1. 連載企画
  2. 【連載】月刊ブング・ジャム Vol.41 夏休み特別企画・おうちで楽しく過ごすためのおすすめ文房具(その2)

【連載】月刊ブング・ジャム Vol.41 夏休み特別企画・おうちで楽しく過ごすためのおすすめ文房具(その2)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は夏休み特別企画として自宅で楽しく使える文房具を紹介してもらいました。

第2回目は高畑編集長おすすめのトーヨーの「動く図鑑MOVE おりがみ&ぬりえ」です。

写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん *2020年6月25日撮影

*今回の鼎談は7月30日にリモートで行いました。

楽しく遊んで勉強もできる!

ぬりえ1.jpg動く図鑑MOVE おりがみ&ぬりえ」(トーヨー)

『動く図鑑MOVE おりがみ』をAmazonでチェック

『動く図鑑MOVE ぬりえ』をAmazonでチェック


――次は高畑編集長ですね。

【高畑】家でできることということで、色々と考えたんですけど、普通の文房具は家でも外でも使えるのでまあいいかなと思って。夏休みといえば、工作とかクラフト系かなと思って色々と見ていたら、これがちょっと面白くて、「動く図鑑MOVE」の塗り絵と折り紙なんですね。

【他故】ほう。

【高畑】そういう図鑑があるんですよ。講談社が出していて。そこは「ジャポニカ」と一緒だよね。図鑑の方が先にあって、これとタイアップした商品が、折り紙のトーヨーさんから出ているのね。さすが折り紙メーカーだけあって、折り紙はめちゃくちゃ種類があって、例えば「海の生き物」の図鑑に載っている海の生き物が折れるんですよ。

【きだて】俺もいくつか折ったよ、これ。全部クオリティ高いんだよね。でも結構難しいんだ。子どもには難易度高いだろうぐらいの。

ぬりえ2.jpg

【高畑】恐竜とか昆虫とか絶対いいじゃん。

【他故】ああ、いいね。

【高畑】あんまり厳密じゃないのよ。1枚折りで何とかというよりは、かたちを作る方が優先なので、ものによっては切ったりが必要だったりするけど。

【きだて】切るのもあるし、2枚を組み合わせるのもあるよね。

【高畑】そうそう。複数枚になってたりして。それがまた、マニアックなところが俺は大好きで、例えば爬虫類・両生類になると、エリマキトカゲとか久しぶりに見たやつがいたりして。

【きだて】懐かしいね。

【高畑】深海の生き物だと、シーラカンスとかリュウグウの使いみたいなのがいたりして、なかなかいい感じで。

【きだて】あ、深海シリーズも折った。シーラカンスは意外と細かい折りがあって大変だったな。

【高畑】ダイオウグソクムシもいるわけですよ。それで、よく分からないのは「人体の不思議」で臓器が折れるというのがあって。

【他故】臓器!

【きだて】何なのそれ(苦笑)。

【高畑】肺とか胃があって、小腸と大腸があるんだけど。

【他故】ほぉ~すごいな。

【高畑】折り方のテキストも、こんな感じでちゃんと冊子で付いているので。

【他科】あ、本当だ。

【高畑】折り方だけじゃなくて、「心臓の仕組み」みたいなことも書いてあるんだよね。

【きだて】簡易図鑑になっているんだよね。

【高畑】ためになりつつ、人体マップが付いているので、ここに並べてみようとか。ここがなかなかいいんですよ。

【他故】人体マップ(笑)。

【高畑】あとは、古代エジプトのスフィンクスとか折ったりね。ピラミッドは半分に割れるようになってて、中の構造が分かるようになってる。

【他故】へぇ~!

【高畑】今までの折り紙と違うのは、かたちを作るのは一緒だけど、図鑑の持っているコンテンツのパワーをここまで盛り込んでいるのは面白いなと思って。折りながら勉強になるわけですよ。

【他故】はいはい。

【高畑】単に折り紙を折るところから一歩進んでいる。そして塗り絵は、多分この2冊しかないと思うんだけど、昆虫と動物があるんですよ。

【他故】うん。

【高畑】この塗り絵もイカしてて、僕は大好きなんだけど。こんなに書き込みのある塗り絵はないよ。

ぬりえ3.jpg

【他故】おおっ、すげ~。

【高畑】この書き込みの多さがすごくって、図鑑を自分で完成させる系なんですよ。こんな感じで。

【きだて】塗るときは、やっぱり「図鑑を見てね」となるのかね。

【高畑】そうだよね。対応している図鑑があるので、そっちを見ながらやってもいいし、あるいは違う色を塗っても構わないんだけど。今までも昆虫や動物の塗り絵って、いっぱいあったじゃん。あったんだけど、ひと言ふたこと説明が書いてある程度なので、この塗り絵の本気度は違うじゃん。最後の見返しのところにも、分類表とか載せていたりして。

【きだて】お、お~。

【高畑】動物の方は、系統樹になってる(笑)。

【他故】へぇ~。

【高畑】よくできていて、面白い。このぐらい中身を作ると、塗り絵が別のものになるなと思いました。最近は、大人の塗り絵で、別の方向に行きつつあるんだけど、子どもの塗り絵を作るのをちゃんとやってなかったんだなと思った。

