1. 連載企画
  2. 【連載】『小粋な手紙箱』 #61・縦書きの魅力

【連載】『小粋な手紙箱』 #61・縦書きの魅力

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

東京は、夢のように雅だった桜の季節から次の季節へとまた一歩踏み出しました。
御地のご様子はいかがですか。

さて、最近のマイブームは“縦書き”です。

夏目漱石の絵はがきを集めた本『漱石の愛した絵はがき』を読んで以来、縦書きの魅力に取り憑かれています。本には漱石が受け取ったたくさんの絵はがきが写真で紹介されていますが、その多くは筆や万年筆を使って縦書きで書かれています。今、はがきの絵柄のある面に文章を書く人はあまりいませんが、当時はそれが普通だったのでしょう。海外から送られたポストカードの場合にも絵柄の面に縦書きで文章が書かれています。不思議なことに西洋の絵はがきに縦書きで書かれた日本語はミスマッチどころか、さらに趣を増すばかり。芸術的ですらあります。日本語の美しさはその響き以外にも縦書きで書くことで本領を発揮するのだと改めて気付いたのでした。

日本語は元々、墨と筆で書くため縦に書いてきた歴史があります。しかしながら今の時代、縦書きで書かれたものを見る機会は確実に減ってきています。インターネットの世界では横書きが主流ですよね。SNS、ニュース、チャット…みんな横書きです。私が書いているこのコラムも横書きです。縦書きで読むのは新聞や本ぐらい。ましてや手書きの文字で書かれたもの、となれば日常生活の中でほとんど目にすることがありません。

かくいう私も手紙を縦書きで書くのは苦手意識があり、これまで横書きで書くことが多かったのです。けれど、縦書きの魅力に目覚めた今、それをしないという選択肢はありません。まずは漱石の絵はがきに倣い、文章量の少ないはがきから縦書きを始めてみました。たとえ真っ直ぐに書けずとも、斜めになってしまったとしても、手書きであればそれを味わいに変えられるのです。いまさらかもしれませんが、縦書きの魔法はとても嬉しい気付きでした。

手紙トピック

縦書きをしてみて気付いたことがもう一つあります。万年筆で手紙を書くとき、縦書きする場合は右から左へと書いていくわけですが、右手の小指から手首にかけての横の部分が擦れるため、インクの乾きが悪いとせっかく書いた文字が汚れてしまうという問題があります。筆で書く場合は手を浮かして書くので問題ありませんが、万年筆だとそうはいきません。これについて手紙の書き方コンサルタントの仲間に相談してみましたら、参考までにと万年筆専用の吸い取り紙を送ってくれました。

1.jpg


レトロ調のデザインに懐かしさを感じますね。上の写真に写っている商品は限定品とのことで勿体無くて使えませんが、ただ白いタイプもあるというので早速購入しました。吸い取り紙を装着して使うブロッターなる物の存在も知りました。自分の机に置いたらおしゃれなインテリアにもなりそうで憧れますが、今のところは紙で十分。吸い取り紙にもいろいろあるようなので、使い心地を知るべくあれこれ試してみようと思います。

今月のマキシマムカード

2.jpg

テーマ: おさびし山のフクロウ
ポストカード: Painettu Suomessa
切手・絵入りハト印: ハッピーグリーティング

お知らせ

★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!

入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」
ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」
美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」


★ 体験講座も有ります!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子 (たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「手紙魔Yukoのお手紙ライフ
You Tube「手紙魔Yukoのお手紙ライフ

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう