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文具王が創立100周年のパイロットを訪問!万年筆の魅力を語りつくす

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千葉 勇

パイロットコーポレーションは、今年で創立100周年を迎える筆記具の国内トップメーカー。代表的な商品と言えば「フリクション」や「アクロボール」が思い浮かぶが、最初に発売した製品はもちろん万年筆である。100年続く万年筆ブランドとしての知名度と信頼度は高く、万年筆初心者から愛用者まで幅広い層から支持を集めている。実は当サイト編集長の高畑正幸文具王はパイロット万年筆の大ファン。ということで自身の万年筆とペンケースを携え、万年筆を担当している高筆企画グループの土江泰司さん(写真左)と「カクノ」の開発に携わった斉藤真美子さん(写真右)のもとを訪ね、万年筆の魅力について語りつくした。

新文具王の万年筆.jpg高畑編集長と持参したパイロットの万年筆、ペンケースは「タテモ」

万年筆を作り続けて今年で100年


【高畑】 今年で創立100周年ということで、名刺も万年筆で手書きされていますね。

【土江】 名前を直筆で署名するデザインになっています。

【高畑】 創業者は、専門の職人さんではなかったんですよね。

【土江】 そうですね。創業者の並木良輔と和田正雄は船乗りだったんですよ。海外との貿易が船だけで飛行機がない時代。船乗りは海外との貿易を担う重要な仕事でした。2人がまだ20代の頃、船の上で出会い、半年も同じ船に乗りました。どちらも商船大学(現東京海洋大学)を出ていましたが、船乗りになってから出会い、仲良くなったそうです。現在、日本製には優秀な製品がたくさんありますが、当時の日本の製品はまだまだで、空っぽの船で外国に出ていき、たくさん輸入品を積んで帰ってきているような状態でした。その状況を若い2人は悔しく思い、いつか日本製のプロダクトを何か作って海外に売りたいという熱い思いを語り合ったようです。その後、2人は別の道に進みます。並木は母校の教授をしながら万年筆の研究に勤しみ、和田は実業家として事業を行いながら並木の万年筆の研究を支援します。ようやく万年筆ができたのは1916年、会社を興したのが2年後の1918年で、それから今年で100年になります。

【高畑】 万年筆のペン先の開発ではたいへんなご苦労があったようですね。

【土江】 ペンポイントを自前で作る技術が当時の日本にはありませんでした。すでに日本にあった万年筆メーカーは、ペン先を輸入して国内で組み立てて日本の万年筆として発売していましたが、並木は純国産の万年筆を作ろうとしました。

【高畑】 最初から純国産でいこうとしたんですね。

【土江】 そうです。純国産へのこだわりを現在まで貫いています。万年筆メーカーはいくつもありますが、ペンポイントから万年筆本体までをすべて一貫生産しているのがパイロットの真骨頂で、それが我々の誇れるところです。

カスタムのペン種は15種で世界最多


【高畑】 日本と海外では書く文字が違うわけですが、製造する上で日本と海外の万年筆の違いは何かありますか。

【土江】 海外はアルファベットが多く横書きが基本ですが、日本は漢字・かなを使い縦で書く上に「留め、跳ね、払い」が必ず発生しますので、日本の文字に合わせたペン先に仕上げているのがパイロットのこだわりです。海外向け、日本向けという違いはありません。

【高畑】 ペン先の種類のバリエーションの多さがパイロットさんの特徴で、僕はそこが好きです。筆圧に敏感に反応する「フォルカン」、日本の文字向きの「エラボー」、弾力を自在に調整できる「ジャスタス」などは独特ですね。

【土江】 ペン種の豊富さは日本ならではの特徴と言えます。例えば「カスタム」のペン種は15種を揃えています。国産最多なので世界最多になりますね。

【高畑】 スタンダードな万年筆のペン種だけで15種もあるんですね。パイロットさんが好きなのは、順当なラインアップだけではなく、ちょっと違うところにも攻め込んでいくところ。ボールペンでも消せるボールペンを開発するところが面白いです。

【斉藤】 旧ジャスタスは一旦生産が終了していたのですが、万年筆づくりの技術の継承ということから復刻しました。技術者の年齢が上になってしまい、それで技術が終わってしまうのは会社としても損失だと考えました。

