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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #016 北関東の新しいご当地インクたち

ふじいなおみ

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

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今回は、7月3日放送の「なおちゃんの使ってみた」でご紹介した、北関東に登場した新しいご当地インクたちをご紹介いたします。

インクブームは進むよ、どこまでも

インクブームが続いています。万年筆用インクはもちろん、つけペン用のインク(ラメ入り、香り付き、速乾性があるなどなど)も含めてどんどん拡大しています。6年ほど前からインク沼にプカプカと浮かんでいるなおちゃんですが、後から沼に入水された方々の熱量には驚くばかりです。

2022年4月30日・5月1日に東京・浜松町で行われたTono&Lims主催イベントにタイミングよく伺えたのですが、会場に集まった人の数は驚くほど多く、人々が次々にインクやその周辺グッズを手にして行く様子は、3年前に手持ちのインクを数十本単位で一気に増やした(流石にやりすぎました……)私から見てもパワフルに感じました。

さて、そんなインクですが、今年に入ってから北関東各県で次々に新色が発売されました。店舗オリジナルインク、いわゆる「ご当地インク」と呼ばれる3シリーズをご紹介いたします。

【埼玉県】ご当地インク空白地帯に現れた、ふるさとリスペクトインク

埼玉が北関東であるか、南関東であるかは意見が分かれるところですが(埼玉のラジオ局に関係しているとたまにその話題になります)便宜上「北関東」と定義させてください。

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埼玉県は長らくご当地インクがない地域でした。正確にいうと、浦和蔦屋書店で限定数のインクが出ていたことがありましたが、定番としての販売ではなかったのでここではカウントしません。そのご当地インク空白地帯であった埼玉県で2022年2月発売されたのが、「彩玉ink」です。さいたま市にある株式会社クレスが展開するブランド「パピアプラッツ」が第1弾として5色のインクを発表しました。

平成4年に県の愛称として「彩の国(さいのくに)」を選定した埼玉県。「彩」はいろどりや美しさを表す言葉であり、直感的にインクシリーズの名前にもピッタリです!

第1弾として発売されたのは次の5色
・狭山茶

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・草加煎餅

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・長瀞渓谷

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・川越蔵の街

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・コバトン

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このインクの担当者はコロナ禍により県外に出ることが難しくなった頃、改めて地元を見つめ直してみたそうです。そうすると、ふるさと「埼玉」にも素敵なものがたくさんあることに気付いたことが制作した理由の1つ目。こんなにインクはブームなのに、なぜ埼玉にはご当地インクがないのだろうと思ったのがもう一つの理由だったとのこと。

実は私も時折、SNSで「埼玉にご当地インクが欲しい!」と発信したり、埼玉にも支店がある文具店に提案したりということをこっそりしていました。ですが、パピアプラッツさんの「彩玉ink」に対する覚悟の決め方はすごかった!本当に埼玉を愛しているのだなと、ヒシヒシ想いが伝わってきました。

お色はいずれも素敵な色なのですが、一番人気は埼玉県の鳥「シラコバト」をモチーフとした県のキャラクター「コバトン」の体の色を再現した、その名も「コバトン」。柔らかな紫の中にチラリと見えるピンクの揺色(ようしょく)がインクファンを惹きつけています。蛇足ですが、なおちゃんはコバトンと何度かお仕事したことがあるので、とても親近感を持っています。

ちなみに、そろそろ第2弾インクがリリースになるとかならないとか……? こちらも楽しみです

YouTubeでもご紹介しています
no.014 彩玉ink/パピアプラッツ【十瓶十色】

【栃木県】イチゴ生産日本一&無果汁のレモン牛乳

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宇都宮市に本店を構える上野文具。2020年には宇都宮の名物である「餃子」や「カクテル」「ジャズ」などを各関係団体の監修を受けてインクにした「Utsunomiya INK」5色を発売しています。そして、今度は視点を広く持ち「栃木県」をモチーフにした「Tochigi INK」2色が4月末に発売となりました。

1色目はいちご王国レッド。

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栃木県は昭和43年度以降53年連続日本一の収穫量を誇る(2021年11月のデータ。参照:栃木県ホームページ )いちごを愛し、愛された土地なのです。そのいちごのかわいい真っ赤な色に美味しそうなイチゴの香りをつけたのが「イチゴ王国レッド」です。

