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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.41 夏休み特別企画・おうちで楽しく過ごすためのおすすめ文房具(その1)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は夏休み特別企画として自宅で楽しく使える文房具を紹介してもらいました。

第1回目はきだてさんおすすめのプラスの「開けたくなる封筒 aketene(アケテネ)」です。

写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん *2020年6月25日撮影

*今回の鼎談は7月30日にリモートで行いました。

お盆玉もこれでバッチリ!? もらって嬉しい手紙が書ける!

aketene2.jpg開けたくなる封筒 aketene(アケテネ)」(プラス)封筒3柄各1枚・便箋6枚入り税抜400円

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――今回の鼎談は、夏休み企画ということで、おうちで楽しめる文房具をみなさんにご紹介いただきます。まずはきだてさんからお願いします。

【きだて】僕のオススメは、プラスの「aketene」です。ま、ざっくり言えばお手紙セットですね。

【他故】はい。

【きだて】言うまでもなく、いまは気軽に外出しづらいし、都内に住んでると旅行なんかも無理だし。でも、去年までの夏休みって、子どもたちはおじいちゃん、おばあちゃんのところに行ってたじゃないですか。それが今年は難しいってことで。

【他故】そうね。

【きだて】そうなると、子どもたちに何が起こるかというと、おじいちゃん、おばあちゃんからのおこづかいがもらえなくなる。

(一同)あ~。

【高畑】お盆玉だ。

【きだて】そう、いわゆるお盆玉ね。おこづかいとかおもちゃとか、そういうのが今年はもらえないんですよ。このままだと。

【高畑】なるほど。

【きだて】それは、子どもたちにとって大損害ですよね。

【高畑】ああ、はいはい。

【きだて】なので、向こうからお盆玉を送ってもらえるように仕向けるにはどうしたらいいかっていうと、先方が返事を出さざるを得ないものを、まずこちらから送るべきなんですよ。つまり、かわいい孫からのお手紙を!

【他故】あ~なるほどね。

【高畑】請求書を送るわけだな。

【他故】あははは(笑)。

【きだて】「おじいちゃん、おばあちゃんに会えなくて、超さびしいです」とか書いて、じいじ、ばあばの似顔絵を、わざと拙く描いちゃったりして。

【他故】わはは(笑)。

【きだて】そういう、姑息な請求書を送りつけることによって、より効率よくペイバックがくるという。

【高畑】なるほど (笑)。

【きだて】さらに、孫から手紙が来たというワクワク感とか、開封する楽しみをアップさせる仕掛けがあると、なお効果的なんですね。

【他故】はいはいはい。

【きだて】そういう意味で、この「aketene」はこの夏最強のアイテムなんじゃないかな。孫たちにとっては。

【他故】うんうん。

【きだて】基本的には、便箋と封筒のセットなんですけど。封筒が工夫効いてて面白いんですよね。

【高畑】うん。

【きだて】かわいい犬・猫・魚介がそれぞれ3種1セットでありまして。本来、封かんされた封筒って、レターオープナーとかで開けたりするんだけど、「aketene」はその名の通り、開けるときに面白い工夫があるんですよ。もうみんな頷いてるから知ってるよね。今さら説明するまでもないか。

【他故】いや、説明してよ(苦笑)。

【きだて】えーとね、封筒に開封用のミシン目が入ってるんだけど、例えば犬なら、そのミシン目にリードにつながれた犬が印刷されてるのね。で、リード端の「OPEN」ってところから引っ張ってピリピリピリ…とはがしていくと、犬がリードに引っぱられて抵抗してる、みたいな図になるの。

aketene.jpg
【他故】かわいいね~。

【きだて】こんなの、誰だって「かわいい!」ってなるわけじゃん。孫から手紙が来たってだけでも“かわいい”のハードルがダダ下がりしてる状態なのに、物理的にここまでかわいいのが来ちゃうと、もうハードルがほぼ地面に埋まってる状態になるよね。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】何かね、このかわいさはずるいなと思って。

【他故】それは本当にかわいいよね。

【きだて】犬だとリードに引っぱれているし、魚介だったら「釣れた!」という感じだし、猫だと毛糸で遊んでいるところで、それぞれのかわいらしさを出す演出がしてあって。

【他故】魚介なんて、夏っぽいイメージがあるからラインアップに入れているのかね?

