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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.41 夏休み特別企画・おうちで楽しく過ごすためのおすすめ文房具(その3)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は夏休み特別企画として自宅で楽しく使える文房具を紹介してもらいました。

第3回目は他故さんおすすめの「ほぼ日のアースボール」です。

写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん *2020年6月25日撮影

*今回の鼎談は7月30日にリモートで行いました。

大人も子どもも楽しい! 新感覚地球儀

地球儀1.jpgほぼ日のアースボール」(ほぼ日)

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――では、最後は他故さんですね。

【他故】みなさんほど語ることはないので、ほぼ出オチに近いんですが(笑)、「ほぼ日のアースボール」です。これが本当にいいとか、すごいということではなく、地球儀が欲しかったんですよ。

【高畑】はいはい。

【他故】子どもに地球儀を買ってあげるのが夢の一つだったのね。ただ、家庭の事情があって、こういう大きさのを台付きで置く場所がないんですわ。

【きだて】まあ基本、じゃまだよね。

【他故】息子もそこまで興味がなかったんだけど、中学に入ったら突然世界の地理に興味を持ち始めて、地図を見ていると、地図がゆがんでて分かりにくいので、地球儀が欲しいと急に言い出したんですね。

【きだて】ふーむ。

【他故】買ってあげるのはいいんだけど、置き場がない。どうしようかなと思っていたら、最近ビーチボールっぽいものがあったよね、というので探してみたら、ほぼ日が出しているこれが、比較的手に入りやすかったということで。

【高畑】うん。

【他故】単純に、ここから空気を入れてふくらます、ビーチボール的なものなんですけど。丈夫なので、普通にビーチボールとしても使える。

――わはは(笑)。

【他故】家では、結構投げつけられることも多いんですけど(笑)。

【きだて】まあでも、これで充分っちゃ充分なんだよね。

【他故】正直、これだけしっかり書いてあれば、地球儀として充分です。ちょっとね、僕らの歳になると、書いてある字が小っちゃくて、見るのに厳しい部分もないわけじゃないですけど。でも、まだちゃんと見えるし、印刷もきれいだし、ここら辺の小さい島もちゃんと列挙しているし。それなりに努力してやってるなというのがあって、最近のデキのいい地球儀をちゃんと見てないので、比べることはできないんだけど、これで充分じゃない?というような精度だなと僕は思ってます。

【高畑】デキのいい地球儀ったって、国の数が変わるわけじゃないから。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】もちろん、大きくしたらいいのは分かるけど、そのぐらいがいいところなんじゃないの。大きいと文字は見やすいかもしんないけど、そうでもないじゃん。

【他故】そうそう、それはあるのでね。

【高畑】地球儀がじゃまなのは分かるし、最近はGoogle Earthで見られたりするじゃん。地球規模から見られたりするんだけど、でも画面が四角いからさ。「この辺り」というのを地球儀を持って見られるというのはいいよ。メルカトル図法だから、ロシアは実際よりもでかく見えてるとかあるじゃん。

【他故】そうそう。馬鹿でっかく見えちゃってというのがね。地図については、息子も不満だったみたいで、「正しい縮尺で見たい」とすごく言っていたんだよね。

【高畑】それは、地球儀じゃないと見られないじゃん。

【きだて】あとね、メルカトル図法の地図で飛行機の航路を見ていると「何でこんな変な曲がり方をするの?」って思うんだけど、地球儀で見るときちんと最短距離だっていうのが分かるのね。

【他故】そう。この一直線が変なかたちになっちゃうんだよね(笑)。

【きだて】そういうのが分かるという意味でも、地球儀を見るのは確かに大事だなと思うよ。

【高畑】ロケットの軌道とかな。

【きだて】そうそう!

【高畑】何でアメリカが、東海岸の赤道の近くにロケットの基地があるのかみたいなのってあるじゃん。ちょうど赤道に近いところじゃないと発射できないとかさ。そういうのって、地球儀があるとちゃんと説明ができるんだけど、平面図だと分からないよね。

【他故】これ自体は彼も地球儀としてそれなりに満足していて、それ以上の使い方をしていないんだけど、ご多分に漏れず、アプリで色々とできるんですよね。アプリの画面を見せるわけにいかないので、イメージしにくいと思うんだけど。

