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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #26 調色インクの楽しみ方と実践した結果

ふじいなおみ

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

photo01.jpg娘と体験してみました



今回は、5月14日の「あなたのブンボーグ話、聞かせてください」でご紹介した「調色インクの楽しみ方」と「なおちゃんが実践した結果」をご紹介します。

調色インクとは?

ブンボーグ大作戦に「あなたのブンボーグ話、聞かせてください」という、リスナーに自分の大好きな文房具のことを語っていただくコーナーができました。初回に出演してくださったのは、北海道に住む永都りすさん。Zoomを介して、インクの色を自分で作っていく楽しさを語っていただきました。

テーマは「調色インクの楽しみ方」。「調色インク」とは永都さんが呼んでいる名称であり、混ぜ合わせることができるインク商品を使って、自分で調合して目標とする色や好きな色を作ること。偶然生まれた愛すべき色を楽しむことやそこで感じる色を作る楽しさ、作り終えたあとに使う楽しみかたを伺いました。

永都さんが調色インクを作り始めた訳

永都さんも一人のインク沼に浸かっている文房具ユーザーです。それは私と変わらないのですが、たくさんの色のインクを目にした時に考えたことが大きく異なりました。なおちゃんは「色に込められた想いを手にしたい」とすでに持っているものと類似している色だとしてもその名前が別なら別のインク。お店が違っても別のインクと、インクを購入することに意味を見つけ、現在インクに囲まれて暮らしています。一方、永都さんはたくさんのインクを目の前にして「すべてを購入することはむずかしい。だから自分で調合をしてみよう」と思ったそうです。

そうか、自分で作ることも一つの方法だ。
しかも、無数の色を作り出せるのだ。

私は、この考え方に衝撃を受けました。

調色インクを作るために使っているもの

永都さんに教えていただいた、調色インクを作ることができる商品とそれぞれの特徴は以下の通りです。
・ink-café おうちで楽しむ 私のカラーインク作り キット(以降 ink-caféキット)/呉竹
 特徴:容器がスポイトのようになっていて1滴ずつ出せる

photo02.jpg



・日本の色見本帖 調合ペンセット/カミオジャパン
 特徴:1.付属のペンがバラエティに富んでいる

photo03.jpg4種類のペンが作れることに驚き



2.混ぜても色が濁らず、失敗が少ない

photo04.jpgインクをたくさん混ぜても、濁らないんです!



・ミクサブルインク/プラチナ万年筆
 特徴:三原色の一つ「青」系の色が2色あり、表現力に秀でている

・STORiA MiX/セーラー万年筆
 特徴:顔料インクを作ることができる

そのほか、リニューアルする前に販売されていたinkstand by Kakimoriのインクもお持ちでした。

娘(小学2年生)とインク調色会を開いてみる

今回のお話を伺って、現在小学2年生になった娘とインクの調色会を開いてみました。

photo05.jpgink-caféキットには必要なすべてが入っています。



使用したの「ink-caféキット」と「からっぽペン(写真では単品2本ですが、5本セットを使いました)」です。

決め手はink-caféキットのインクが入っている容器の形。別途スポイトを使うものだと、異なる色のスポイトをインク瓶に入れてインクをダメにしてしまったり、スポイトやインク瓶を倒してインクがこぼれたりという簡単に失敗が起った時のダメージがかなり大きいからです。この容器を使えば手が汚れることはないのでは……と期待しましたが、そちらは「終了後の彼女の手がとてもカラフルだった」とだけここではお伝えします(かき混ぜたりからっぽペンにインクを吸わせる時についたのでしょう)。

永都さんのインタビューから学んだコツの中に、方向性を決めるというものがありました。「〇〇に使う色」「〇〇をイメージした色」のように用途やテーマを決めるのです。娘が考えたテーマは「夜」と「宝石」、私はレトロブームに乗っかって、まずは「クリームソーダ」の色を目指してみました。(出来上がったすべての色は記事の始めの写真のとおりです)

からっぽペン1本を作るのに必要なインク量はおよそ2.5mlです。

photo06.jpg最初はこのように慎重に進めていましたが次第に大胆に!

