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【フリクションボールノックゾーン】"消せるボールペン"進化の秘密を文具王が探る!
2022年11月18日。パイロットコーポレーションから、「フリクションボール」の最新作「フリクションボールノックゾーン」が発売された。消せるボールペンとして圧倒的に高い知名度を誇り、既に多くのバリエーションが存在するフリクションだが、今回の新作は扱いが別格だ。広告には「FRIXION 3.0」「解放せよ!」とのワードが踊り、フリクションボール国内発売以来15年目にしてはじめてメジャーアップデートしたVer.2レフィルは、黒が従来比で30%も濃くなったという。しかも、500円(税込550円)、2,000円(同2,200円)、3,000円(同3,300円)の3価格モデルを同時発売と、これまでにない力の入った展開だ。
そこで今回は、私、文具王・高畑正幸編集長が、パイロットコーポレーションのマーケティング部筆記具企画課を訪ねた。
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とにかく濃くなったインキ

もちろんそれ以外にも面白い仕掛けがたくさんあって、どこからお伺いしようかというかんじですが、
まずは簡単な概要と開発の経緯を教えていただけますか?
長田 今仰った通り、やはり濃くなったことと、インキ容量がアップしたことが今回の1番の目玉なんですね。いわゆるレフィルのところです。もうご存じだと思いますが、市場調査でフリクションを使わない理由を聞くと、これまでのフリクションの不満点で多いのは、やはりインキが薄いことと、インキがすぐ無くなってしまうこと。この2つがほとんどなんですよ。実はもうひとつ、フリクションを使わない理由の1番に出てくるのは、「消す必要がないから」なんですけど(笑)。
高畑 そこはもうしょうがないですよね。
長田 いくらフリクションががんばったところで、「消す必要がない」という方はフリクションユーザーにはならないので、もうそこは対象外として。やはり2番目、3番目の理由は今話しました、インキの薄さとレフィルがすぐ無くなってしまうこと。これはもう発売した当初からずっと言われていることなので、ずっとそれを改良するというか、その不満点を解消するレフィルを開発していて、それを今回ようやく発売することが出来ました。
もう1点課題点としてあったのが、フリクションは価格の幅が広く、中価格帯のラインアップがちょっと弱かったので、このレフィルが出来た時に商品の本体にも機能をプラスして、中価格帯のフリクションのラインアップを拡充していく目的があり、今回のこの「ゾーン」に至りました。
なので今回の商品の目的としては、今お伝えしたフリクションを使っていない人たちを新規でフリクションユーザーに取り込む。かつ現行のフリクションユーザーの顧客満足度をアップする。この大きな2つの目的を果たすための商品となっています。
Ver.2レフィル
高畑 なるほど。まずはやっぱりレフィルのアップデートは大きいですね。軸にわざわざ「Ver.2」って刻印がしてあって、つまりはフリクション発売以来、レフィルとしては初めてのメジャーアップデートということですもんね。自信がうかがえます。実際、書いてみるとハッキリ違いますね。何と言っても今回は、このインキが最大のポイントですね。
長田 はい、「プレミアムフリクションインキ」という、今回Ver.2レフィル専用に開発したインキで、従来品と比べて、濃度が黒で30%、青と赤で15%アップしています。
「プレミアムフリクションインキ」は、従来の「フリクションインキ(フリクションボール単色用替芯)」よりインキ濃度をブラックで30%、レッド、ブルーで15%高めることで、濃く視認性の高い筆記が可能になった。
高畑 たしかに、特に黒はその違いが歴然としています。書いてみて驚いたのは、色味が違うところです。シナジーチップが出たときにも濃くなった印象はあったんですが、あれは、インキをたくさん出してインキの量によって、以前よりも濃く見えた感じですが、それに対してVer.2はインキの色からして違うように思います。
長田 従来のインキと今回のVer.2のレフィルに入るインキは、もう全く別の色です。細かい事は言えないんですが、全部別ということだけは言えます。
高畑 あとは、レフィルの軸を金属にすることで、パイプの壁を薄くして、インキ容量を1.7倍にまで増やしていますね。これも最初にお伺いした、フリクションの2大不満点のひとつ。インキがすぐなくなることへの対策ですね。でも筆記距離は1.4倍。ということは、以前のレフィルよりたくさんインキが出ているということですね。これもやはり濃く見せるための手段だと思いますが、つまり、容量を大幅に増やして、濃さと長持ちの両方を解決している。ただ一つ残念なのは、軸が不透明になったので、残量がわかりにくくなったところです。パイプの厚みが薄い金属レフィルを使用することで、従来の樹脂レフィルに比べ1本当たりのインキ容量が70%増え、インキが長持ちする。従来のフリクションボール単色用替芯と互換性があるため、フリクションボールやフリクションボールノックにも使用することができる。
長田 そこは確かに開発時点でありました。なので可能な限りパイプを薄くする。残量については先の方の一部だけですが乳白色にして、インキ量を少しでもわかるように。
高畑 ちょっと気になったのは、ティザーや店頭什器では「FRIXION 3.0」レフィルは「Ver.2」ということで、ちょっとややこしいなと思いましたが、そこはどうなんですか?
