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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #14「気軽に使えるノック式サインペン」

波子

[毎月25日更新]

この連載の第3回で、軽い力で使える「ノック式油性ペン」をご紹介しました。
https://www.buntobi.com/articles/entry/series/namiko/007616/
「引く」動作は意外と力を使うので、油性ペンのキャップを開けるのには固くて苦労するんですが、ノック式だと「押す」動作なので、ペン先を出すのが圧倒的に楽なんですね。

油性ペンほど固くはありませんが、サインペンも開けるときに力を入れてキャップを引っ張っています。…いや、もちろん、握力に問題のなかった頃にはそんなことまったく気にならなかったんですけれど、最近はちょっと気合を入れて開けているなと気づいたのです。

そんな力の弱い私にとって、とても嬉しいニュースが飛び込んできました。
なんと、ノック式のサインペンが発売されたんです!

ゼブラ「クリッカート」

20190425namiko1.jpg20190425namiko2.jpg20190425namiko3.jpg

ゼブラの「クリッカート」は、キャップのないノック式の水性染料マーカー。
店頭で販売されているときにはペン先に黒いゴムキャップが装着されていますが、これは外してしまって問題ありません。

20190425namiko4.jpg購入時についているキャップは簡単に外せる



ノックしたら、ペン先がスッと出てきます。
知ってはいましたが、やはりとても楽。
そして、キャップを開ける時にペン先が手に触れて汚れる心配がないのも嬉しい。
開けるときに力をこめると、手元がブレてペン先に当たってしまうことがあるんですよね。
あと、外したキャップをうっかり転がしてしまって探す、などという手間がかからないのもいいですね。そんな粗忽なのは私だけかもしれませんけれども。

キャップがない利点として、ノック式ボールペンと同じように気軽に使えるということも挙げられます。これが、私にとって最大の利点。
ボールペンは書くときにある程度の筆圧が要りますが、サインペンはさほど筆圧が要らない筆記具のひとつです。
その「筆圧が要らない」筆記具が、片手で簡単にペン先を出せるということは、つまり、外出先の机のない場所でメモを取りたいときでも、さっと出してノックして書き出すことができる訳です。
これは、かなり便利で嬉しいことです。

バネの力が強めなのか、一般的なノック式ボールペンよりは押すのに力が要りますが、それでもキャップを引っ張る力よりは少なくて済みます。
もし親指で押し下げるのが難しければ、机の上や壁などにノック部分を押し当ててもペン先が出せます。

20190425namiko5.jpgペン先はそのまま収納される。ノックのバネはやや固め



ノック式油性ペンは、収納時のペン先を乾燥から守るためにシャッターがついていましたが(回転するシャッターの動きは、何度もノックして眺めてしまうほど好きです)、クリッカートのペン先はそのままペン軸の中に収納されます。

20190425namiko6.jpgノックすると丸窓に赤が見え、ペン先が出ていることがここでも確認できる



それでもインクが乾かない理由は「空気中の水分を吸収するモイストキープインク」を採用しているから。「湿度の変化によって、水分の吸収と蒸発を繰り返し、適度な状態に保つ」新インクとのことなんですが、それってものすごいことじゃありませんか?

「気温20℃、湿度60%の条件下」なら「ペン先収納状態で52週」はかすれないそうです。

20190425namiko7.jpg筆記線は細め(使用した紙はミドリのMDペーパー)


カラーは全36色。好みのインク色が見つかりやすいラインナップです。
私が購入した文具店では試し書きができたので、書きまくってひとまず3色を買ってみました。でも他の色もきっと購入すると思います。1本100円(+税)と手を出しやすいお値段なのも嬉しいですね。

20190425namiko8.jpgカラーは全36色。多様なブルー、ピンク、グリーンの中から好みの色を選べる



20190425namiko11.jpg丸窓は軸の裏側にも



※乾かないインクのことについては、文具のとびら編集長の文具王が動画で詳しく推察していますので、ぜひご覧ください。

キャップがないのに乾かないってどういうこと?!【文具のとびら】72# 「クリッカート」ゼブラ
https://www.youtube.com/watch?v=Xzd7AsxxHXc

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて「車いすでみるなら」連載中。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」 http://nam-kid.hatenablog.com/

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