【連載】月刊ブング・ジャム Vol.13後編
*Vol.13前編はこちら
いかなる時もペンと紙は携帯せよ!
「ペモ アイディー」(ゼブラ)
――後編は、新社会人におすすめの文房具を紹介してもらいます。では、今回は他故さんからお願いします。
【他故】えーっと、まずは新社会人おめでとうございます。
【きだて】そういうちゃんとしたあいさつから入るところが、他故さんの真面目なところだよね。ラッシャー木村的な真面目さだよ(笑)。
【他故】私は「ペモ アイディー」をおすすめしたいと思いますが。
【高畑】あ~、いいんじゃない。今は入社すると必ずIDカードを持たせられるようになってきたからね。
【他故】本当にもう単純に、「筆記具を持ち歩くクセを付けた方がいいよ」という話を少しだけしたくて。
【高畑】あ~、なるほど。
【きだて】わかる。それ、すごい大事なこと。
【他故】何かを書くというのは、習慣づいていないとなかなか難しいんですが、上司に「あの時どうだった?」と聞かれたときの「あの時」を完全に覚えるのは難しいので、メモを書く瞬間って絶対に出てくると思うんですよ。用意のいい人は、最初からペンと手帳を持っているんでしょうけど、初めのうちは慣れていないと手ぶらで行っちゃう場合が多くて(笑)、「お前、書くもの何も持ってないのかよ」ということが割とあるはずなので。そういう時に、緊急用ではありますが、必ずペンと紙を持ち歩きたいよねという話を一応したくて。今までは便利な組み合わせで話をきてきたんですけど、ついに理想的なかたちでペンと紙を持ち歩けるグッズが出ましたので、簡単にご説明をしたいと思います。
――なるほど。
【他故】ところで、IDカードって大抵の会社で付けているんですか?
【きだて】そういう会社は多いよ。
【高畑】大分増えたね。特に、ビルの中に間借りしている会社とか、あと新しく社屋を建て替えるとそういうのを導入したりするね。
――ピピッとカードをタッチするとドアが開くやつですね。
【高畑】あとは、タイムカードがIDカードをタッチするというところが増えているので。
【他故】みなさん、そうやってカードケースを持つようになったということで、ケースをパッと開くとペンが入っているという非常に嬉しい構造になっているんですね。ここに入っている薄っぺらいペンをみると、40代以上の人にはこれはすごく懐かしい。
【きだて】そう。僕らみたいな老害文具マニアにはすごく懐かしい。
【高畑】老害(笑)。
【他故】非常に懐かしい、薄っぺらいペンが出てくるという(笑)。
【きだて】昔のとは、ちょっとかたちが違うんだけどね。
【他故】「カーディー」は後ろが丸かったりしたんだけどね。昔ゼブラさんが「カーディー」というカード文具を出していて、中にペンが入っているというとても便利な商品なんですけどね。それが、21世紀に入って、先祖返りじゃないですけど、同じようなかたちで出てきた。
【高畑】あれも当時は、クレジットカードサイズであれば、必ず持ち歩いているおサイフとか手帳とかに入れて持てるよってことでしたもんね。
【きだて】そうだね、システム手帳のカードポケットに入れたりとか。
【高畑】「必ず持ってなさい」というメッセージは同じなんだよね。
【他故】そうね。
【きだて】それが、現代にフィットしたかたちで出てきたということで。
【他故】そう。もう一回蘇らせるためにはどうしたらいいかというのを考えて、サイフを持ち歩くのも絶対じゃないなと考えると、「絶対体に付いているものは何だろう」という発想は面白いですよね。IDカードケースを開けると、ふせんの大きいのと小さいのが用意されていて、それで「メモが書けますよ」と。中にタブがあって、予備の名刺も入れられるし。予備の名刺って、どんだけ助かるか。
【高畑】それそれ、本当にそうなんですよ。
【きだて】俺はね、名刺が入るところに千円札入れておくのをおすすめする。
【他故】あ~、緊急のお金ね。
【きだて】緊急というか、要はサイフを持たずに外へ出ちゃう時があって。
(一同)あ~。
【高畑】メシ食いに行ったときに、席に着いてから「あれ、サイフ持ってきてない」とかあるからな。
【きだて】コンビニで買い物するぐらいなら電子マネーもあるけど、でもそれ以外に1,000円、2,000円あるとすごく助かるシーンがあって。
【他故】1,000円入ってれば、昼メシ食えるしね。それは分かる。
【きだて】そう。だから、名刺と1,000円。
【高畑】それとね、一番油断しているときにね、いきなり「ちょっと紹介したいんだけど」って言われるんだよ。
【きだて】うわー、あるある!不意の名刺交換。
【他故】「ちょっと来て」って言われて、いつもの調子で「はいはい」と行ったら、「この人を紹介」というシーンがあって、「先に言えよ」と思うけど(笑)。
【きだて】で、慌てて自席までダッシュで名刺取りに戻るの。あるわー。社内では名刺入れ持ち歩かないんだから。
【他故】そう。「お先に名刺をちょうだいします」って恥ずかしいじゃん。
【高畑】中規模ぐらいの会社になると、執務室と面談室エリアが分かれていて、執務室から面談室へ行く途中に、カードをかざさないと入れなかったりするんだけど、大体そういう場合ってトイレも外にあるんだよ。
【きだて】そうだよね。
【高畑】なので、「ちょっとトイレへ」と出たときに、バッタリ取引先の人に会うと「あ、この間の件ですけどね」と言われてしまったときに、メモも何も持っていないから頭の中で覚えておかなくてはいけなくなる。トイレへ行くだけだから、思いっきり油断していて、何も持っていないんだよ。
【きだて】ほんと、これ!新社会人諸君、会社ではトイレに行くのも油断できないんだよ。
社内のあちこちにこういう罠が潜んでるんだから。
【高畑】そう、それ。本当に大事だから。その時に、ササッとメモとったり、すぐ名刺出てくると、そこポイント高いんだよね。
【他故】トイレ、メシ、休憩。どれも気を抜いたらいかんのだよ。
【きだて】常在戦場の心構えな。
【高畑】喫煙ルームでタバコ吸っているときに、話が始まるということもあるから。
【他故】そういうところで話が盛り上がったのを、「ちょっとメモとりたかった」ということもあるから。
【きだて】俺はペンは携帯に付けて持ち歩いているんだけど、書くものがなかったりするので。
【他故】そう、紙がね。
【きだて】たまたまポケットに入っていたレシートに書くとかね、そういうダサいことを散々してきたわけですよ。
【高畑】それは、あんまり格好よくないものね。
【きだて】ねえ。
【他故】この商品がいいなと思ったのは、「硬い物の上にふせんがついていればいいじゃん」という単純なものを、ちゃんとかたちにしていることだよ。
【きだて】しかも、これ天のりのメモじゃなくて、ふせんというのがまたよくて。
【高畑】終わったらペロッとはがして、ノートやPCに貼ったりできるしね。
【きだて】そう。再利用がすごくしやすい。
【他故】使い切ったら市販のものを入れればいいから。
【きだて】55×75㎜のふせんが入るんだよね。
【他故】首から提げておいて、ペンをとって、ケースの上で書けるというのが、相当考えられているなと思うよ。
【きだて】あとひとつ気が利いてるのが、ペンだけ必要な場合はわざわざケースを開けなくてもいいの。側面からペンをスライドして引き出せるようになってる。
【他故】しかも、黒と赤のボールペンがあると識別しながら使えるから。
【高畑】黒だけでもよかったと思うけど、赤まで用意しているというところがね。
【他故】初期の「カーディー」って、黒ボールペンとシャープだったじゃない。今はシャープペンを持ち歩く必然性が少なくなってきたけど、やっぱり黒と赤はいいよなってすごく思う。
【高畑】ていうか、無駄にしない感じがね。小っちゃいふせんも入っているし。
【他故】これ、リフィルは替えられないんだけど、本体を買っちゃうという手で補充できるというのもさすがだなと思う。
【高畑】それは替え芯じゃないんだね。
【他故】キャップが付いた状態で、ボールペンだけ売っているのね。
【きだて】これだけで別売しているんだ?
【他故】単体で買えるんだよ。
【きだて】それは知らなかった。へぇ~。
【他故】小っちゃいキャップが付いているから、ボールペンだけで持ち歩くこともできることもできちゃうし。リフィルとして、何本かストックしておけば、これが使えなくなっても補充できる。
【高畑】元々が緊急用だからさ、さすがに普段書類を書くには普通のボールペンを使えばいいわけじゃない。
【きだて】使い勝手は正直、「まぁ、書けるけどさー」っていうレベルだから(笑)。
【他故】まさしく(笑)。
【高畑】もちろん、全然書けないわけじゃないけど。そんなにインクが減るものじゃないしね。油性だし。これ1本あれば相当書けるので、そんなにはね。
【きだて】神経質になることはないわな。
【他故】まあでも、替えがあるかないかで気分的に違ってくる人もいるので、「替えられますよ」というだけで、安心感はある。
――そうですね。
【きだて】しかし、本当によくできているなというか、現代にマッチしているな。
【高畑】表に見せるやつを選べるのと、ここに仕切板が付いてるので、分類して入れておくことができるので。だから、顔写真が付いたIDカードとして使うやつは、一番表にしておけばいいしね。
【他故】IDカードを使ってない人は、ここにICカードでも入れておけばいいから、定期入れとして使うことも不可能ではないので。それをカバンに付けておくとかね。
――これ、ずっと首から提げているんですか。
【他故】さすがに、それはないです(笑)。
【高畑】会社にいるときはずっと首から提げているけど、外に出てまで使わなくてもいいので。新社会人的には、会社にいる間はずっと持っていましょうということだから。
【きだて】仕事で外に出るときはカバンも持ってるから、文房具の備えもできるんだよ。逆に一番油断している場所はどこかというと、社内なわけで。
【他故】そうそう。
【高畑】昼休みにちょっと外へ出るだけとかね。
【他故】そう。ぶらっと出るときとか、そういう時だよね。
【きだて】そういう時が危険だからね。
【他故】だから、そういう時に油断しないようにということで(笑)。
【高畑】油断するなよ!
【きだて】これ、「身につけられる最低限の筆箱」と考えると、かなり実用的なんだよね。
【高畑】ちょっと前に流行ったじゃん。単語帳とペンをリールに付けて携帯するハック。
【きだて】あった、あった。
【高畑】それの洗練したバージョンというか。
【きだて】あとはこれに、ハサミとカッターとテープを付けて…。
【高畑】肩凝ってしょうがないわ(笑)。
【他故】重くしちゃダメだろ(笑)。
【きだて】いや~、不安じゃないか!
【高畑】でもね、ハサミとかカッターが入っている昔のカード文具をここに入れるという手がある。
【きだて】そうだ、カード文具を入れりゃいいんだ。
――きだてさんはカード文具いっぱい持ってますものね。
【他故】この中に、昔の「カーディー」を入れている人がいますよ。
【きだて】そりゃおかしいだろ(笑)。
――これは、もう一度カード文具を流行らせようという意図があるんですかね?
【他故】どっちかというと、カード文具の落とし子ですよね。
【きだて】うーん。現代に即したかたちで久々に出たカード文具、というだけであって、カード文具という文化のリバイバルにはつながらないかな。残念だけど。
――携帯するものを色々と考えたら、これに行き着いたということですか?
【きだて】そういうこと。
【高畑】今は、カードを別に作る必要はなくて、これごとケースにしちゃったのは正解だよね。
――じゃあ、これがヒットすると、「次はハサミで」となるんですかね(笑)。
【きだて】それを期待しているんだけど、期待しているのは日本でも俺ぐらいなので(笑)。
【他故】「カーディー」の進化がそのままみたいな(笑)。
【きだて】そうそう。最終的に、ここからボールペンが出てくるとか、これ自体がボールペンになるとかね、色々と考えられるわけですよ。
【他故】そういうギミックが付いたら、手帳用のボールペンが入っちゃうんじゃね?
【きだて】ああ、そうだね。
【高畑】気が付いたら、ウェストポーチぐらいのでかさになってるぞって(笑)。
――首重たいなあ~って(笑)。
【きだて】いや、俺はそれでもいい。待ってる!!
【高畑】まあこの文具は、油断しているときに最低限のものをと考えたときに、今のところの答えということだね。
【きだて】これ1個持っているだけで、身が守れるので。
【他故】そう。ぜひみなさんも、使ってみていただいたらありがたいなと思います。新社会人がんばれよ!
新社会人として覚えなくてはいけないことはノートに記録せよ!
「Access Notebook(アクセスノートブック)」(エコール流通グループ)
――次は高畑編集長です。
【高畑】手前味噌で申し訳ないのですが、僕が毎日仕事をしている中でないと困るものとして、「アクセスノートブック」をちょっと紹介しようかなと思います。
――なるほど、「文具王ノート」ですね。
【高畑】いろんなところで何回も紹介してくれているのであれですけど、とりあえず説明すると、全部のページに番号がふってあるノートで、ハードカバーなんだけど、裏表紙が折れるようになっていて、指をかけたらそのままペラペラめくれますよというノートです。ページ数が200ページで、目次が200行あるので、必ずそのページのことを書いておくことができるので、見返すときにページを探しやすいノートになってますよ。僕の場合は、案件ごとに管理しているんですけど、新社会人だとまず社会に入ると会社のルールとか、社会のルールを覚えるとか、しばらく研修続きになるじゃないですか。
【他故】うん、そうだね。
【高畑】それだけじゃなくて、パソコンなんかでもそれぞれ会社のルールがあって、「何々用のコードはこれ」とか、品目を分けるコード一覧とかあったり、「何とかの書類提出の方法はコレ」とか、しばらくはノートを見返さないといけない。
【きだて】そうそう。会社に新しく入って一週間の間にとったメモって、そこから最低でも半年ぐらいは確実に何度も見返すことになるから。
【高畑】よく見るよね。
【きだて】だから、見返す前提で書く必要がある。
【高畑】休暇申請のとり方みたいなものでも、ちょこっとメモしておいても、「どこへ書いたっけ?」となるから。あとは本当に業務をやる上で、略称だったりとか、取引先の連絡先だったりとか、そういうのは何度も何度も見るので。それは、普段のノートと一緒でもいいんだけど、見返す用のノートを1冊持っておく。自分用にマニュアルを作るといいよと思う。入ってから1カ月、2カ月は研修が続くじゃない。その中で、これは残しておくべきということを書いておくのにいいと思う。僕が見返すのに作ったノートなので、いいと思います。あと、このノートには、最初に名刺を貼るところがあって、「これは大切なノートですので、このノートを拾った場合は、上記にご連絡下さい」と、あらかじめ僕がノートに書いているので。
【きだて】文具王って日常生活においてはすさまじくポンコツだから。基本的にモノはなくす前提なんだよね。
【他故】なくす前提(笑)。
【高畑】これがね、ノートなくすと本当に途方に暮れるよ。
【他故】そりゃそうだよ。そこにしか書いてないんだもの。
【高畑】このノートじゃなくてもいいけど、見返す用のノートは1冊作った方がいいよ。
【他故】絶対にいいね。
【きだて】俺はトータルで6回転職しているわけですわ。それだけ会社を渡り歩いていると、1社につき1冊ずつこういう「初期ノート」というものがたまっていくわけで。
【高畑】1年も経つと覚えるから、なくてもいいんだけど。
【きだて】でも、やっぱり3カ月とか半年ぐらいまでは絶対に必要なんだ。ノート全部は使わなくて、最初の10~20ページぐらいなんだけど。
【高畑】よく調べるページは限られているんだけど、それをペラペラっとめくって「ココ!」っていうのを何度もやるよね。
【きだて】今は、6度目の転職先でこのノートのミニサイズを「初期ノート」として使わせていただいてます。まさに文具王が言文具王が言った通り、リファレンスしやすいというのがポイントで。
――身近に実践している人がいましたね。
【高畑】ありがとうございます。6回転職しても、6回目でまた作らないと。ローカルルールがいっぱいあるんだよ。
【他故】そりゃそうだ。
【きだて】もう、会社ごとに全部違うから。
【他故】それは、同じ会社にずっと勤めていたって、部署が変われば同じ事なんだよ。
【きだて】ああそうか、そういうことだね。
【他故】いろんな部署を転々としていて、その度にノートを作っていたけど、今の部署になって「アクセスノートブック」に替えたのね。
【きだて】ああ、やっぱりやってたんだ(笑)。
【他故】うちの場合は、1年間でやることが決まっていて、翌年また同じサイクルで仕事をやることになるから、1年分は作らざるを得ないのよ。翌年になって初めて自分の辞書ができる。
【高畑】翌年は自分の辞書ができるから、聞きにいかなくても自分で業務がこなせるんだ。
【他故】最初1冊目のノートは、聞きながらというのもあるし、自分がやったことを全部書いてあるノートでそれが辞書になる。2年目のノートは、前のを引きながら、自分が分かっていながらも書いていく。予習と復習じゃないけども、段々と密度が濃くなっていって、3年目になってくると、2年目の失敗も全部分かってくるから、もうこれはこうすればいいんだというのが分かるようになってくる。ノートとしては、使っていく量がちょっとずつ減っていくんだけど、1年に1冊くらいは消費していく。
【きだて】なるほどね~。
【高畑】ある程度、同じ業務が続く仕事であれば、最初の1年よりも、翌年、その次の年とどんどん洗練されて効率がよくなっていくんだ。
【他故】そう。その気が付かなかったことを、今度は改良していく方向で。3年目くらいでようやく気が付くので、そのリファレンスを改めて作ると、結局4年目くらいから違う仕事になるんだよ。
(一同)あ~。
【他故】だから、「うん、また改めて」ってなるんだよ(笑)。
【きだて】それは、あの読みやすい、異様にびっちりとした書き込みでされているわけだな。あの気持ち悪いノートで(笑)。
【他故】気持ち悪いって言うな(怒)。5㎜方眼に字が入っているだけで、気持ち悪いって言うな。
(一同爆笑)
【きだて】そういう機械か(笑)。
【高畑】まあそれで、自分なりの効率化に役立てばいいし。3回ぐらいまでは、先輩に聞けば教えてくれるんだけど、だんだん聞きづらくなってくるでしょ。
【きだて】そうだね。
【高畑】入社するとか新しい環境になったら、自分用の見返しノートを作るというか、辞書を作るというのはいいんじゃないかな。
【きだて】それは本当に大事だね。
【他故】あとは、会社で割とまだプリントを配られることがあるんだけど、何かの会議のときに「あの書類持ってないや」ということがすごくたくさんあって。だから、自分がもらったものに関しては、すべてこのノートに貼っちゃうのね。ここに入っているということにしちゃうのよ。そうすると、「あの時の種類はどうしたっけ」と訊かれても、すぐに見せることができるので。基本的に、会社ではこれ1冊に入れている。
【高畑】僕は2冊使っていて、1冊目は見返す用ノート、あとはデイリーでどんどん書いていくメモ帳としてのノートの2冊を平行しているのね。使い方は色々だけど、普段のノートは普通に例えば大学ノートを使うというやり方でもいいと思う。
【きだて】お値段がちょっとするからねー。さすがに普段使いのメモをこれにするほどの贅沢はちょっとできないな。
【高畑】僕は自分で作ったから使ってるけど、普段使いのノートは、メモパッド使ったり、リングノート使ったりして、とにかく何度も見返すノートはこういうしっかりしたノートにすればいいと思います。
【きだて】本当に、その通りだと思います。
【高畑】新社会人は、覚えることがたくさんあると思うので、ぜひやってみて下さい。
“ホウレンソウ”は素早く実行せよ!
スパイニンジャギア ペンブラスター
【高畑】いや、本当にその業界特有の専門用語とか略語があるでしょ。
【他故】そういうのを突然言われてもな。
【きだて】そういうときは、まず「ペモ アイディー」でメモっておいて、後で「アクセスノートブック」に書き写すんだよ。
【他故】ふせんだから、そのままノートに貼ってもいいし。
【きだて】まず、聞いた瞬間にメモる。で、それをちゃんとノートに書き留めておく。どちらも大事なことだから。
――なるほど、2つの文具がリンクしてきましたね。
【高畑】というところからきて、今度はきだてさんだよ。
【きだて】うーん、うまいことリンクするかは分からないんだけど。俺が20年以上前に社会人になったとき、まず最初に上司に怒られたのが「ホウレンソウがちゃんとできてない」ということで。
【他故】あ~、よく言われるやつね。
【きだて】「報告・連絡・相談」ね。で、これをちゃんとするのは当然として、何が大事かというと「スピード」なんだと。
【他故】ほう。
【きだて】上司に告げるべきことがあれば「何を置いてもまず報告しろ。いったん置くな」と。これ散々言われたんだ。
【高畑】はい。
【きだて】で、その当時を思い出しながら、そういうことに役立つ文房具はないかなとコレクション棚を探してたら、ありましたね。これなんだけどさ。
【他故】何だ、それ。
【高畑】何これ(爆笑)。
【きだて】「スパイニンジャギア ペンブラスター」っていうんですけど。アメリカ製で、Amazon.com経由で輸入しました。
【他故】明らかにアメリカのおもちゃのパッケージだよ(笑)。
【きだて】いや、そう見えるかもだけど、立派なお役立ち文房具なのよ。基本的にはボールペンなんですけどね。
――でかいな(笑)。
【きだて】こうやって、本体にリフィルをセットすると…。
【高畑】お~、ボールペンだね。
【きだて】この時点では、普通にボールペンなんですけど。
【他故】ボールペンだよね。
【きだて】それで、「あっ、これは緊急で上司に報告しなきゃ!」となったら、まずペン軸側面のカバーをカパッと開けますとですね、ここにロールメモが入っております。
【他故】ほ~お。
【きだて】このロールメモに報告する内容を書きます。緊急だからね、これをとにかく素早く上司に伝えなきゃ!と。
【高畑】はい。
【きだて】そしたら、いま書いたメモを細く丸めて、付属のダーツの中にねじ込みます。で、そのダーツをペン軸にスポッと入れたら、あとは上司めがけてペン軸のおしりから……プッと吹く!(飛び出したダーツが壁にくっつく)。
(一同爆笑)
【高畑】すげぇ(爆笑)。
【他故】くっついた(爆笑)。
【きだて】こうすることで、一刻も早く上司に報告を挙げることができるという、ね。
――吹き矢だ(笑)。
【きだて】ダーツの先端は粘着シリコンになってます。
【高畑】吸盤じゃないんだ。
【きだて】だから、壁紙調のパーティションにも付きます。ね、これならわざわざ上司の席まで報告に行くよりも、数秒は早く伝えることができるわけさ。
【他故】え~っ!?
【きだて】矢文ですよ、矢文。
【高畑】現代の矢文だ。
――風車の弥七みたいに(笑)。
【高畑】そう、弥七だね。
【きだて】これを使えば、よりスピーディーに社内連携がとれるんだ。
【高畑】すごい(笑)。
【きだて】真面目な話、学生と社会人の大きな違いは何かというと、会社はユニットというか、チームで動くのが基本でしょ。
【他故】まあそうね、組織があるからね。
【きだて】チームで動くためには、チームを構成する人間同士の「報告・連絡・相談」が絶対に必要なんだよね。学生さんは独りで適当にやってても生きていけるんだけど、適当なまま会社に入っちゃうとすごく苦労するのよ。
【他故】はい、そうだね。
【きだて】だから、社会に出てチームとしてやっていくためには、「報告・連絡・相談」は欠かせないし、スピーディーにやることはとても大事。
【高畑】そうだよね。「報告・連絡・相談」をいかにスピーディーにやるかということだね。
【きだて】その一つの解決案として、この「スパイペンブラスター」があるわけです。
【高畑】今、ものすごい勢いで早かったものね。目の前をものすごいスピードでビュンと。
【きだて】すごい早かったでしょ。
【他故】立ち上がって上司のところへ行くなんて目じゃないよね。早い、早い。
【きだて】そう。上司のメガネのところへこれを打ち付ければ。
【他故】それは、狙撃だろう(笑)。
【きだて】というものなんだけど、どう?
