1. 連載企画
  2. 【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #005 他故となおみのブンボーグ大作戦!オリジナル万年筆インク『なんでもない日の小さな思い出』

【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #005 他故となおみのブンボーグ大作戦!オリジナル万年筆インク『なんでもない日の小さな思い出』

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組他故となおみのブンボーグ大作戦!のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具の話題が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ1点をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

今回は、2021年8月1日On Airの「スペシャルコーナー」でご紹介した他故となおみのブンボーグ大作戦!オリジナル万年筆インク『なんでもない日の小さな思い出』をピックアップします。

photo.jpg

なおちゃんのインク愛

番組をいつも聴いてくださっている方はご存知かと思います。なおちゃんは文房具の中でも特に万年筆インクを愛しています。いわゆる「インク沼の住人」です。その中でも店舗オリジナルインクに強く惹かれ、収集や調査をしています。

店舗オリジナルインクの魅力とは
1.地域のもの・こと・人がモチーフになっていることが多く、その地域を知るキッカケになること
2.色に込められたお店の方々による想い・ストーリーがしっかりとあること。
3.蛍光色や限りなく黒に近いブルーブラックなどインクメーカーがあまり作らないような個性的な色に出会えること。
大きくはこの3つです。

故郷や地元の色には愛着を、行ったことがない場所の色には憧れを。それぞれの色に想いを馳せて使う。
そこに魅力を感じています。

自分のインクを作ってみたい

2020年、SNS上での知り合いが立て続けにオリジナルインクを発売しました。その時には「え?個人やグループでインクをプロデュースして販売するという時代になったの?」とビックリしました。

オリジナルのインクを作るといえば、混色可能なインクを使い自分で好きな色を作ることができる、プラチナの「ミクサブルインク」や呉竹の「インクカフェ」のことは知っていました。
また、セーラー万年筆が開催している、希望を伝えるとオリジナルインクをインクブレンダーの手でその場で作っていただけるイベント「インク工房」や自ら試し書きをしながら作り上げたレシピをもとに、お店の方に仕上げていただく、東京・蔵前にあるお店「カキモリ」のinkstandなどもあり、どちらも体験済みでした。

でも、これらはどれも個人で楽しむためのものです。

いつからか「番組のオリジナルインクを作ってみたい」「オリジナルグッズとして販売してみたい」という夢が生まれました。

オリジナルインクを作ろう

話が本格的になったのは2020年末だったと記憶しています。
インクを作るならば、私がたくさん持っていて使っているセーラー万年筆に製造をお願いしたいと考えました。
奇遇なことに番組初めてのゲストにお招きしたのはセーラー万年筆の広報担当者さんだったのです。そんな縁もあり、初めてのオリジナルインク作りがスタートです。

私たちのインク作りの流れは次の通りです
1.作りたいインクのコンセプトを決める
2.販売店を決める(私たちはお店を持っていないため、交流のある文具店へお願いしました)
3.セーラー万年筆から色見本となるカードが届き、その中からイメージに近い1色を決めて連絡する
4.試作したインクが届き、色味の確認をする
5.理想通りの色だったので正式に発注を行う
6.ラベル絵の作成を依頼する 
7.セーラー万年筆にて製造する
8.完成したインクが納品される
9.販売店へ送付する
10.各販売店で販売を行う

今回、私たちは「使いやすい」「見やすい」ことを第一に掲げました。
そして、自分の経験や「このように使って欲しい」という想いを次のように書き出しました。
キーワードは「セピア色」です。

photo1.jpg
photo2.jpg

さて、「セピア色のインク」ということまでは決まったものの、セーラー万年筆から届いた色見本カードは10枚以上あり、それらすべてが「セピア色」と呼べるものでした。ただ、よく見ると「赤っぽいかな?」「こっちは緑っぽいかな?」「これは黄色みを帯びているような」と微妙な違いがあります。この中から自分たちの欲しい色を決めるのはとても難しかったです。

加えて、万年筆インクは筆記時に使う道具や筆記線の太さなどによって色味が変わるため、インクが実際にできてみないとわからない部分も多々。

4月初旬、「どうしよう、どうしよう……」と悩みつつ一つの色を選びました。
数週間経たのちサンプルのインクが到着。


photo3.jpg左上から時計回りに「OKマットポスト」「フールス紙」「クロマトグラフィー(濾紙)」「ヌルリフィル」



photo4.jpgフールス紙でグリーンフラッシュが発生しました。


新しいインクを買った時と同じく、まずはインク帳を作りました。インクがたくさん乗った部分に光が当たると緑色に見える「グリーンフラッシュ」を起こすのが印象的で、また、クロマトグラフィー(化学的な成分分析法。今回行った方法は濾紙と水を使い、インクに混ぜられた成分を水への溶けやすさによって分離して見ることができる)でも予想外の色が出てきて、嬉しくてなおちゃんは小躍りしました。