【きだて】そう、さわやかだよね。マグロだったり、イカだったり、ザリガニだったり。特にザリガニだと、「田舎に行ってザリガニ釣りしたかったよ」みたいな文面を入れちゃうとバッチリじゃないですか。

【他故】あははは(笑)。

【きだて】マグロだったら、「おじいちゃんの船に乗ってマグロ釣りたかったよ」と書いて。

【高畑】そんなじいちゃんいないだろ!

【他故】特定過ぎるよ(笑)。

【きだて】ビンゴで、そういう夏休みを体験している子どもたちだったら、それは最高だけど。

――ふふふ(笑)。

【きだて】犬なんかだと、「おじいちゃん家のペスを散歩に連れて行くのを楽しみにしていたのに」みたいに、ここに実家の犬の名前を書いちゃったりしてさ。もう、そういう姑息なやり口が仕掛け放題なわけですよ。

【高畑】きだてさんは、そういうのを語らせると、いやらしい感じを出してくるのが得意だよね(笑)。

【他故】わはは(笑)。

【きだて】いやいや、計算は大事よ?孫たちだって、絞れるものは1円でも多く絞りたいんですから。きちんとした戦略を立てておく必要はあるのさ。

【高畑】それは重要。

【きだて】基本的に、向こうの対・孫用の財布はガバガバなんだけどね。孫になにか買ってやりたくてしょうがないんだから。でも、それをさらにグイーッと広げて大きくするには、それなりのワザというか、かわいらしさを見せつける演出が。

【高畑】まあね。

【きだて】その演出には、これがとてもいい。

【高畑】それ、端までいくとちゃんと犬まではがせるんだよね。

【きだて】そうそう。

【高畑】リードだけじゃなくて、犬までちゃんと切り抜けるようになってるんだよ。なかなかいいよね。

【きだて】ミシン目からきれいに剥がせるように、上から貼る用の補強シールもついてるよ。

【他故】あ~そうか。

【きだて】ただね、シール貼っても意外と上手く破れなかったりするんだけどね。リードの部分が結構細いので。そこだけちょっと惜しいんだけど。

【高畑】なるほど。

【きだて】だけど、孫の手紙を雑に開けるじいじ、ばあばはいないじゃない。細心の注意を払って開けるだろうから、これでいいのかな。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】ま、だいぶ姑息な話をしましたけど、そういうのを抜きにしても、家にこもってるんだから、友だちに手紙を出すとかでもいいじゃない。

【他故】ああそうね。それはすごくいいね。

【きだて】メール送れば一発ってところはあるけど、でも、手で触れられる現物を受け取る嬉しさってのもあるからね。

【他故】分かるよ。

【きだて】そういうところも含めて、こういう面白い手紙キットはいいなと思って。今は暑中見舞いのハガキだって、いろんな種類のが出ているじゃない。その辺は他故さんが好きだよね。

【他故】あ~、もう選びようがないくらい出ているからね。

――そういえば、以前他故さんに暑中見舞いカードを紹介してもらいましたね(記事はこちら)。

【他故】そうでしたね。今年は私も実家に戻れないんで、ちょっと選んで何か送ろうとは思ってるんですけど。

【きだて】そうすると、孫宛に何か色々と届いたりするわけだろ。

【他故】いや~どうかな。分かんないけど、ちょっといやらしめにその封筒で送ってみるか(笑)。

――あははは(笑)。

【他故】でも、うちの実家は猫とか犬を飼ってないからな。

【きだて】静岡は何だ、魚介か?

