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「パーカー」の初代ボールペン「ジョッター」が60余年も愛され続ける理由とは①
【3カ月連載/第1回】
高級筆記具を代表するブランド「パーカー」は、英国王室御用達ブランドでもある。その125年以上に及ぶ長い歴史と品質の高さが英国王室から認められ、「ロイヤルワラント」という称号が与えられている。認定を受けたブランドのみ、「ロイヤルアームス(紋章)」を掲げる権利が与えられる。それが英国王室御用達ブランドと言われる所以だ。
英国王室御用達と聞くと、手が届かないほど高価な製品ばかりというイメージが浮かぶが、実はそうともいえない。「パーカー」ブランドの中でエントリーモデルにあたる「ジョッター」は、日々の生活で気軽に使用できるワンランク上のボールペンとして人気が高く、価格は2160円(税込)からとリーズナブル。「パーカー」のペンをまだ使ったことがないという人はもちろん、ギフトにもおすすめだ。
「パーカー」ブランドストーリーの始まり
1894年には、インク漏れを防止する先駆的なインク供給システム「ラッキー・カーブ」を発明する。この革新的なフィードが特許を取得し、筆記具界に飛躍的な進歩をもたらすことになる。
その後も「パーカー」は、卓越したクラフトマンシップに基づく信頼の品質と極上の書き心地を実現するために、たゆまぬ革新を続け、速乾性インク「クインク」やインク残量を目で確認することができるインクリザーバーを有するペンを開発するなど、画期的なペンを続々と市場に投入。常に時代をリードし、歴史に残るセンセーショナルな筆記具を生み出してきた。その実績は世界的に高い評価を得ており、1世紀以上にわたってその伝統と名声を守り続けている。
歴史的な場面でも、「パーカー」はたびたび登場する。1945年、第二次世界大戦が終結し、ドイツの降伏文書の調印にドワイト・D・アイゼンハワー元帥が「パーカー51」を使用したという記録が残っている。これは当時、彼の友人であったケネス・パーカー(創業者の息子)が提供したものだという。また、ダグラス・マッカーサー元帥も、日本の降伏文書の調印に、妻からプレゼントされた「デュオフォールド」を使用したそうだ。
現在使用しているロゴにも注目したい。ブランド名の下には1888年という創業年を表示。さらに矢羽をモチーフにしたロゴマークが並んでいる。このロゴマークは、1933年に発売された「バキューマティック」で初めて誕生した「矢羽クリップ」が元となっている。ブランドのロゴマークに正式に採用されたのは1957年で、「パーカー」を持つすべての人々への確かなメッセージが込められている。そして、2015年から始まったブランドリニューアルによって、ますます洗練さに磨きがかかったデザインに進化を遂げた。
英国王室から名誉ある称号、「ロイヤルワラント」の認定受ける
現在「ロイヤルワラント」を授与できるのは、エリザベス女王とエジンバラ公、チャールズ皇太子の3人のみだという。5年ごとに見直しが行われるため、認定を長年にわたり維持することは、王室に認められる高い品質を継続して維持することの証となっている。
「パーカー」は1962年にエリザベス女王から、1991年にチャールズ皇太子から「ロイヤルワラント」の認定を受け、現在まで保持し続けている。
60年以上の超ロングセラー「ジョッター」
1954年に発売した「ジョッター」は、容量の大きなリフィールを搭載した初めての高性能ボールペンで、ペン先のチップにはタングステンを採用するなど画期的なものだった。このため発売初年度に早くも350万本もの売り上げを記録するなど大ヒット。また、そのスタイル、色鮮やかなカラーリング、高い信頼性、優れた機能はのちのボールペン開発に多大な影響を与えた。
そして「ジョッター」にとって欠かせない魅力となっているのが、ノックするたびに存在感を放つ特長的な音。このノック音は多くのファンから親しまれている。
こうして世界で最もアイコニックなペンの1つとなった「ジョッター」は、60年以上経った現在でもその人気はまったく衰えることがなく、世界中から愛され続けている。ちなみに、現在までに発売したボディの色は100以上にもなるという。
スタイリッシュなピンストライプやゴールデンフィニッシュが印象的なプレミアムライン
1950年代発売当時のデザイン構想まで遡って見直しを行い、今回「グレイピンストライプCT」と「ブラウンピンストライプCT」は、モダンに生まれ変わったスタイリッシュなピンストライプを採用。価格4320円(税込)。
「ゴールドGT」と「ブラックGT」は、手元を煌びやかに演出するゴールデンフィニッシュが印象的。価格5400円(税込)。
審美性や個性を演出するファッションアイテムとして、男女を問わず人気となっている。
ボディの素材がステンレススチールにアップグレードしたコアライン
コアラインは、これまでにない繊細なカラーリングと豊富なバリエーションが特長。特筆すべきはボディの素材を従来のプラスチックからステンレススチールにアップグレードした点で、これによって格段に質感が高まった。
ラインアップは、「ブラックCT」「ブルーCT」「レッドCT」「オレンジCT」「バイオレットCT」「ウォーターブルーCT」「パープルCT」の7色。価格2160円(税込)。
専用のギフトケースも用意しているので、デイリーユースのギフトとして気軽に利用できそう。
http://www.parkerpen.com/ja-JP/jotter
【連載 第2回】の記事へ
http://www.buntobi.com/articles/entry/stationery/006503/
【連載 第3回】の記事へ
http://www.buntobi.com/articles/entry/stationery/006628/
高畑編集長のひとこと
私にとって最初の舶来筆記具の思い出が祖父からもらった「パーカー」の「ジョッター」でした。縫製工場を経営していて機械や道具が好きだった祖父はしばしば視察旅行で欧米を訪れており、私にお土産としてくれたのが「ジョッター」のボールペンとペンシルでした。当時はまだ中学生で、海外製の文房具を手にすることはほとんどなかったので、書き心地はもとより、洗練されたデザインの持つ品格や、砲弾のような金属製の大容量インクタンクの機能美に国産文具にはない雰囲気を感じて興奮したのを覚えています。ですから、今でも私にとって舶来品といえば「パーカー」、「パーカー」といえば「ジョッター」なのです。
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