【高畑】 「ジャスタス」は技術の継承のために作ったということですか。

【斉藤】 良いものだからもう一度市場に出そうということと、技術の継承ですね。今の技術ならもっといいものが作れるということで、性能や機能を見直して復刻させました。

【高畑】 そうだったんですね。

【土江】 実はそういったテーマは他の製品にもたくさんあります。例えば「エラボー」「エリート」「キャップレス」や、限定品の「ミュー90」のほか、「カスタム823」も復刻させた万年筆です。

「コクーン」と「カクノ」で万年筆ユーザーが拡大


【高畑】 最近のパイロットさんは、一般的には「フリクション」「ドクターグリップ」「ハイテックCコレト」といったボールペンのメーカーというイメージが強いと思いますが、そういった中で万年筆の位置づけはどうなっていますか。

【土江】 ボールペンに比べると、万年筆は価格が高いというイメージがあるのは事実です。少し敷居が高かったため、価格の幅を広げることで次のユーザーを育てたいという思いはあります。お子さんや学生さんにも使ってもらえるモデルを市場に投入するなど、ここ数年は低価格万年筆にも力を入れています。それによって、「コクーン」や「カクノ」といったヒット商品が生まれました。

【高畑】 低価格で若いターゲットを狙ったんですね。

【斉藤】 大きな分岐点となったのは「コクーン」なんですが、「コクーン」を発売する前に、万年筆に関する実態と意識調査を行いました。2012年のことです。20代から50代の男女8000人を対象にインターネットで調査したところ、若い世代からは万年筆が「かっこいい」「おしゃれ」と好意的な答えが多い一方で、「万年筆は高そう」「選び方がわからない」という回答も多かったんです。ガラスケースに入っていて店員さんに声をかけることができないという回答もありました。

【高畑】 それはわかります。

【斉藤】 なぜ若い人には万年筆を手にしてもらえないのかを分析してみると、まずは価格ということになります。そこで3000円の若い人向けの万年筆を開発しました。それが「コクーン」です。その「コクーン」が思っていた以上に好評となりました。でも、そのあとに3000円でも高いという声がお客様からあったんです。そこで思い切って1000円なら高くないのではないか、でも1000円の万年筆を誰が買ってくださるのか、ということが社内で議論されました。出した答えは、子どもをターゲットにして祖父母や両親といった大人に買ってもらおうということでした。

【高畑】 なるほど。その1000円の万年筆が「カクノ」ということですね。

【斉藤】 はい。発売当初は、どういう方が購入されるのかが気になり、私も店頭まで見に行きました。そうすると、中年男性をはじめ大人の方が多く買われていました。一方でクリスマスにはお子さんが「これがほしい!」と言って親に買ってもらう姿も見ることができ、子どもから大人まで手にしていただけるような万年筆になったのかなとは思っています。購入した方の多くが今まで万年筆を使ったことがない人なので、新しいものという感覚があったのではないかと思います。

【高畑】 長年にわたって万年筆を使用している方たちの年齢が上がっている危機感はありましたか。

【斉藤】 万年筆を使っている方の年齢が上がってきています。将来を考えると万年筆の需要が細くなってしまう。万年筆ユーザーを増やしていかなければ私たちも困ってしまいます。「コクーン」を発売して若い方も手にしていただけることがわかったので、さらにもっと下の世代ということで子ども向けを発売したわけです。

【高畑】 「カクノ」は子どもを意識しているため、ペン先にかわいい顔が描いてあったり、パッケージも含めて大人の嗜好品とは違うデザインテイストになっていますね。でも僕も40歳を過ぎていますが、自分でも使いたいなと思いました。子ども用としていますが、実用性も兼ね備えていますね。

【斉藤】 パッケージにはこだわりました。一般的な万年筆はキャップをしたまま販売していますが、「カクノ」はボールペンと間違えられないようにペン先を出したパッケージにしました。

【高畑】 四角い箱に入っているのでギフトにもなりますね。それから中には子ども向けにすごく詳しく使い方が書いてありますが、あの説明書は万年筆を全く使ったことがない大人も助かると思います。

【斉藤】 万年筆に興味はあるが、どうしていいかわからないという世代がもう40代まで来ていますからね。

【高畑】 そうですよね。子供ももちろん買っていると思うんですが、当初の想定した対象年齢よりもずいぶん上の人が買っているんじゃないですか。

【斉藤】 そうですね。上の方が非常に多くて驚いています。コンバーターが入るようになっていますので、カートリッジではなく、大人の方はコンバーターを入れていろいろなインクの色を楽しまれているようです。それまでは1万円の万年筆を持っていれば十分だったのですが、そうではなく、若い方が何本も持っていただけるという状況になり、ビックリしています。

【高畑】 いまインクブームでご当地インクもありますが、1000円万年筆はインクブームを盛り上げるのに必要なアイテムだったと思うんですよね。

【斉藤】 それまでもインクの色合いを楽しめる「プレラ色彩逢い(いろあい)」という3500円の万年筆があったのですが、3本持つと1万円を超えてしまいます。そういうこともあって、1000円の方が手に取りやすい価格だったのかもしれません。

【高畑】 「カクノ」は1000円なのに書き心地がすごくいいんですよ。発売されたとき、僕の周りでも1000円なのに書き心地がいいという意見が多かったです。そこそこ万年筆を嗜んでいる人たちが褒めていました。

【斉藤】 万年筆はすごく部品点数が多いんです。1万円の「カスタム」で20パーツです。それが「カクノ」では同じ基本性能を持ちながら必要最低限の6部品で作っています。ただ書き味は重要なのでペン先にはこだわりました。ちゃんとした万年筆のペン先をつけたいという思いがあり、切り割があって中にペン芯が入りながらも、最低限の部品点数と優れた書き味、そして子ども向けなので安全性にこだわった万年筆を作りました。

【高畑】 誤飲による事故を防ぐための空気抜きも入っていますし、キャップが螺旋ではなく、篏合式になっていますね。ものすごく丁寧に作られているのがわかります。あえて六角形だし、リデザインした感じかよく出ています。高い金型はきれいで本当にいいですね。カッチリした感じが。筆記具メーカーの金型は本数を作るつもりで本気で作っているので、安い金型とは面の出方とかが全然違います。篏合の気持ちよさがものすごくいいです。それなのに1000円か、と出たときに感動しました。軸は3種類ありますね。最初はグレー軸を発売し、大人が買っているとなって白軸を出して、コンバーターが使われていることで今度は透明軸を出すという。

【斉藤】 最初から白軸と透明軸も候補としては考えていたんですが、世界観がブレるといけないと考え、まずグレー軸から出しました。発売直後から透明軸がほしいという声はありました。

【高畑】 「カクノ」が先か、インクブームが先かわかりませんが、透明軸が出たときにとうとう来たかと、グレー軸も白軸も持っていたのに透明軸もすぐ買いました。もしかしたら「iroshizuku」の色数の分だけ透明軸を持っている方もいるかもしれないですね。

【斉藤】 いらっしゃるかもしれません。

【高畑】 万年筆は大人の趣味の路線でいくのかなと思っていましたが、今日の姿は想像できませんでした。明らかに違う層のグループが生まれているように見えます。「カクノ」が出て万年筆というジャンルに変化は起こりましたか。

【土江】 「カクノ」にデコった写真をSNS上で見たときに、今までの万年筆とは明らかに違うなとは感じました。今までになかったことが起きています。

【高畑】 万年筆の新規開発の意欲が以前とは全然変わってきたのではないですか。

【土江】 「カクノ」発売後、万年筆ユーザーが増えたことで、いま我々が課題だと思っているのは、低価格万年筆のユーザーをどうしたら本格的な万年筆に誘うことができるのかということです。「カクノ」はステンレスペンで、本格万年筆は金ペンとすると、ステンレスペンをさらに高級なモデルにしていくか、それとも本格万年筆の金ペンなのか、いずれにしても懸け橋が必要だとは考えています。

名刺交換した人には万年筆で書いたはがきを出す


【高畑】 万年筆ユーザーが増えているということですが、そのユーザーに望むことはありますか。

【斉藤】 やっぱり日常使いしてほしいですね。

【高畑】 日常使いするとわかってくる面白さがありますね。僕も万年筆は使ったり使わなかったり、使おうと思い出すたびに洗うみたいな時期もありましたが、ここ数年、日常的に使ってみようと思い、はがきを書くようにしました。3年ほど前から名刺交換した方ほぼ全員に万年筆ではがきを書いています。年間600枚くらいになりますね。自分用のはがきも発注しました。僕は真っすぐ書くのが苦手なので、最初から方眼が引いてあるはがきにしたんです。筆ペンも使う機会があまりないので、年賀状は筆ペンを使うようことに決めました。年賀状は毎年400~500枚出すので、その宛名書きは必ず筆ペンを使います。名刺交換した方に万年筆ではがきを書くというルールを決めて、たくさん書いていると、昔の人がなぜ筆文字が上手いのかは、体感としてわかりますね。僕たちはパソコンもスマホも使いますし、ボールペンやシャープペンも使います。もし万年筆だけしかなかったとしたら、書く量は全然違う。きっと字もうまくもなるし、力が抜けてきれいな字が書けるような気がします。

新はがき.jpg
【高畑】 万年筆をしばらく使ってみると、違うペン先が欲しくなるんですね。昔は「キャップレス」ばっかり使っていました。普段使うのが面倒くさいので、「キャップレス」ならキャップを外さなくていい分、ストレスが少ないと考えたからです。名刺交換したら書かないといけないというルールを作って、半分義務感もあって書いています。でも、万年筆の良さは書かなければわからないということに気づきました。パイロットさんの面白いところは特殊ペン先があること。自分はちょっと抑揚をつけて書きたい派。軽くすべらせて書く派もいると思いますが、僕はしならせてしまったりするので、「エラボー」が気持ちいいなと思って使っています。

【土江】 「キャップレス」を何本もお持ちですね。

【高畑】 「キャップレス」はまだ2代目が現役です。デシモも好きですが、特に昔の多面体の形が好きなんです。Namikiの海外モデルも手に入れました。古いモデルは骨董屋さんやオークションで見つけると買ってしまいます。事実上、唯一のノック式ですからね。日本人はノック式が好きなんですよ。僕が大学生の時に買ったのが「キャップレス」で、ノック式なら使うかなと思ったのがきっかけです。万年筆を特別な道具としてではなく、実用で最初に使ったのが「キャップレス」ということで、今でも思い入れも強くて、集めているわけです。キャップレスの昔の多面体モデルのキャップ一体型が大好きです。知り合いの大学合格祝いや就職祝いで、しっかりしたものを何か贈りたいときには「キャップレス」を贈ることが多いです。それは文房具の中であんまり使っていないだろうけど使ってほしいという気持ちがあるからです。

【斉藤】 メーカーとしてはうれしいお話です。

【高畑】 万年筆が面白い道具だというのがわかってきたので、それを知らないのはもったいないって思うので。

「カスタムURUSHI」は気持ちいい


【高畑】 今すごく気になっているのが「カスタムURUSHI」です。「カスタムURUSHI」はペン先が大きいですね。

【斉藤】 「カスタムURUSHI」のために新たに30号のペン先を開発しました。1万円のカスタムが5号、2万円のカスタムが10号、3万円のカスタムが15号のペン先です。今までにない価格帯や書き味を求めて新規ペン先の30号を作り上げました。

【高畑】 (「カスタムURUSHI」を試し書きして)いいですね。気持ちいい。なんなんですかね、この感じは。僕は紙をひっかく音があまり好きではないので、気持ちよく流れてくれた方が好き。書き方に癖があるので、割と力を入れちゃったりするんですが、「カスタムURUSHI」は力のかけよう感がないくらいなめらかですね。正直、数万円以上の万年筆ってめったに買わないんです。金額的に高いのもありますが、僕は外部の装飾はどうでもよくて、書ければいいと思っている派なんです。なので万年筆を立てるペンケース「タテモ」とかにバサッと入れて、カバンにこのまま入れているので、万年筆ファンにときどき怒られるんです。言い訳になりますが、使わないで置いておいてもしょうがないと思うんです。僕は雑なので使っているうちに傷がついて地色が出てきたりするんですが、それはそれでいいと割り切っています。万年筆は道具なので字を書いてなんぼ。丁寧に使っていっぱい書くのが一番いいのはわかっていますが、丁寧に持っててあんまり書かないより、少々雑に扱ってもいっぱい書く方がいいと思います。

