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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #36 「片手ですぐに使える携帯はさみ」

波子

ペンケースやカバンのポケットに入れて持ち運びやすい携帯はさみは、今や多くの種類が登場しています。
以前この連載で、私にとって一番使いやすい携帯はさみとしてご紹介したのが、プラスの「フィットカットカーブ ツイッギー」でした。

#6「使いやすい携帯はさみ」
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/007993/

その利点のひとつが、キャップを外してロックを外し、切ってロックしてキャップをするまで、一連の動作を片手で行えること。
購入してから随分経ちますが、今でもツイッギーは私のカバンに常備している心強い相棒です。

今回ご紹介するのは、昨年2月に登場した携帯はさみ。
片手で使えるだけでなく、「すぐに」使えるのが特長です。
私にとって、2本目の「推しはさみ」であります。

コクヨ「サクサポシェ」

202102namiko1.jpg「サクサポシェ」パッケージ



コクヨの「サクサポシェ」は、キャップのない携帯はさみ。
本体に収納されている刃をスライドさせて出します。
キャップがないため、外したキャップを転がらせてなくしてしまうこともありません。

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202102namiko3.jpgサクサポシェ(色:モカ)。色は他にブラック、アクア、ピーチ、ラベンダー、ホワイト



スライドさせる距離はさほど長くないので、手が小さめな私でも慣れれば一度に刃を出しきることができます。
手指が動かしにくかったりして一度にスライドしきれなくても、少しずつ動かせば大丈夫。指を離してもスライダーが元の位置に戻ることはありません。


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スライダーを軽く押し下げながら前方へスライドさせると刃が出てくる。途中で指を離してもその場に留まるので、一気にスライドできなくても問題ない



私が携帯はさみに求める一番の重要ポイントは、その開き方。
前述のツイッギーをご紹介したときにも触れましたが、私は手を大きく広げることが苦手なので、自力ではさみを広げるタイプや持ち手が大きく開くタイプは使いにくいのです。

サクサポシェは、親指側の持ち手(スライダー)が短いため、手のひらを広げなくても親指を押し下げるだけで切ることができます。
また、バネの力で持ち手が自動的に開いてくれるので、切るときは握ることだけを考えればいいのです。

ひとつだけ気をつけたいなと思ったのは、切り進める途中ではさみを完全に閉じたとき、親指でスライダーを手前にずらしてしまうと刃が開かなくなること。続けて切ろうとしても開かない、という事態に。
基本的にはタグやテープなどを一度で切り終えるためのはさみですが、刃先が長いのでチョキチョキと切り進むこともある程度はこなせるんです。そうして使っているうちに、何度も途中でスライダーを引いてしまいました。私が不器用なだけかも知れませんが…。

ただ、スライドさせる動作は引くときの方が指先のコントロールが必要なので、スッと引けるというのは大きな利点です。
つまり、使うときに気をつければ良いという話ですから、切っている途中に完全には閉じきらないとか、スライダーを前方へ押し気味にしながら切るとか、意識して使いたいと思います。

202102namiko7.jpg刃が合わさる部分の内側にわずかな段差があり(グルーレス刃)、はさみを閉じたときに刃の接する部分を最小限にしているため、粘着テープを切ってもベタつかない



丸みを帯びたフォルムや表面のサラリとした感触は、見た目のかわいらしさだけでなく、持つときに安定感があります。両先端が膨らんでいるので、スライドさせるときに握った手がきちんと固定されます。また、スライダーの絶妙なへこみ具合は、親指を当てたときにフィットして力を逃がしません。

202102namiko8.jpg「マシュマロのような」丸みを帯びたフォルムは、かわいらしいだけでなく手に握りやすい。スライダー後部の突起は刃を最後まで収納したときロックになる。カチリと音が鳴るのが気持ちいい



刃が本体に収納されているので、スティックタイプとしてはかなり短め。小さめのバッグやペンケースにも収まりやすいでしょう。
私の場合は、ベッドサイドにコンパクトに置いておけるはさみが欲しかったので、さっと取り出してすぐ使えるサクサポシェは見事にハマりました。平たいかたちなので、無造作に置いても転がらないのも嬉しいポイントです。

202102namiko9.jpgプラスのツイッギー(下)と並べると、サクサポシェ本体の短さがわかる



ベッドサイドにはサクサポシェ。
カバンの深めポケットにはツイッギー。
目的や状況に合わせて最適なものが選べるくらい、携帯はさみの種類が増えたことに、心から感謝したいです。
推しが増えるって、幸せなことですよね。

202102namiko10.jpgはさみを開いた状態だと長さや開き方はほぼ変わらない

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/

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