長田 まず3.0というのは商品名ではなくてこのプロモーションにおけるキーワードで、「Web3.0」のような3.0という言葉をつかってフリクションの進化っていうのをプロモーション的に押し出していく。レフィルの「Ver.2」は商品名みたいな感じなので、そこがごっちゃになってしまうんですけど、プロモーションキーワードと商品名で違うものというのは、お伝えしておきたいです。
ところで、そもそも今回の3.0があって、1.0と2.0ってどういう風に思われてますか?
高畑 レフィルとは別に、全体としてフリクションを分類して、今回の「ゾーン」が3.0だとするなら、1.0はもちろん最初に出たやつですよね。2.0はノックだと思ってたんですけど、違うんですか?
長田 「フリクション誕生」が1.0。「フリクションのラインアップが、いろんな種類が増えてきた」のが2.0です。
高畑 いろんな種類まとめて2.0なんですか? 初代以外、ノックも、ビズも多色も全部「2.0」に含まれるってことですか?
長田 そうです。あれも基本的には2.0に入ります。
高畑 それ、広すぎませんか?(笑)まあつまりそれはどっちかっていうと、「2.0」というより「2.〇〇」がいっぱいあるってことですね。
長田 そういうイメージです。ちょっとなかなか難しいですけど(笑)。
高畑 なるほど、あと気になるのは、レフィルの「Ver.2」なんですけど、そうなると「フリクションポイントノック04」のシナジーチップはどこに行ったの?と。要はインキ種別としてのVer.1とVer.2みたいな切り方ですよね。チップ形状っていうのは、今回のVer.1とVer.2の違いではないと。シナジーはフリクションのレフィル的にはVer.1の亜種みたいな話なんでしょうか。
長田 そうです。
ボディに詰め込まれた様々なギミック
長田 「ゾーン」のために開発しています。特にノック音については、現行の230円タイプはノック音が大きめですよね。それは元々課題ではあったので、ノックに関してはやはりフリクションを改善するにあたって、この機能が必要でした。

高畑 なるほど。ノック音については「ジュースアップ」とか、他のペンでも課題だと思うんですが、「ゾーン」ではじめて投入したのはなぜですか?
長田 「ゾーン」の1番重要な役割は新開発のプレミアムフリクションインキとそれを採用したレフィルを見せることなんですが、よりお客様を引きつけるためのプラスアルファの機能が欲しい。いくつもの改良ポイントを一つの商品にまとめることによって注目度を上げるのが狙いです。
高畑 ファンとしては、インキの黒さだけでもすごいとは思いますけどね。
それにしても、プラスアルファといいながら、先端のブレ止めなんか、ノックするとペン先をぎゅっと掴む構造になってて、他社のとはまた全然違うアプローチで実現しているのがおもしろいと思いました。
高畑 「ゾーン」という名前の由来は?
長田 「集中」です。スポーツ選手がよく言う、集中状態。インキが濃くなったこと、ペン先のブレ止め、静音ノック機能がユーザーを集中に導きます。
高畑 ゾーンテクノロジーというのはインキも含むんですか?
長田 インキも含みます。レフィルとペン先のブレ止めと静音ノックの3つで、ゾーンテクノロジーです。三つ揃わないとゾーンと言えないわけです。
高畑 特に開発に苦労したのは?