【他故】すごいね。自分で図鑑を作っている感じだね。ここまでくると。

【高畑】この図鑑の色塗ってないバージョンを作ってくれればいいんだけどね。

【他故】まあ、そうだね(笑)。

【高畑】でも、そうだと何色で塗っていいのか分からないのか。それで、自分で塗ったりすると、色やかたちを覚えるから、教育効果も高いと思うんだよね。

【他故】絶対楽しいな。

【高畑】これは、大人でも楽しそうだなと思ったので。自分が塗りたくなったというのもあるんだけど、これはなかなかいいよね。

【きだて】元になってる「動く図鑑MOVE」って比較的新しい図鑑だから、ちゃんと最新学説に基づいてたりして、評判いいんだよね。

【高畑】でね、「動く図鑑MOVE」の動くって、DVDが付いているのよ。

【きだて】そうそう。

【高畑】本当だったら、外に出て昆虫見たりするのもいいと思うんだけど、今はなかなか外出も難しかったりするので、家で図鑑を見ながら塗っていくのも悪くない。

【きだて】夏と言えば、子どもは昆虫展とか恐竜展に行くのが鉄板でしょ。だから今年は折り紙を折って、自宅で昆虫展や恐竜展をやるのがいいのかもね。塗り絵展示もいっしょに。

【高畑】折り紙のかたちを見てもさ、かわいいのを前提に作っているんじゃなくて、リアルにすることを主眼にしているので、ここも図鑑ベースにすると、かなり真面目なんだよね。もちろん、デフォルメもしているんだけど、デフォルメの仕方が、キャラクターグッズとは違う感がすごいあって、ちょっと恐いぐらいリアルに作ってある。そういうところもあって、なかなか面白いと思う。

――それって、折るのは難しいんですか?

【高畑】比較的難しいです。手順は多いです。

【きだて】ダイオウグソクムシとか折る手順むちゃくちゃ多いですよ(笑)。

――ははは(笑)。

【きだて】構造的に、同じことの繰り返しが多いんだけどね。

【高畑】小腸とかは簡単。

【他故】ははは(爆笑)。

【高畑】折って、周りの角を落としていけばできあがりなんです。

【きだて】楽しくない(笑)。

【高畑】臓器は割と簡単だけど、楽しくないね。やはり、カブトムシとか折れた方が楽しいよね。カマキリがカッコいいんだよ。割と立体感があっていいよ。こういうのが作れるのはいいよね。

【きだて】カマキリはいいけど、小腸を折るモチベーションを持った子どもっているのかね?

【他故】人体に興味がある子どもだっているでしょ。

【きだて】それはいるだろうけど、人体の折り紙を折るのに興味がある子はいないだろ。

――人体模型にちゃんとはめられたらいいのに。

【高畑】だから、人体マップがあって、そこにのっけるとそういうかたちにはなるんですけど。

【きだて】福笑いみたいなもんだな。

【他故】人体福笑い(笑)。

【高畑】嫌な福笑いだな(笑)。

【きだて】次は骨がくるのかね。

【他故】骨か。

【高畑】頭のところはほしいね。脳とか。でもこれ、いっぱい折って机の上に飾ってあってもさ(笑)。

【他故】親が心配しちゃうかもしれない(笑)。

【きだて】まあ夏だし、涼しげでいいんじゃない。

【他故】涼しいかよ(笑)。

【高畑】肝試しでね。

――真面目な話、子どもが楽しいのは、やっぱり昆虫とか恐竜じゃないですか。

【高畑】本当にそうだと思いますよ。昆虫と恐竜はよくできてる。あと、深海の生き物とかかっこいいんですよ。

【きだて】そのシリーズで、バージェスモンスターとかできないかな。「ハルキゲニアが折れます」とか。

【高畑】やってほしいよね。アンモナイトとかオウムガイとか、ずっとグルグル巻いて作るみたいな。

【他故】うん。

【高畑】こんだけできるんだから、何でもできそうだよ。

【きだて】ねえ。

【高畑】それで、知識も付いているから、1つ折るたびにそこが詳しくなれるというのは、なかなかおしゃれでいいなと思いますね。他のジャンルでもいいよね。自然系だけじゃなくて、働くクルマとかあってもいいし。

【他故】ああ、そうね。

【高畑】飛行機とか船とかクルマみたいなので全然いいじゃないですか。ショベルカーなんかを組み立てるのもかっこいいと思うし。そういうのに広がって欲しいね。ここにバケットホイールエクスカベーターとか書いてあって、「ジャンジャン山を切り崩すぞ」って書いてあったりして。

【きだて】塗り絵だと、黄色の色鉛筆ばかりがやたら減りそうだな(笑)。

【高畑】あ~コマツのデカいやつとかな。だから、そっち系に行ってくれてもいいと思うよ。

――でも、図鑑の方が乗り物系ないんじゃないですか。

【高畑】ないかもしれないですね。

【きだて】別シリーズでそういうのがあってもいいよね。

【他故】ああ、そうだね。

【高畑】塗り絵って、文字って2、3行しか書いてなかったけど、こんだけスペック書いてもいいんだっていうのがね。今までこういうのはなかったから、いいなと思ったんだよね。この夏は、ちょっとお勉強もありつつ、楽しんでくれればと思います。

*次回は「ほぼ日のアースボール」です。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2019年Bun2大賞を斬る!~」をnoteで有料公開中!!

【文具のとびら】が気に入ったらいいね!しよう