そしてもう1色は「レモン牛乳イエロー」。

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栃木出身者の懐かしの味、通称「レモン牛乳」と呼ばれる飲料をイメージした香り付きで、箱に貼られたステッカーはレモン牛乳そのもの。素直な発色が美しい黄色のインクです。

ちなみに、ですが、レモン牛乳はレモンの果汁が入っていない飲み物です。レモン果汁を入れてしまうと酸の働きで牛乳中のタンパク質が固まってしまうからなんでしょうね、無果汁なのです。

栃木県の名物となるモチーフは前々からかわいらしいものが多いと思っていました。いちごはかわいいものの代表とも言えるモチーフ。レモン牛乳もコラボ文具を展開していて、栃木県内の道の駅で見かけたのを思わず買ってしまったことも。私は栃木出身ではありませんが、北海道にも似たようなローカル飲料があるので気持ちがすごくわかります。

YouTubeでもご紹介しています
no.012 TochigiINK/上野文具【十瓶十色】

【群馬県】温泉がインクに!

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群馬県に4店舗展開する文具店ハイノートでは6月に「GUNMA ONSEN INK」を発売しました。それぞれの温泉地をイメージした「行ってみたくなる」次の5色です。

・KUSATSU(草津)

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・IKAHO(伊香保)

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・MINAKAMI(水上)

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・SHIMA(四万)

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MANZA(万座)

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例えばKUSATSU(草津)は有名な湯畑に広がるブルーグリーンをインクとして瓶に閉じ込めました。IKAHO(伊香保)は黄金(こがね)湯をイメージ、MINAKAMI(水上)は谷川岳から流れ出る利根川をイメージ、SHIMA(四万)は四万湖の湖水をイメージした色です。

面白いのが顔料+ラメ入りのMANZA(万座)。黒い紙に書くことができます。

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翡翠のような緑色でにごり湯が特徴のお湯。この濁りが黒い紙の上に文字が書ける成分として働いているのでしょう。こういう少し変わったギミックがお好きな方はぜひ! そして冬場には雪が降る地域であることからシルバーのラメで雪を表現しています。ラメ入りのインクですので、ぜひつけペンで楽しんでみてください。

モチーフになった温泉地にある宿でのインク取り扱い開始情報もあり、「温泉行ってきたからインクをお土産に買ってきたよ!」なんて時代もそう遠くはないかもしれませんね。

YouTubeでもご紹介しています
no.013 GUNMA ONSEN INK/ハイノート【十瓶十色】

商品情報

パピアプラッツ「彩玉ink」
全5色 20ml 各1,848円(税込)
パピアプラッツBASE店、もしくは
パピアプラッツが出店している文房具イベントにて販売中

上野文具「Tochigi INK」
全2色 40ml 各1,650円(税込)
上野文具各店、もしくは上野文具楽天市場店で販売中

『Tochigi INK』を楽天でチェック


ハイノート「GUNMA ONSEN INK」
染料インク 30ml KUSATSU・IKAHO・MINAKAMI・SHIMA 各2,200円(税込)
顔料インク 30ml MANZA 2,420円(税込)
ハイノート各店、もしくはオンラインストアで販売中

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

2021年10月16日に東京・阿佐ヶ谷の阿佐ヶ谷ロフトAで開催されたトークライブでご紹介した話題や、セーラー万年筆のインクブレンダー石丸治さんと回線を繋いでのインタビューコーナーの書き起こし、トークライブ開催までの裏話などを1冊に詰め込みました。
2000年頃に起きた、万年筆と万年筆インクの復活の物語をぜひ体感してください!!

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9月11日に開催予定の「文具マーケット」にも出展予定。
遠方の方にも本を手に取っていただけるように、通信販売も行います。
情報は随時、番組Twitterアカウントで発信していきます。
たくさんの方に届きますように!

プロフィール

ふじいなおみ
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具堂」として、文房具の楽しさを伝える活動を開始。
万年筆インク(中でもご当地インク)コレクターであり、2015年生まれの娘とともに学童文具の観察を行う。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」も配信スタート。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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