【高畑】それ、デモで見たことあるよ。

【他故】1個のアプリで20種類ぐらいのことができるのね。1個選んでみると、例えば小さい子向けに、スマホをかざすと国旗が出てきて。

地球儀2.jpg
【高畑】ARなんだよね。

【他故】そうAR。それで、国旗をタップすると何の国か説明してくれたりとかね。

【高畑】ああ。

【他故】あと、謎に面白いのが、地球儀にかざすと、火星とか水星とか金星とかの表面が出る。

【高畑】その地球儀が火星とかになるんだ。

【他故】そう。

【きだて】それちょっと面白いな。

【高畑】それで月を映しておいて、引っくり返すと裏側になるんだ。ちゃんと座標があるんだね。なるほど、面白い。

【きだて】よくできてる。

【高畑】俺、ちょと買おう。

――突然(笑)。

【高畑】それ、見たくなるね。

【他故】僕、これを買ってからそんなに見てなかったんだけど、アプリを入れてから「面白いな」と思って、それから僕が毎日見るようになったという(笑)。

――ははは(笑)。

【他故】世界中のコーヒーの産地を紹介してくれるとか、いろんなのがあるんですよ。

【きだて】そこはいかにもほぼ日くさいな(笑)。

【高畑】だけど、ちょっと見てみたい気分にもさせられてしまう(笑)。

【きだて】そうだね。ちょっと悔しいな(笑)。

【他故】僕のように、そもそも地球儀を置けないという問題がある人はそうだし、手軽に今風のARを楽しみたいという人はそうかもしれないけど、面白いのでちょっと関心がある人は、1度見てみた方がいいんじゃないですかという感じですね。

【高畑】うん。

【他故】あいつも地理が好きになって、友だちの家に遊びにいくときに、これを持っていくんですよ。

――へぇ~。

【他故】友だちの家でふくらまして、それでクイズを出すという(笑)。

【きだて】あっははは(笑)。

――息子さんはスマホでARを見たりはしないんですか?

【他故】しないですね。むしろ、自分の知識をここで確認するみたいな。

【高畑】本来の地球儀の使い方だからね。でも、友だちの家に持って行けるのはすごいね。

【きだて】地球儀を友だちの家に持って行くという概念が、そもそもないけどな。

【他故】何でも遊びのタネだから(笑)。

【きだて】「小学館の図鑑NEOと連携」だって、これいいな。アプリで恐竜の分布図が見られるんだね。

【高畑】マジで? へぇ面白い。

【他故】ほら、こうやって出てくる。タップするとでかくなって、説明が出てくる。

【きだて】面白い!

【他故】こんなのもあるので、関心のある人はぜひ見てほしいですね。

【きだて】面白いけど、そこらの普通の地球儀より高いな(笑)。

【他故】ああ、それはね。

【高畑】これいくらするの?

【他故】6,050円(税込)。

【高畑】そのアプリ代が入ってるんだな。

【他故】こういうのきだてさん好きじゃない? 「手作り人工衛星」っていって、人工衛星が飛んでいる軌跡が出るの。

【きだて】え、そんなのもあるの?

【他故】「これなあに?」ってピッとやると説明が出てくる。

【きだて】あー、これは面白い!

【高畑】サイトを見ると、「ほぼ日のアースボールのまわりを、UNISEC(大学宇宙工学コンソーシアム)に加盟する大学や高等専門学校の学生たちが作った小型の人工衛星が飛び回ります」と書いてあって、その軌跡なんだね。ひょっとしたら、リアルタイムで飛んでいるのかな?

【他故】いやーどうだろう。そこまではよく分からないな。

【高畑】ああ、「およそ一日のあいだに描く軌道を、約200倍速で再現している」だって。面白いな。

【他故】マイクロサットの軌跡が見えるという。

【高畑】なるほどな。

【きだて】油井亀美也さんのISS滞在記とか色々と面白いものがあるな。

【高畑】これ、ホームページに色々と載っているけど、実際にかざさないと見られないんだな。

【他故】そうだね。iPhoneで見るときとiPadで見るときだと、迫力が全然違うので。

【高畑】ああ、iPadでも見られるのね。

【他故】iPadで見ると絵がデカくなるので、迫力が全然違う。

【高畑】いいね。それは面白いね。

【きだて】でも、うちはふくらましたまま置いておくと、猫の爪であっという間にやられそうだな。

【他故】じゃあ、必要なときだけふくらませる。必要なときって何だっていう話だけど(笑)。

【きだて】いつも必要(笑)。

【他故】そうそう、こんな小っちゃな輪っかも一緒に付いていて、ひっくり返らないように台座として使える。

【高畑】これ、ARで地形表現するんだね。地球儀の表面は真っ平らだけど、ARでコーヒーのやつとかにすると、地形図で山谷が出るんだね。

【他故】そうそう。高低差も出る。

【きだて】今までの地球儀だと、そこそこ高級なやつにならないと地形の高低差って出せないんだけどね。

【高畑】それを強調表現で出しているからすごいね。

【きだて】上手いね。

【高畑】これ出たときは、もうちょっとコンテンツが少なかったと思うけど。

【他故】うん、増えてる。

【高畑】それが発売されたときに、おしゃれショップとかに置いてあって、そのスカした雰囲気がどうかなと思ってたけど、今はちょっと見てみたくなるね(笑)。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】この「図鑑NEO」の恐竜がなかなか。こういうのができるのがいいな。何なら、ARで当時の大陸にしてほしいな。