長田 断然インキです。詳しくは言えませんが、2年や3年でできるようなものではありませんので。
材質と価格が異なるラインアップを同時発売

長田 仰る通りです。
高畑 これまでのやり方からすると、例えば材質の異なるグリップは、名前を変えて来年出すっていうのもあったわけじゃないですか。それを今回一度に3種類出したというのは、戦略としてこれまでと違う感じがするのですが、
長田 フリクションの中でこういうことをやるのは初めてで、やはりこの3.0でフリクションの進化を今回見せたい。それとプロモーションも大きくやる予定もあったので、「フリクションボールノックゾーン」としてのインパクトを最初に出したかったんです。それと、価格帯によって購入者って変わってくるわけですよね。例えばフリクションを使っていない人はいきなりこの高い方は買わないですよね。一方、今フリクションを使っている人に対しては、より高級感のある物を使ってほしいので500円と2,000円、3,000円を一気にラインアップして出しました。また、店頭の販売を考えると、500円だけだと店頭で出したとしてもやはり什器のサイズも小さくなってしまいますが、3種類のラインと替芯があることで、大きな什器展開ができるというメリットもあり、消費者目線と販売方法、両面の理由から、一気に出しました。
高畑 3種類の立ち位置とか意味合いの違いはあるんですか?
長田 3,000円と2,000円のモデルは、ビジネスパーソンをターゲットにイメージしています。静かな会議室でも使える製品に仕上げていますし、ビジネスシーンなどでフリクションを使う方ですから、質感の好みはそれぞれ違うと思います。その好みを選べるように準備しているという感じです。

高畑 どのモデルがいちばん売れてますか?
長田 3,000円のマーブルがいちばん売れています。色はブルー。ウッドグリップではダークブラウンです。
高畑 結局今食いついている人って、1番良いやつが欲しいひとが多いのかな。
長田 そうなんですよ。なので今はフリクションを好きな人が買っている傾向です。そちらがまだ全然多くて、本来のもう1つの目的はこれからの動向に期待します。
高畑 そうですね。フリクションを知っていて、これまでも使ってきたけれども、もっといいのが欲しいって思っている人はすぐに買っている。やはりフリクションから1回離れていた人とかに入ってもらうところが課題ですかね。
長田 それをもう1つの目的としていたんですけど、そこはちょっとまだまだ時間かかるなっていう印象で今取り組んでいます。
特にもうフリクションから離れてしまったらやはりフリクションの情報が入ってこないような人たちもいて、それも含めティザー広告等々を打っているんですけど、そこですね。
高畑 なんかちょっと格好つけすぎだと思うんですよ。「ゾーンテクノロジー」とか、「フリクション3.0」とか、「Ver.2レフィル」とか、そんなことよりも、とにかく「濃くなった!」ってしっかり言ってほしい! 泥臭いかもしれないけど、フリクションの濃さに不満を持ったユーザーに、もう一回使ってもらうためには、まず、濃くなったという事実を知ってもらう必要があります。そもそも濃くなったということがまだ伝わってないと思います。
長田 そうですね、そこはプロモーションの打ち出し方ですよね。
高畑 ラインアップとして、同じ形で材質と値段が違うっていうのはこれまでもあって、たとえばシャープペンシルの、S5、S10、S20、S30とか、ボールペンの「アクロ300」「アクロ1000」とかみたいな作り方で、値段で商品名を分けるじゃないですか。今回それが無いのでわかりづらいっていうのがあって。例えば「フリクションボールノックゾーン3000」とか、あと「フリクションボールノックゾーン ウッド」とかにしなかったのは、なにか理由があるんですか?
長田 そこも当初話にはあって、それぞれ名前をつけるか否という話で、それこそ「タイムライン」シリーズですと「エターナル」といった名前を付けているんですけど、やはり今回一気に出すにあたって、「ゾーン◯◯」ってなると、その◯◯に注目されてしまう可能性がある。「ゾーン」をしっかり印象付けたいので、今回はつけませんでした。実際社内的に通称みたいなのはちょっとあるんですけど、今回はそれはあくまで出さずにいます。
ボディ形状とボディカラーについて
長田 やはり、ここは少し差をつけたかったというのもあるんですよね。一緒にするのであれば確かにストレートなんですけど、太鼓状にすることで持ちやすさに差を付けておきたかったので、こちらはちょっと膨らんでいます。
高畑 なるほど。形状的にはその膨らんでいるラインが他と違って、ここだけつながっていないので、僕はちょっと収まりが良くないなと思ったので…
長田 ストレートの方がよろしかったですか。
高畑 アクロドライブやアクロ300とかの流線型はお尻から頭までちゃんとつながったラインがあるじゃないですか。ゾーンは、前後がまっすぐ来てるところにグリップだけ丸く出ているので、どうしてつながらないラインを入れたのかなっていうのが正直ちょっと気になるところですね。確かに持ちやすいんですけど。なので、視覚的には500円のタイプがスッキリしてて私は好きなんです。
でも一方、書く時の運動性としては、これまた複雑で、後端に静音性のためのバネが入ったことで全長が長くなっていて、長くなっちゃった分、後ろに重量が寄ってますね。インスピレーションとウッドは、グリップそのものも重いし、口金も金属なので、その分を相殺している感じですが、レギュラーはグリップから前が軽いので、ちょっと後ろに振られる感じがあって気になります。ポイントノックみたいに口金が金属だったらもっとバランスがいいのかな、と思ってしまいます。レギュラーの口金部分が樹脂製なのは、やはり透明にして中のチップホルダーを見せたいということですか?