【斉藤】 万年筆を道具として使っていただいているのが一番うれしいですね。

【高畑】 僕は道具とか工具が好きで、文房具の話もその系統が好きなんです。パイロットさんのペン先は、心をくすぐられる魅力があるんですよね。「エラボー」のペン先を見たときにちょっと使ってみたいとなったり、「ジャスタス」なんてメカ好きなおじさん的にはたまらない。宛名を書くときとコメント書くときに使い分けられるので実際に便利です。「カスタムURUSHI」がいいと思うのは、これまで完成したラインアップを伝統芸能みたいにずっと変えないのではなく、しかも小手先の変化球でもなく、ど真ん中にこれまで見たこともないストレートを投げるみたいな、もう一段レベルをアップするようなことを、創立100年の会社がやるっていうことに驚かされます。今まで作ってきた万年筆をもう1回超えてみようというのが面白いですね。今年1年頑張ったら自分へのご褒美として「カスタムURUSHI」を買おうと思います。きっと書く道具としての最高峰モデルですね。

万年筆の最高のメンテナンスは毎日書くこと


【高畑】 「文具のとびら」は文具という世界の入り口のとびらとして、メーカーとユーザーをつなぐ出入口になってほしいと思っています。まだ万年筆を触ったことがない人、ようやくカクノを使ってみましたとか、以前に万年筆を買ってみたけど乾かしてしまって残念な気持ちで萎えかけてる人もいると思いますが、万年筆メーカーから何かメッセージはありますか。

【土江】 万年筆の最高のメンテナンスは毎日書くことです。なんでもいいから毎日書いてほしいです。一文字書くだけでも違います。万年筆を大事にするということは、決して大事に使うということではなく、万年筆を毎日使うことだと思います。書くことを継続していただきたいです。

【高畑】 毎日使って少しでもインクを動かすことが重要なんですね。

【斉藤】 普段使いしていただきたいです。

【高畑】 僕は使う用途をはがきに決めていますが、日記とか自分なりの使う用途を見つけることが日常使いの第一歩かなと思っています。

【斉藤】 万年筆はボールペンに比べると手間がかかります。それこそお風呂に入れると言って洗ったり、ご飯をあげると言ってインクを入れたり。カクノのペン先に顔が書いてあるのもあるんですが、擬人化されている部分があります。

【高畑】 友達はインクを吸わせることを、インクを呑ませると言ってます。

【高畑】 カクノはパッケージに入っていますが、お店に行くとほとんどの万年筆はガラスケースに入っています。買わなくても試し書きしてもいいんですか。

【斉藤】 店頭でどんどん試し書きしていただきたいです。万年筆を選ぶ際には、試し書きしてからの購入をお勧めします。

【高畑】 試し書きでは「永」という文字がよく書かれていますが、ほかにも何かありますか。

【斉藤】 よくグルグルと円を書く方がいらっしゃいますが、それよりもよく書く文字を書いた方がいいと思います。例えば住所を途中まで書いてみるとか。

【高畑】 試し書きの「永」の字にはずっと違和感があるので、それ以外の提案は何かありませんか。パイロットのおすすめフレーズを考えるのはどうでしょう。「吾輩は猫である」くらいの5文字から8文字くらいで、写真を撮るときの「ハイチーズ」みたいなフレーズ。

【斉藤】 カタログでは「ありがとう」を使用していますが、試し書き推進のために新しいフレーズを考えてみるのもいいですね。

土江さん、斉藤さんのオススメ万年筆

対談終了後に、土江さんと斉藤さんにとってのオススメ万年筆を聞いてみた。

土江さんオススメの万年筆は、スリム&ライトなノック式万年筆「キャップレス デシモ」。「いつでもどこでもスピーディーに書ける、身近なパートナーになれる万年筆」というのがその理由。

新土江さん.jpg


斉藤さんは、開発を担当した「カクノ」がオススメ。「日常使いに使える低価格な万年筆で、いろんな色が楽しめます」とのこと。

新斉藤さん.jpg
万年筆をまだ使ったことがないという方は、まず1000円の「カクノ」から始めてみるのもいいし、ちょっと勇気を出して店頭で試し書きをしてみるのもいいだろう。高畑編集長が語ったように、万年筆は面白い道具なので、知らないのはもったいないですよ。

最適な1本を探したい方はパイロットのホームぺ―ジへ。
http://www.pilot.co.jp/products/pen/fountain/


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