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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg #004 「キャンパスノート(用途別・カラーペーパー)」

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具の話題が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ1点をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

今回は、2021年7月4日On Airの「オープニング」でご紹介したコクヨの「キャンパスノート(用途別・カラーペーパー)」をピックアップします。

話の発端と経緯

2019年6月、SNS上で話題になった一つの訴えがありました。
発信した女子高生は「視覚過敏」という症状を持っていました。

SNS上に書かれた内容を要約すると、「中の紙が白いノートを使うと目が痛くなるけれど、緑のノートならば目が痛くならないし見やすいため愛用していた。しかし、販売していたお店がなくなってしまい、自宅のストックもなくなりそうなので困っている」ということでした。

投稿はすぐに拡散され、文具メーカーや文房具販売店の中には自社製品で使うことのできそうなものをご案内したり、新たに製作したりと、さまざまな反響がありました。

そのアクションをおこしたうちの1社がコクヨでした。コクヨは2020年に「カラーノート研究会」を立ち上げて2021年1月に横罫のノート「キャンパスノートカラーペーパー」を発売。

photo1.jpgキャンパスカラーノートの表紙

photo2.jpgキャンパスカラーノートの中紙 (※最左は同一フォーマットである従来品)


キャンパスノートカラーペーパーの発売に対する反響として「小学生向けのカラーノートを作って欲しい」という声がありました。そこで6月6日の「ブンボーグ大作戦!」でも取り上げた「キャンパスノート(用途別・カラーペーパー)」が6月にコクヨの通販サイト「コクヨショーケース」限定で発売になりました。

photo3.jpg


なお、カラーノート研究会の立ち上げからの経緯はコクヨのWebページにまとめられています。
視覚過敏の方にも、かわいいノートが好きな方にも! 「カラーノート研究会」始動しました
視覚過敏の有無に関わらずカラーノートは目に優しい~コクヨカラーノート研究会 第1回活動報告~
皆さまの声を受けて、小学生用カラーノートができました~カラーノート研究会活動報告~

小学生用のノート?

「小学生向けのノートを作って欲しい」というのはどういうことなのだろう?小学生の使うノートはどんなものだったっけ?」

はじめはピンときませんでしたが、30年以上前の古い記憶を掘り起こすと、小学生時代のノートは「方眼になっていた」ことや「それぞれのマス目の中央に点線が入っている」ものだったことを思い出しました。また、低学年ほどマス目のサイズが大きく、学年が上がるにつれて小さいマスに変化しながら、教科によって「1ページに○○マスのノート」と指定されていた記憶も蘇りました。

photo4.jpg小学生用カラーノートの中紙 (※最左は同一フォーマットである従来品)


今回コクヨが小学生用として発売した「キャンパスノート(用途別・カラーペーパー)」は方眼になっていて10㎜ごとに実線が引かれ、その半分(5㎜)の位置に点線が引かれています。

小学生の学年によるマス目の大きさの違いをどのように解決していくかですが、大きいマスが必要な場合は「複数のマスを組み合わせて1字(4マスで1字や9マスで1字)を書く」ことで対応できると回答が示されています。

photo5.jpgマス目の取り方を工夫し、大きな文字にも小さな文字にも対応させる(使用した鉛筆の濃さはB)

カラーノートを使ってみたい

私自身は視覚過敏の症状はありません。しかし、どうしてもカラーペーパーのノートを試してみたかったのです。

きっかけはカラーノート研究会のWebページにあった「誰もが手軽かつ堂々とカラーノートを選べる社会を作ることを目標にしている」という考え方があったからです。

学校ではみんなの足並みを揃えるために多くのルール(校則など)があるように思います。わかりやすい例としては制服、カバン、上履きの指定が挙げられるのではないでしょうか?

前述の小学生時代にノートのフォーマットを指定されていたという経験は、学年に適したものを学校側が提案する意味もあるとは思いますが、「変わったものを持ってこないようにする」「一人だけ違うものを持ってくると困る」という学校側の管理をしやすくするための側面もあると考えています。

「視覚過敏の方に優しいノートは、症状がない人にも優しいのではないか?使い心地を試してみたい。その上でいろんな選択肢があることの必要性を考えてみたい。」
コクヨの通販ページにアクセスし、カラーペーパーを用いたノート3色と通常の白い紙を用いた同一罫線のノートを購入しました。

カラーノートを試してみる

購入した4冊を開いてまず思ったのは「白い紙のノート(従来品)はとてもチカチカしている!!」でした。
小学生の頃は全く感じなかった感覚です。

ノートを開いて見て思い出したのですが、小学生用のノートの罫線はかなりはっきりとした水色になっています。鉛筆で書いた字を読もうとすると水色の罫線の主張が激しくて文字に集中できませんでした。