【他故】そこまでやるとすごいね。

【きだて】ゴンドワナ大陸の頃とかそういうのね。

【高畑】そういうのが見られたらいいね。

【きだて】でもまあ、いずれできるかもしれないじゃない。アプリだけの問題なんだから。

【他故】できるんじゃないかな。

【きだて】これが5億年前の地球です、みたいな。1秒10,000年ぐらいのスケールで動いて。

【高畑】プレート移動とかね。

【他故】プレート移動はできるよね。

【高畑】どっち向きでも見られるから、そういうものを見るときに、立体的に横向きから見られるみたいなのは、結構重要だね。そこら辺はそろそろ3Dだよね。

【きだて】さっきも、地図でメルカトル図法はどうだとか言っていたけど、プレートが移動するのだって、平面図で図説されるのより、丸いもので見た方が分かりやすいじゃない。

【高畑】分かりやすいと思う。

【きだて】「こういう流れなのか」というのが。

【他故】大陸移動はいいな。

【高畑】画面の端にいて、こっちから出てくるものを見るとよく分からないじゃん。それをこうやって見られるというのはいいね。

【他故】僕も、買ってみて初めて気が付いた。

【きだて】これを、ゴロゴロ家の中で眺めているだけで、結構時間がつぶれるな。

【他故】つぶれると思うね。昼と夜のモードがあって、暗い中で都市だけ明るくなっているのを見ると、それだけで心が癒やされる気がする。

【きだて】あ~いいね。夏の夜の楽しみとしては、なかなか風情があってよろしい。

【他故】そうそう。

【高畑】なるほどなぁ。地球は丸かったわけだ。

【きだて】何しみじみ言ってるんだ(笑)。

【高畑】いやいや。自分がどうかなと思っていたものの良さを他人に紹介されて、悔しい思いになるという、この気持ちが分かりますか(笑)。

【他故】ははは(笑)。

【きだて】俺も同じものをいま感じているから、大丈夫だよ文具王(笑)。

【高畑】そう思うよね。俺、全然スルーしてたの。それで、今話を聞いて、ちょっと見てみたいとか欲しいという気持ちになってるの。それが悔しいんだよね。

【きだて】子どもがいると、視点がマルチになっていいな(笑)。

【他故】いやいや(笑)。それはそうかもしれないけどね。

【きだて】それは、間違いなくいいものだよ。

【他故】小さなお子さんでも危なくないし、うちみたいに中学生でも楽しんで見られるので、お子さんのいる方は、ちょっと検討してみてもいいかなと思いますけど。

【高畑】僕が超方向音痴なのは、君らも知っている通りなんだけど、世界のニュースが出たときは、Google Earthでその地域を見るようにはしているのね。ストリートビューとかも見られるじゃん。ああいうので関心を持てるのはすごいなと思ってたんだけど、じゃあそれこそ家に地球儀を買うかといったら、買わないし。置いておいたらジャマじゃん、と思っていたんだけど、それがいいかなと思うのは、空気を抜いてしまえるから。

【他故】間違いなく、それはメリットだと思う。

【高畑】そのコンテンツが見られるのが、普通の地球儀だとしたら、「面白いね」と思っても、買うのはためらうじゃん。それがシュッとつぶして置いておけるとなったら、確かにそれは買ってもいいかなと思うよ。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】俺の中では、地球儀ってどうしても収まり悪いじゃん。特に脚が付いているやつ。

【他故】そうね。

【高畑】地球儀買う選択肢はないなと思っていたら、そこがまたいいので、うっかりこれは買うな。

【きだて】ん~、ちょっとこれは買うかな。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】きだてさんも気になってますね。

【きだて】猫がいつつも、ちょっと欲しい。

【他故】そこだけ警戒して(笑)。

【高畑】それこそ、世界旅行に行けない今だからこそ、これを見るのもいいよね。

【他故】多分、アプリもこれからまたやれることは増えていくと思うので、買っておくとまた面白いことが増えるかもしれない。

【高畑】買ってからコンテンツが増えるというのも今っぽいよね。

【他故】本当にそうだね。

――みなさんの購買意欲がかき立てられたところで(笑)、今回はここまでにしたいと思います。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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