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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.79 ブング・ジャムがおすすめする引っ越し便利文具 その2

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、引っ越しの際に便利な文房具をブング・ジャムのみなさんに紹介してもらいました。

第2回目は、他故さんおすすめの「マーカー差し」です。

写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん*2023年6月3日撮影
*鼎談は2023年10月3日にリモートで行われました。

マーカーは腰に挿すべし!

――次は他故さんお願いします。

【他故】私、正直に言って、20年以上引っ越ししてないんですよ。で引っ越しって言って何が便利かっていうのが、まあそんなに思い浮かばないんだけど、会社の中での移動っていうのは3年に1回ぐらいあるのね。

【高畑】あーなるほど。

【他故】いわゆるフロア移動というやつですよ。部署が変わるのではなくて、部門ごとフロアが変わったり、レイアウトが変わったりするときに、業者が来て机の中のものを全部段ボールに詰めて、廊下に出して、土日過ぎて月曜になると新しいフロアレイアウトになっていて、段ボールが自分の机とかに置いてあるので、朝行って開梱して詰め直して仕事をするっていうのは、多分、3年に1回ぐらいやってるんですよ。そういうのが好きな会社なので。

【きだて】それは多いよね。

【他故】それを引っ越しというかどうかっていうのはちょっと別にして、そのときに便利なものって何だったかなって今思い出してるんだけど。これは普通の引っ越しではないのかな、段ボール箱の表面に、例えば「中がに何かが入ってます」みたいなステッカーを貼ったりとかっていうのは、リアル引っ越しでは存在しない?

【きだて】それは段ボールに書いちゃうよね。

【高畑】段ボールに「何が入ってる」って書いてあるよね。

【きだて】そう。だからノック式の油性マーカーでガンガン書いちゃう。業者さんも適当に書いて詰めてくれるので、そういうマークを貼ったりとかはなかったね。

【他故】会社の時って、段ボールには書かないで、シールっていうかステッカーに貼るんですよ。貼ってはがせるステッカーが何種類か色分けしてあって、このフロアはこの色でみたいになってて、自分の机番号と引き出しの位置とかを書くやつがあって、それを側面に貼るのね。廊下にドォーッと積んであると、側面が全部見えるようになってるから、どのフロアーのどの位置にある机にこれを持ってくっていうのが業者がすぐに分かるステッカーなんですよ。

【高畑】うん。

【他故】それを貼るときに使うのが油性マーカーで。まあ、基本はいつでも使っている「ツインマーカー」を使うんだけども。これがね、要するに持ってかれちゃうんですよ。作業していると。持ってっちゃうやつがいて、返ってこないことがあったんだよ。「予備持ってればいいじゃん」って言われるかもしれないけど、予備はもう箱に入れちゃってるんですよ。この1本だけをライブにしてるから、持って行かれると困る。

【きだて】分かる、分かる。

【他故】俺まだ書いてないってことがあったりするので、「貸して」って言われて、分かっていれば返してもらえるんだけど、持って行かれちゃうことがあって。それが嫌で、マーカーのホルダーをベルトに着けて使ってました。

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【高畑】出た、土牛だ(笑)。

【他故】これだと持って行かれない。これで人に貸すこともできるし、貸したら「すぐ返して」って言えるし。

【きだて】それごと貸すの?

【他故】いや、これはベルトに着けっぱなしになってて、ペンだけをサッと出す。

【きだて】キャップが付いてない状態で渡すから帰ってくるってこと?

【他故】まあ、でもこれの場合キャップは後ろに付けてるから。

【高畑】それだと、返してくれないかもしれないね。

【他故】返してくれないかもしれないけど、机の上に放置してあるのは持って行かれることはなくなるから。ここに着けてると「貸して」って言われたら、誰に貸すかが分かるので、「返せ」って言えるわけですよ。そういうのをしばらくやってました。

【きだて】さすが現場プロ用ツールの土牛だぜ。

【他故】そう、土牛はとても便利です。普段歩いているときに着けるわけにはいかないんだよね。グラグラしてるだけだから、危険なんだよ(笑)。

【高畑】キャップ食い込むやつじゃないんだ。

【他故】種類がいくつかあって、買う時にチラッと確認したんだけど、この太さの種類っていうのが、キャップなしのやつだとこれに合わないんじゃなかったかな? もうちょっと細身のやつをつけられるみたいになってて、太さが21㎜あるやつはこのフタのあるやつしかないんじゃなかったかな。

