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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.48 ブング・ジャムが選んだ2000年代の個人的ベスト文具を発表!(その1)
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。
今回は、弊社で発行している文具業界専門紙『旬刊ステイショナー』の通巻2000号を記念しての特別編。2000号にちなんで2000年以降に発売された文房具の中から、ブング・ジャムのみなさんにそれぞれのベスト文具を選んでもらい、『旬刊ステイショナー』2021年3月15日発行号に鼎談を掲載しました。「月刊ブング・ジャム」では、その鼎談をノーカット版として掲載します。
第1回目は、きだてさんが選んだオルファのカッター「スピードハイパーAL型」です。
(写真左から他故さん、きだてさん、高畑編集長)*2020年11月7日撮影
*鼎談は2021年2月15日にリモートで行われました。
カッターが別次元に進化!
「スピードハイパーAL型」(オルファ、2015年発売) 握ったときに、滑らず力のかけやすい形状を追求した「Xデザイン・ハイパーシリーズ」の大型カッターナイフ。特専黒刃の研磨面にフッ素加工を施し、驚くほどに軽い切れ味で、ダンボールやスチレンボードのカットに最適な「スピードブレード」を装着。梱包・開梱作業やペンキ缶のフタ開けなどに便利なツメ付き。ワンタッチでしっかりロックできるオートロック式。
*ホームセンター・DIY系の店舗で販売している商品です。
【高畑】今回は壮大なテーマで。
――弊社で発行している文具業界専門紙『旬刊ステイショナー』が通巻2000号を迎えたことから、2000号にちなんで2000年以降に発売された文房具の中から、みなさんのベスト文具を選んでもらおうと思います。21世紀に入ってこの20年ほどの間には、文房具の歴史に残るような重要なものもいくつか登場していますが、今回はあくまでみなさん個人の思い入れのある「マイベスト文具」を選んでもらえればと思います。ということで、どなたからいきましょうか?
【きだて】じゃあ、俺が。初手から変化球気味で申し訳ないけど、オルファのカッターナイフです。これね。
【高畑】ああ、「スピードブレード」のやつ。
【きだて】そう、オルファのカッター「スピードハイパーAL型」です。個人的に2000年代で何に一番助けられたかを考えていくと、カッターナイフの進化じゃないかなと。
【他故】ほう。
【きだて】この時代はボールペンもやたらと書き味なめらかに進化したけど、カッターナイフだって負けないぐらいにすごくなってる。個人的には、もう別次元の道具だなと思ったんだ。
【高畑】うん。
【きだて】例えばダンボールを切るにしても、従来の刃と「スピードブレード」を比較すると、明らかに仕上がりが違う。
【他故】ほ~。
【きだて】切れ味が圧倒的にいいから、すごい細かく切っていくとか、ささらにするみたいな表現にしても、出来上がったもののクオリティが完全に違ってくるんだよ。もちろんサイズ的にはL刃だから小回りが利きにくいとかそういう部分はあるけど、それでも、よほど細い作業をするんでもない限りはS刃じゃなくてわざわざ「スピードブレード」を選んじゃうぐらいには大好きで、とてもエポックな製品だなと感じたわけです。
【他故】ほう。
【きだて】文具王は使ったことあるよね?
【高畑】ありますよ。それで、今回は推さなかったけど、カッターナイフだったら僕はこっちなんですよ。
【きだて】ああ、「M厚型刃」ね。
【高畑】M厚で行動範囲が広がったというのはあるんですよ。もし、僕が「切る」部門で出すとしたらM厚推しなんですけど、きだてさんの言うスピードブレードの良さも分かります。滑りがよくて抵抗感がないのがいいよね。
【他故】うん。
【高畑】きだてさん的には、他にどんなところがいいの?