長田 そうですね。あと透明にすることでこの機能を押し出していくという意味があります。

高畑 なるほど。あとは後ろの消字ラバーですね。これまでフリクションの高級ラインであるビズは、このラバーを隠すように全部キャップがついてたんですけど、今回高級ラインでキャップがないのは初めてじゃないですか?
長田 あれは使いづらいって話が実は多かったんです。隠れてる方が高級感があるのかも知れないんですけど、高級品と言っても使いやすさがある程度ないとユーザーは離れていっちゃうんですよね。結局今回は見せて、かつあまり目立たなくカッコよくするように意識しました。
高畑 正直これは大賛成です。キャップをなくす心配もないですし、あと、ラバーが台形になったことで、より精悍な印象になっただけでなく、消し心地や細かいところの消しやすさもアップしたように思います。
ボディカラーについてはどうですか? インスピレーションとウッドは、パイロットの定番色というか、よく見る3色ですが、レギュラーの方の色は他のシリーズでは見ない落ち着いたカラー展開です。
長田 やはり今までのフリクションはインキ色ごとにボディがあって、すごい店頭でまとまりがなかった。今回のものは「フリクションボールノック」や、「フリクションポイントノック」と差別化することが非常に大事だったので、マット感を出しつつ、大人の方達に響くようないわゆる年齢層が上の方達にハマるデザインを意識しました。
高畑 この5色にしたのはなにか意味があるんですか。
長田 定番として安定的な色で、女性にも男性にも使いやすい色、ということろを意識して作っています。特にピンクに関しては、正直差し色で入れていたんですけど、実際販売してみたらものすごくこの色が売れてるんです。ベージュに関しては若干女性寄りですが、これは男性でも使えるような色味をイメージしました。
高畑 なるほど。ちょっと流行もとりいれつつ。
長田 そうですね。くすみとかマット系の色って今すごい流行ってきてるし、おそらくまだまだ流行で続くだろうっていう考えですね。
レフィルが全部黒
長田 シンプルにこの価格帯だと需要は少ないかなと思ってました。しかも、ボディが3種類、500円タイプの0.5は5色あって、0.7も3色あるので、既に種類がかなりあります。赤と青も展開するとラインアップが増えすぎてしまいます。なので今回はレフィルだけにしました。
高畑 赤と青のレフィルは基本的にはゾーンで使う事を想定しているわけですよね。ゾーンのボディカラーが赤や青レフィルを想定していなさそうなボディカラーなんですよ。これはどういう風に使われることを想像しているんですか。

高畑 なるほど。でも、単色の赤とか青のフリクションを使う人は黒も使う場合が多いと思うんです。普段使いは黒で、赤とか青は、原稿の校正とかテストの添削といった、使い分けをする場合、色を区別するために軸色変えたい、あるいは、なにかわかりやすい印があったらいいなと思うんです。
Ver.2のレフィルって、尾栓の色で見分けられるようになっているので、じゃあ、レギュラーの透明軸に入れたらよいのかと思って入れてみると、この尾栓の部分は、内部のパーツの中にスポっと入ってしまって、外からは見えなくなってしまうじゃないですか、これ、わかりにくくないですか? 以前の Ver.1のレフィルだったら透明軸に入れたら普通に使い分けできるんですけど、今回、レフィルの軸が銀色になっちゃったことで、その違いがなくなってしまったんです。たとえばですけど、消字ラバーパーツだけでも赤と青を出して欲しいです。
長田 なるほど。
高畑 別売でもいいのでお願いします!
