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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.37 今、ペン型はさみが熱い! 注目はさみをまとめてチェック!!(その4)
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、今ブームとなっているペン型はさみについて取り上げました。
第4回目はクツワの「G-SLIM」です。
(写真右から他故さん、高畑編集長、きだてさん *2019年12月撮影)
*今回の鼎談はリモートで行いました。
超カッコいいぞ!! 変形型ガジェットはさみ
――では、最後は「G-SLIM」です。
【他故】これは持ってますよ。
――他故さん、さすがですね(笑)。
【高畑】だって、このギミックは見たら買わなきゃだよね(笑)。
【きだて】まあ、買うよね。
【高畑】この3人はとりあえず買うよね。
【他故】ねえ(笑)。
【きだて】しばらく使ってみた結果、ちょっとめんどくさいなっていう(笑)。
――おやおや(苦笑)。
【きだて】ハンドルを飛び出させるためのバネがやたら強いじゃない。
【他故】強いね。
【きだて】これを「よいしょ」って戻すのがめんどくさい(笑)。
【高畑】これ、ロックしてからじゃないと留まらないんだよね。
【他故】そうそう。
【きだて】だから、一々ロックかけて、戻してというステップが多いんだ。その分キャップレスにはなってるけど。でも、飛び出すのがカッコいいってのは分かる。
【高畑】こればっかりはそうだね。
【きだて】めんどくさいとは言ったけど、このはさみ自体は否定しない。カッコいいし、楽しい。
――クセになりますよね。
【高畑】きだてさん的には、この紙がシャーって切れるモードはどう思う?
【きだて】うーん、俺は普通のはさみの場合でも、自分でほどよい角度に固定してやっちゃうからなぁ。でも、紙を切り慣れてる人ばっかりでもないからね。
【高畑】それはあれだよ、紙がスパッと切れるクツワの「アルミ定規」と一緒だよ。普通の定規でも紙を切れる人はいるけど、ちゃんと切れる定規にしてくれたら、誰でも使えるという。
【他故】うん。
【きだて】はさみをよく使う人にとっては、刃を固定してシャーッと切っていくのって、基本テクニックじゃない?どれぐらいの角度がいいかとか、経験則で持ってるから。でも、それをわざわざ機能として本体内にインストールしちゃうというのは、面白いよね。
【他故】そうだね。
【きだて】慣れてきたら、機能を使わなきゃいいだけだし。
【高畑】確かにね。
【きだて】なので、はさみ作業の入口としてアリかなとは思う。
【高畑】あと、この刃が左に寄っているのがさ。
【きだて】思ったより効く。
【高畑】これは確かに、本体がこれだけゴツかったら、真ん中にあったらジャマだなと思うし。
【他故】ねえ。それは分かるよ。
【高畑】切り進めようと思ったとき、右利きだと持っている方の手に干渉しないから、切り落としやすいよね。
【きだて】面白い工夫だなと思ったね。ただね、これも刃が満足いってないんだ。
【他故】あ、そう?
【きだて】もちろん、コピー用紙1枚、2枚は全然いけるんだよ。でも、これバネじゃなくてハンドル式だから、厚物もいけるんだろと思ってザクザク行っちゃうんだよ。
【他故】う~ん。
【きだて】刃の根元側は切れるんだけど、先っぽになると全然だめ。もう止まっちゃうの。こんないかつい見た目なのにどうして?ぐらいに思っちゃったんだけどさ。
【高畑】確かに、そこは「ペンカットプレミアム」の方が全然切れるよね。
【きだて】そうなんだよ。
――割と刃渡りは長いですかね。
【きだて】刃渡りは長い。これ、「サクサポシェ」と同じくらいかな。「G-SLIM」の方がちょっと長いか。
【高畑】うん、こっちの方が長いと思う。
【きだて】当然、コピー用紙を切る上では全然問題ないし、さっきの切り取りモードもあるしね。A4真っ二つに切っちゃうとかなら、ストローク少なくて済むどころか、ノーストロークでスパッというのもありだし。切りゃすいっちゃ切りやすいんだ。
【高畑】ダンボール切る用でもないし、コピー用紙切るからじゃあ学校へ持っていくのかといったら、ちょっとかさばるし。これ、狙っている年齢層は低めで、中学・高校というよりかは小学校のという感じはしなくもない。何か学童感はある。このギミックを見せびらかしたいのは、ちょっと小学生っぽいなと思う。
【他故】小学生男子っぽいよ。
【高畑】これ刃は厚いよね。
【きだて】今回の4本の中では一番分厚いのかな。
【高畑】使っている板は、これが一番厚い。まあ、指にはめて自分の好きなように動かせるのはいいところだよね。「ペンカット」とこれぐらいでしょ。
【きだて】そうそう。こうやって持つと、「俺、ハンドル付いているのが好きだな」と思う。
【他故】わはは(笑)。分かる、分かる。
――デザインはどうですか? かなり男子寄りですよね。