【高畑】そうなんだ。

【他故】そうそう。スポンと入れるだけの簡単なやつなんだけど、これをフロアの引っ越しのときだけに使っております。

――そのためだけに買ったという(笑)。

【他故】それしか使いようがないので(笑)。

【きだて】いやでも、マーカーはやっぱり持ち歩くの大事だなとは思ったよ。今回の引っ越しで。

【高畑】そうだよ。自分のものとして。マーカーもそうだし、きだてさんの話にあったけど、「ダンボールカッター」を置いちゃうからなくなるっていうのがあるのでね。

【他故】ガムテープなんかもそうで、フロアでガムテープ持って行かれちゃうことがすごく多かった。ただ、ガムテープはさすがに着けて持ち歩くシステムはなかったので。しかもフロアので俺のじゃないし。

【きだて】現場仕事用の腰袋みたいなのに、マーカーとテープ類と「カイコーンPRO」を入れておくっていうのは、今回の引っ越しで必要性を痛感したね。

【他故】これも広義の文房具みたいなものだよね。システムになってるから。

【きだて】この場合の腰袋は、我々的には間違いなく筆箱ですよ。

【高畑】そうだね、何かしら着けてるよね。「文具マーケット」とかの時もさ、防災ポーチみたいな感じで、一通りの開梱グッズとマーカーを入れてるから。

【きだて】今回さ、事前にノック式の「マッキーノック」を買っといたんだけど、引っ越しの荷物に紛れ込ましちゃったんで、慌ててダイソーに何かないかなと見に行ったら、ノック式マジックが今ダイソーに売ってるのね。すごいラッキーだった。それもまた無くなる前提で4本ばっか買って腰袋に挿して運用してますけど。

【高畑】確かに便利だね。

【きだて】箱を開けて、とりあえず中をざっくり見て、何が入ってたかをちょっと詳しめに書きつけておくとか、そういうので今運用してます。片付ける前にちょっと分類みたいな感じ。

【高畑】それは確かに要るよね。

【きだて】他故さんの土牛もそうだけど、マーカーを気軽に持ち運べるようにしとくのは、引っ越しではやっぱ大事だね。

【他故】そうだろうね。引っ越しも物が手元にあれば何でもできるんだけども、それを探してると大変だからね(笑)。私の場合、フロア移動では開梱をするとか、段ボールをバラすとかっていう作業自体が別にそんなに苦労はないので、そういうところにまで気を配ってやることはなかったんだけど。ただ、マーカーはないと困るっていうね。

【きだて】それはあれなの、配置を書くだけなの?

【他故】そう。基本ステッカーに書くのは、そのフロアの番号と机の番号。でこの段ボールは、例えば引き出しの右下とか左上とかを書くメモ欄が別にあって、それプラス名前を書いておくっていうのがあって。業者の人は、フロア番号と机番号だけを見て、その机へのところまで持って行って終了。それで翌朝会社に来ると段ボールが来てるので、開梱して中身を出して、段ボールをペシャってやって指定の場所に出す。そして9時に始業みたいな世界だったんだよ。

【きだて】てか、3年に1回それをやるのはうぜえな(笑)。

【他故】何かね~、本当にフロア移動が好きな会社でね。

【高畑】あれだよ、私が関わってる会社でも、部署間シャッフルとかは人事異動の度にあったよ。今はワンフロアでやってるから、机が大きく動くはないんだけど、要は部署の配置が変わったりとか、組織が変わったりとかするから、割と頻繁にあるんだよね。毎年ぐらい。それもイス取りゲームみたいな感じの「ここからこっち」っていうだけなので、フロアレイアウトが全部変わるんじゃなくて、机はそのままなんだけど、「あの人とこの人が交換で」みたいな感じで新しい席に移動するんだけど、業務やりながらやるんだよね。

【他故】業務しながらなんだ。

【高畑】それこそ、向こうの人がどいてくれないと行けないみたいな。「昼からやるぞ。午前中に片付けとけよ」みたいな感じで、もちろんその時は基本仕事できないんだけど、早く動ける人は動けるっていうか、全部片付けてポイって出られる人はいったんどいて、次の人が入ってというのを入れ替えていくみたいな。結構大変なんだけど、何が大変って机が古い机と新しい机があるんだよ。規格が色々あったりするので、引き出しの中身をそのまま出しても入らないんだよ。あと、そもそも引き出しがあったりなかったりするっていう。なんか結構ガチャなんでね。行き先が広くなる分には入るんだけど、狭くなったりすると「あら、入ってたものが入らねえ」みたいなのがあったりとかで、なかなか大変なんだよ。

【きだて】それは何かメリットがあるのか?