【きだて】工作のワークショップをすると、同じものを量産することが多いんだけど、そういう場合は切れ味の差で手の疲労がまったく違ってくるんだよね。
【高畑】ああ、何度も何度もいっぱい作るとね。
【きだて】それこそ、Eフルートぐらいの薄手のダンボールなんかを切るときなんかは、スピードブレードを使うことで、それこそコピー用紙を切るぐらいのテンションでスパッと切れる。
【他故】なるほど。
【きだて】そうなってくると、10枚切ったときの手の疲れというのは、当然ながら格段に違ってくるわけさ。
【他故】は~。
【きだて】だから根気よく同じ作業がしやすくなったという点も大きいと思う。
【他故】ほう。
【きだて】なにより、薄いダンボールを切れ味の悪い刃で切ると、フルートがぐしゃって潰れるんだよね。それこそ、切り口のところだけななめに切れちゃったりとかがあるんだけど、スピードブレードでスパッと切ると、切り口はぜんぜんきれいにフラットで。それで、仕上がりが全然違ってくる。
【高畑】うん。
【きだて】そういうのを積み重ねた結果、我が家にはスピードブレード以外のL刃がなくなりました(笑)。
【高畑】全部スピードブレードなんだ。
【きだて】ストックも含めて、うちに「ハイパーAL」のボディが6本あるんだけど。
【高畑】6本!
【きだて】ワークショップの際に人に貸す用とかで増やしたんだけど、基本、全部スピードブレード入れてます。
【高畑】なるほどね。
【他故】例えばさ、S刃とかM厚だったりとか、小さいものを使いたいというときはないの?
【きだて】もちろん、よほど細かい曲線を切るときなんかは、S刃とかM厚刃の特選黒刃を使うんだけどね。でも、黒刃と比較してもスピードブレードの切れ味の方がすごいから、結局はスピードブレードを手に取っちゃいがちだな。カッターを選ぶときの第1候補がスピードブレードで、それで無理な場合はサイズを下げる、みたいな感じ。
【高畑】スピードブレードは、表面にフッ素加工を施しているのがいいんだよね?
【きだて】そう。当然、切る摩擦が違ってくるという話で。ただね、硬いダンボールを切っていると、フッ素コーティングだけあって、はがれていくんだよね。
【他故】ああ~。
【きだて】それでも刃自体が鋭角刃だからそれなりに切れるけど、やっぱり贅沢にポキポキ折って使わないとスピードブレードの良さは味わえない。
【他故】そうだね、うん。
【きだて】安くない刃だから、大富豪みたいな使い方だけど。
【高畑】まあ、カッターの刃ぐらい贅沢に使おうぜというのは俺もある(笑)。
【他故】まあね、あるある。
【きだて】だって、せっかく切れ味がいいのを使ってるのにさ、無理して切れ味を落としていってもしょうがないじゃん。そっちの方がもったいないよ。
【他故】そりゃそうだ。
【高畑】刃先の角度の切れ味は黒刃と一緒で、研磨されている面のところに、さらにフッ素加工をしてあるというということですね。
【きだて】そういうことです。確か2015年発売かな。
【他故】そのぐらいになるんだっけ?
【きだて】最初聞いたときに、「フッ素加工したところで、そんなに変わる?」って思ったけど、実際に試してみたら「あっ、これは変わるわ」って(笑)。
【他故】分かりやすいわ(笑)。
【きだて】だから、今までの普通の油性と「ジェットストリーム」ぐらいの違いはあると思うんだよね。
【他故】まあ、ちょっと分かるけどね。
【高畑】単純にカッコいいよね。表面に「SPEED BLADE」ってロゴが入ってるのが。
【他故】ああ、文字が入ってるのがね。
【きだて】多分、競泳用水着の「speedo」が流行った頃にスピードブレードが出たような気がするんだけどね。
【高畑】そうだっけ?
【きだて】いや、ごめん、適当言いました(笑)。それで、今はスピードブレード以外は使えない体になっちゃったので。たまにM厚の黒刃なんかを使うと、「違う」ってなる。
【他故】ほほう(笑)。
【きだて】黒刃ですら違うと思うようになっちゃった。そもそも、工作で力を入れたくないんだよ。作る量が違うので、あっという間に手がプラプラになっちゃう。
【高畑】なるほど。
【きだて】だから、L刃を使うのも、厚みがあって力を入れたいからじゃなくて、ただただ切れ味を追求しての話なので。それこそ、S刃のスピードブレードが出てくれれば、それだけで俺は最高なんだけど。
【高畑】ああ、小っちゃいのでもいいんだ。
【きだて】もちろん、厚みのあるダンボールを切るときは厚みのあるL刃を使うけど。
【高畑】S刃だと、厚みのあるダンボールを切るには、剛性が足りないと思うけどね。
【きだて】あと、うちの猫が机の上に飛び乗るわ、流しに飛び乗るわでやたらと暴れるのよ。なので、猫が飛び乗れないようにするガードをプラダンで作ってあちこちに設置してるんだけど、プラダンのカットもぜんぜんラクだね。
【他故】ほ~。
【きだて】普通のカッターだと重いなというのが、スピードブレードだとスッと入るので、プラダン切るのにちょうどいいなと、改めて思わされた。
【高畑】プラダンは、確かに切るのに重いよね。
【きだて】重いし、粘るんだよね。
【高畑】うん。間に挟まった刃に対する摩擦は強いよね。
【きだて】そういう意味で、フッ素加工で摩擦を減らすのは、大分利くんだなと感じたね。
【高畑】20枚入りで1,040円か。1枚50円ぐらいだね。
【きだて】だから、普通のL刃と比べると、かなりなお値段になっちゃうんだけど。
【他故】大分違うね。
【高畑】普通の白いL刃だと、ノーブランドも含めて格安なものもあるしね。
【きだて】うん。
【高畑】まあ、切ったときの違いはあるよね。僕はきだてさんほど大物をやっつけるということがないのでMでいいかなと思うけど、まあそうなんだろうね。それは分かる。ノコ刃とかは別にして、L刃では一番最上位の刃になるのかな。
【きだて】そうだね。あとは、後ろに付いている鉄の爪ね。これがすごい好き。
【高畑】それ重要。
【きだて】あらゆるものをこれで押さえたり、引っかけたり。ペンキとか塗料の缶の金属フタを開けるのにも便利だよ。あとは、紙に折り目を付けたり。先端の丸みとか薄さが本当に絶妙だから、工作にめちゃくちゃ使うね。この鉄の爪の部分だけを単品でツール化してもらいたいぐらいだよ。
【他故】ここだけ(笑)。
【高畑】こじ開けツールとしてもいいし、ダンボールの開封は刃を出さなくてもそっちだけでいけるしね。
【他故】ああ、こっちだけでいけるね。
【きだて】その方が安全性が高いしね。しかもこの爪って、わりと無茶な使い方をしても曲がらないんだよね。本当に丈夫。
【他故】ここは強いよね。
【きだて】工具としての使い道があり過ぎる点も好き。最近、これの新しいやつ出たじゃん。ビス押さえで先端がM字型になってるやつ(クランクハイパーAL型)。
【他故】あ~なんかあるね。
【高畑】クランクしているやつな。
【きだて】そう。あれもちょっと面白くて。ノーマルな鉄の爪って、ボディの厚みに対してほぼ中央から爪がニョッと伸びてるんだけど、クランクハイパーALの爪は段差がついてて、裏面のツラにほぼ合うようになってるんだよね。爪が一段降りてるというか。その方が、紙に精密に折り目をつけたいときなんかは使いやすいのよ。
【他故】へぇ~。
【高畑】壁面スレスレに潜り込ませてこじ開けるというときには、あの曲がってるのがいいんだけど。
【きだて】そうそう。あれはまだ無茶な使い方をしていないので、強度的に曲がっている部分が保つのかなという不安はあるんだけどね。なので、もうちょっと使い込んでいきたいので、今のところはこの普通のハイパーボディがいいな。
【他故】ふむ。
【きだて】あと、個人的にカッターの刃のダイヤルロックが嫌いなので、ALに限るという。
【他故】あ~なるほどね(笑)。
【高畑】ガタツキを極限までなくすにはネジの方がいいという人もいて、本職の人はネジなんだよね。
【きだて】そうそう。あと木工とかで使うときは、ダイヤルネジで留めないと難しい。抵抗が強いので、ALだと本体を引くと刃がズルズル出ちゃう。
【他故】ああ、なるほど。
【高畑】昔のに比べると、ALのロックも強いけどね。そういうときもそうだけど、刃が摩擦で持っていかれないのって結構重要で。棒状のものとか切るときに、上を切っているときはいいんだけど、刃がちょうど真ん中ぐらいまで入ったときに、両側から押さえられて動かなくなる。
【他故】ああ、あるある。
【高畑】それで前後にいかなくなるということがあるので、摩擦を下げるというのは、刃物で切るときはすごい重要なので、フッ素加工なのはいいよね。
【きだて】他故さんは、スピードブレードとか使ってない?