【高畑】香川だと、うどんみたいになってたらね。

【きだて】それは、白いのがただビローンと出るだけだろうが(笑)。

【他故】うどんがこぼれてるだけだろ(笑)。

【きだて】でも、それで地方バージョン作ると面白いよね。

【高畑】まあ、そういう展開もできるよね。

【きだて】手紙って、自分のいるところから相手のところに送るものだから、どこかに地方性があるとうれしいものじゃない。

【高畑】確かにね。

【きだて】こっちの地方性に合わせてもいいし、相手の地方性に合わせてもいいしで、そういうバージョンがあるとちょっと面白いよね。

【他故】そうだね。

【きだて】細長いものがビロビロと切れるというパターンは、さっきのうどんじゃないけど、色々と考えられるじゃない。

【高畑】ひもの先にあるものを釣ったりするんだよね。

【きだて】つながっていればいいわけで。

【高畑】だから、その先で何を釣るかだよね。

【きだて】例えば、滋賀県バージョンだと、ひもの部分が鎖になってて、お風呂の栓みたいなのがびわ湖につながってて、「琵琶湖の栓を抜くぞ」みたいなのとか。

【他故】あははは(笑)。

【きだて】こんなの、いくらでも考えられるじゃない。来年の夏にはそういう地方バージョンが出てると面白いな。

【他故】ねえ。

【きだて】どうせ来年の今ごろだって、オリンピックもやれずに家の中で鬱々してる可能性はあるだろうし。

――それは分かりませんけどね(苦笑)。

【きだて】逆にオリンピックができたとしても、オリンピックバージョンの「aketene」とか作れそうでしょ。

【他故】それはそうだよね。

【きだて】マラソンのゴールテープになっているとか、新体操のリボンになっているとか。

――この商品のアイデアって、去年Twitterで話題になったものがネタ元らしいですよ。

【きだて】そういうのでしたっけ?

――文とびの記事によると「2019年にTwitter上に投稿され、話題になったアイデアに着目し、発案者の協力を得て開発した」と書いてあります。

【高畑】あ~なるほどね。

【きだて】プラスさん、いいとこ掘り当てた感じ。

【他故】そうだね。

【高畑】最近は、ネットで話題になったものから商品作るのってあるよね。

【きだて】まあ、いいんじゃないかな。

【高畑】向こうにザリガニを釣らせているように見せかけて、実はザリガニで5千円札とか1万円札を釣るという、“海老で鯛を釣る”方式ってやつだよね。

【きだて】それだね。手紙セット代のわずかな投資で大きなリターンが狙えるんだから、いくらでもやったらいいんだよ。しかも、今までだったら、父方か母方かのどっちかの実家しか行けないってこともあっただろうに、これならダブルインカムが狙えるじゃない。

【高畑】部屋から一歩も出ることなく、それができるわけだ。

【きだて】そうそう。

【高畑】まあ、せいぜい投函するぐらいだ(笑)。

【きだて】いっそデイトレやるかこっちかぐらいの収入効率の良さなわけですよ。自宅で金を得る手段としては。

――いや~、きだてさんにしては随分ときれいなものを紹介するなと思っていたら、そういう不純な動機があったとは(笑)。

【きだて】失礼だな(笑)。

――いやいや(笑)。

【きだて】でも、かわいいしさ、こういうの使えばいいじゃん。

【高畑】やっぱり、今「手紙書こうよ」というのはあるよね。

【他故】あるあるある。

【きだて】そもそも、手紙を書くのが面倒くさいってのはあるんだけど、こういう面白そうな封筒を使ってみたいから…というのが書くモチベーションにつながるかもでしょ。

【他故】それもあるね。

【きだて】どっちかというと、そっちの方が大きいかもね。「使ってみたいから送りたい」という。

【他故】そうだよね、これは出してみたいよね。

【きだて】もらった方も嬉しいから、ウィンウィンな感じじゃない。という意味で、おすすめの手紙セットです。

――ぜひこれは、他故さんに使っていただいて。

【他故】そうですね。これも候補に入れて、息子に何か書かせようかな。

――それで効果があったら、きだてさんにキックバックを (笑)。

【他故】何でですか(爆笑)。

【高畑】きだてさん、それでロイヤリティ取るの?

【きだて】お盆玉コーディネーターとして(笑)。

【高畑】そこで、きだてさんが代行で書いたりもするわけだよ。何とか法律事務所みたいに。

【他故】過払い金かよ(笑)。

【高畑】「もらったお盆玉の中から10%いただきます」って(笑)。

【きだて】以前にじいじ、ばあば向け雑誌で孫と仲良くする方法の連載をやってたぐらいですからね。そういうのは大得意なのさ。お盆玉を出したくなるような手紙の文面は、私が指導します!

【他故】わはは(笑)。

【高畑】お盆玉がもらいたいという人は、きだてさんに相談ということで(笑)。

*次回はトーヨーの「動く図鑑MOVE おりがみ&ぬりえ」です。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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