【高畑】それぞれの島を機能ごとに分けたりとかするから、移動はしなきゃいけないんだよね。やっぱり人事異動があったりすると、「今回からはこういう部署にします」とか、「この人が入ってくるので、このチームは人数変わります」とかがあったりするので。全体は変わらなくても中身が入れ替わるので、段ボールに入れて移動するのは結構ある。

【他故】ステッカーのメーカーさんが見つかったんだけど、「移転用ラベル ノーマル」っていうまさしくこれを貼って使ってた。

【高畑】むしろ、これはこれでいいね。すごいよく分かるんだよね。僕が引っ越した時に使ったのは、エーワンが3Mグループに入った時に出たやつで、A4全面シートの付箋っていうかタックシールみたいなやつ。でも「ポスト・イット」なんだよ。「ポスト・イット」のA4全面をタックシールみたいに割ってあって、4面割とか8面割とあったんだよ。もう廃盤になっちゃったんだけど。そのときに色アソートっていうのがあって、付箋の色だから黄色とピンクと水色と緑かな。あと白が入ってる5色タイプだったんですけど、それを買って同じようなことをやってた。自分でそこに書くんだけど、「黄色はこの部屋」って決めるんだよね。行き先大事なんだよね。

【他故】そうね。

【高畑】引っ越し業者に運んでもらえたらその分楽じゃん。でも、それが違ってた場合は自分で運び直さなきゃいけないじゃん。

【きだて】そらそうだ。

【高畑】だから、行き先の部屋は決めといた方が絶対よくて。引っ越した先が広くなくても、部屋のABCっていうのは分けといて、部屋ごとに入れるものは分けといた方がいいので、こういうラベルは本当にいいなと。

【きだて】業者さんにお任せするんだったら、最低限こういうのは要るもんな。

【他故】そう。指示しない限りは、移動のさせようがないはずだから。

【高畑】あと引っ越し業者の段ボールって、確かに枠があって書けるようになってるんだけど、やっぱりカラーラベルが付いてる方が全然探しやすいんだよ。

【きだて】そうそう。

【高畑】だから、色ラベルは大事。

【きだて】俺も、「即時開梱」というやつは、カラーの養生テープを貼って目印にしてたよ。箱の上面と側面に分かるように貼って。

【他故】そういうことだよね。

【高畑】そういうことを養生テープでやるにしろ何にしろ、何かしら必要だよねということで。色分けって結構目立つから。言っても部屋の数って5個ぐらいじゃない。5色ぐらいだったら、こういうシールでも養生テープでも揃うから。

【きだて】ダイソーで、養生テープが5色揃うんですよ。

【高畑】ちょっと巻きが小さいやつね。

【きだて】そうそう。巻いていてすぐなくなるんだけど、ラベルにするぐらいなら全然足りるのよ。

【高畑】そうだね。そういうの作るのは大事だな。で業者用の移転用ラベルっていうのがちゃんと売ってるのね。これ、オプションで色を選ぶんだ。

【他故】全13色だけど、1色10枚で売ってるんだよね。

【高畑】それを132円で売ってて、青・赤・黄色ってあるから。

【他故】業者の人は、「100枚で買うともっと安くなるよ」っていう別のページがあるんだけど。

【高畑】多分、引っ越し業者はこれを100枚とか、もっと大きい単位で買ったやつを配るんだよね。

【他故】そうそう。

――毎回それが配られるんですか?

【他故】そうですね。フロアで色が決まってるので、そのフロアの1カ所に段ボールと一緒にラベルが置いてあるんですよ。それで、自分の机で使う段ボールの数を、まず大体考えて、「2枚要るな」とか「3枚要るな」といえばまず3枚確保して、あとはラベルを貼るんですけど、ラベルって実は段ボールだけじゃなくて、机とかモニターとか電話とかイスとか、全部同じ番号で同じ色で同じところに行くようにっていう指示をするんですね。なので、枚数が増えるんです。

【高畑】ああ、確かに。

【他故】でも、イスに貼るのができなくなって。新しいイスを配給されてからバックメッシュのやつが来ちゃって、シールが貼れないっていう(苦笑)。

【きだて】はがれちゃうやつだ。

【他故】しょうがないから、みんな養生テープでベロッて貼るみたいな、非常にカッコ悪いやり方をしている(笑)。

【高畑】やるやる。なるほどね

【他故】なので、普通に売られてるものだったら、シールの方を紹介してもよかったかも。

【高畑】「梱包名人」っていう通販サイトがあるんだね。

【きだて】えー、なにこれ。こんなサイトあるんだね。

【高畑】サイトがカッコいいね。

【他故】たまたま今サーチしてたら引っかかったので、俺も今日初めて見たんだけど(笑)。個人でも買えるんだね。何か皆さんの足しになればいなと思います。

【きだて】あーっ、巻き段ボールも安いぞ。ここで買えばよかった。ちぇっ。

――もっと早く知ってればよかったですね。

【きだて】教えてくれよ、他故さん。

【他故】知らんよ、今検索したばかりじゃん(苦笑)。じゃあ、次の引っ越しの時はここで。

【きだて】また引っ越しやるのかなぁ…。

【高畑】しばらくやりたくないだろう(笑)。

*次回は、高畑編集長おすすめの「メモックロールテープ&Vスーパーカラー」です。

プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2022年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。

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