【他故】いや、僕は一通り使ってるけど、L刃の出番があんまりないんだよね。工作をしないので。切るといっても、紙1枚だったり、何かの開封だったりするので。スピードブレードがよく切れるのは知ってるんだけど、そこまでたくさん作業しないので。
【きだて】まあそうだよね。普通に考えればMで充分なんだよね。
【他故】僕の場合は、ちょっとしか使わないからね。
【きだて】だから俺も、とても汎用性のある話をしているとは思えないんだけど(苦笑)。
【高畑】いや、今回の話はマイベストだからいいんじゃないの。
【他故】そうそう、ヘビーユーザーはここまでくるということで、いいんじゃないの。
――一般的なユーザーの話だと「M厚刃」の方になるんでしょうが、これはきだてさん的には「スピードハイパーAL型」がいいわけですからね。
【きだて】うん、圧倒的にいいですね。
【高畑】最近の、「ダンボール増えました」という状況を考えると、ちょっと薄刃の危うい感じというのはあるのよね。紙だけ相手にしているんだったらS刃でいいんだけど、ダンボールや厚紙が平気で家に入ってくるようになって、そういうのを解体したり加工したりしようと思うんだったら、M以上というのはあると思うんだけど。ガツガツいけるんだったら、L刃のその中でもスピードブレードは最強によく切れるというのはあるよね。
【きだて】通販需要で不要なダンボールがご家庭に増えたでしょ。で、子どもの工作素材としてダンボールを使うケースも増えていて。
【他故】だと思うね。
【きだて】で、子どもたちがS刃で苦労しながら切ってるときに、親が「よし、じゃあここは難しいからお父さんがやってあげよう」とスピードブレード出してきてスパッと。俺らが子どもの頃でも、親が大事に使ってるはさみとかカッターに憧れたことなかった?
【他故】あったよ。
【きだて】子ども用じゃない、よく切れるやつ。まさにあの感じでさ。
【他故】うん。
【きだて】子どもがダンボール切るのに、S刃で苦労しているときに、「よし、ちょっと変わってごらん。お父さんのカッターで切ってあげるから」といってスピードブレードでスパッと切っちゃうとカッコいいわけよ。
【高畑】ずるい(笑)。
【他故】ははは(笑)。
【きだて】スピードブレードぐらいに切れると、さすがに子どもには危ないからね。そういう意味で、令和の時代にも、お父さんのカッターとして活躍してほしいなという思いも、ちょっとはあるわけよ。
【高畑】ダンボールをどうにかするという工作で、お父さんのよく切れるカッターということでね。
【きだて】子どもが「うわー、それ使いたい」と思うような。
【他故】あれだね、引き出しから出てくるんじゃなくて、工具箱から出てくるやつだね。
【きだて】そう、それでいいね。本当はね、お父さんが書斎から取ってくるのがベストだけど、大抵書斎ないからね。
【他故】ははは、書斎ないからね(笑)。
【きだて】そういうのもあって、汎用性がそんなにあるわけじゃないけど、でも1本、とっておきとして持っていてもらいたいなと思うわけですよ。
――これがきだてさん的にカッターとしてベストなものになるんですか?