ラベル絵とインクの特徴

今回、インク瓶のラベル絵は万年筆画家のサトウヒロシさんに、実際のインクを使用して描いていただきました(サトウさんは2021年9月12日と19日のブンボーグ大作戦!にゲストとして出演されます)。
サトウさんは万年筆インクの持っているポテンシャルを120%引き出すことができる方。万年筆インクで絵を描くための手法を自ら研究しYouTubeでも公開されています。

そんなサトウさんに今回のインクの使い心地を伺ったところ、「ぼかした時に端に黄色が出てくることが、時間の経過を表現するのにピッタリでした。まさにコンセプト通りですね」と言って下さいました。絵を描く方から見ても興味深い特徴を持っているインクなんですね。

描いていただいたラベル絵のモチーフは、
1.ラジオ番組なので「古いラジオ」
2.思い出を残すというイメージから「セピア色に染まった写真」
3.なおちゃんが実際に大学時代に大好きで使っていたフィルムカメラ「オリンパス ペン」です。
です。

商品にラベルとして貼られる時には3.5cm角ほどサイズに縮小されるのですが、原画ではインクの複雑な発色をしっかりと確認できます。

photo5.jpg

いつかこの絵をたくさんの方に見ていただける機会ができることを楽しみにしています。

発売と販売店

このインクの発売日は、同じく番組放送開始1周年記念で開催するトークライブ「ご当地インクでSHOW!」(東京・阿佐ヶ谷の阿佐ヶ谷ロフトAにて開催)と同日の、2021年10月16日土曜日です。インクの発売はひる2時頃を予定しています。

また、販売店に関しては現在最終調整中で、10月1日にブンボーグ大作戦!番組Webページにて発表いたします。
実店舗はもちろんですが、インターネット通販を予定してくださっている店舗もありますので、あなたのご都合のよい方法でお手に取っていただけたら嬉しいです。

また、トークライブ会場にも少量ですがお持ちできる予定です。

今回はインクを100本作ることができました。逆にいうと100本だけしか作れませんでした。
興味を持っていただいた方全員に手にしていただけることを願っています。
どうか、『なんでもない日の小さな思い出』であなたの思い出が素敵にたくさん残りますように。

商品情報

他故となおみのブンボーグ大作戦!オリジナル万年筆インク『なんでもない日の小さな思い出』

色味:セピア色
容量:50mlボトルインク
製造:セーラー万年筆
価格:税込3,300円
発売日:2021年10月16日 ひる2時頃(販売店の都合により前後する場合があります)

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

インク発売日と同日に開催するトークライブのお知らせです。

たこなお文具堂プレゼンツ トークライブvol.001
「ご当地インクでSHOW!」他故となおみのブンボーグ大作戦!1周年記念トークライブ

photo6.jpg

開催日時:2021年10月16日ひる12時スタート
会場観覧:前売2,000円/当日2,500円 ※入場料と別に 500円以上の飲食物のオーダーが必要です ※会場は東京・阿佐ヶ谷にある阿佐ヶ谷ロフトA
配信観覧:ツイキャスを利用した配信を行います。通常配信1,500円/応援観覧2,000円 ※通常配信・応援配信どちらも見られる内容は同じです ※応援観覧はあなたからのお気持ちが含まれた価格となっております
発売開始:2021年9月17日ひる12時 ※阿佐ヶ谷ロフトAのイベントページより購入することができます

※コロナウィルス感染症の影響により、インク販売・トークライブともに変更を余儀なくされる可能性があります。最新の情報はブンボーグ大作戦!番組Webページで発信していきますので、ご確認ください。

プロフィール

ふじいなおみ
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
FM OZEで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具堂」として、文房具の楽しさを伝える活動を開始。
万年筆インク(中でもご当地インク)コレクターであり、2015年生まれの娘とともに学童文具の観察を行う。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
群馬県沼田市のコミュニティFM「FM OZE」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 14:00~14:30(再放送)
ラジオ(群馬県沼田市周辺のみ)の他、パソコンやスマートフォンでも局のホームページに設置されたプレイヤーやラジオ聴取用ソフト・アプリで聴くことができる。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう