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【イベントレポート】修正テープがミドリムシに変身?「田中達也展 みたてのくみたて」
文具のとびら編集部
髙島屋は、ミニチュア写真家である田中達也氏の展覧会「田中達也展 みたてのくみたて」を2024年8月1日〜2024年8月28日まで日本橋髙島屋S.C.本館8階ホールで開催している。当日券は、一般が税込1,200円、大学・高校生が同1,000円、中学生以下は無料。
同展覧会では、日常にあるものを別の物に見立ててアート作品を完成させる「見立て」の発想をテーマに日本初公開のミニチュア作品を含む約160点の作品を展示。
ミニチュアアートの材料は、食べ物、楽器、機械、キッチン用品など多岐にわたるが、編集部員は特に大好きな文具で作られたミニチュアに釘付けになった。さまざまなものに「見立て」られ、一層輝く文具たちを発見したので、紹介する。
10年以上も毎日作品を発表!その発想力の源は?
田中達也氏は、2011年にミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を開始。以後、毎日作品をインターネット上で発表し続けている。
10年以上も作品を作り続ける田中氏に「どこからそんなにたくさんのアイデアが湧いてくるのか?」という質問が寄せられることが多いそうだ。そこで、同氏のアイデア・発想がどこからやってくるのか?をテーマに今回の展示を企画。「HOME」、「FORM」、「COLOR」、「SCALE」、「MOTION」、「LIFE」、「WORLD」の7つの視点を紹介した。
10年以上も作品を作り続ける田中氏に「どこからそんなにたくさんのアイデアが湧いてくるのか?」という質問が寄せられることが多いそうだ。そこで、同氏のアイデア・発想がどこからやってくるのか?をテーマに今回の展示を企画。「HOME」、「FORM」、「COLOR」、「SCALE」、「MOTION」、「LIFE」、「WORLD」の7つの視点を紹介した。
田中達也氏
7つの視点と文具を使った作品
田中氏が発想の源泉としている7つの視点とそれぞれの視点から作られた作品を順に紹介する。
1.HOME 暮らしから考える
日々の暮らし、身の回りにあるものから着想する。見慣れたものを、よく観察して他のもので「見立て」ることで、新しい景色が生まれる。
おしゃれなビルにありそうなホチキス製トイレ。長針と普通サイズの芯の使い分けがたまらない。そして作品名から芯のメーカーを窺い知ることができる。
こちらは、確かに切れが悪そう。セロテープの色味が妙にリアルで面白い。
物の形を見て発想するという視点。リモコンがビルに、ネギの輪切りが弓道の的に…形からアイデアが膨らんでいく。丸、ギザギザなど、あえて形を簡略化して捉えることで、発想が湧いてくるそう。
こちらは、トンボ鉛筆とのコラボ作品。同社のロングセラー鉛筆を竹に、削った鉛筆の先をタケノコに、削りかすを土に見立てた。さまざまな要素が、1本の鉛筆から作られている楽しさがある。
3.COLOR 色から考える
物の色からイメージを膨らませることもあるそう。色のイメージを簡略化することで、作品のアイデアにつなげる。
この作品は鮮やかな蛍光カラーのふせんから、華やかな夜の街のネオンをイメージして作った作品。賑やかな雰囲気が伝わる。
4.SCALE スケールを考える
縮尺を変えることで、アイデアの幅をさらに拡げる。例えば、とうもろこし1粒をバッグに見立てることもできる一方、とうもろこし全体を畑の一部に、さらに大きなビルに見立てることもできる。同じ素材でも縮尺次第でさまざまな場面を表現できるそうだ。
なんとこのブースではカタツムリになったコクヨのテープカッター「GLOO」や顕微鏡レベルのミドリムシに変身した修正テープを発見!背景を大きく拡大して、縮尺を変えることによる「逆ミニチュア」に大興奮だった。
形や色と同様に、動きや変化を簡略化して発想することも。「往復」や「回転」など、動きが同じものを結びつけることでアイデアが湧いてくるという。
ルーズリーフの穴から連想した、雪の日の足あと。作品名も素敵。
6.LIFE 生き物におきかえる
目鼻をつけたり、動きを付けて生き物にするというのも、一つの手法。もしこれが人間だったら?と想像して「擬人化」することで新たな視点でアイデアが湧いてくる。
ヨガをたしなむクリップたちの”愛用ヨガマット”はもちろんふせん。しっかりと床にくっつくから、滑りとめもばっちり。
同展示はまもなく終了となるが、2024年9月11日〜2024年9月29日に、神奈川県の横浜高島屋ギャラリーで「MINIATURE LIFE展2 田中達也 見立ての世界」、2025年2月8日〜2025年3月2日には、鳥取県の米子市美術館で「MINIATURE LIFE展2 田中達也 見立ての世界」が行われる予定だ。
1.HOME 暮らしから考える
日々の暮らし、身の回りにあるものから着想する。見慣れたものを、よく観察して他のもので「見立て」ることで、新しい景色が生まれる。
おしゃれなビルにありそうなホチキス製トイレ。長針と普通サイズの芯の使い分けがたまらない。そして作品名から芯のメーカーを窺い知ることができる。
「便意MAX」
こちらは、確かに切れが悪そう。セロテープの色味が妙にリアルで面白い。
「おしっこの切れが悪い」
2.FORM 形から考える物の形を見て発想するという視点。リモコンがビルに、ネギの輪切りが弓道の的に…形からアイデアが膨らんでいく。丸、ギザギザなど、あえて形を簡略化して捉えることで、発想が湧いてくるそう。
こちらは、トンボ鉛筆とのコラボ作品。同社のロングセラー鉛筆を竹に、削った鉛筆の先をタケノコに、削りかすを土に見立てた。さまざまな要素が、1本の鉛筆から作られている楽しさがある。
「鉛筆縮めば学力伸びる」
3.COLOR 色から考える
物の色からイメージを膨らませることもあるそう。色のイメージを簡略化することで、作品のアイデアにつなげる。
この作品は鮮やかな蛍光カラーのふせんから、華やかな夜の街のネオンをイメージして作った作品。賑やかな雰囲気が伝わる。
「街の目印」
4.SCALE スケールを考える
縮尺を変えることで、アイデアの幅をさらに拡げる。例えば、とうもろこし1粒をバッグに見立てることもできる一方、とうもろこし全体を畑の一部に、さらに大きなビルに見立てることもできる。同じ素材でも縮尺次第でさまざまな場面を表現できるそうだ。
なんとこのブースではカタツムリになったコクヨのテープカッター「GLOO」や顕微鏡レベルのミドリムシに変身した修正テープを発見!背景を大きく拡大して、縮尺を変えることによる「逆ミニチュア」に大興奮だった。
「カッターつむり」
「修正テープの習性」
ミドリムシらしさ満載
5.MOTION 動きや変化から考える「修正テープの習性」
ミドリムシらしさ満載
形や色と同様に、動きや変化を簡略化して発想することも。「往復」や「回転」など、動きが同じものを結びつけることでアイデアが湧いてくるという。
ルーズリーフの穴から連想した、雪の日の足あと。作品名も素敵。
「ルーズリーフの穴はこうして作られた」
6.LIFE 生き物におきかえる
目鼻をつけたり、動きを付けて生き物にするというのも、一つの手法。もしこれが人間だったら?と想像して「擬人化」することで新たな視点でアイデアが湧いてくる。
ヨガをたしなむクリップたちの”愛用ヨガマット”はもちろんふせん。しっかりと床にくっつくから、滑りとめもばっちり。
「体が硬い人たち」
7.WORLD 世界共通のことから考える
同氏は、世界共通のものを探し、モチーフにすることで「世界はおなじ」と感じてもらいたいという。
普段、政治的なメッセージは作品に込めないようにしている田中氏だが、「戦争をしてはいけない」という意見は明確。2022年にロシアがウクライナへの侵攻を開始した際、ロケット弾の攻撃を受けたマンションの映像を見て思わず作ったのがこの作品だという。
「マンションに見立てたメモ帳を、本来表現やコミュニケーションの手段であるはずの鉛筆が貫いている」という田中氏の言葉が胸に迫る。
同氏は、世界共通のものを探し、モチーフにすることで「世界はおなじ」と感じてもらいたいという。
普段、政治的なメッセージは作品に込めないようにしている田中氏だが、「戦争をしてはいけない」という意見は明確。2022年にロシアがウクライナへの侵攻を開始した際、ロケット弾の攻撃を受けたマンションの映像を見て思わず作ったのがこの作品だという。
「マンションに見立てたメモ帳を、本来表現やコミュニケーションの手段であるはずの鉛筆が貫いている」という田中氏の言葉が胸に迫る。
同展示はまもなく終了となるが、2024年9月11日〜2024年9月29日に、神奈川県の横浜高島屋ギャラリーで「MINIATURE LIFE展2 田中達也 見立ての世界」、2025年2月8日〜2025年3月2日には、鳥取県の米子市美術館で「MINIATURE LIFE展2 田中達也 見立ての世界」が行われる予定だ。
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