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【連載】『小粋な手紙箱』 #44 「封字」あれこれ

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

こんにちは。東京は清々しい小春日和が続いています。みなさん、お変わりありませんか?

手紙や文書を封筒に入れて閉じることを「封緘(ふうかん)」と言います。封筒の閉じ目に「〆」と書かれているものをみなさんもご覧になったことがあるでしょう。この「〆」は封字と呼ばれ、開封されていないことを証明するものです。封字にもいくつか種類があるのをご存知でしょうか。

「〆」「締」: 最も一般的な封字です。私信、ビジネス両方で使えます。

「緘」:誤って開封された場合に閉じ目を合わせることが難しい漢字であることから、封字として使われるようになったという説があります。取り扱いをより厳格にしている印象を与えるため、親書や機密書類などに使われます。

「寿」 結婚式の招待状に使われます。

「賀」 結婚式以外の祝い事の時に使います。

「蕾」「莟」 女性のみが使っても良いとされる封字です。「花の蕾のようにまだ(手紙を)開いていません」という意味があり、エレガントな印象を与えます。縦にひらがなで「つぼみ」と書いても素敵です。

いかがですか? 女性だけが使える封字があることを私は最近になって知ったのですが、和文具を扱っているGENROさんから「蕾」の封緘用シールが出ているのを見て驚いてしまいました。さっそく購入して使っています。カジュアルな手紙ではシールやマスキングテープで封緘することがありますが、私の友人でシールを何種類か組み合わせて、いつも凝った封緘をしてくる人がいます。それを見るのが毎回とても楽しみで、封緘も今や個性を出すことのできる場所なのだなぁと思います。手紙の楽しみ方は本当にいろいろありますね。

手紙トピック

あさのあつこさんの小説 『I Love Letter』を読みました。叔母が経営する文通を商売にしている会社に勤める主人公が、文通相手と手紙のやり取りをしていくうちにいろんな事件に巻き込まれていきます。一話完結なのでサクサク読めました。話の展開が面白くて、どうなるの? それで? その先は? と気になっていつの間にか夢中になって読んでしまいます。手紙が物語の始まりを告げ、重要な鍵となり、関わる人を成長させていきます。最後は泣かずにはいられませんでした。手紙が好きな人、特に文通好きな人におすすめしたい一冊です。

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今月のマキシマムカード

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葉書: コラージュ
切手と絵入りハト印: おいしいにっぽんシリーズ第2集「札幌」

お知らせ

★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!

入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」
ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」
美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」


★ 体験講座も有ります!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子 (たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「Cordially yours

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