娘は「まずは全部の色を混ぜてみる!」と次々にインクを混ぜ合わせるための容器に移していきます。赤+黄色+青+グレー+透明で出来上がった色は想像通り「茶色」。微調整をしながらも納得がいく色ができたようで、1色目である「ダイヤモンドチョコレート」が出来上がりました。名前をつけると愛着も一入です。

一方、私の1色目は黄色+青+透明でほんのりレトロを感じる、抱いていたイメージにかなり近いクリームソーダの色が完成。配合を記録するのを忘れてしまったのは残念ですが、一期一会の出会いもまた調色インクの楽しみなのかもしれません。

娘の2色目はまったく異なる色にしたいとのこと。しかし1色目がたっぷり余っていたのでそれは私が引き取りました。

photo07.jpg娘から引き継いだ色を微調整しています


娘は紫色を目指してインクを混合。「アメジストライト」という色ができました。一方なおちゃんは娘から引き継いだ茶色を微調整して「コーヒーフロート」色を作りました。

photo08.jpgラストのインクをからっぽペンに充填


引き続き娘の3色目「エメラルドグリーン」が完成し、5本セットのからっぽペンを使い切りました。

ワークショップを開きたい

私には、この永都さんへのインタビューを行なってから「してみたいこと」ができました。お世話になっているラジオ局「ナナコライブリーエフエム」が主催している地域密着のイベントで子どもたちに文房具の楽しさを伝えるための一つの方法として、「自分でカラーペンを作ってみよう」というワークショップの出展をしてみたいのです。娘と一緒にインク調色会をしたのは、そのイメージづくりの意味もありました。

「インクを混ぜ合わせて作りましょう」と言われた時、私のように分量を気にしながら作るタイプの人も、とにかく自分が求める色を追求し、インク分量がたくさんになってしまう娘のような人もいる。それが今回得られた一つの気づきでした。

「余ったインクはどうしようか……」

photo09.jpg今回は残インク量が多かったため、無色彩色へ入れました。

そこで思いついたのが「ナマエノナイイロ」という色のペンです。今回はからっぽペンに吸いきれなかったインクすべてを寺西化学工業の「無色彩色」大型(約7ml程度のインクを使用して作るペンです)に入れました。余っていたすべてのインクを入れたペンは、偶然が作り出した素敵な紫に発色しました。

ワークショップで余剰となってしまったインクも、残量や色味に合わせてペンに詰め、手にした人に名前をつけてもらえる「ナマエノナイイロ」として活かしていきたいです。

Zoomでインク調色会も

もう一つ。今回、他故さん・なおちゃんと、調色インクの楽しさを教えてくださった永都さんとリスナーの参加者とをZoomで繋いで「インク調色会を開催しよう」という計画をしています。現在、詳細を練りに練っています。今後のブンボーグ大作戦!Twitterアカウントでの発表をお楽しみに。

商品情報

ink-café おうちで楽しむ私のカラーインク作り/キット
https://www.kuretake.co.jp/product/koto/ink-cafe-kit/

ミクサブルインク
https://www.platinum-pen.co.jp/brands/mixable-ink/

万年筆用ボトルインク STORiA MiX 顔料 20ml
https://sailor.co.jp/topics/storiamix/

からっぽペン
https://www.kuretake.co.jp/product/koto/karappopen

寺西化学工業 ギター てづくりペン 無色彩色 大型
https://guitar-mg.co.jp/mushokusaishiki

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

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2023年6月12日に、たこなお文具情報室が監修メンバーとして参加した本「暮らしの図鑑 筆記具」が翔泳社より発売されます。今回の制作の根底にあったテーマは「カラフル」。冒頭、「書くもの」「書くこと」を生活に取り入れている14名の方にお話を伺い、作品やコレクションを掲載しています。続いてカラフル筆記具を100点集めて写真で掲載&紹介。見ているだけでも元気がもらえる図鑑です。
他故さんの担当した「基礎知識」やなおちゃんが実際に工場に足を運んだ「工場見学」もぜひご覧くださいね!

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プロフィール

【ふじいなおみ】
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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