私はいま、赤と青は割り切ってフリクションポイントノック04のボディに入れて使っています。これだと絶対間違えないので。このぐらいわかりやすく赤と青があってもいいと個人的には思います。
今後の展開
高畑 今後の展開としては、既存のVer.1レフィルと併売ですか? それともいずれは全て置きかえる感じですか?
長田 今のものと併売です。やはり価格が違うので、安く消せるボールペンが使いたい人と、消せるボールペンをワンランク上のもので使いたい人っていうのが必ず分かれると思っています。ですから、違うものとして販売していこうと考えています。
高畑 なるほど。従来品との互換性はあるわけですから、レフィルの選択肢が増えたと思えば良いですね。
最初の話に戻りますが、アンケートで常に不満点としてあげられる「色が薄い」と「インキがすぐなくなる」ですが、「ゾーン」が出たことによって、市場のイメージに変化が出ると思われますか?
長田 そもそも「ゾーン」を使ったことがあるかどうかですよね。多分「ゾーン」はまだまだ広まってないので、先ほど仰っていたみたいに、まだインキ濃くなったことがわかりづらいと。なので拡販後に市場の声を吸い上げてみたいと思います。
高畑 それはこれから告知というか、知らしめることがまだ必要なのかなという気がしますね。薄いから買わないって意見はやはりすごくあるので、そこはやっぱり濃くなったということを知ってもらった上で買われないのはしょうがないけど、知らないのはもったいないなと思います。
今現在で既に返ってきているフィードバックみたいなものはあるんですか?
長田 「普通のボールペンと濃さが変わらない」など、インキを高く評価していただいているコメントも多いんですが、デザイン的な面を評価していただいているのが市場の声で多くありました。あとは機能的に「全部盛り」である点ですね。
高畑 同じ規格のゲルインキレフィルなら入るからということで、他の替芯を入れている例をいくつか見かけました。中には他社のレフィルを入れようとしている人もいるし。ゲルでブレ止めと静音性が出せるボディっていうのがあんまりないですね。
高畑 今後ユーザーの意見というか、要望としては「0.38作って欲しい」とか、「多色用の細いの作って欲しい」とかが出てくるのは、確実に避けられないと思うのですが、その点については、可能性はありますか?
長田 意見はもちろん出るでしょうし、考えてはいます。ただ細くなる程濃くなったことがなかなかわかりづらいというのがあって…いろいろ課題があったりするので、今ここではっきりとは言えないですけど、今後の構想はあります。
高畑 今後2.0側のプレミアムの方を広げていく発想はあるんですか?
長田 まずは「ゾーン」で一度市場の反応を見てみようと思っています。
高畑 なるほど。フリクション15年にして、必要なバリエーションは一通り揃った感じはしますね。
最後に、読者の人に向けて、アピールというか、メッセージがあればお願いします。
長田 一言でいうと、フリクションの進化を感じて欲しいですね。機能とか細かいことよりもまず「進化してます」と。
1番はレフィルのところなので、インキの濃度と容量アップに1番注目してほしいです。プラスアルファでペン先のブレない機能と静音ノックです。
高畑 ほんとに、フリクションをずっと使っている人も、使わなくなった人も、一度は試し書きをして体感してみてほしいですね。ありがとうございました。
「フリクションの進化を感じてほしい」という長田さん
まとめ
国内発売開始から15年。インキ開発開始からだと50年近くの歳月を経て、ようやく本来作りたかったフリクションボールが完成したと言える域に達したのではないか、と思う。新開発のプレミアムフリクションインキの力強く濃い筆跡は、フリクションボール発売以降、最も大きなアップデートであることは間違いない。その違いは、実際に書いてみると歴然としている。
既にフリクションを必需品として使っている人に試していただきたいのはもちろんだが、やはりこれからの課題は、今はフリクションを使っていない人に、この進化を知ってもらうことだと思う。もし、この記事を読んでいるあなたが色の薄さを理由にフリクションから遠ざかっている人なら、一度は店頭で試し書きをしてみていただきたい。少しは評価が変わること請け合いだ。
※製品に関しては事前に試用させていただいたが、既存品との違いは歴然としており、それについては、以前にYouTube動画にて解説しているので、興味のある方は是非ご覧いただきたい。
https://youtu.be/dUvnHjOO-KY
「フリクションボールノックゾーン」の書き味をチェックする文具王
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