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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #41 「楽々使えるコーナーカッター」

波子

私は以前から、名刺の角を丸くカットしています。
見た目のやわらかな印象やかわいらしさを重視してのことなのですが、もうひとつ理由がありまして。
指先の皮がちょっと薄い私にとって、名刺のようにややしっかりとした厚みの紙は、角が刺さると痛いんです。
そう、軟弱な指先なのであります。

長らく愛用してきたのが、「かどまるPRO」という、3種類のサイズに角を丸くカットできるコーナーカッター。

202107namiko1.jpg2012年発売の「かどまるPRO」



ただしこちら、カットするのにレバーを押し下げるとき、それなりの力が要ります。名刺は何枚も連続して(しかも1枚につき4ヶ所の角を)カットするので、疲れてしまうんです。
ここ数年は、床に「かどまるPRO」を置いてその前に座り、肘をまっすぐに伸ばした状態で手のひらをレバーに当て、真上から押し下げて使っていました。

202107namiko2.jpgカットするためにレバーをしっかり押して使う



その「かどまる」シリーズに登場した、ハンディタイプのものを使ってみたのでご紹介します。

サンスター文具「かどまるFit」

サンスター文具の「かどまるFit」は、今年1月に発売された「握りやすくて、片手でラクラク切れる」コーナーカッター。従来品である「かどまるPRO」より2倍の厚みをカットでき、コピー用紙なら最大5枚、厚口ラミネートも切れます。

202107namiko3.jpg

ずんぐりと愛らしい形の「かどまるFit」。



実は、この商品が登場した当初、ウェブサイトや情報誌などで使用写真を見て「指先を使ってつまむようにグリップを握るのは、私には難しいかも知れないな」と考え、すぐには購入に至りませんでした。
でも、実際に手にして使ってみると。

202107namiko4.jpg指先で軽く握るだけでカットできる




なるほど、写真の通りに指先でも、思ったより軽く押し下げることができました。握力15kgかつ指先に力を入れるのが苦手な私でも扱える程度に軽い、ということです。

画用紙はもちろん、名刺でも本当にかるーくカットできちゃいます。驚きました。

202107namiko5.jpg名刺の角を差し込んでカット。親指を当てる部分がへこんでいて握りやすい



202107namiko6.jpg四隅を丸くカットした名刺


もし指先だけの力で扱うのが不安定であれば、手のひらをグリップに当てて握ると、楽に押し下げられます。これなら連続して使うときでも疲れにくいのではと感じました。

202107namiko7.jpg

グリップに手のひらを当てて握ると安定する



紙を差し込むとき、角をうまく正しい角度で奥まで当てるのに慣れが必要です。手に待ちやすいようコンパクト化されたことで、紙を沿わせるガイドが見えにくくなっているんですよね。
もしカットの位置がずれてしまっていたら、もう一度正しい角度で差し込んでやり直せます。

202107namiko8.jpg
正しい角度で紙を差し込むには慣れが要るかも



202107namiko9.jpg画用紙の四隅をカットしただけで印象が変わる




そして、私がこの「かどまるFit」を気に入ったもうひとつの理由が、自立すること。
本体裏面に、かわいらしいあんよのごとく、2つの突起があります。
自立してくれることで、さっと手に取りやすいんですね。

202107namiko10.jpg裏面の突起2つとハンドル先の3点で自立する


カットした後の紙くずは、本体裏側のフタを開けて取り出せます。爪を引っ掛ければすぐに開き、閉めるときもさほど力は要りません。

202107namiko11.jpg裏側のフタを開けて切りクズを捨てる



「かどまるPro」では、S(3mm)M(5mm)L(8mm)と3種の丸み度合いが選べますが、私が最もよく使っていたのはMサイズでした。そして、「かどまるFit」の丸み度合いはMサイズです。
私にとってはバッチリでありました。

今後は、気軽に扱える「かどまるFit」をメインで使いつつ、丸みのサイズを選びたいときには「かどまるPRO」に登場してもらおうと思っています。

202107namiko12.jpg「かどまるPRO」(左)と「かどまるFit」


※私は購入していませんが、同シリーズには「かどまるPRO」より50%軽い力で使えて2倍の厚みをカットできるという「かどまるPRO-NEO」もあります。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/

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