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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #022 石田製本「boocoシリーズ」
30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。
番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。
今回は、1月15日放送の「ブンボーグAの今月の文房具」でご紹介した「CHIP NOTE & BOOK MASK」を含めた、石田製本の「booco」シリーズをご紹介いたします。
boocoは暖かい
今回紹介するシリーズは「booco」と書いて「ぼっこ」と読みます。札幌出身のなおちゃんももちろん知っています。「ぼっこ」という言葉は北海道民なら誰もが知る、温もりあるものを指す言葉なのです。
手袋の中でも親指だけが分かれていて、残りの指が1つのスペースに収められる、通称「ミトン」と呼ばれる手袋があります。その形の手袋のことを北海道では「ぼっこ手袋」と呼びます。人の手で作られる製品が、手編みのぼっこ手袋のように「優しさと温もりを感じられるものにしたい」という願いを込めてブランド名がつけられました。
このブランドを運営するのは札幌市にある石田製本。印刷会社から届いた本になる前の紙の塊を、本の形に加工する会社です。
北海道が好き
トウモロコシ(道民は「とうきび」と呼びます)、アスパラ、ジャガイモ、ミルク(牛柄も含みます)、ウニの5つをモチーフにし、製本会社の技術を活かした表紙は箔押しのクロス仕上げのものとプリントをPPフィルムで加工したものの2種類。サイズは縦長のものと正方形の2種類。中の紙はそれぞれに表紙のカラーに合わせた4色の上質紙が使われていて、ミシン目により1枚ずつ外すことができるのも特徴です。
新しく生まれたCHIP NOTE&BOOK
他故さんがご紹介した「MASK(マスク)」は表紙裏が赤になっています。目・鼻・口の部分が切り抜かれて中の赤が見えて印象的です。(また、このデザインは特定の年代の方にはピンと来るものがあるらしく、そこも人気になっています)。
その話を聞いてなおちゃんは、ミルク缶の形に切り抜かれた表紙から、表紙裏の牛の模様がチラリと見える「COW(カウ)」を購入しました。
このシリーズは中紙がすべて「OKフールス」という裏抜けしづらく、万年筆ユーザが滑らかに書くことができると有名な紙が用いられています。他故さんのおすすめはシャープペンシルでの筆記の心地よさでしたが、なおちゃんは万年筆の極細字で書いた時のサリサリと音を立てる感じが気に入っています。
boocoシリーズの隠れた最大の特徴
boocoシリーズの製本は糸かがりという手法が用いられていますが、そこにboocoに共通する最大の特徴があります。
同様の製本方法で作られたノートや本では目立たない一色の糸でかがってあることがほとんどでしょう。例えばノートであればほぼ「白」が使われているように思います。ですが、boocoの糸かがりは正方形のノートで3色、縦長のものでは6色の異なるカラーの糸でかがってあるのです。
そう、この遊び心こそがboocoシリーズ最大の特徴だと思っています。
かがり糸が見えるのは数ページに1回です。そのページが開かれるたびにテンションが上がります。
この工夫ができるのは製本会社ならでは。糸かがりができる機械を自社で持っているため、機械にセットする糸の色を自由に変えて作ることが可能なのです。
ホップ・ステップ・ジャンプで大きく飛躍したDiary
2022年12月末、なおちゃんは3年以上ぶりに地元・札幌に帰った際に石田製本さんへ伺いました。
石田製本にてboocoに関わっている社員の方々と撮っていただきました
その時に伺った中で印象に残っているのは、この冬で3シーズン目になる「booco Diary」。booco Diaryはハードカバーの表紙で中紙には複数の色上質紙が使われている手帳で、職人さんが一冊ずつ手仕事で製本している本のようなダイアリーです。
booco Diaryはboocoブランドが立ち上がった2020年(2021年版)から作られています。
2021年のbooco Diary
パステルカラーの表紙がかわいい2021年版。
2022年のbooco Diary
箔押しが美しい2022年版。
そして、今期発売された2023年のbooco Diaryはちょっと違いました。
2023年のbooco Diary
担当者の熱意がSNSから強く感じられたのです。夏のまだ暑い頃から2023年の手帳についてのTweetが始まったと記憶しています。北海道の、しかも文具メーカーではない会社で作られている商品なので、残念ながら手に取る機会が少ないのですが、Twitter担当者が商品の詳細を端から端までを地道にツイートを続けてくださることで商品の色々なことを知ることができました。
中には製品の名称をSNSのアンケート機能で決定したり、手帳の使用中やデコレーションの際に気になる情報、例えば筆記具(万年筆・マーカー類)やスタンプインクの裏移りの具合を実際に試したり、手帳の使用例を投稿したり。ツイートを見ない日は無いほどでした。時にはインスタライブやTwitterの写真投稿で社内の楽しいやり取りが覗き見できて、どんどんその世界観に引き込まれました。
3年目のbooco DiaryのPRはとてもアクティブでした。その結果、たくさんの方に愛される手帳となりました。担当者の方はこの「booco Diary」が好きという気持ちで走り続けているそうです。「好き」のパワーって強いですよね!
また、昨今の手帳デコレーションブームに対応した、表紙がクラフト素材で作られていてデコレーションできる、「booco 凸(デコ)Diary」というシリーズも2021年版から発売されていてたくさんの方に愛されています。
そこには人がいて、技術と機械がある
私が中高生だった1990年代。札幌には「タウン誌」と呼ばれる数多くの月刊地域情報雑誌がありました。それが2000年代に徐々に減っていき、現在では数種を残してなくなっていました。雑誌がなくなることはすなわち、製本すべき本が減ることでもあります。
そこで石田製本が思いついたのが本のようなノート・手帳を作ることだったのだそうです。
「文具に関しては素人」とおっしゃっていました。でも製本ができる職人がいて、技術があり、知識があり、専用の機械がここにあります。アイディアがあれば理想を形にすることができる環境が揃っています。作業をしている工場を見学して、実際に顔を合わせてお話をして強く思いました。
札幌は今、1年で最も寒い時期を迎えています。その札幌から熱い気持ちのこもった商品が全国に広がっていくのをとても嬉しく見ています。同時に、なおちゃんも地元である札幌の文房具シーンを盛り上げたいと願っています。
boocoシリーズはインターネットでも購入をすることができますので、ぜひネットショップへアクセスしてみてください。
商品情報
ブンボーグ大作戦!こぼれ話
たこなお文具情報室はPodcastを配信しています。
毎週のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」本編とは別に、インターネットでいつでも聞けるPodcastを配信しています。
本編では「文房具の話だけ」をお送りしていますが、Podcastでは文房具「以外」の話やゲストの方にも参加いただいた裏トークなど、毎回ゆるーく収録して、ゆるーくお届けしています。お暇がある時のお供におすすめです!
Podcast「たこなお文具情報室のお話」はこちらから
プロフィール
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。
【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。
詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/
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