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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #61「怖くないコンベックスメジャー」

波子

私はこれまでに引っ越しを7回経験しています。
引っ越しにつきものなのが、様々なもののサイズを測ること。
そう、メジャーを多用するんですよね、引っ越しって。
そしてその度に、いつも冷や冷やしていたのが、巻き戻るときの勢い。
皆さん、あれ怖くないですか?
金属製の巻尺が、ものすごい勢いで自分の手元に戻ってくるんですよ。うっかり触れてしまって指が切れるんじゃないかと本気で怯えたこともあります。

実家に戻って10年目、ここしばらくは引っ越しと縁遠い私ですが、最近は部屋の模様替えや、イベント参加のためにブースの大きさを確認するのにメジャーを使っています。

昨年末、とても画期的なメジャーが発売されたんです。
私も早々に購入したのですが、この連載で取り上げるまでに間が空いてしまいました。
その理由も含めて、ご紹介します。

ミドリ「スローコンベックスメジャー<2m>」

202305namiko1.jpgミドリ「スローコンベックスメジャー<2m>」。カラーは白と黒。シンプルな作り




ミドリの「スローコンベックスメジャー<2m>」は、2022年12月に発売された金属製の巻尺。その名の通り、戻るときにゆっくり巻き戻ってくれます。
このタイプのメジャーを「コンベックスメジャー」と称す、というのを私は初めて知ったのですが、そういえば洋裁で使うメジャーは布製のリボン状ですね。

202305namiko2.jpg


本体を手に取ると、一般的なコンベックスメジャーと比べてかなりコンパクトなことが判ります。
これがまず、持ちやすいんですね。
202305namiko3.jpg金属テープを引き出し、長さを測るために固定するには、本体側面を親指の腹で押さえます。
こちら、巻き戻るときにテープと連動して本体側面が回るんです。なので、それを止めるため物理的に指で押さえるわけです。直感的に解りますし、おもしろいですよね。

ただ、実はここに、私がこのメジャーをこの連載で取り上げていなかった大きな理由がありました。
私の力では、親指で本体側面の中央を押さえても、じりじりと巻き戻ってきてしまうんですよ…!

202305namiko5.jpg私の力ではじわりじわりと金属テープが戻ってきてしまった




先日、弟が帰省してきたときのこと。私が新しいデスクを買いたいと相談していて、置き場所のサイズ確認のためこのメジャーを使ったんです。
上記のことを述べつつ実演してみせたら、こともなげに「それ、押さえる場所が悪いだけちゃう?」と言われまして。
そこで彼の進言通り、本体側面の下方を押さえてみたところ、なんと、ピタリ止められました!

202305namiko8.jpg同程度の力でも、側面下方を押さえると金属テープが止まった




握力15kgの同志のみなさん、ちょっと下の方を押さえるだけで、問題なく使えますよ!
(弟には呆れられましたし、私がどんくさいだけかもしれませんが)

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金属テープの表面は、10cm毎に色が黒と白に分けられ、パッと判別しやすくなっています。

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裏面は縦表示になっていて、棚の高さなどメジャーを縦方向に使って測るときに便利です。

202305namiko11.jpg
本体の裏面にはマグネットがついているので、金属面に貼り付けられます。よく使う場所でサッと手に取れるのはいいですね。

202305namiko12.jpg
ただし、そのため少し重みを感じます。とはいえ、コンベックスメジャーは基本的に重量感があるものですし、こちらはコンパクトなので、他と比べて特に重いという程ではないと感じました。

コンパクトなサイズは、お子さんにも使いやすく考えられているのだそう。公式オンラインストアでは6歳のお子さんが使用している写真が掲載されていました。
…私の握力15kgは10歳児と同じくらいですから、本来はそのまま使えるはずなのでしょうね。押さえるのが難しく感じたのは、握力だけではなく、私が苦手な指先のコントロール力の問題なのかもしれません。

それはともかく、お子さんが使うならやはりスローに戻ってくる機構はとても重要です。
そして、お子さんだけではなく、コンベックスメジャーの巻き戻る勢いが怖いと感じるすべての人に、ぜひ使ってみていただきたいです。


◆催事参加のお知らせ◆
近鉄百貨店奈良店 5階「奈良に良し」コーナー
6月21日(水)~27日(火)
「奈良ええもんストア」に参加させていただきます。
書籍『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を販売するほか、掲載文具をお試し&ご購入いただけます。
24日(土)・25日(日)には、著者の私も在廊いたします。
お近くの方はぜひお立ち寄りください。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/
初の著書『弱い力でも使いやすい 頼もしい文具たち』を2022年10月25日に小学館から発刊


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