを厭わないようにしたいと思うのでした。

今月のマキシマムカード

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テーマ: 桔梗
ポストカード: 鳩居堂
風景印: ひばりが丘郵便局

お知らせ

★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!

入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」
ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」
美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」


★ 体験講座も有ります!
月に一度、オンラインで手紙の書き方講座を開催中。
みなさまのお申し込み、心よりお待ちしています!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子(たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「手紙魔Yukoのお手紙ライフ
You Tube「手紙魔Yukoのお手紙ライフ

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