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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #28「マスキングテープを楽に切れるカッター」

波子

マスキングテープといえば、今やいわゆる女子文具の筆頭に挙げられるものと言えるでしょう。私の年代ですと、養生資材としての名称であることもしっかり記憶にありますけれども、それはそれ。文具売り場に並ぶ色とりどりのマスキングテープを見ると、ついつい好みの柄に手を伸ばしてしまうのです。

ミュージアムショップやご当地キャラものなど、様々な場所でオリジナルのマスキングテープを目にすることも増えました。手軽なおみやげとして、旅行先で手に取ったこともあります。

マスキングテープを使うとき、皆さんはどうやってテープをカットしていますか?
はさみで切ったり、テープカッターにセットして使うこともありますね。手でちぎって風合いを出すのもアリでしょう。
私も、長らくそんな感じで使っていました。工作やデコレーションで使う場合はきれいにカットしたくてはさみを使い、ラフに使うときはちぎって。そのとき一番よく使うマスキングテープはテープカッターにセットしたりもして。

でも、いつの間にかたくさん持つようになったマスキングテープをくるくると使い回すには、テープカッターへのセットが手間に感じるようになったんです。
かっちりと合わさっているテープカッターを両手で外し、テープを取り出して別のものに換え、カッター両面の位置をきっちり合わせてはめ込み、テープを引き出してセットする。
これだけのことを、やや弱くなった手指でいちいち毎回行うのが、ちょっと億劫になってしまったんですね。
かといって、一番手軽な「手でちぎる」のも、指先の力加減によって苦手になってしまいました。

同じように、マスキングテープを手でちぎったり、テープカッターを使うのが億劫になってしまった方がいらしたら、ぜひご紹介したい文具があります。
簡単にテープの取り替えができるカッターです。

コクヨ「カルカット クリップタイプ」

2020206namiko6.jpgマスキングテープ売り場に陳列されていることが多い



コクヨの「カルカット クリップタイプ」は、小巻テープを挟むようにして取り付けるクリップ型のテープカッター。
パッケージには「マスキングテープカッター」と表記されていて、文具売り場のマスキングテープのコーナーに陳列してあることも多いです。クリップタイプですから、付け外しがとても簡単で楽チン。複数のマスキングテープを使いたいときにも、どんどん付け替えて使うことができます。

2020206namiko1.jpg丸みを帯びたフォルムは、かわいらしいだけではなく手に馴染む形になっている




2020206namiko2.jpg左から、20~25mm幅用パステルイエロー、10~15mm幅用ホワイト、同スモーキースカイ(KOKUYO MEシリーズ)




テープを挟んで装着するためには、クリップを摘まんで開く必要がありますが、想像以上に軽いので全く苦になりません。
クリップの一方(テープの内側を挟む方)は、指を当てる部分が指に沿うようにへこんでいて、摘まみやすいのです。さらに、安定して挟めるようテープ芯に接する面が曲線になっているうえ可動するので、表側の刃の部分だけを見て位置を合わせ挟めばしっかりと保持してくれます。


2020206namiko3.jpg私は右手で刃先を見ながら挟みたいのと、人差し指が弱いのでこの持ち方に。中指がクリップのへこみにフィットして摘まみやすい



そうやってしっかり保持しつつも、挟んだマスキングテープをするする通してくれるので、パッケージ裏の説明書にあるとおり、テープを引っ張るだけで巻かれたテープが回転します。もしクリップ本体を持つ指に力が入ってしまって回転しにくければ、本体から手を放してテープ軸に指を通してみると、カッターがテープの上を移動してくれます。
テープを切るときは、クリップを指で押さえて固定し、カットするだけ。


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パッケージ裏面には、使い方が解りやすく表記されている


ここで活きてくるのが、従来のテープカッターとは異なる「カルカット」シリーズの特殊加工した刃。従来のテープカッターはギザギザした刃を斜めに当ててテープを引き裂いていましたが、カルカットは波状の山も谷もすべて「刃」になった特殊加工刃で垂直にカットするため、軽い力でまっすぐな切り口にカットできるのです(マスキングテープは紙製だからか、セロハンテープ等ではあまり気にならないやや細かなギザギザが目視できますが、ほぼ気にならない程度だと思います)。

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2020206namiko7.jpg黒い紙に貼ってみると切り口の細かいギザギザが目視できるが、使う分にはほぼ気にならない




もうひとつ気に入っている点は、持ち運びやすいということ。
カバンの中に普通のテープカッターを入れるのはちょっと大げさですが、これならペンケースのポケットにスッと挟んでおけます。
しかも、「付け替えやすい」ということは、こうして収納してあっても取り出しやすいということ。
いつでもどこでも、必要なときに「手でちぎる」のと同じような手軽さで扱えるのは嬉しいですね。
マスキングテープを手でちぎるのが上手くできなくなってきた私にとって、この手軽さはとてもありがたいです。


2020206namiko8.jpg持ち運ぶときは「クラムペンケース」のポケットに挟んでいる



サイズは2種類、10~15mm幅用と20~25mm幅用があり、カラーは両サイズともライトブルー、ライトピンク、ホワイト、パステルグリーン、パステルブラウン、パステルイエローの6色。
私が購入したのは、10~15mm幅用のホワイトと、20~25mm幅用のパステルイエロー。そして、KOKUYO MEシリーズのスモーキースカイです。
ちなみに、KOKUYO MEシリーズでは10~15mm幅用のみ展開されています。ほかにシェルピンク、シックプラム、ゴールデングリーン、トーフホワイト、グレイッシュブラックと、シリーズ特有の色味のものが揃えられますよ。

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プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて連載「車いすでみるなら」2015年2月~2019年5月、全70回。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」http://nam-kid.hatenablog.com/

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