【連載】『小粋な手紙箱』 #35 文香で気持ちを伝える
(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。
手紙で気持ちを伝えよう!
みなさん、ごきげんよう。
まさに「三寒四温の候」ですが、お変わりありませんでしょうか?
昨年、私はとても親しい友人を癌で亡くしました。とてもショックで悲しくて、しばらく元気の無い日々を送っていました。そんなある日、遠方に住む友人からお手紙を頂いたのです。亡くなった友人について、文面には当たり障りのないお悔やみの言葉が書かれているだけでしたが、手紙の中に文香が入っていました。その香りが便箋にほんのり移っていて、読んでいる時にふんわりと包むように薫ってきます。言葉よりその香りが亡くなった友人を悼み、私を元気付けようとしてくれている友人の気持ちのように思えて目頭が熱くなりました。とても心に沁みました。お礼の手紙を書くと「私の気持ちが伝わって良かった」と返事がきました。
文香にこんな有効な使い方があるなんて、ただ良い香りがするものという認識でしかありませんでしたが、こんな風に気持ちを伝えることができるのだと実感した出来事でした。大切な人が悲しんでいるときに、励ましたり慰めたりしたいと思っても、なんと言葉をかけて良いかわからないという経験はみなさんにもあると思います。そんなときには良い香りの文香を手紙に忍ばせて気持ちを伝えてみましょう。言葉の代わりに香りが気持ちを雄弁に伝えてくれます。
私も真似してみようと思っています。
みなさんも良ければぜひ参考になさってくださいね。
手紙トピック
前回ご紹介した映画『ラストレター』を観てきましたので、ネタバレしない程度に感想をお伝えします。
一言で言うとすれば、とても良い映画で気に入りました。
何か衝撃的なことが起こるわけではなく、淡々と物語は進んでいきます。登場人物一人一人の心情が丁寧に切なく描かれていて泣けました。主役も脇役も役者揃いで素晴らしかったです。
タイトルの通り手紙が重要なキーとなっており、手紙が放つ魅力と人に及ぼしていくものが感動的ですらあります。どんな時代にも共通する普遍的な価値を持っているのが手紙で、たとえスマホが滅びても手紙は生き残るに違いないと観ていて思いました。
しみじみとした余韻が残る映画でした。
今月のマキシマムカード
テーマ: 宇宙
葉書: Pinnap
切手・絵入りハト印: 天体シリーズ第3集
お知らせ
★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!
【入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」】
【ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」】
【美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」】
★ 体験講座も有ります!
プロフィール
田丸有子 (たまるゆうこ)
(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。
また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。
奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。
ブログ「Cordially yours」
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