【きだて】カッターとしてというか、2000年代でベストな文房具を考えていくと、スピードブレードだったという。ボールペンとかノートとかいろいろ考えたんだけど、あとはこれと「ポキステーション」があれば、大体いけるよねと。
「ポキステーション」(オルファ、2012年発売) 刃折レバーを使って、軽い力で恐怖感無く簡単に刃を折ることができる刃折器。本体内で刃が折れ、誤って刃が飛ぶ心配もない。
【高畑】「ポキステーション」(笑)。
【きだて】うん、ベストが「ポキステーション」でもよかったくらい。
――じゃあセットで(笑)。
【高畑】セットで紹介すればいいんじゃないですか。
【他故】セットにすればいいでしょ。
【きだて】すでに「ハイパーAL」+スピードブレードというセットなのに。
【高畑】スピードブレードがどんなに切れるといっても、先端は欠けるから、刃は折らないとダメという話だからね。まあそれにしても、「ポキステーション」のやり過ぎ感はあるよね。
【きだて】うん。
【高畑】俺も昔から、割と「ポキ」は使ってたんだけど、「ポキステーション」は「こんなものまで作るのか」という気がしたからな。
【きだて】「ポキ」ってさ、結局のところは、刃を入れるゴミ箱じゃない。メーンとしては。
【他故】ああ。
【きだて】「ポキステーション」は、折る工夫が強い分だけ、ちょっと刃を捨てるゴミ箱だけじゃないなという思いもあり。
【高畑】「ポキ」って昔はフタしかなかったんだよ。あれは確か、ジュースの空き缶にはめて使うという道具だったんだよ。折った刃がスチール缶の中に入って、スチールゴミとして捨てられるという理想的な道具だったのが、それがエコだか安全だか分からないけど、いろんな理由でプラスチックになっちゃって、僕はガッカリしたというのを憶えてる。
【きだて】ははは(笑)。
【高畑】「ポキステーション」に安全に折れるというのはいいよね。無理をしないで折れるのは。
【他故】そうそう。
【きだて】S刃は簡単に折れるけど、厚みのあるL刃はちょっと折るのが怖いって人もいると思うんだよ。
【他故】あ~。
【高畑】割かし机の上でペチンと折る派なので(苦笑)。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】でも分かる。あの楽に折れるのはいい。とにかく、良く切れる刃を贅沢に使って、どんどん消費していって使いましょうやという一連の流れだよね。
【きだて】うん。工作のコツだとも思うしね。
【他故】そうだろうね。
【高畑】一番切れる刃を贅沢に使いましょうという。
【きだて】そうそう。
――オルファって何気にカッターの種類いっぱいありますよね。最近特に増えましたか?
【高畑】オルファは、地味に過去の製品をリニューアルして置き換えているんですよね。だから、L刃のカッターとかも、最近良くなってきたし。特に「ハイパーシリーズ」が出てから良くなったじゃないですか。
【きだて】うん。
【高畑】「ハイパーシリーズ」になって、バッテンになったグリップが良かったりするよね。俺は、2000年代に新しくなったオルファのカッターの中では「Pシリーズ」が大好きなんだけど。昔のPカッターは、刃が出っぱなしで、収納するときには、ネジを一度外さないといけなかったけど、スライドタイプになったのを見て、俺は超感動したんだよ。そういうのをちゃんとやってるのは偉いよね。ベーシックなアイテムがちょっとずつリニューアルして置き換えていくというのを、オルファはずっとやってるんだよね。そこは偉いと思いますね。
【きだて】それこそ、スピードブレードが出る前は、任天堂に対するセガファンみたいな感じで、エヌティーのボディが割と好きだったんだよ。そんな評価の仕方も申し訳ないけど。
【他故】ああ~。
【高畑】エヌティーもいいよね。
【きだて】だったんだけど、今はオルファ一択になっちゃったな。
【高畑】俺は、小さいやつだけはエヌティーの方が良かったりするかな。「A300」とか「D400」とかは好きなんだけど。まあ、「力のオルファ」みたいなところはあるよね。工具っぽいやつはオルファという感じで。
【きだて】あ、そういえば鋭角30°刃はエヌティー使ってるな。「AD-2P」のスリムボディはすごくいい。
【高畑】スチールのデザイン系のやつあるよね。真っ直ぐなやつ。ああいうのはエヌティーだよね。
*次回は、高畑編集長が選んだ「ジェットストリーム4&1」です。プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。
「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2020年Bun2大賞を斬る!~」をnoteで有料公開中!!
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