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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.76 最新個性派ペンケースを徹底解剖! その2

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、最新個性派ペンケースについて激論を展開しました。

第2回目は、ナカバヤシの「neoformマルチペンケース」です。

写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん*2023年6月3日撮影
*鼎談は2023年6月30日にリモートで行われました。

スマートな3WAYペンケース

ナカバヤシ1.jpgneoformマルチペンケース」(ナカバヤシ) 本体に内蔵したマグネットの力で変形し、スマホスタンド機能付きペンスタンドやペントレー、壁掛けなど、3通りで使えるペンケース。内部で埋もれてしまいがちな小物を取りやすい位置に固定しておくことが出来る小物収納スペース付き。吊り下げできるフック掛けループもついている。税込2,420円。

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マグネットで変形。3wayで使える 「neoformマルチペンケース」
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――じゃあ次は、ナカバヤシの「neoformマルチペンケース」です。

【高畑】複雑なかたちのペンケースを結構作ってるのってナカバヤシだっけ? 折りたたんで立たせるやつとかって。

――ディスプレイペンケースですね。箱形で変形するやつがありましたね。

【高畑】ナカバヤシのペンケースっていうと、ギミック系というか、折りたたみギミックは結構ある気がするんだけど。

【きだて】そもそも「オリパクト」とか出してるからさ。ナカバヤシの企画担当に、相当に折るのが好きな人がいるんじゃないか(笑)。

――確かに(笑)。

【高畑】それは伝統芸なのかもしれないけど。

【他故】伝統芸(笑)。

【きだて】俺はこれすごい好きなの。こういうギミック系のペンケースって、文房具好きな人や中高生向けに作ってるからか、どうしても容量がデカすぎるでしょ。

【他故】たくさん入るようになってるよね。

【きだて】15本とか20本とか入っちゃうじゃない。そんなに要らないんっすよっていう。

【高畑】は~。

【きだて】もっとスリムで小さくて、でもなにかギミックが付いてるのが嬉しいという層もいるんだって。これもペン5、6本ぐらいでしょ。そういうのがいいんだって。

【高畑】そうだね。そのくらいだね。

【きだて】多分、社会人でペン5本も持って歩く人って、そんないないと思うんだわ。

【高畑】うんそうだね、5本もあれば。

【きだて】大体、2、3本で運用してるのが一番多いと思うのね。

――そうですよね。下手すれば複合ペン1本ですよね。

【きだて】そういう人がギミックの付いた機能性ペンケース欲しいなと思ったら、今のところこれが最適解になりうるんじゃないかな。

【高畑】なるほど。

【きだて】寝かせてペントレイで、狭い机で使う時はペンスタンドに、みたいな応用性も高くてさ。よくできてるなーと感心したよ。唯一、消しゴムをこのベルトループに差し込む収納だけが釈然としないんだけども。

ナカバヤシ3.jpg【他故】でも、これも俺よくできてると思ったけどね。消しゴムをここに挟むことによってさ、結局隙間のスペースにちゃんと厚みを合わせるようにして全体が薄くなるじゃん。

【きだて】そうそう。

【他故】ここの位置にしか消しゴム入れられないよなって思うけど、それをベルトにしたのはむしろすごいと俺は思うけど。

【高畑】このベルトがスマホスタンドになるんでしょ?

ナカバヤシ2.jpg【他故】ベロンと立たせて寝かせるとスマホスタンドになる。

【高畑】このスマホスタンドの仕組みとして、すごいがっちりしたものじゃなくって、この折り返しだけで引っ掛けるっていうのが、割り切りがすごい良いなって感じがする。確かにこれで十分引っかかるっちゃ引っかかるね。

【他故】ちゃんと立つね。

【きだて】タテ・ヨコ全然これで普通に立たせられちゃうっていう。

【高畑】きだてさん的には、この後ろの足のギミックはどうなの。後ろ足ギミック。

【きだて】折って立たせるやつ? これは上手いの考えたなっていうのと、さすが「オリパクト」作った会社だよな、っていう。実際にこれできちんと立つじゃん。

【高畑】一応ね。中身が入ってないとダメなのね。ちゃんと中身を入れて立てると、ちゃんと立つねっていう感じで。

【きだて】あと、まっすぐじゃなくて、いい感じに傾くでしょ。だからペンの出し入れもしやすい。

【高畑】「壁に付く」はやったことないんだけど。

ナカバヤシ4.jpg【きだて】机を区切ってるコワーキングスペースなんかだと、パーテーションがスチールだったりするんで、使いやすいよ。おしゃれウッディなパーテーションとか使ってると全然だめだけど。

【高畑】そうね。

【きだて】でも、まだ使えるところは多いんじゃない? パーテーションにスチール入ってるところは結構あるだろうから。

【高畑】まあ、5本ぐらいだったら、別にパーテーションになんかくっつけなくても、机の上で立っててくれたら十分かなっていう気がしなくもない。壁に付くのはおまけかなという気がするけど。

【きだて】何らかの生かせる手段があるって考えると、それだけでちょっと嬉しいじゃん。

――マグネットの磁力的にはどうなんですか?