【高畑】面白い。いや、面白いというか、それ大事。
【きだて】俺、正しいよね?
【高畑】言っていることは正しい。確かに、一瞬で届いた。この目で見たよ。
【他故】理論と実践がマッチしてるよ。
【きだて】ね、ズレてないでしょ?
【他故】ズレてない。
【きだて】なのに何だ、お前らのその生暖かい反応は!
――誰かちゃんとツッコんであげて下さい(笑)。
【きだて】つらい(笑)。
【高畑】その連絡をもらって、上司からどんな反応をもらえるかという問題はあるけど。
【他故】上司がどこまでノッてくれるかという。
【高畑】広い会議室でみんなが会議しているときに、ななめ向いの人に「この案件についてフォローしてくれ」とお願いするときにこれを使うとか。
【きだて】これでプッ!プッ!と情報が行き交う。リアルチャットですよ。
――これ、どれくらい飛ぶのかしら。
【他故】今の勢いだったら、無風なら4、5メートルいけますよ。
【高畑】肺活量の問題もあるからね。
【きだて】ちょっとやってみようか。(吹いてみて)5メートル弱くらいかな。
【他故】大抵の会社だったら、課長までは届くよ。
【きだて】ちょっと離れた部長までは難しいか。でも直属の上司まではいける、と。
【高畑】だから、メモをする、それをノートにとる、そして報告・連絡・相談という、新入社員がしなきゃいけないことはこれで揃うよね(笑)。
【他故】この3つを揃えれば完璧(笑)。
【きだて】そう思うんだ。そういう意味で、とりあえずこれを一揃え揃えようか!
【高畑】そうそう、とりあえずな。
【他故】これはどこで手に入るんだよ?
【きだて】Amazon.comで買えるよ。日本に届くまでちょっと時間かかるけど。
――入社してこれを支給されたらどうするんですか。
【きだて】そんな会社なら、俺も転職せずに一生骨を埋められると思うな(笑)。
【高畑】冗談みたいに言っているけどさ、昔は上の階と下の階の人がやりとりするのに、会社の中にチューブを這わしてたから。エアチューブで書類を渡してたけど、今見るとちょっと滑稽に感じるじゃない。それを考えると、あながちおかしくもない。
【きだて】そう、馬鹿にしたものでもないよ。
【他故】方向性は間違ってないよ。
【高畑】ただ解決策として、2018年現在において、これが正解かどうかは分からないけど(笑)。しかし、こんなのよく見つけてくるな。
【きだて】こういう斜め上の回答をしれっと見つけてくるセンサーを鍛えとくと、意外と会社で重宝されることもあるのよ。「あいつバカだけど、バカなりに使えるな」という。
【高畑】今回のテーマに応えて、こんなものをちゃんと持ってくるところがすごいな。
【他故】オチを任せて本当に良かった。
【高畑】今回は、きだてさんに締めてもらったよ(笑)。
【きだて】こんなくだらない文房具で適当なこと言ってても、社会人として20年以上生きていけるんだから。新社会人の皆さんもあまり悩まず、適当にやっていってくださいね。
――こうしたアイテムを許容できる、ゆとりのある職場になることが、働き方改革の第一歩になるんですね。
【きだて】そう、それだよ(笑)。
【他故】いよいよ、イロブンの時代だ(笑)。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。東京・京橋の文具店・モリイチの文具コラムサイト「森市文具概論」の編集長も務める。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
【森市文具概論】http://shop.moriichi.net/blog/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。「森市文具概論」で「ブンボーグ・メモリーズ’80s」を連載中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書に『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)があるほか、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)も2018年3月2日に発売。
弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。最新刊の『ブング・ジャムの文具放談5』も発売された。
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