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文具王の2019年文具重大ニュース

2019年も残りあとわずか。今年も文具関連で様々なトピックがありましたが、その中から文具王・高畑正幸編集長が「文具重大ニュース」を選びました。

その1・「色」がキーワードに!

2019年の文具界の潮流として、「色」にまつわる話題が目立ちました。この傾向は2020年前半まで続くと思います。
色に関する話題は次の3つに分けられると思います。

まず1つ目は、カラーペンが目立った1年でした。
2018年からバレットジャーナルやスタディプランナーがブームになり、それに使われるペンとして今年はカラーペンもブームになりました。、「マイルドライナーブラッシュ」(ゼブラ)をはじめ、ノック式の水性カラーペンとして大ヒットとなった「クリッカート」(ゼブラ、=下写真=)や、押すだけで簡単にドットが描ける「ZIG クリーンカラードット」(呉竹)、さらには「EMOTT(エモット)」(三菱鉛筆)などが話題となりました。

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2つめは、インク沼です。
今年になって、インクが一気に増えた印象です。色だけでは差別化できなくなってきたので、色に関する物語性を前面に出したり、あるいはボトルをおしゃれなものにしたりするなど、さまざまな工夫を凝らしてきています。

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万年筆インクのイベント「文具女子博 #インク沼」も盛り上がった

そして3つめは、文房具そのものの色が変わってきました。
今年後半には、いろいろな文房具で限定色が出てきましたが、今までにない中間色、例えば青緑色とか紫など、彩度の低い色味のものが目立ちました。

以前は、どのメーカーも同じ色を使った文房具を出していて、売り場では色別にアイテムを集積した棚を作りやすかったのが、今は色の傾向が各社バラバラになってきています。同じ色で文房具を揃えるのではなくて、カラーコーディネートするという方向になってきているのです。同系色でなくても、トーンを合わせればきれいに見えるわけです。

それを戦略的に展開しているのが、コクヨのカテゴリー横断型の新ブランド「KOKUYO ME(コクヨミー)」(下写真)です。この中から商品を選ぶと、色がバラバラでもそれらしくコーディネートされているようにみえます。


「KOKUYO ME」はアクセサリーとしての文房具というのを打ち出していますが、そこがとても面白いなと思います。とにかく、文房具が機能では差別化ができなくなってきているのも事実ではあります。

その2・「筆」の話題が多かった1年

また、「筆」関連でも話題が多かった1年とも言えるでしょう。

小学校学習指導要領の改定に伴い、2020年から小学1、2年生の書写の授業に「水書用筆等を使用した運筆指導」が取り入れられるのですが、運筆の授業に使える「水筆ぺん」が、書道用品メーカー各社から発売されたのが目立ちました。小学校低学年の児童が持ちやすいように本体軸を短くしたり、あるいは六角軸にした水筆ぺんが登場しています(写真は呉竹の『水書筆ぺんmini中字/セリース』)。



また、「マイルドライナーブラッシュ」「SHIKIORI[四季織]マーカー」「ABT(エービーティー)」「筆之助しっかり仕立て」「瞬筆(しゅんぴつ)」(下写真)など、筆ぺんの新製品も昨年末から今年にかけて目立ちました。カラー筆ぺんが目立ったのは、海外でアートブラッシュが流行しているからという理由があるかもしれません。

その3・気になる筆記具が次々登場

2019年は気になる筆記具がいろいろと発売されました。

まずは2018年末に登場した「ブレン」(ゼブラ)です。書き味やブレない機構、そしてデザインも特徴的で、油性ボールペン(正確にはブレンはエマルジョンインクですが)の中で、これまでにないジャンルとして出てきました。

私がスポンサーとなって開催しているお気に入りのボールペンを選ぶ「OKB48 選抜総選挙」でも実感していますが、ユーザーからの評判が非常にいいです。単アイテムでここまで注目されているのはとても珍しいと思います。油性ボールペンでは、「ジェットストリーム」以来の熱を感じます。



また、「フリクションポイントノック04」(パイロットコーポレーション)が発売されたのも大きいです。強度が高く、書き出しが安定するコーンチップとなめらかな書き味で細書きに適したパイプチップの機能を併せ持つペン先「シナジーチップ」を搭載することで、書き味が抜群によくなりました。この商品の登場を喜んだフリクションユーザーは多いと思います。

そして、年末ギリギリに「ジェットストリーム エッジ」が発売されました。油性ボールペンで初めて0.28㎜のボール径を採用した、これまでにないシャープな書き味のボールペンです。
油性ボールペンですが、競合するのはゲルインクボールペンの方かなと思います。同じ0.28㎜ならゲルインクよりも細く書けます。ちょっと細すぎるので、万人にはおすすめできませんが、手帳に細かな字で書き込みたいという人には便利でしょう。


ボールペンは来年も面白くなるなと感じています。

その4・個性的な消しゴムが人気

消しゴムも個性的な商品が発売されヒットしました。

クリアレーダー」(シード)は、言ってみればレーダー消しゴムが透明になっただけなのですが、透明感がきれいで、SNS映えもするので、予想以上に大ヒットしました。



そして昨年発売された、消しクズが磁石にくっつく異色の消しゴム「磁ケシ」(クツワ)は、今年になって"おじさん柄"と"動物柄"という新バリエーションが発売されています。いわゆるネタもの消しゴムになりますが、それがここまで続けて流行っているのは珍しいと思います。


実は、どちらも80年代に同じコンセプトの消しゴムが発売されています。それが今の技術で消字能力など性能をアップさせて、新たに発売されました。なので、この2つの消しゴムには80年代の香りが感じられます。

その5・養生テープが注目集める

今年は養生テープが注目されました。マスキングテープのように、貼ってはがせるテープなのですが、それにかわいい柄をプリントしてデザイン化したものが各メーカーから出てきています(写真はサンスター文具の「YOJOTE(ヨジョテ)」)。

台風のときに、窓ガラスの飛散防止で養生テープがTVで取り上げられ、それで全国の店で養生テープが一斉に売り切れるということがありましたが、その際に養生テープの名前を知ってもらえたのは大きかったと思います。

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