【きだて】そんなに強くはないんだけど、元々の容量が少ないから、これで十分っていう感じ。

【高畑】そうだね。十分にくっつくし。

【他故】全然問題ないね。

【きだて】確か、耐荷重150gとか言ってたのよ。

【他故】書いてあるね。

【きだて】ペン4、5本で150gまでは絶対いかないので。

――そういうのも考えた上で、磁力もその程度にしてるのかな。

【きだて】そうじゃないかな。

【高畑】むしろあれかな、初めてお店で見た時に、こういう風な変形ギミックだっていうのをお客さんに周知するのが難しそうだね。

【きだて】ああそうだ、伝わりづらいよね。

――多分、平べったい感じで置いてありますよね。

【他故】そのままフックで、フックで吊って売ってるでしょうからね。

【高畑】「立つペンケースだよ」っていうのも伝えるのがちょっと難しそうな気がする。

――確かに、見た目が立たない感じですもんね。

【他故】純粋に、薄いペンケースが欲しい人が買うっていう、そういうデザインですよね。

【高畑】一見立たせる系のかたちに見えないところが分かれば、それがいいところなんだろうけどね。

――そこが利点なのかもしれないですけどね。「意外に立つよ」っていうのが。

【きだて】だけど、何かもったいないなっていう。もうちょっと上手く伝えられればいいのになというのは思うよ。

――商品に付いてるタグで、「立てられる」というのをアピールしているのならば。

【きだて】そういう写真が入ってたよね?

【他故】確かに、立ってる写真ではあるんですけど、このペンケースに付いてるこの写真をパッと見てどう理解するかっていうと、意外と理解しにくいですよ、この写真は。

――デカい字で「立つ」って書いてた方がいいのかな?

【高畑】あと、どうやったらこのかたちになるのかっていうのが、1回触ると確かに分かるんだけど、俺はリリースの写真を初めて見た時に、どういう風に立ててんだろうと思ってちょっと考えた。まあ分かるんだけど、一瞬なんか違和感があるというか。

【きだて】だから、最初にあの後ろを折るのちょっと度胸が要るものね。「これ曲げていいんだっけ?」みたいな。

【他故】「これか?」みたいな(笑)。

【きだて】手探りなんだよ。

【高畑】「これで合ってる?」っていう。

【きだて】「大丈夫、折り目が付いてるし」みたいな。

【高畑】「これで正解?」って訊く感じの雰囲気は確かにあるので、そこがなんかちょっと分かりにくい。

【他故】まあね。でも、今回サンプルを触って初めてこの製品見たんですけど、これめちゃめちゃ大好きになりました。いろんなところに持ち運べて、必要な時には立つって、めちゃめちゃいいじゃないですか。薄型なのがものすごく自分好みなので、これは見つけたら買おうかなと思って。

【きだて】これで本数的には足りるのかな?

【他故】薄く持ち運びたいっていうときにこれを使うという感じ。元々大容量ペンケースってあんまり使わないんですよ。こういうのを4個も5個も持ってるタイプなんだよね。

【きだて】それもどうだろう(笑)。

【他故】その中から必要をなものをチョイスしてカバンに入れる。

【きだて】ああ、そういうことか。

【他故】シャープペンシルがメインのやつとか、万年筆が入ってるやつとかっていうので、ユニット感覚で入れていくから。

【きだて】サンダーバード2号方式だね。

【他故】そうそう、このぐらいの本数がね、 実は一番使い勝手はいいんですよ。まあ、惜しむらくは、「2レイヤースタンドペンケース」を見ちゃった後だからかもしれないけど、中が見えないっていうこと。

(一同爆笑)

【他故】今は、こんな場合でも不満を感じるんだなって。

【きだて】贅沢(笑)。

【他故】僕も、「あのペンはどこに行った」って消えちゃうタイプなんで(笑)。

【高畑】やっぱり、「立たせる」はポイント高い?

【他故】薄く運べて、立てられてっていうのはものすごくポイント高い製品なので、これは本当に見つけ次第買います。

【高畑】「薄いのが欲しい」っていう人にはいいよね。あとは、分かりにくさがなんとかなるといいな。

――薄くて立つというのがウリですかね。

【きだて】実際にね、社会人はこれでいいんですよ。この薄さだと、カバンになんとかねじ込めるじゃん。

【他故】うん、入る入る。これなら、何かの隙間にでも何とかなる。

【きだて】そういう意味でも、学生用じゃないね。

【高畑】そうね。

【きだて】なので、これのもうちょっと安っぽく見えない版というか、それこそTPUレザーかなんかで作ってくれても良かったかもね。

【高畑】確かに。

【きだて】そういうバージョンがあると、また嬉しいかな。

――これが売れたら、次は上位モデルとして。

【高畑】こういうペンケースはなかなか難しいものね。

――じゃあ、他故さんはぜひ買っていただいてということで。

【他故】はい、見つけ次第買います(笑)。

*次回はクツワの「リララ」です。

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

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