【きだて】ていうか、女子に受け入れられる要素があるのか。
【他故】これは女子買わないでしょ(笑)。
【きだて】「ハンドルがビュって出るんだぜ」というギミックなんか、女子は誰も求めていないでしょ。
――まあ、名前が「G-SLIM」でいかにも男子って感じですからね(笑)。
【きだて】あ、もう一つ良いところ。このハンドルの硬さというか、指にホールドする感じがかなり良い。動かすときの安定度は、下手すると「ペンカット」よりもちょっと安定するかもしれないぐらいに感じた。
【高畑】この軸もちゃんとでかいしさ。指ちゃんと乗る場所があるし。
【きだて】そうそう。
【高畑】このしっかりしたハンドルをビャッと飛び出させないといけないから、やたらとゴツいバネが中に入ってるじゃん。
【きだて】バネ超長いし。
【高畑】それが2カ所入ってるからさ。
【きだて】情熱かけたのはそこかよっていう(笑)。
――最近、クツワは学童筆入れで「ドッキングZ」という合体ものを作ったりとか、ギミック系がすごいですよね。
【高畑】あ~なるほどね。せっかくだから、「ドッキングZ」とドッキングできたらよかったのに。
【他故】わはは(笑)。
【きだて】そうだよね。そうすればよかったのに。
【高畑】どこかにガチンってはまるところがさ。
【きだて】「ここに変な溝があるぞ」とか。
【高畑】そうそう。それか、この1号から4号まで合体させると、大型ロボになるっていう(笑)。
【他故】それじゃあ、アオシマのプラモだよ(笑)。
――他故さんは、このはさみ使ってるんですか?
【他故】使っているというか、眺めてますよ。カッコいいから。「これカッコいいな」と思って見てる(笑)。
【きだて】使ってください(笑)。
【高畑】でも、こんだけ家にはさみがあると、使うやつと使わないやつが出てきちゃうじゃない。
【きだて】そうなんだけどさ、一応新製品だから使ってみるよね。
――でも、男性に結構売れているようですし。
【きだて】その世代が知りたい。
【高畑】そうそう、年齢が知りたいね。
【きだて】社会人がこれを買うのかという疑問があるじゃん。
――でも、社会人が買ってるんじゃないですか。
【高畑】このかたちがさ、戦隊ヒーロー的な雰囲気を醸し出してるよね。はさみ以外にも、こういうギミックのものを出してくれたら楽しいけど。僕らとしてはね。
【きだて】そうそう。これはクツワさんに申し訳ないけど、イロブンコレクションの棚に入れましたよ。
(一同爆笑)
【高畑】それだ、きだてさんのイロブン認定だ、これは(笑)。
【きだて】私としては、これはイロブンです。
【高畑】そういうことだよ。
――そういう結論でいいんですか?
【高畑】でも、学校に持って行けるガジェットおもちゃっぽいところはあるじゃん。
【他故】そうね。
【きだて】そういう意味では、売れてほしいのは確かなのよ。それこそ「ドッキングZ」とかクツワさん出しているのに、これから先も続けてほしいので。
【高畑】それで、「ドッキングZ」と「G-SLIM」と合体してZロボになるんでしょ。
【きだて】それは文具戦隊なのか(笑)。
【高畑】とにかく、学校に持っていって、合体変形できるところは昭和な感じではあるけど、それはイロモノ文房具の醍醐味じゃん。
【きだて】うん。学校に持って行けるオモチャ枠で売れて欲しい。
【高畑】クツワは最近、「磁ケシ」もそうだし、「ドッキングZ」もそうだし、これもそうだし、学童の遊び心的なことに関しては、結構攻めてるじゃん。
【他故】うん、分かるね。
【高畑】そこは楽しいから、僕は好きですよ。
【きだて】ややディスった感出ちゃったかもだけど、でも「クツワ好き」っていうのは伝わってると信じて。
【他故】「大好き」って(笑)。
【高畑】そういうものも出しながら、真面目に高性能なものも出すじゃん。「2枚刃鉛筆削り」もそうだし、0.9秒で削れる「スピモ」もうそうでしょ。結構クツワ頑張ってると思うんだよ。
【他故】そうだよね。頑張ってるよね。
【きだて】攻めすぎた挙げ句に、こういうのも出ちゃうよね(笑)。
【高畑】そこだと思うんだよ。思い切り振り抜いている感じがするから。割とコンセプトがはっきりしていて、それに対してガーッと振り抜いているから。最近、割とみんな大人しめじゃん。
【他故】そこは割とね。
【高畑】僕らとしては、そういう攻め方を楽しんでいかないとね。
――世の中が女子文具に寄っているので、こういうのもいいですよね。
【きだて】そうそう。小学生男子文具。
【他故】本当にそう(笑)。
【きだて】ここ最近のクツワは本当に応援しがいがあるので、この感じで頑張ってほしい。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。
弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。最新刊の『ブング・ジャムの文具放談6』も発売。
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