対して、今回発売されたカラーペーパーの罫線は薄めの色となっており、加えて紙自体に色がついていることも手伝ってコントラストが低く、鉛筆の字がくっきりと認識できました。

「スキャンやコピーを取った時にどのようになるか」も試してみました。色がついた紙である以上、モノクロコピーをとると全体的に灰色で表現されて見づらくなるのではないかと思ったからです。

まずは、未記入の中紙を1ページずつ切り取り、スキャナーを使い白黒設定で取り込みました。
従来品(白い紙に水色の罫線)は罫線がはっきりしているため問題なくスキャンできましたが、カラーペーパーは紙と罫線の色の差が少なく「白紙」として認識されスキップされてしまいました。
次に文字を書いたものを同様に白黒設定で取り込んだところ、カラーペーパーはうっすらと背景色はあるものの罫線の主張は弱く、記入した文字自体はとても見やすく感じます。

photo6.jpg白黒設定でスキャンした筆記見本


また、プリンターのコピー機能を用いて白黒印刷をしましたが、そちらでもカラーペーパーの背景色はあまり主張をせず、罫線も薄く、見づらくなることはありませんでした。

最後に、太陽の下で筆記したものを見比べて見ました。
外では視覚過敏の有無に関わらずまぶしく見えるはずという考えによるものです。

まず目が行ったのはパープル。落ち着いた白、紙自体がオフホワイトのように見えます。また罫線がおとなしいのでゆったりとした気持ちで鉛筆の文字を読むことができました。
次にグリーン。「緑である」ことがはっきりとわかります。鉛筆の文字は見やすいのですが「私は色がついたノートを使っています」ということが明らかなので、気にされる方もいらっしゃるかもしれません。
そしてイエロー。ロルバーンのようにクリーム色のノートもあるので、多少色がついているのがわかっても違和感はありませんでした。ただし、クリーム色よりはハッキリとした色がついています。鉛筆の文字は見やすかったです。
最後に従来品の白。くっきりとした白に罫線の水色の主張が強いため、鉛筆の文字を見ようとすると罫線が邪魔をしてくる感覚があります。ただし、文字の練習、特に文字バランスを考えながら行うときには罫線がくっきりしている方が自然と気を付けるようになりそうです。

今回カラーノートのことを調べ試している中で、「歳を重ねるとカラーノートの薄い罫線が薄すぎて認識しづらい」という声も聞きました。

ノートの選び方は「どれがいい・悪い」ではなくて、個々が用途ごとに「Aをするにはこのノート、Bをするにはこのノート」と選ぶべきだと思いますし、メーカーにも選択肢を無くさないように、またこのようなノートが存在していることを発信し続けてほしいなと感じました。

これからもうしばらくカラーペーパーのノートを使ってみたいと考えています。

商品情報

コクヨ「キャンパスノート(用途別・カラーペーパー)」税込231円 2021年6月発売
コクヨショーケースのみでの発売

【本体サイズ】6号(セミB5)タテ252㎜×ヨコ179㎜
【罫内容】5㎜方眼罫(10㎜実線入り)
【枚数】30枚
【中紙】色上質紙 3色展開(グリーン・パープル・イエロー)
【製本様式】無線とじ

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

8月1日の放送で発表いたしました、「ブンボーグ大作戦!」1周年記念企画。
あなたは聴いてくださいましたか?
なおちゃんが番組開始当時からやってみたかった「トークライブ」「オリジナルインクの販売」の2つを番組1周年を迎える10月に行います。

トークライブでは、なおちゃんのライフワークとも言える「万年筆のご当地インクの研究」を柱としてご当地インクの魅力を語り尽くします。コロナ禍で定着したライブのインターネット配信も行いますので、遠方の方・外出するのが難しい方にも楽しんでいただけるように考えています。

また、オリジナルインク「なんでもない日の小さな思い出」はなおちゃんの誕生日(10月14日)の色でもある「セピア色」がモチーフ。普通に書くと濃い茶系の色で普段使いをしていただけますが、紙によってはグリーンフラッシュが起き、クロマトグラフィーをすると黄色や赤などがふんわり登場する、とても面白い色です。

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他にもできる限り楽しんでいただける仕掛けを考えて準備中です。
詳細は決まり次第、他故となおみのブンボーグ大作戦!Webサイトにてお知らせいたします。

プロフィール

ふじいなおみ
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
FM OZEで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具堂」として、文房具の楽しさを伝える活動を開始。
万年筆インク(中でもご当地インク)コレクターであり、2015年生まれの娘とともに学童文具の観察を行う。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
群馬県沼田市のコミュニティFM「FM OZE」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 14:00~14:30(再放送)
ラジオ(群馬県沼田市周辺のみ)の他、パソコンやスマートフォンでも局のホームページに設置されたプレイヤーやラジオ聴取用ソフト・アプリで聴くことができる。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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